Muv-Luv 本土戦線異状なし、進撃せよ! 作:tonkacchi
1999/7/16 14:00 国連軍横浜基地内病院
トンカッチは、特に敵の抵抗を受けず病院に運ばれた。まだ、けが人が運び込まれていなかったこともあり、すぐに治療が始まった。結局受けていた怪我は、重症レベルだった。腹と肩に銃撃を受け、足には銃剣を刺され、出血もひどかった。生きているのが不思議であった。すぐに集中治療室に運び込まれた。医者が言うには『死ぬことは無いかもしれないが、後遺症は残る可能性がある』ということだった。みちるは手術室前で待ちつづけていた。そこに何人かの衛士が駆けつけてきた。A-01部隊のメンバーだった。
「伊隅大尉!トンカッチ大尉は大丈夫なんですか!?」
「死ぬことはないらしい。ただ、後遺症が残るかもって。」
「…そうですか。」
「貴様らも疲れただろう?早く帰って休め。」
「いえ、待たせてください!」
「…わかった。」
そうして彼女たちはトンカッチを待った。
17;00 休憩所
基地内の休憩所でビルストはコーヒーを飲んでいた。そこにあの三人がやってきた。
「あ、お前さっきの!」
「…ん?ああ、不知火の衛士か!さっきは助けてくれてありがとうな!」
「ま、例には及ばないって!そういえば、自己紹介してくれよ!」
「ああ、俺はビルスト。階級は中尉だ。出身はアメリカだ。よろしく!」
「俺はもち。階級は少佐で、出身は日本なんだ!ほらほら、お前らも挨拶しろよ!」
「うるせえ、今からするんだよ!…おれは、ジェームズ。ジェームズ・スミスだ。階級は少佐で、出身はイギリスだ。よろしくな。」
「俺はエルム・ビャーチェノワ少尉で、出身はソビエトだ。みんな出身こそ違うけど国連軍所属の部隊なんだ!」
そこから彼らは談笑を小一時間ほど続けた。
19:00 病院
手術室のランプが消えた。部屋から医者が出てきた。医者がみちる達に、説明をするために別室へ誘導した。
「………………トンカッチはどうなりましたか。」
「手術は成功した。だが…………。」
「後遺症が残ったんですか?」
「いや、成功した。すべてうまくいったさ。ただ、特異体質であることは分かった。」
「……大尉の自然治癒力が高いとかでしょうか?」
「ああ、そういうことだ。だから君たちには気を付けてもらわなければならないことがある。」
医者はみちる達に、トンカッチが治癒力を当てにして無理をする可能性があると言った。それを止めることが大事だとも言われた。他にもいろいろな説明を受けた。とにかく、トンカッチは無事だった。それだけわかれば、みちるにとっては何でもよかった。そこに、香月副指令がやってきた。
「あら、みちるじゃない。よく生きて帰ってきてくれたわね、ご苦労様。」
「いえ、副指令こそお疲れ様です。それで、何かありましたか?」
「いや?トンカッチに会いに来たんだけど、あの様子じゃ無理そうね。アイツが起きたら私の部屋に来るように言っておいて頂戴。」
「了解しました!」
そう言うと、香月副指令はどこかに行ってしまった。
1999/7/21 10:00 病室
トンカッチは術後、しばらく寝たままの状態だった。そして、この日は久しぶりの起床となった。
「…………ん。…朝、か?」
「…トンカッチ、おはよう。」
横にはみちるが座っていた。その横にあったカレンダーには7/21と書かれてあった。どうやら5日ほど寝ていたようだ。
「…………俺は、生きているのか?」
「そうだ、生きている。……おかえりなさい、あなた。」
「…なんか恥ずかしいな。」
しばらくの間、二人だけで会話を続けた。その後、歩けることも判明した。やはりトンカッチは、治癒能力が高いのに加えて、身体能力も高水準だった。そして、みちるに香月副指令のところまで行くように言われので部屋まで向かった。
11:00 香月副指令の自室
「トンカッチ大尉です。入室してもよろしいでしょうか?」
「ええ、入りなさい。」
入ると、そこには見慣れない男が一人いた。両手両足が義肢だったのはわかったが、歴戦の猛者の風格を感じた。
「あなたが、トンカッチ大尉ですか。副指令から話は聞いています。自分はビルストと言います。階級は中尉です。」
「そうか、よろしく。それで、副指令。話というのは?」
何故この場に二人の衛士が呼ばれたのかいまいち理解ができなかった。そして、副指令はスライドを見せながら話し始めた。
「あなたたちは、16日の戦闘の時に不思議なことを感じなかったかしら?」
そう言いながら、村雨と不知火C型の写真が映し出された。その問いにビルストが答えた。
「自分の機体が勝手に動いた、とかですか?」
「他にもあるでしょ?」
「………自立制御に見慣れる文字が出てきたとか、敵が自分と同じ動きをしてきたとかですね。」
「確かに、俺の村雨にも同じ現象は発生したな。」
「そう、あなたたちの機体には少し特殊な細工がされてあったのよ。…私の管轄外でね!」
少し、副指令は怒気を含みながら話を続けた。
「私は、何人かの衛士に対し専用機を与えた。村雨と時雨以外は特にシステムは付け加えなかったの。なのに、どっかの馬鹿が変なシステムを組み込んだのよ!」
スライドが変わった。そこにはシステムの詳細が書かれていた。
「システム名は、
副指令は、更に詳しく説明し始めた。
「機能としては衛士が反応しきれないと判断した攻撃を自動回避・反撃を行う自立制御システムなの。ただ、ビルストが経験したようにフェイズDが発動すると厄介なことになる。」
「機体が勝手に動く、ですか。」
「いいえ、もっとたちが悪い。同じようなシステムを積んだ敵機を優先して攻撃するの。さらに、同じようなシステムだから、攻撃パターンはほとんど同じ。永遠と終わらない戦いをし続けることになってしまう。…衛士の命を考えないまま、ね。」
実際にフェイズD発動中は、ビルストに対するGの負荷が激しかった。あのままフェイズDだったら死んでいたかもしれない。ここで、ビルストはある疑問を持った。
「しかし、何故対面していた敵の不知火に搭載されていたんです?」
「実はね、その対となるシステムが不知火には積んであったわ。名前は
Aresも同じような攻撃パターンを有しているものの、機体が動けばいいので、管制ユニットが破壊されても動き続ける。そのため、S-11による爆発は致命傷となる。なので、敵は機能停止したというわけだった。
「村雨と時雨には専用システムを私が組み込んでおいた。その名はXM1。私は軍神とかそういうの、興味なかったから機能的かつ無機質な名前にしたわ。」
どうやら、これは人道的なシステムで自動回避・反撃を搭乗者の身体状況などを鑑みて作動するらしい。だから、高台で包囲されたときに緊急回避が咄嗟に出たのだ。しかし、これほど優れたシステムならば、全ての戦術機に搭載されればいいのにと思い、トンカッチは質問をした。
「であれば、何故これを俺とみちるの機体のみ搭載したんです?これを色々な機体に積めば、生存率は跳ね上がるはずでは?」
「そうよ、私だってそうしたい。けどね、このプログラムはもともと失敗作なの。本来はこのプログラムでは動かない。なのに、現実では動いた。つまり、バグで動いてるのよ。」
「バグだって!?…何故そのようなものを俺たちに使わせたんです!」
「けど、それのおかげで勝てたじゃない。…文句あるの?」
「…………アンタって人は!」
さすがに、副指令の言い方と説明不足にトンカッチは本気で怒った。立ち上がって一発殴ろうと思ったが、すぐにビルストに止められた。
「くっ、離せ中尉!」
「気持ちはわかりますが、自制してください!言い方こそ悪いですが、副指令の言っていることは事実です!落ち着いてください!」
副指令が少し驚いたような顔をしながら話をつづけた。
「…………言い方が悪かったわね。謝るわ。けど、あなたにはそれを知ったうえで引き受けてほしいことがあるの。…いいかしら?」
「………内容次第ですな。」
「XM1のデバッガーになってほしい、と言ったら?」
「別に構いません。ただ、条件があります。」
「何?」
「みちるの機体からは外してください。彼女には危険な思いはさせたくない。」
「分かったわ、外してあげる。話はこれで終わり、二人とも帰っていいわ。」
また、少しイラつきが蓄積されたがギリギリ抑え込んだ。そして、二人は部屋を後にした。
機体設定
試99式戦術歩行戦闘機 村雨
武装:87式突撃砲
74式近接戦闘長刀
99式増設胸部隠蔽式125㎜装弾筒付翼安定徹甲弾発射機
99式収納式近接戦闘用短刀
98式多目的自律誘導弾システム
99式脚部収納式モーターブレード
99式中隊支援重火砲
本機はトンカッチ大尉の専用戦術機。大尉は一撃離脱を好むため、機体各所に増設された補助噴射ユニットにより高機動性を追求している。また、兵装担架が4個と同世代の機体に比べて圧倒的に多くなっている。そのため、最大6門斉射が可能となっている。機体のシステムにXM1を搭載しているが、バグにバグが重なったような使い物にならないシステムだった。しかし、5番演習場での模擬戦の際、そのバグが良好に作用し、大尉のチームを勝利に導いた。また、その時は装備していなかったが、99式125㎜APFSDS弾発射機や92式多目的自律誘導弾システム、76㎜砲弾を使用する99式中隊支援重火砲などを装備可能。任務によって装備を変更可能することが可能な点が強みと言える。機体設計は彩雲をベースとし、不知火乙型と陽炎のデータをフィードバックしている。
試99式戦術歩行戦闘機 時雨
武装:村雨と同様の装備
本機は村雨の兄弟機として製造され、伊隅みちる大尉の専用機となっている。彼女の操縦特性に合わせて設計されているため、追加で小型姿勢制御翼と多目的兵装担架装置が増設された。横浜動乱の際に機体を鹵獲されたものの、戦場に間に合わず降伏したことにより、損傷はなかった。動かした衛士によると、じゃじゃ馬の評価がふさわしい、そのことだった。この機体はとてもピーキーな仕様となっているので、恐らく伊隅大尉などの一部のエリート衛士にしか真価を発揮することはない。余談ではあるが、時雨のベース機の彩雲は帝国より追加で受け取った新品をバラバラにして使った。それにより、帝国整備班からは怒りを買った。
試96式戦術歩行戦闘機 不知火C型
武装:87式突撃砲
74式近接戦闘長刀
S-11mod2
本機はビルスト中尉の専用機でカラーリングが白。機体スペックは不知火より少し高い程度で、見た目も変わっていない。しかし、本人は気づいていなかったが、S-11がmod2に変更されており、爆発力がさらに上昇しており、れっきとした戦闘武装となった。さらに、取り出しが容易になっており、下部には敵に対し埋め込むためのスパイクも装備されている。また、Marsを搭載しており、敵の同系列のAres搭載の不知火とシステム同士で戦闘をした。段階があり、フェイズAからDまである。程度が上がるごとに、システムの干渉度合いが増えてくる。Dに到達すると、完全に制御不可能となる。一応スイッチでオンオフを切り替えれるが、再起動をしてしまうので大きな隙となる。
こんな感じです、はい。前回から出し渋ってたのはXM1やMars、Aresの存在を書きたかったからです。…次ぐらいは彼らに海にでも生かせるか。
今回の友情出演組です。(敬称略)
ヱルム・ビャーチェノワ(@ElM_Su37UB)
もち(@mochi02913)
ジェームズ・スミス(Lt_smithFFR41mr)
ビルストと戦術機好きの男(@Yuki90300757993)
出演許可を頂き、感謝しております。ありがとうございます。