牙狼-GARO- 金色の光と神薙ぎの巫女   作:究極の闇に焼かれた男

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続きが何となく思いついたので投稿しました。


序章2

 

 

 

静まり返った夜の坂道で刃と刃がぶつかり合う音が響き渡っていた。

 

統牙の振るう魔戒剣と姫和の振るう小烏丸の刃がぶつかり合う度に火花が散りギリギリと金切り音を鳴らしながら鍔迫り合いの状態となっていた。

 

 

(相変わらず姫和の剣技は鋭く正確な上に、剣速に関しては刀使の中でもかなり上位に位置する物だ。 でも咄嗟の事には極端に弱く成りやすい所がある分、俺の方が有利と言いたい所だが大分前にその事を指摘したから対策を練ってる可能性が高い。 それに……)

 

「余所見とは随分と余裕だな」

 

「別にそんな事は無い、寧ろ少し前に戦った時よりも踏み込みが強くなってる事に関心してるよ」

 

「お前と何度も打ち合えば嫌でも強くなる、それだけの事だ!」

 

 

その言葉とともに姫和の姿が忽然と消える。

 

 

「っ、"迅移"か!」

 

 

【迅移】とは刀使の扱う攻撃術の一つで、御刀を媒介にする事で通常の時間から逸して加速する事が可能となるのだ。

 

迅移により加速した姫和は目にも留まらぬ速さで統牙の背後を取るように小烏丸で斬り掛かるも、それに対し統牙はその場で魔戒剣を振るいながら姫和の攻撃を次々と捌き続ける。

 

 

(くっ、やはり迅移で加速しても即座に反応して攻撃を防ぐとは……だとしても!)

 

 

攻撃の手を緩めずに仕掛け続ける姫和だがそれを統牙は容易く防ぐ事にどうするか考え、ある策を思い付いた姫和は一か八かの賭けに打って出る事にした。

 

 

(気配が変わった? なるほど、姫和の奴なにかしらの、賭けに出るつもりだな。 良いだろう、相手をすると言った手からには最後まで相手をしてやる)

 

 

姫和の様子が変わり何か仕掛けてくる事に気付いた統牙は敢えて其れに乗る事にした。 そうする事で姫和の全力を受け止める、そう考えた統牙は気付かれないよう口元に笑みを浮かべながら魔戒剣を構える。

 

そして統牙が姫和の動きを観察していた瞬間、姫和の迅移が更に加速した。

 

 

(っ!? 姫和、まさかその域に達していたのか………だが、まだ荒削りのようだな)

 

 

弾丸よりも速く加速する姫和に驚愕を覚える統牙だったが、それでも尚次々と繰り出される小烏丸の剣閃を魔戒剣で受け流して行く。

 

 

「腕を上げたな姫和………だが、それでも俺は負ける訳にはいかない。 例えこの手でアイツを…『遊牙』を斬る事になるとしても、俺が果たさなくちゃいけない使命なんだっ!」

 

「統牙ーーーーッ!!」

 

 

統牙の名前を叫びながら八相の構えから弾丸よりも速く加速した姫和は統牙に向けて突きを放つと、それを統牙は片手で円月殺法をした後に魔戒剣を逆手に持ちながら横一閃に振るう。

 

一瞬の内に放たれた両者の一撃は剣閃を描きながら交差し、互いに剣を振り抜いた姿勢で動きを止めると辺りを静寂が包み込む。

 

 

「……」

 

「……ぐっ!?」

 

 

両者の間を一陣の風が吹き抜けた後、地面に膝を着きながら胸を抑えたのは姫和の方だった。

 

 

「……弾丸より速く加速したのは驚いたが、それでも俺の方が一枚上手だったようだな」

 

「と…うが……」

 

「姫和……お前が俺たちの事を思ってくれるのは有難いが、今回ばかりはそうはいかない。 もしも本当に遊牙が闇に呑まれたのなら、アイツを斬るのは俺以外には無理だ。 でも俺はアイツが闇に堕ちたかどうか知るまでは闇から救う事を考えてる。 可能性が0に近いとしても俺は最後まで諦めるつもりは無い。 それに遊牙が闇に堕ちたのなら弟として、黄金騎士の称号を受け継ぐ者として俺がケジメをつける。 それが俺たち兄弟の間で交わした約束なんだ」

 

「……」

 

「姫和、お前は刀使として荒魂から人々を守れ。 そう言う事だから、ごめん……」

 

 

そう言うと統牙は鞘に納刀された魔戒剣をコートの内側に仕舞い込むと静かに立ち去るのだった。

 

その場に取り残された姫和は小烏丸を支えにしながら立ち上がるも、統牙の後を追い掛ける事は出来なかった。

 

 

 

 

これが折紙家で御前試合が行われる数週間前の夜に起きた出来事であり、これから起こる新たな戦いの幕が静かに上がった瞬間でもあった。

 

この戦いが後に世間から【年の瀬の災厄】と称される出来事へと奇しくも繋がる事になるのを、当時の2人は知らずに居た。

 

大荒魂と人間たちの間で様々な思惑や思想、理念等と言ったものが交錯する中で人界に破滅の危機が訪れようとしている事を、当時の彼らには知る術など存在しなかった。

 

 




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