Muv-Luv 本土戦線異状なし、進撃せよ! 作:tonkacchi
訂正等ありましたらご連絡ください。すぐに訂正します。
また、1作目のほうは恐らく更新しません(なんてことを言うんだ貴様!)
それでは、よろしくお願いしまぁぁぁぁぁす!
第1話 プロローグ
1999/6/6 12:00 佐渡島ハイヴ周辺
1機の戦術機が地面すれすれを張っていた。その戦術機は茶色で武装といったものは見受けられなかった。しかし、今までに存在しているであろう戦術機の中で、ダントツの速さを見せつけていた。
「こちらCP。第1ポイント通過、これより広域通信が困難となるため作戦プランに従って行動せよ」
その通信のすぐ後にCPからの連絡が途絶える。
「…ここから先は全部俺にかかってるってわけか」
そう言いながら茶色の戦術機は背部と腰部の増槽を切り離し、さらに加速した。コックピットには耐G特化型強化装備を着込んだ男が一人、Gに耐えていた。
「予定時刻より誤差なし。第2ポイント通過を確認。これよりハイヴ周辺を強行偵察する。索敵装備起動、測量装置ON。…すべてを暴け、彩雲!」
そう言い放つと同時に、両肩部のセンサーマストが稼働し、脚部から枝分かれした棒状の測量装置が展開される。この彩雲には武装といったものはほとんどない。あるのは突撃砲1門だけで、他には索敵・測量用装備のみである。本機は高速で敵陣に到達、その戦力やハイヴの構造を実際にデータとして確認するといった目的がある。もちろん、BETAとの接敵はある。そのため、本作戦では第3ポイントまで護衛機が直掩してくれている。とはいえ、たった2機である。無論、彼らの機体も高速性に特化している。
「こちら直掩隊1番機、残り30秒で第3ポイントに到達する。現在BETAの戦力はかなり少ない。つまるところ、本陣に近づくほどやばいってことだ。その分、お前の働き甲斐もあるってもんだ!」
直掩隊の隊長機が馬鹿にしたように言ってくる。
「隊長、やめてあげましょうって。…おい、彩雲のパイロット。あんまり無茶すんなよ?死なれでもしたら寝覚めが悪い」
2番機がフォローをしてくれているが正直あまりうれしくない。というのも、自分でも死に急いでいる節があったからだ。
「あぁ、わかっている。俺の目的はBETAの戦力とハイヴ周辺の地形などのデータの回収、そうだろう?」
そう返答してみるが、やはり落ち着かなかった。というのも『俺はなんのために戦っている?なぜ日本にいる?』といった考えばかりが頭をよぎるからだ。しかし、作戦の遂行はそれよりも大事だった。そう自問自答し続けている間に、第3ポイントが迫ってきた。
「彩雲のパイロット、ここまでが俺たちの役目だ。後はうまくやって来いよ!」
「…へっ、どうせ死んじまうだろうさ!」
「隊長、黙って!帝国のために、頑張って来い!…君の無事を祈る!」
そう言い残し、彼らは元来た道をUターンしていった。ここからが正真正銘、一人の戦いとなる。BETAのやつらは丁寧にもボロボロになったアスファルトの道路を避けていた。それが、まるで俺の進むべき道のようにも見えた。
「よし、第4ポイント通過!調査率73%、まだ、まだ跳べる!」
燃料はまだまだ余裕がある。接敵もかなり避けれている。それは『BETAのやつはどうやら、この高速に驚いて手も足も出せないらしい』そうとさえ思わせるほどだった。そう、あまりに順調すぎたのだった。慢心している心にBETAは漬け込んでくる。コックピット内にレーザーの初期照射警報が鳴り響く。
「畜生、BETAのやつ誘い込みやがったのか!」
口で愚痴りつつ、彩雲にさらに加速をさせる。体への負担は薬で無視する。そして、圧倒的な速さで光線級の群れを突破していく。それでも食いついてくる光線級には36㎜を食らわせる。
「…第5ポイント通過!調査率100%に到達した、これより帰投する!」
…ついに作戦目標を達成した。ついうっかり安堵してしまい、加速と警戒を緩めてしまった。その直後、跳躍ユニットに鈍い衝撃音が発生した。彩雲も大きく揺らされた。
「な、なんだ。まさか!」
表示されてたのは『BETA接触警告 該当箇所:右側跳躍ユニット』であった。後部カメラには戦車級が跳躍ユニットに張り付いている映像だった。
どんどん、スピードが低下する。
しまいには、左側にも取りつかれてしまった。
さらに速度が落ちる。
警告が次々と出てくる。
表示がどんどん赤く染まっていく。
止まらない、止まらない、止まらない。
バレルロールをしても離れない。
また警告が追加される。
警告音がより一層大きくなる。
ついに、跳躍ユニットが脱落した。歩行状態になる。
もちろん、さらに取りつかれる。
この時、あるものが脳をよぎる。
『死』
死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!こんなとこで、結局何もできずに死にたくない!やめてくれ!やめろぉぉ!!」
恐怖心にかられ、叫ぶのをやめられなくなっていく。小便はとっくに漏らしているが、その不快感よりも恐怖が圧倒的に上回っていた。しまいには母親の名まで叫び始めた。
そして、精神安定剤が緊急投与された。
…だんだん意識が遠のいていく。
……それは、まるで、深い眠りにつけるような気分だ。