ガールズ&パンツァー 転生した独裁者の陸戦道戦記   作:くろがね四駆

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第九話「陸戦道始動! 聖グロ練習試合前の猛特訓!」

 歩兵道の模擬戦も終わって一時間後、戦車道チームと歩兵道チームは、各隊長を招集して話し合いを行なっていた。

 内容は一つ、聖グロとの練習試合までの二週間、どういった訓練をするかである。

 新たに発足する陸戦道、その試合ルールを説明すると──。

 

 ──陸戦道 試合ルール。

 試合開始までの流れ。

 ① 礼で始まり礼で終わる、そこまでは戦車道も歩兵道も同じである。

 ② 礼を終えると陸戦司令官と参謀長、戦車隊隊長は自陣へと戻る。

 ③ 歩兵&戦車部隊を全て配置に付けて、準備を完了させたら試合開始。

 

 殲滅戦 占領戦

 フラッグ戦というルールは廃止されて、殲滅戦と占領戦の二つとなった。

 

 

 ──殲滅戦とは、文字通りに相手の戦車、歩兵部隊を全て行動不能にすれば勝利。

 

 ──占領戦とは、相手チームの陣地を占領して旗を立てて三十分程、相手チームに奪還されなければ勝利となる。

(※なお、奪還された場合は試合続行となってしまうという、非常に時間の掛かる試合ルールなのである)

 

 基本的には殲滅戦が陸戦道の主流となるが、大型の陸戦道大会の場合、占領戦が使用される予定である。

 

 

 訓練内容についての話し合いに参加しているのは──。

 ・陸戦司令官、徳川慶喜。

 ・陸戦参謀長、大村雅郎。

 ・戦車部隊指揮官、西住みほ。

 ・戦車部隊副隊長、独逸ひとみ。

 ・生徒会長、角谷杏。

 ・広報、河嶋桃。

 ・歩兵部隊指揮官、ジュール。

 ・歩兵部隊副官、川上躁八。

 

「先程の場所を、陸戦道の特訓に使用できる許可を無事いただけましたので、いまからどのような特訓を行うかの話し合いを行います」

 

 大村が場を仕切って話し合いを始める。

 相手が強豪の聖グロリアーナである以上、油断もできない且つ油断する練度も持ち合わせていない。

 ならばどうするか、その為の訓練内容であった。

 

「相手の聖グロリアーナは浸透強襲戦術を得意とするが、陸戦道でもそれは変わらんだろう、寧ろ更に強力になり浸透強襲戦術が盤石の状態となるやもしれん」

 

 慶喜が言っている事は確かであった。

 聖グロリアーナは陸戦道発足の情報を、諜報員から事前に知らされていた。

 しかも発足前に歩兵道と戦車道両生徒の模擬訓練を各校よりも先に始めていたのだ。

 

「なんて準備の早い学校だ、理事長は余程の上手なようだな」

「ん? ひとみ、お前は聖グロの理事長の事を知らないのか?」

 

 ”知らないぞ”とひとみは答える。

 隣でみほが軽く驚いていて、慶喜も苦笑いしていた。

 すると杏が口を開いて、ひとみに言う。

 

「ひとみちゃん、聖グロの理事長はねぇ、ウィンストン・チャーチルっていうんだよ」

 

 ──名前を聞いたその時、ひとみが思わず硬直する。

 ウィンストン・チャーチル、第二次世界大戦時の大英帝国首相であり、ナチス総統ヒトラー(ひとみ)にとっては敵対者であった。

 

「……ま、マジですか?」

「うん、マジ。 ひとみちゃんも大変だねー」

 

 思わずひとみは地に両手両膝をつけて絶望する、再びあの男と戦う事になるのかと。

 

「ちょっと待ってください、どうして会長がひとみさんの事情を知ってるんですか?」

 

 ここで、みほが疑問を口にする。

 ひとみも今更”確かにそうだ”と驚く、杏は隠す事もせず堂々と話した。

 

「私は生徒会長だよ? そのくらいは調査済みなんだよねぇ」

 

 と言って、干し芋を一つ口にする。

 流石のひとみも"杏会長には敵わない”と実感した。

 隠していた事情があっさり見破られて、更には堂々と口にされてしまっては、隠す意義を失いそうになる。

 

「まあそれよりも、まずは訓練内容だ。 皆にどんな訓練が良いか聞いてみたいのだが……」

 

 慶喜が意見を聞こうとすると、みほが真っ先に手を挙げる。

 

「相手が浸透強襲戦術なら、こちらは守りに徹するのはどうでしょうか?」

「守りだと? 詳しく話してみてくれ」

 

 みほは椅子から立ち上がり、大きなホワイトボードに近づいた。

 そして貼ってある練習試合場の地図に、磁石付きの駒を置く。

 大洗の駒は青色、聖グロリアーナは赤色である。

 

「今回は殲滅戦です。 相手はジリジリとこちらの戦力を撃破して殲滅を行うはずです、水戸の歩兵部隊の方々は精鋭ですが、大洗の戦車隊は車体も様々な国の物で且つ、戦車道自体が復活したてなので未だ練度は低いです、ですので──」

 

 赤い駒を青の駒に近づけて、止める。

 そして両端に用意していた縦に長い青の駒を使い、赤の駒を全て挟んだ。

 

「私達戦車隊と歩兵大隊二つで正面から攻撃をします、そして事前に両端に配置していた歩兵大隊を使い、挟み撃ちにします。 こうすれば敵戦車は二両または三両は撃破でき、敵の歩兵や騎兵などに損害を与えられるはずです。 ですが相手は強豪、通じるかはわかりませんが……」

「ふむ……」

 

「私は西住隊長の作戦に賛成です、戦車隊の砲撃は効果大ですし、戦車隊の実戦訓練にも繋がるでしょう」

 

 躁八が立ち上がり、みほの案に賛成の意を示す。

 

「西住、もし敵にその戦術が通じなかった場合は?」

「その時は隠れることが可能な街まで移動して、敵が現れたら各自攻撃を開始します」

「つまりは伏兵か……確かに相手は強豪、いくら練習試合とはいえ、初戦から大敗は避けたい」

 

 慶喜が考えていると、しばらくしてジュールが作戦の賛成に回った。

 そしてひとみや杏も賛成に回った事により、みほの作戦通りに訓練を行うことが決定したのであった。

 

 

 ──聖グロリアーナとの練習試合の為、短期間の猛特訓が始まった。

 大洗の戦車隊は移動と砲撃の訓練、水戸の歩兵部隊は臨機応変に戦う訓練を重点的に行なっている。

 疲労が溜まればしっかり休み、訓練で失敗すれば明日までに、何故失敗したのかという自己分析を徹底していた。

 

 それから一週間が経過して、大洗の戦車隊は見違える程の練度の成長を感じる。

 最初は模擬戦で戦車から逃げ出していた一年生達も、今では模擬戦で逃げずに撃ち返すぐらいになっていた。

 

 これも隊長である西住みほの励ましがあってこそであり、更に独逸ひとみが定期的に、大洗と水戸の生徒達の前で演説し鼓舞していた事で士気も上がっていた。

 ひとみは生前の能力を試合に勝つために、惜しみなく使用したのだ。

 

 そして試合前日の夜、学園艦から感じる海の風を浴びながら、みほは明日の試合の事を一人で考えていた。

 

「みほ、此処にいたのか」

「ひとみさん……うん、明日の事もあって眠れなくて」

 

 ”そうか”と一言、ひとみは隣に立つ。

 しばらく沈黙が続いたが、先に口を開いたのはみほであった。

 

「そういえば、ひとみさんの方こそ大丈夫? 恐らくだけど聖グロリアーナのチャーチル理事長は、ひとみさんに会いに来るよ?」

「ああ、そうだろうな……しかし、私は会う選択肢しかないのだろうな」

 

 ひとみは海の向こうを睨んだ。

 その目は敵意に近く、若干私怨が混ざっている。

 こうするしかない、何をどうしたって変わらない。

 ”──何故なら私は過去の独裁者である、転生してもなお気質は変わる事が出来ない、変わる事が不可能だと思っているから、やることは変わらないのだ……”。

 

 ひとみは転生していても、過去に敵であった者への怒りが未だに存在していたのであった……。

 

 そして時間が過ぎて、いよいよ聖グロリアーナとの戦いが始まろうとしていた──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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