Muv-Luv 本土戦線異状なし、進撃せよ!   作:tonkacchi

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違和感を覚えたため見直してみたところ、直近2,3話分において2001年のはずが2000年になっていましたので修正しておきました。申し訳ありません。


第41話 異時空の12・5事件

 2001/12/4 横浜基地 22:00

 

 ついに例の事件まで後1日となった。所詮は予言に過ぎない。そもそも武のいた世界線とかなり違っているのだ。その前の世界線ではそもそも12/5には何もなかったそうだ。つまりこの世界線でも起こらない可能性は高い。そう思っていたかった。だが、事態は最悪の方向へと向かっていた。最近、帝国軍の三沢基地と百里基地において対戦術機用兵装や設備の搬入が数件確認されたそうだ。隠そうとしても物資搬入は隠しきるのが非常に難しい。

 

 仮にこの二つの基地にクーデター部隊がいたと仮定する。その場合、三沢基地から発する部隊が仙台臨時政府を、百里基地からは帝都を制圧することになるだろう。そのため、松島基地に牽制として部隊が防衛配置されていた。百里基地は習志野基地が相手をする。

 

 横浜基地もとい国連軍はよほどのことがなければ介入することはない。だが、国連軍に対して脅威目標であると判断した場合には出動する。今はその出動に備えて装備を整えていた。

 

 格納庫に向かい、村雨を見る。最近乗っていないこともあり、やけに小奇麗になってしまった。武曰くしばらくBETAの上陸はない。そのため、装備も全て対戦術機用に一部変更されていた。さらに塗装も都市迷彩の黒色に塗られていた。電磁波吸収用コーティング機能を持ち合わせており、一見国連軍機とは思えない。その塗装をA-01の全機に施していた。この塗装費と手間が無駄になってしまった方がうれしいものではあるが。

 

 そうして、トンカッチは就寝した。

 

 

 12/5 3:00 三沢基地

 

 三沢基地の3番格納庫のシャッターが開き始めた。何の警報も無しにだった。そこから1個小隊の戦術機が発進した。もちろん、行先は仙台臨時政府だった。三沢基地管制塔職員はその発進の様子を見ていた。

 

「こちら管制塔、現在仙台臨時政府周辺の歩兵部隊も行動を開始した模様だ。出来るだけ市街地での戦闘は避けるように気をつけろ」

「了解。そちらも上手く欺瞞してくれ」

 

 そう言うと、戦術機は仙台へと飛び去った。管制塔職員の他にも一定数はクーデター派に同調していた。そして、職員は基地内に警報を鳴らす。

 

「こちら管制塔!3番格納庫から()()戦術機が許可なしに発進した。何者かによって奪われた可能性がある。速やかに迎撃をせよ!」

 

 本当に何も知らない他の一般兵は、寝ぼけながら急いで追走機の発進準備を開始した。しかし、衛士が戦術機に乗り込むと異変を感じた。

 

「管制塔、本当に戦術機は出ているんだよな?3番格納庫の内部に戦術機の反応は残っているし、このあたりで飛んでいる戦術機はいないぞ!?」

「何だって?…すぐに調査させる!」

 

 しかし、これはクーデター部隊の偽装工作だった。データリンクを偽装し、さもまだいるように見せかける。さらに、格納庫の扉を故障させているように見せかけていた。この混乱のため、追走機はなかなか出撃できずにいた。そして追走機を出させようとしたことにより、基地職員がグルでないことを証明させた。

 

 

 3:40 仙台市臨時政府官邸付近

 

「中隊長、我が同胞の戦術機が気仙沼を通過したそうです。作戦通りですよ」

「さすがだな。彼らの奮闘に期待しつつ、我々も我々の作戦を開始しよう。第1小隊は正門、第2小隊は裏口を固めておけ。第3小隊、第4小隊は地下通路を封鎖。道路は戦術機が塞いでくれる。………作戦開始!」

 

 クーデター部隊は屋内戦闘かつ隠密作戦のために、銃身を短くしたサプレッサー付きのMP5を装備していた。全部隊が展開完了したと同時に第1小隊が突入した。案の定、警備兵が外を警戒していたが、慣れた手つきで静かに殺していく。警備兵たちはうめき声一つ上げることすらできず、死んでいった。

 

 さらに、外周に展開していた装甲車も制圧済みだった。制圧後すぐに乗り込んで、圧倒的な火力を得た。今日は会議場で夜通し閣僚が会議をしていた。その扉の前に守衛が待ち構えていた。

 

「………!貴様ら何者だ!」

「…………構わん、撃て」

 

 守衛はすぐに持っていたFA-MASを発砲した。しかし、狙いをつける前に発砲したがゆえに当たらなかった。対照的にクーデター部隊はすぐに狙いを定めて、守衛を射殺した。突如鳴り響いた発砲音に中にいた閣僚たちは狼狽えた。

 

「な、何の音だこれは!?」

「その音の正体はこれですよ。閣僚の皆さん」

 

 そう言いながら扉を蹴り飛ばし、守衛の持っていたFA-MASを発砲しながら会議場に侵入した。閣僚1人あたりに複数人が銃を突き付けて張り付いた。閣僚の1人である榊首相がクーデター部隊に語り掛けた。

 

「君たちは、何を目的としている。何のためにこの重要な時期に事を荒立てる。この時間、これに費やす労力がどれだけ無駄なことなのか何故分からん!」

「黙れ!貴様ら閣僚どもは自分たちの利権確保のために国連にアピールをした。そして、それによって我々前線の将兵がどれだけ犠牲になっていると思っているんだ!あまつさえ将軍殿下を蔑ろにした政治など!」

「それによる報いは必ず受けなければならないのは百も承知だ。だが今じゃない!これについては殿下も承知の上だ!それに逆らうことがどうなることか分からんのか!」

「うるせえ!これ以上喋れば貴様の頭を吹き飛ばすぞ!?」

「では、試してみるかい!?」

 

 榊は腰に隠し持っていたGlock17を引き抜き、背後にいたクーデター兵を射撃した。弾丸は綺麗に眉間を撃ち抜いた。即死だ。それに端を発し、閣僚たちは抵抗をし始めた。今日集まっていた閣僚は、実は従軍経験がそれなりにあった。しかし、閣僚たちの持っていた武器はピストル1丁、相手は自動小銃を持っていた。戦力差は明白だった。

 

 必死に抵抗したが、すぐに再制圧される。今度こそ何もできなかった。榊も右大腿部と左腕に銃撃をもらっていた。相手も3、4人ほどは道ずれにしたが、他の閣僚が数名死んでしまった。そして部隊指揮官が榊の額に今度こそ銃を突きつけた。

 

「榊首相、ここまでです。あなたは抵抗しすぎた」

「確かにな……だが、時間は稼げた」

 

 その直後、館内に非常ベルが鳴り響いた。機械音声も通達される。

 

『現在、臨時政府に襲撃が発生しました。緊急事案第4項の通りに従ってください』

 

 この文言が館内だけでなく、各政府機関ならびにマスメディアから発信された。そして緊急事案第4項とは、政府に対して直接的かつ致命的な損害が発生した場合にのみ発動されるものだった。これが発令された場合、まず仙台に手が空いている部隊が総動員で押し寄せる。また、帝都の防衛が普段の3倍ほど強固になる。

 

 この際に殿下も身の安全の確保のために、脱出を図ることになる。

 

「しまった……!この野郎なめやがってぇ!」

 

 激昂した部隊指揮官は発砲し、榊を射殺した。それに同調するように、他の部隊員も閣僚を()()と称し、射殺した。全員始末し終わった後、急いで通信室に向かった。そこが発信元だったからだ。ドアを開けるとそこには誰もいなかった。機械が動いているものの、外部から操作されているようだった。

 

「小隊長、これを!」

 

 兵の一人が持ってきたのは、榊が隠し持っていた何かしらの操作ボタンだった。どうやらこれで遠隔操作していたようだ。何となく操作はできそうだったので始めた。だが、全く反応しなかった。

 

 それもそのはず、実はこのコントローラーは生体認証式だった。さらに、死亡後には反応しないようになっている。つまり、この放送は誰にも止められないのだ。

 

 

 3:45 松島基地

 

 松島基地では可能性のあるこの日のために、防衛体制を完全にとっていた。24時間対空監視網をフル稼働させ、いつ来ても大丈夫なように見張っていた。さらに、戦術機もスタンバイしていた。迎撃用の対空ミサイルまで完備されていた。

 

「警報が発令されてから5分、目撃情報からもそろそろ三沢からの部隊は到着するころだろうな」

「………戦術機が一瞬レーダーに引っかかった。ステルス機の可能性があります!」

「了解、目視にて観測を開始しろ!警告も怠るな!?」

 

 上空哨戒中の不知火が敵機を発見した。冬の未明に黒の迷彩が混じっていた。だが、センサー系の光はごまかせなかった。機数は4機、一個小隊だった。哨戒機がすぐに警告を開始する。

 

「貴機の所属並びに通行目的を述べよ。現在は第4項発令下にあるため、指示に従わない場合の安全は保障できない」

 

 しかし、その一個小隊は歩みを止めなかった。そして、ついに通信を開いた。

 

「日に代わりて影となり雲を散らす」

 

 そう言い放ち回線を閉鎖。さらに哨戒機を撃墜した。

 

「哨戒機が撃墜!目標(TARGET)所属不明(UNKOWN)から敵性勢力(ENEMY)に変更しろ。撃墜してかまわん!敵の機体は何だ!?」

「データベースと照合が一件、これは………開発中止の試作機ですよ!?」

 

 試98式戦術歩行戦闘機『十六夜』。これがクーデター部隊の主力戦術機だった。十六夜は斯衛軍専用として開発されていた戦術機で、コンペに敗北してしまい結局コンペ用と量産試作型の計5機のみで生産は終わった。性能はあの武御雷とコンペで争ったということもあり、他の第3世代戦術機よりは格段に上だった。しかし、所詮は競争に敗れた機体だった。簡単に性能を比較した場合、総合的には村雨・弐型より下で不知火甲型より上だった。つまりは上の下の機体だ。

 

 だが、松島迎撃部隊の機体のほとんどは不知火だった。圧勝できるのだ。

 

「迎撃部隊全機に通達しろ。勝たなくてもいい、時間稼ぎをして少しでも仙台に到着させるのを遅らせるんだ!」

 

 迎撃部隊はすぐに2重3重の線状防衛線を展開した。レーダーロックこそできないものの、IRST(赤外線捜索追尾システム)では捉えることができた。すぐにロックする。

 

「よーし…………撃てぇ!」

 

 1個中隊の不知火が突撃砲による射撃を開始した。さらに、前衛の2個小隊の陽炎が長刀による接近戦を開始。基地からも短距離地対空ミサイルが発射された。

 

 しかし、その物量に臆することなく彼らは一文字になって突入してきた。直後、迎撃部隊の装備のロックオンが全て解除されてしまった。さらにノイズまで発生する。そして十六夜一個小隊は敵陣を無傷で中央突破してしまった。すぐに基地司令は作戦参加部隊と帝都防衛本部に連絡をした。

 

「こちら松島基地。残念ながら遅滞戦術すら叶わずだ。………申し訳ない」

 

 この報告の5分後、百里基地から出撃したクーデター部隊が習志野基地の防衛部隊と交戦。こちらは従来機同士の戦闘だった。だが、練度で勝っていたクーデター部隊が戦線を突破し、すぐに帝都並びに帝都城を占拠した。如月たちが戻った帝都第1守備連隊がいる朝霞駐屯地からの出撃は、基地に発生したクーデター派の歩兵による襲撃により遅延していた。この影響により、戦術機格納庫のシャッターの開閉操作が不可能になり、爆破除去以外なかった。これのせいですぐに出撃できなかったのだ。

 

 第4項発令のため既に殿下は帝都城より退避をしていた。5・15事件とは異なり、帝都での戦闘は一切起きていなかった。陸軍省などの省庁に対しては突入は行わなかった。今回の目標はあくまでも政府の一掃だったからだ。

 

 

 4:00 帝都城前

 

 マスメディアが帝都城に招集された。そして開始されたのは、クーデター実行犯である権田直樹の声明だった。




いつかオリジナル機体についてまとめておきたいな

*この回のタイトルは、武ちゃんから見た視点です
分かりにくくてすみません(´;ω;`)
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