ガールズ&パンツァー 転生した独裁者の陸戦道戦記 作:くろがね四駆
――翌日の大洗女子学園。
ひとみは戦車道を行っているガレージで生徒会長の角谷杏と会話をしていた。
「君が独逸ひとみちゃんだね? 私が生徒会長の角谷杏だよー」
「独逸ひとみです、今日からよろしくお願いします」
「独逸流っていう戦車道三代流派の一つなんだって? 戦車道に入ってくれるなんて頼もしいねー」
ニコニコと杏は笑う。
ひとみは直感で彼女が只者では無い事を理解した。
前世で国の指導者をしていただけあって、相手が本来どんな人物なのかが即座に理解できるのだ。
「そんじゃ戦車なんだけど、実はひとみちゃんの家の人が扱う戦車を届けるそうだよ?」
「え、ということは──」
──その時、上空から大きく厳つい航空機が接近してきた。
しかしそれは、独逸家が所有している輸送機であった。
「あれは……!」
「Me323 ギカントです!!」
飛んでくるギガントを見て優花里は大興奮している。
ひとみは母親が手配した輸送機だと確信して、着陸地点に向かった。
着地地点には既にみほ達含めた戦車道のメンバーが殆ど集まっていた。
どうやら輸送機が来た事で、見物しにどんどん集まってきたようだ。
Me323から出てきたのは、ドイツ軍服でヨーロッパ系の多少老いた男であった。
「ドイツ国防軍か!?」
「異人ぜよ」
「まさしくゲルマン系だな」
「輸送機もドイツのやつだな」
歴女達が驚いている中、ひとみは駆け足で男に近づく。
「フリッツ中将!!」
「お久しぶりです、ひとみお嬢様。めいか様からのお届け物でございます」
「もしかして、私の相棒を?」
「
フリッツと呼ばれた男は戦車の準備を始める。
そこへ先ほどからいた優花里がひとみに聞く。
「独逸殿、あの人は軍人のようですが……?」
「んーまあお前達には私の正体がバレてるしな、教えても良いかフリッツ中将?」
「私も連絡でお嬢様の正体を知られた事はお聞きしております、信頼できる方でしたら構いませんよ」
準備をしながらフリッツは返す。
ひとみはニヤリとした顔で優花里に言った。
「実はコイツも転生者なんだ、誰だと思う?」
「ええ!? そうなんですか!? ええと、フリッツ……それってもしかしてですけど、マンシュタイン将軍ですか!?」
「さすがだな、正解だ」
――そう、このフリッツという軍人、かの名将マンシュタイン将軍の転生後の姿であった。
その事実を知った優花里は大興奮状態であった。
流石に周囲の注目を浴びるほどに興奮していたためか、流石のひとみも優花里を落ち着かせる。
「ははは、そんなに喜ばれたら嬉しいのもだろう、なあフリッツ中将?」
「そうですなぁ、このように記憶を持った状態で第二の人生を始める際は多少ヒヤヒヤしましたが、こんなにも喜ばれると悪い気はしないですね」
そんな会話を二人でしていると、みほがフリッツに駆け寄った。
「おお、みほお嬢様もお元気そうですな」
「うん、フリッツさんも元気そうで良かった」
「……おっと、戦車を出す準備が終わりましたので、皆さんお下がりください」
Me323から戦車がゆっくりと現れる。
出てきた戦車の正体は、Ⅳ号駆逐戦車F型と呼ばれるドイツ軍の駆逐戦車であった。
キュラ キュラと輸送機から離れていく、そしてひとみの目の前へと運ばれた。
そう、この戦車こそがひとみの相棒なのである。
「戦車の配備、完了致しました」
「ご苦労だったな、あとは帰って少し休んでくれ」
「いえ、実はめいか様から暫く学園艦に留まって欲しいとのご命令がありまして」
「此処に留まる? 一体どうして……?」
ひとみが疑問に感じていると、遠くで見ていた生徒会広報の河嶋桃が近づいてきた。
「実は蝶野教官が現在多忙でな、戦車道の顧問をフリッツ教官に頼み込んだんだ。そしたらお前の母親から即許可が降りた」
「めいか様は気まぐれですからなぁ、そういうわけなので、よろしくお願いいたしますぞ」
「ははは、フリッツ中将が顧問なら心強い!」
心強そうに、ひとみは返事をする。
すると杏は多少困った顔で口を開いた。
「そうそう、しかも戦車道じゃなくて、次から陸戦道に試合方式が変わるって言うもんだから、フリッツ教官が必要なんだよねぇー」
「陸戦道?」
「戦車道と歩兵道を併合した競技、それが陸戦道なんだってさ、戦車道連盟もとい、陸戦道連盟も急な事言うよねー」
戦車道改め陸戦道の発足という事を知り、入ったばかりのひとみに衝撃が走る。
本当の戦いのようになるのか、大会は。
前からいる生徒達は事前に聞いていた、しかし急な事態に焦っているのも事実であった。
「だが良い知らせもある」
口を開いたのは桃であった。
「実は大洗学園艦の姉妹艦、水戸学園艦が事情を聞いてくれてな、陸戦道で歩兵部隊として協力をしてくれるそうだ」
──水戸学園艦とは。
大洗学園艦の姉妹艦と呼ばれており、歩兵道を盛んに行っている。
それが『水戸男子高等学校』である、しかし何度も大会に出場してはいるが、準決勝にもいけないほどの弱小高なのであった。
「まだお互い弱小高なだけあって、利害が一致してねぇー、協力することになったわけ」
「だからフリッツ教官の力がいるということだ、このままでは大会に出場できんからな」
ああなるほど、そういうことだったか。
ひとみは理解する、陸戦道の他に問題があった。
「残り二人、どうするべきか……」
──そう、IV号駆逐戦車F型に乗るのには四人、しかし現在余っているのは、ひとみ又は栗子しかいないのだ。
「んー……まあとりあえず、戦車道に入れる生徒探してきて」
「え、今ですか!?」
「とびきり美味しい食べ物あげるからさー」
「……例えば?」
「干し芋三日分ー!」
……という経緯で、戦車道に入りそうな生徒を探す事になってしまったひとみと栗子、しかし思いの外あっさりと二人分見つけられることを、二人は知らなかった──。