「ここが私の治めてる領地の、一応は首都だな」
「なんだかホッとするような、暖かい空気のところなのです」
「結界の効果だろうさ。訳アリな人材を積極的に受け入れてるンでな。登録前は攻撃性を薄めるよう精神に働きかけてンだ」
「軽く
そんなわけでラヴィニアが期間限定加入したので、帰還に巻き込みルキフグス領へご案内。
「お姉さん! 俺と一緒に幸せな家庭を築きませんか!?」
「は? えっ?」
「オーフィス」
「ん、わかってる。イッセー、ちょっとこっち来る」
「待って! 初めて見る綺麗なお姉さんなんだ! 健全でいいからお付き合いをってあああああぁぁぁぁ!?」
秒で駆けつけてきて求婚してきたぞ。すげーなオイどうなってんだ
あとドライグが無言だったのは諦めてツッコミを放棄してたのか、あるいはついに独立具現化を果たして留守だったのか。後者なら喜ばしい成長なんだが。
「あの、今のは?」
「当代の赤龍帝だな。年上の女性を見ると求婚せずにはいられない
「は、はぁ。よくわからないけどわかったのです」
目の前で起きた状況の変化に追いつけていないラヴィニアがポカン顔を晒したが、すぐさま困惑を呑み込んで気を取り直していた。強い。
「ちなみにあっちで歓迎用の焼きそばを作ってる小さい方が当代の白龍皇だ」
「ヴァーくんとは『
「その隣で張り合うというかおちょくるために華麗な手さばきを見せてンのがヴァーリの祖父で初代ルシファー様とリリス様の息子であるリリン――悪魔勢力の中でもお尋ね者扱いされたままなはずのリゼヴィム・ルシファーな。
「しないのですよ!?」
同じタイミングで帰還してきたヴァーリとは既に縁が結ばれてるらしい。おそらくは他の子供達とも。
つまり子供達が結託して
ははーん、さては敵対してなくても自勢力にいなきゃ人体実験の素体扱いしかねないって思われてるな? いやまぁ否定できるもんじゃねぇが。明確に敵対する前だが紫炎相手に実行する予定入れてっし。
しかし原作ヴァーリの姉役をやれるなら天然ぽやぽやポジティブシンキングで押し切る系な
とりま、帰還してすぐに歓迎会する事を宣言しちゃいたが、即準備に参加してる辺りヴァーリも懐いてると見ていいのではなかろうか。
春が来たとは言えない辺りにヴァーリの絶食系男子っぷりが見えるものの、イッセーという起爆剤がケツ龍皇への道を開拓してくれると信じよう。現状だと女性陣の反応から反面教師扱いしてる可能性のが圧倒的に高いが。どうしてこうなった……いや、残当か。
イッセーはドラゴン化の影響で異性へのアピール力も上がってるんだが、何かしら事件が起きて女性を助けたりスケベ目的であっても自分を求め何度でも立ち上がる不屈具合を見せたりする機会に恵まれないから年上好きな珍獣の扱いを脱せてない。
あるいはルキフグス領の立ち上げ初年度から白龍皇がいるもんだから女性陣ほぼ全員ドラゴンのオーラに耐性持ちなのも影響してるのかも。
つまりドラゴン慣れしてない部外者なら効果はあるかもしれんね。
地味にその二人は以前見学して気に入ったのか、あるいは家の柵から解放される場所だからなのか、ちょくちょく観光に来てる。時代を先取りしたVRシミュレーターにドハマリしているっぽい事実からは、そっと目を逸らしてやるべきだろう。
そらフルダイブ式で
ま、数年もすれば黒歴史待ったなしな話だがな! ワインのように熟成するのを待つのだ……忘れかけた頃が一番効くと考えれば、悪魔的には数十年単位を待たなあかんやろか。覚えてられっかなー。
なお、ソーナは至って健全にボードゲームや戦略シミュレーションがお気に入りな様子。フルダイブしてまでする事かと聞かれれば首を傾げるが、じゃあ何故そんなものを作ったと返されるポイントなのでツッコミは入れないでおこう。元はFEやスパロボの世界を疑似体験したくて作ったんよね。あと某ソリッドなビジョンを再現したTCG。
「さておき、歓迎会の準備が済むまでは暇だし首都の主要な部分だけでも案内しとくか」
「あ、はい。よろしくお願いするのです」
待つには少々長い時間がある事だし、生活とは縁の薄くなりそうな場所を巡るかね。利用する頻度の高い場所は地元民が案内してくれるだろうし。
「まずここが領内唯一の教会だ」
「冥界なのですよね!?」
うむ、いいツッコミだ。呆れでなく驚きが主体な辺りにまだ誰も足を踏み入れていない新雪のような無垢さを感じる。だが若いから適応するのは早いだろうし、きっと短くて貴重な期間なんだろうなぁ。記録しとこ。
「ちなみにプロテスタントなんで神父じゃなく牧師だ」
「それ以前の問題な気がするのですが……」
「それとあっち側に見えてるのはルキフグス稲荷大社だ」
「ルキフグス稲荷大社」
「神社ってのは日本神話関係の宗教施設だぁな。祭神は宇迦之御魂神。五穀豊穣を司り商売繁盛や家内安全も担当する事になって日本神話界の過労死枠と呼ばれて久しいが、本神よりも遣いとされる狐の印象が先立って知名度の割に印象が薄い悲劇の神でもあらせられる」
「世知辛いのです……」
「ついでに仏教の荼枳尼天とも同一視されてて、そちらを祀る流忌負愚主寺は向こう側にある。まァ荼枳尼天以外にも私の彫った仏像を多数置いてあるが」
「?????」
おぉ、ついには宇宙を背負ってしまわれた。この感じは祀られてる鳩や神仏が遊びに来るのを伝えても素通りしかねんから黙っておこうか。
ぶっちゃけ桃太郎転生事件をきっかけに日本地獄とは直通できる転移魔法陣を敷いてあるし、その関係で天国も近くなったからちょくちょく死者や獄卒、それと瑞獣が見られるんよね。
あ、黒歌と白音の母親である猫又の藤舞さんもやって来て娘達に謝罪してた。なんでも地獄のゴシップ誌週刊三途之川の記者をして暮らしてたら猫妖怪の大御所である参曲さんとやらに物理的な意味でも尻を蹴り上げられたらしい。小判の部下やってたら知り合った
ちな、この世界だと悪魔や妖怪といった人外は魂も残さず消滅するのが当の人外達にとっても一般的な認識らしいが、少なくとも日本の場合はあの世――大抵は地獄へ送られる。そしてスカウトを経て獄卒へ就職するのが定番だ。何せ恐竜やゴ○ラが焦熱地獄で獄卒として亡者を苛責してる世界である。何でもありに近い。もちろん断って各地獄で働いたり働かなかったりする人外も多いが、やらかして鴉天狗警察のお世話になると罰として奉仕活動が待っている。
つーか立川時空だと師事したの数日だけど一応はブッダの師匠が土ボタルやってる以上は虫ですら転生できるのに、人外は消滅するだけとか存在ヒエラルキー低すぎるだろ。蝋燭の最後の輝きか何かみたいな立ち位置なんだろうか。
悪魔なんて元来は契約で人間の魂を回収するお仕事してたんだから自分らの魂も似た技術で管理しておけばいいものを、なんで消えるだけの現状を当たり前に受け入れて改善しようとせんのか。そんなだから形は違えど所詮は神の走狗に過ぎないって認識されるんだぞ。それはそれで零落した神を下に置く聖書の神って図式でおいしいんだろうが。これには初代ルシファーとリリスも憤慨。鳩テメー。
メタ的な話をすれば、魂はどこから来るのって問題を考えるのが面倒になって転生ありませんってしちゃったんだろうなぁ新約聖書。心の弱さを誤魔化すために選民思想拗らせた民を相手に前世の業で人間から動物等に転生するとか動物等から人間に転生するとか説明したら発狂して殺しに来るだろうし。その先が
あと最近はハーデスを祀る神殿も建てたんたが、おかげでゼウスとオーディンも自分の神殿が欲しいと責付いてくるのがなぁ。なお第一回裏京都旅行から帰った後に要望通り
松田ハイツ2号館とか建てたら聖人二人も直通で来られるんだろうか……一般人が紛れ込む可能性のが高いからやらんが。冥界を経由して実家に帰省するよう天界や天部に依頼されて板挟みになるのも嫌だし。
「まァ、早い話が異国情緒溢れる領ってわけだァな」
「溢れすぎて逆に冥界らしさがないのですよ」
おっとキレ味が上がったな。悟りの第一歩を踏み出したか?
「まー冥界そのままだと空気が悪すぎて人間が住めンしな」
「それはそうなのですが、今度は神聖な気が蔓延してて魔法使いとしては複雑なのです。落ち着きますけど……むしろヴァーくんやルドくんはどうして平気なのです?」
「鍛えてますから」
「なるほど……なのです?」
シュッ、と手首を回しながら誤魔化しておくと、ラヴィニアは納得したようなしないような。多分してないが、深掘りするほどでもないと判断して流したんだろう。賢い。
「とりあえず他の施設はそこまで精神的なダメージを受けるもンでもねェさ。それじゃイクゾー」
このあと滅茶苦茶案内した。
そして小一時間が経過した頃には一周して戻ってきた。移動のために付き合ってくれたタクシー業に従事する
「ここは魔境なのです……メフィスト理事は悪魔だったのです……」
おかしいな、一通り案内したらラヴィニアがグロッキーなんだが。メフィストが悪魔とか単なる事実だし、それに気づかない辺りかなり参ってるな。
「バールド、何をしたらこうなるんだ?」
「いや、普通に首都の主要な施設を案内しただけなンだが?」
信じられないものを見たように驚きを隠さないヴァーリの疑問にも、身に覚えのないこちらとしては首を傾げるしかできない。
『……もしや地下も見せたのか?』
「? そりゃ見せるだろ」
「バールド……そうか、お前はそういうやつだったな」
なんか憐れまれた。アルビオンがどうか違っていてくれと言わんばかりの反応を伺いながら恐る恐る聞いてきた辺りでなんとなく察してたが、何か問題があるかと聞かれたら全く理由がわからんで困ったな。
『完全自立型で人間以上の作業精度を誇る疲れ知らずな万を超える人形が一糸乱れぬ連携で効率良く回している地下工場など他に類を見ない特大の厄ネタなのだぞ?』
「むしろ権限持ちの上位個体は人格を宿し新種族として確立されてるも同然だしな」
「なるほど、わからン」
『「駄目だこいつ……早くなんとかしないと……」』
なんか呆れられてるが、オーフィスの協力を得て開拓を進めたら既に面積が日本よりもデカくなったルキフグス領に暮らす民の生活を賄うにはそれくらいやらんとあかんのよ。
人工が増えても開拓に人足が取られがちな現状、職人の手作りにこだわらない部分は機械化を通り越してオートメーション化しちまいてぇ。つーかした。必要で可能ならやるだろ。
別に利益を求めてやってるわけでなし、開拓が一通り済んだ後の仕事がないとかなった際は切り替え可能だ。職人は職人で育ててるし、娯楽作品の作り手は足りんくらいだからな。
なおハイペースで開拓を進めてるルキフグス領ではあるが、面積当たりの人口を考えると結構スカスカだったりする。まぁ開拓といっても自然をそのまま残して標準的なサイズの成体モフドラが両端路駐してても無理なくすれ違える程度の幅を持つ道を通してるだけで終わってたりするんで、人の住む領域は割合で見るとかなり小さいんだが。
「あれって軍事転用したらどうなるの?」
「装備品を頑張って揃えても単体じゃ上級悪魔の上位と互角、連携を考慮しても最上級をすり潰すのに十体は欲しいから大した脅威にはならンだろ」
「十分すぎるわよお馬鹿」
ラヴィニアにセクハラを働こうと忍び寄るも反応が薄そうなんでこっちの会話へ混ぜる方向に切り替えた黒歌のチョップが脳天に落とされた。
まぁ言われてみれば狭い首都の地下工場に万単位なだけで、それ以外の場所にある地下工場も含めたら万倍されて億に届くか?
ふむ、
そんなのを見せられた『
そんなラヴィニアだが、歓迎会が始まると調子を取り戻し領民と打ち解けていた。立ち直りが早いのは良い事だ。普段の生活でも戦闘でも役立つ性質よな。領民の真心が届いた結果なのかもしれんが、それはそれで喜ばしい事だ。
なお、アタシは警戒されて距離を置かれがちになった模様。解せぬ。
ふっふっふっ、評価人数が五人に到達してギリ赤色じゃんやったーありがとう、ありがとう……と思いながら寝て起きたら評価1付けられて黄色にされてた。ハレルヤ、世界の悪意が見えるようだよ……あるいは人の夢と書いて儚い。
ちな、寝ている間に見た夢はパルワールドがサ終するというものでした。日本産でポップなキャラのARKとか個人的な嗜好に刺さりすぎて需要しかないんだけど、デスクトップ一年以上前にお亡くなりになってお財布も軽くなってしまってなぁ。もんぱら終章も買っただけでプレイできてない悲しみ。
今更ですが閲覧、評価、感想、ここすき、ありがとうございます。今年最後の投稿になるかもしれないのでこの場を借りて厚く御礼申し上げます。