Muv-Luv 本土戦線異状なし、進撃せよ! 作:tonkacchi
分かり次第追加してみます。
10月ってのはあってたはず・・・
※2024/10/19に修正済み
第38話 世界を変える男
2001/10/22 横浜基地 8:00
この日、訓練中に国連軍のF-4が墜落したとの報告を受けた。そのため、非番だったトンカッチが現場調査をすることとなった。最近は大規模攻勢の影響もあって休まる暇がなかった。
直近での連休は、あの冬休みくらいだった。それくらいに忙しかった。一回寝たらすぐ戦場、帰ってきたと思えばスクランブル。この繰り返しだった。
最初のうちはB部隊に任せっきりだった。だが、次第に帝国本土上陸が多発するにつれ、前線の消耗率も激しくなっていった。そのため、A部隊まで駆り出されることとなってしまっていた。上陸地点のほとんどは新潟だったが、もともと配備されていた部隊は損傷度の問題から解散されており、現在は国連・帝国共同部隊の第1臨時戦術機甲連隊として防衛していた。それでも前線がたまに食い破られる時がある。
その時の防衛戦にA-01は充てられていた。つまり、出動時は危険な状態にあるということだった。その出動回数も最近は増えてきている。第4連隊は最初こそ不知火などの第3世代機を有していたが、今ではその戦力のほとんどが撃震などの第1世代機だった。戦車も90式戦車ではなく74式戦車がほとんどで、旧式の61式戦車まで出ていた。
他の地点にいる部隊には多数の機体や資材があるが、これは今年中に行われる可能性のある大規模反攻作戦用の部隊だった。温めておくほかない。にしても温め過ぎだとは思うが。外に出ようとしたとき、後ろから声を掛けられた。
「あの、トンカッチ大尉でしょうか?」
声をかけてきたのはどこかで見覚えのある顔の女だった。顔をじっと見つめてみる。
「………ああ、思い出した!君だな、今日から配属になった涼宮遙中尉ってのは」
「ええ、私が涼宮中尉です。これ、お忘れになってますよ」
そう言って外出許可証を渡してきた。服のポッケを探してみると確かに無かった。どうやら廊下に落ちていたらしい。
「いやあ助かったよ、ありがとう中尉」
そう言って、トンカッチは正門へと向かった。その間に遙について思い出していた。つい先日まで怪我の治療に励んでいたそうだ。その間にCP将校になっており、これからはA-01のCPとして働いてくれるそうだ。速瀬とは同期らしく、知っているメンバーもかなり多いらしい。また、涼宮茜の姉でもある。なかなか面白くなってきたとトンカッチは感じた。
門にいた衛兵に許可証を見せる。彼らはFA-MASこそ持っていたが、普段は威圧的には接してこない。なんなら優しいまである。平和な時であれば人から好かれているような性格だろう。少し雑談をしてから旧市街へと降りていった。現場まではそこまで遠くない。不整地ということもあり、自動車や自転車などの乗り物は若干大変なものがある。そのため歩きだった。
何が起きるかは分からないので、念のために腰にはデザートイーグルを携行していた。ナイフも持っていた。旧市街には未だにホームレスのような不法滞在者が多数いた。その対策だった。彼らは何をしてくるかわからない。この前も3人の国連軍兵士が負傷した事件が発生している。早めに調査して帰りたいところだ。
しばらく歩いて現場に到着した。
「これは酷いなあ…………」
F-4の衛士は
どうにもこの画角は美しかった。ボロボロになった
管制ユニットがあった場所に飛び乗る。奥の方にフライトデータレコーダーが格納されており、事故状況がこれではっきりとわかる。実際にあの日は天候が悪く、衛士も新米だった。通信状況も不安定だったことから、現状分かっているのが墜落したということだけだった。
持ち帰ろうとしたところ、遠くに人影を見つけた。男が一人、道の真ん中を歩いていた。見たことのない服装、いやどこかで見たものと似た服装だった。だが、気に留めるほどでもないとして基地へと帰った。
9:30
基地に到着した。久しぶりに歩いたのでなかなか感慨深いものがあり、何枚か写真を撮ってきてしまった。後で調査班の連中に怒られるだろうが、何枚か現像を依頼しておかなければ。そう思っていると、門で争っている声がした。
そこにいたのは、衛兵とさっきの男だった。少ししていると、衛兵が銃を構えだした。普段優しいアイツらがここまでするということはよっぽどなのだろう。かすかに聞こえてきたのは、「このまま人類が死んでもいいのかよ!?」という声だった。ただならぬ雰囲気を感じ取り、トンカッチはすぐに走っていった。
「おい、何があった?」
「大尉!それが正体不明の男が香月副司令に合わせろと。こいつ許可証も部隊章も何も持っていませんが、服だけは似ているものを着ていまして………」
「このままじゃ、みんな死んじまうんだぞ!アンタらそれでもいいのかよ!?」
「黙れ!これ以上動けば発砲する!」
衛兵がついにトリガーに指をかけていた。確かに目の前の男は何か焦っている様子だった。だが、精神がいかれているようには見えなかった。トンカッチは悩みに悩んだ末に行動した。
「ああ、お前ら悪い!こいつ俺の知り合いでさ、連絡してなかったか?」
「そのような連絡は入っていませんが………」
「本当にか~?まあ許可証持ってないのは俺のせいにしておいてくれ。なあ頼むよ、何かあったら俺が責任取るからさ!」
「…………今回だけですよ?」
そう言うと衛兵は銃を降ろし、ゲートを開放した。若干怪しい目を向けられながら2人は基地内に入った。トンカッチはこの正体不明の男を観察した。年齢は高校生といったところだろう。だが、体格があまりにも軍人そのものだった。鍛え上げられている。とても普通の少年とは思えなかった。アメリカのこのくらいの年齢の奴でも、ここまでガタイは良くない。しばらく歩いていると、少年から話しかけてきた。
「あの、先ほどはありがとうございました!自分は白銀武と申します。……失礼ながら、お名前は?」
「俺?俺は伊隅トンカッチ、階級は大尉だ」
そう言うと白銀は困惑した表情を見せた。小声で「こんな人いなかったぞ………」と言っていた。さらに彼はトンカッチの嫁がみちるであることを知っていたようだ。どこからか漏れた話なのだろうか。だが、たかが一般の衛士の過程状況まで知られているはずがない。やはり不思議な奴だった。
「大尉、現在は何年の何月何日ですか?」
「今か?今は2001年10月22日だ」
「やはりこの日なのか…………」
ずっと小声で何か気になることを話しており、さすがに気になったトンカッチは質問をした。
「さっきから何かを知っているような口ぶりだが、何を隠している?貴様をここに入れてやった礼に少し教えてくれないか?」
しかし、白銀は頑なに拒否をした。どうしても教えられないそうだ。だが、いずれ分かる日が来るそうだ。これ以上進展はなさそうだと思い、とりあえず香月に連絡をした。帰ってきた返事は「興味があるから連れてこい」だった。相変わらずよくわからない人だった。念のために護衛をつけておくかと提案したが、その必要はないと断られた。
部屋まで案内をしてトンカッチは自室に戻っていった。本来なら非番なのに余計な仕事ばかり増えて言ってうんざりしていた。そのため、一度寝ることにしようとした。だが、寝つきが悪く起きたままだった。一度外を走って体をリフレッシュしようとした。
ランニングシューズと走れる格好に着替え、外にあるグラウンドに出た。どこかの訓練兵が訓練をしていた。今は体術訓練のようだ。教官は女性が担当しており、訓練兵も全員女性だった。ついにこの戦争も行くところまで来たのだと思った。
ランニングをしている間、いろいろなことを思案していた。先ほどの白銀が言っていたことをもう一度反芻していた。「人類は滅亡する」「こんな人いなかった」「やはりこの日なのか」という発言や、トンカッチの嫁がみちるであることを知っていた、これらがどうにも気になっていたのだ。いくつかの可能性を思案してみる。
まず、スパイや工作員の可能性。これは可能性が最も高いだろう。だが、それにしては不可解なことがあった。みちるのことを知っているならトンカッチのことも知っているはずだった。だからこの線は一番可能性が高い代わりに、一番矛盾をはらんでいた。それにスパイがわざわざ正面から入ろうとするのはあまりにもおかしすぎた。
次に、精神異常者。これはありえない。発言自体はそう捉えられかねないが、白銀の眼は本気だった。また受け答えがしっかりできていた。つまりこの線もなかった。
最後に考えられたのは、タイムスリップやタイムリープの可能性だった。これは最も低かった。そもそも非科学的すぎる。だが、言動自体はタイムリーパーそのものだった。この言動が本当なら一番可能性が高い。
そうこうして考えているうちに11時半になっていた。早く着替えて軽くシャワーを浴びておかなければ、昼食を食べそびれてしまう。そう思い先ほどまでの速さの2倍で部屋に戻っていった。その途中で例の訓練部隊と会った。やはり年齢が若い。だが、茜と同じくらいの年齢だろうと推察した。そして部屋に戻ると、手紙が一通置いてあった。差出人は香月だった。
12:00 PX
食事を一人でしているところ、みちるがやってきた。確か今日は他部隊との戦闘訓練だったはずだ。だが、昼休憩はあるようだ。しばらくみちるの愚痴を聞いていた。どうにも最近部隊が弛んできていると感じているそうだ。戦闘訓練中にミスを多発しているそうだ。
しかし、無理もない。直近でも実戦をしていてのこれなのだ。むしろみちるのほうがおかしいまである。あまりにもタフすぎる。
「あのな、お前タフすぎるんだよ…………たぶん三馬鹿もへばってたろ?」
「それは………確かにへばってたけど」
あの実戦経験豊富な三馬鹿ですら限界が来ているのだ。よほど疲れているのだろう。休暇を取らせたいところだったが、そうにもいかない。トンカッチはスケジュール表を確認していた。明日まで非番だったので、戦闘訓練はトンカッチが代わりにやることにしようとした。一対複数の戦闘訓練はトンカッチが最近やりたいと思っていた訓練だったからだ。
相手の部隊に連絡をし了承を得たため、すぐに強化装備に着替えに行った。タフガールなみちるも戦闘訓練に一応参加することとなった。他のメンバーは午後は試合観戦という名の休憩をさせておいた。
着替えている最中に手紙を読んでみた。内容は白銀についてだった。どうやらこの基地で預かることになるそうだ。第207訓練小隊に配属するそうだ。それ以上は書かれていなかった。ただの業務連絡のようだ。トンカッチは手紙をロッカーに閉まった。そして戦術機に乗り込んだ。
今のトンカッチの乗機は村雨・弐型だった。8月にロールアウトされた。それまでは急場しのぎの村雨・壊を使用していた。弐型は壱型丙で壊れた部位を新規製造パーツに頼るのではなく、既存の機体のパーツを改造して使用していた。これは帝国の機体だけでなく、アメリカやソ連、統一中華戦線の機体も含まれていた。
頭部は殲撃シリーズの装甲ラウンドモニターが採用されている。これは展開式となっており、展開すると今までの村雨の顔面が出てくる。ただ、目に当たる部分のカメラユニットは変更されており、バイザーから米軍機にあるスリットアイに変わっていた。だが、そのラインはSu-47のような若干悪人面を思わせるような威圧感満載だった。
他にもアップデートされていた。新しい機能として、
仮に右腕を破壊された場合、陽炎の腕をすぐに移植することができるというものだ。パーツの状況が良ければ、戦場の真ん中でも行うことはできる。補助やパーツの状態により時間は変わるが、最短30秒だった。しかし、コストが高く、試作品が3セットが作られただけに過ぎなかった。その一つがこの機体に搭載されている。
そんな弐型は1号機と2号機の2機が生産された。2号機にはみちるが乗っていたが、こちらにはMROSは搭載されていない。そもそも弐型自体は壱型丙の改修機なので、複数機存在はしていないはずだった。だが、大破した時雨を再利用することにより、2号機として生まれ変わることができた。
そんな弐型の対戦相手は、帝国軍の本土防衛隊だった。帝都守備連隊ではなく、長野の防衛部隊だそうだ。つまり、あの信越防衛戦の補充部隊だった。
昼前の相手は富士教導団だったそうだ。それのせいで他のメンバーがボロボロになっているのもある。
長野の部隊の機体は不知火だった。だが数は多く、9機もいた。数では圧倒的に不利だったが、訓練をしては最高のシチュエーションだった。
そして、戦闘開始した。まず互いに距離を取って、様子を見る。弐型には第1世代アクティヴ・ステルスが搭載されていた。さらに胸部からノイズメーカーを射出する。だが、ステルス機能はオマケ程度のもので、案外レーダー補足されがちなのだ。
「みちる、30秒後に敵の裏に回るぞ。ノイズメーカーに敵が引き寄せられるとも思えないがな」
「まあないよりはマシね。敵の反応が少しでも遅れればそれでいいのよ」
そう言って二人はレーダーで捕捉した地点に行った。そこには、待機していた不知火が全機いた。どうやら待ち伏せを警戒していたようだ。
「射撃開始!」
2機の計12門の突撃砲の弾幕が、不知火の背後から浴びせられた。不知火はその動きに追いつけず、撃破された。そう思ったが、そのすべてがバルーンだったのだ。なかなか精巧に作られており、音も見た目も不知火に寄せられていた。しかし、このまま感心している場合ではない。
「みちる、急速散開。狙われている!」
「了解!」
すぐに地面を蹴り、その場から立ち去る。その直後に、もともといた地点に砲弾が弾着した。土煙が発生し、目の前が何も見えなくなるほどだった。そこからトンカッチとみちるは別行動にすることにした。
しばらく牽制弾幕をしていたが、どうにも食いついている。ステルスがまるで機能していないようだった。
「みちる、ステルス機能がどうにもあてにならん!」
「ええっ!?…………だけど種は分かったわ。やっぱり、そこかぁ!」
そういうとみちるは空に向かって突撃砲を斉射した。上空で何かが撃墜判定になった。よく見ると、青色の不知火が上空にいた。
「相手は何機かを上空に待機させて、ステルス機能を目視にて無効化しているのよ!」
「畜生、なかなかえぐいことしやがるぜ!」
撃墜された機体を確認すると、レーダーに反応しずらかった。要するに、敵の不知火もステルス持ちがいるというわけだ。
だが、確認できた数では7機いた。つまり、あと1機上空にいるのだ。
「みちる、何とか7機を相手にしてくれ!俺が上空の奴をやる!」
「了解!」
すぐにレーダーを確認するも、補足できるわけがなかった。だが、熱源探知に切り替えるとすぐに補足できた。つまり、対レーダー用の簡易的なものだということだ。
突撃砲を斉射し撃墜を試みたが、回避された。しかし、敵は地上に降りていった。これで看破されることはなくなった。
合流し、再装填する。まだ数的不利は脱していなかった。だが、妙案をトンカッチは思いついた。
「CP、爆発による判定はあるか?」
「こちらCP、爆発判定は状況次第であります。現在1機の撃墜機は跳躍ユニットが無傷のため、判定ありです」
判定だけなので、実際に爆発することはない。だが、やられる衛士としては不快この上ないのはある。
すぐに撃墜機を回収し、見通しの悪い交差点に配置する。他にも使わない予定の突撃砲を置いておく。これで誘爆できるようにセットできた。
そして敵機が接近してきた。
「2ブロック後退!」
後退をしつつ、撃墜機に照準を合わせた。マップ上ではその交差点に敵機が接近していた。
「撃てぇ!」
精密な射撃で撃墜機に着弾させる。爆発する直前で敵機は交差点に進入した。着弾地点が撃墜機に集中していることに、何機がこの意図に気づき、急速上昇した。そのとき、爆発判定が発生した。4機は上昇しきれずに撃墜判定となった。恐らくステルス機は爆発を免れている。
作戦は成功だった。だが、まだ4機いた。さらにロックオン警報が鳴り響く。回避行動をとるものの、何発かが機体各所に着弾する。このせいで性能が大幅に低下してしまった。みちるは回避に成功し、そのまま報復射撃により1機を撃墜した。
トンカッチの援護のために弾幕を張る。その間にトンカッチは機体ステータスを確認する。両腕性能が60%も低下していた。ここでMROSを使用することにした。
撃墜した不知火の腕を移植することにした。実際にやるわけにはいかないので、データ上で再現されていた。1分間行動制限のペナルティが課せられた。
その間にみちるが盾になっていた。
「トンカッチ、まだなのか!?もう残弾が心もとない!」
「…………よし、行ける!」
不知火の両腕にデータ上では置き換わっていた。性能は低くなっていたが、破損状態よりはマシだった。すぐに戦闘行動に復帰する。背後に来た不知火に乱射する。そうしてまた1機撃墜した。
こんな芸当ができるのもXM2Aの自動照準システムのおかげだった。後方まで検知してくれるこのシステムは自分にとって最高のものだった。
そして突撃砲をすべてパージし、長刀を2本持ちにした。みちるも同様だった。そして一気に距離を詰める。跳躍ユニットの噴射だけでなく、ビルの壁を蹴りながら距離を詰めたため、敵の照準も間に合っていなかった。そのため敵も長刀に持ち替える。
勢いそのまま鍔迫り合いになる。だが、弐型は全身凶器だった。足先から00式短刀を展開し、敵の脚部を薙ぎ払う。そして胸部に長刀を差し込んだ。みちるは瞬間移動並みの高速機動で背後から斬りかかっていた。
しかし、死角から砲撃がされた。レーダーに反応はなかった。もう1機のステルス不知火のようだ。この攻撃により、長刀を2本とも腕ごと失ってしまった。みちるは撃墜寸前まで至ってしまい、行動不能になってしまっていた。
敵機が動けなくなってみちるの機体を狙う。それをトンカッチが無理やりかばう。このせいで脚部に被弾し、歩行速度が制限された。そして、目の前に迫っていた。
だが、村雨シリーズは全身に武装を仕込んでいる。胸部から砲弾が射出された。
剣先は弐型の胸部から20㎝の距離まで迫っていた。だが、先に砲弾が着弾していた。放たれたのは99式増設胸部隠蔽式125㎜装弾筒付翼安定徹甲弾発射機。かなり長い名称だったが、この胸部125mm砲のおかけで撃墜に至ったのだ。この砲はほとんど使わないので、射出機が錆びていたらと思うとちょっと危ない賭けだった。
そうして訓練は終了した。トンカッチにとっては多対一の構図の訓練にも疑似的にはなった。さらに、XM2Aの性能も証明された。
とにかく今回の訓練は最高の結果だった。
今回は何とかして正史の方に寄せてみました。
だから涼宮遙も形こそ無理やりなものの、出しました。
結構無理やりです。許してください。
冒頭のF-4の下りは、武ちゃんの家にもたれかかっていた撃震を利用したものです。