さて、幸運にも詳細不明で過去話に相当する一部は未遂な一連の事件における
なんとなく中ボスな気もするし、表に出て来ないまま逃してしまう隠れた実力者というか悪役というかもいるだろうが、別の形で集まり仇をなす可能性はそんなに高くないような気もする。オーフィスほど強いのに無関心で協力的な象徴とかおらんやろ。
代わりに自力で単独犯やらかされる可能性は残ってて楽観視もできんわけだが、情報収集をするくらいしか対策が考えつかんからなぁ。
その分だけ、わかってる問題はきっちり片付けたい。具体的には修学旅行を襲撃するとかいうどことなく情けなさの漂うショボさたっぷりながらも致命的な事件を起こす虚蟬機関と、結局よくわからんが旅のお供をしてたカカシとブリキとライオンの三体を復活させたいオズの魔法使いか。緊急性が高いのは前者だが、後者も人間への配慮は足りなさそうだし被害者を出さんためにも放置はできん。
「つーわけなンだが言い訳とかあるかよ?」
「おのれ悪魔めっ!」
「人類に寄生する悪虫がっ!」
はい、というわけで虚蟬機関の支部を襲撃しました。下っ端しかおらんからご覧の通りあっさりと制圧できたわけだが、まー口を開けば悪口ばかり。会話にならんから人体実験行きにしてしまおうか。
つーか言葉を吐くごとに自分の魂を穢して何が楽しいんだろうかコイツら。脳は主語を理解できない論じゃねェが、人を呪わば穴二つって言葉は陰陽師全盛期の平安時代に生まれた言葉じゃなかったか。詳しく調べた事ないから知らんけど。
そもそも悪魔相手に呪いとかもう少し大規模な儀式を伴わんと、そんなインスタントな悪口で貫ける防御してると思われてんのは非常に心外というか。いやまぁ下っ端だしその辺の意識はないのか?
「
「我らを愚弄するか!」
「ふん! 貴様ら薄汚い蝙蝠風情に我らの崇高な目的を理解できるはずもなし」
「ちなみにこれ、お宅らのトップなはずの三貴神が連名で発行した本件における日本国内での行動の正当性を認める許可証な」
「……は?」
倉庫から取り出した紙を一枚、ペラリと見せてやれば、騒いでいた連中の動きがピタリと止まる。下っ端であっても五大家の生まれ、書状に込められた神気を感じ取り本物である事を理解できる程度の能力はあるらしい。
まー家で信仰する系統と合わない能力だから弾くとかこの少子高齢化社会に合わん時代遅れで間抜け極まりない運用しかできんままの旧い家をどうにか見返したい――言い換えれば親に認めて欲しいから暴れて力を見せつけますってアホな捨て子の集まりなだけだからな。
そのための手段として守るべき民、国の財産を私的な実験に利用しようと考えてる時点で三国志の中抜き当然な汚職役人ムーブに近いし弁護のしようがない罪人なわけだが。
コイツら能力ガチャが当たって五大家に認められてても家の権力を振りかざす無能小者ムーブかましてたんだろうなーって。
「国外にいて手を出せない状態の国民を事前の許可もなく攫うとか、普通に考えて神々をコケにする真似だかンな。しかもウツセミとやらが成功して五代家に対抗できるような力を得るまでに見込まれる犠牲者の数が毎年の人外案件に匹敵するンじゃ本末転倒だろ」
ましてや和平を結んで各勢力の人間へ害を与える活動が大人しくなる見込みな以上は余計にな。なお実際にどこまで減るかは不明。
しかも堕天使やらオズの魔法使いやらを本人達は利用してるつもりだが実際には利用され使い捨てられるっていう売国的なムーブも加わるっていうね。
つーか戦力で見ても相棒限定な汚いポケモンって感じのウツセミと人工
例えばナノマシンタイプの最高峰、
「日本神話は虚蟬機関に欠片ほどの正当性も認めてねェし、テメーらの生殺与奪や死後の扱いは私達の方に任せるそうだ。対等な取引な以上、相応の対価は払うがな?」
「馬鹿な……民を裏切るというのか」
「最初に裏切ったのはテメーらの方だろ。こっちはそれを事前に把握し、報告すると共に提案し、こうして無事に取り締まる依頼を受けたわけだ。それこそ、罪のない未来の可能性にあふれた子供達を守るためにな」
「世迷言を……貴様ら悪魔のばら撒いたセイクリッド・ギアなどという呪いが世にどれほどの混乱をもたらしたと思っている!」
「おン?」
ばら撒いたとか言ってるし、うちで開発した人工
つーか現場あるいは下っ端レベルじゃ悪魔の仕業になってんのか
「とりあえず日本神話のお歴々が正しく認識してる以上、情報が食い違う程度にはテメーらの縁が薄いっつーのは理解した」
「何をわけのわからん事を……!」
「一生わからねェままでいろよ。わざわざ進ンで恥ずかしい思いをする必要もねェだろ」
その後も何やら喚き散らす下っ端達を無視して、他の襲撃面子が支部を漁って出てきた資料をチラ見する……特筆するような内容は全くなし、と。わかっちゃいたが無駄足か。
「あ、こちらデスクに貼られていた室長とやらの名刺です」
「大手柄だなオイ」
確認すれば、ご丁寧に『虚蟬機関』室長の肩書。名前は姫島唐棣らしい……なんて読むん、これ?
「姫島、ねぇ」
「五大家を追われた集まりならば五大家の関係者が構成員なのも当然ではありますね」
「それな」
その割に人外嫌いは変わらんから、朱璃さんや朱乃に関しては存在を認めない可能性が高い。特に朱璃さんは姫島の重要視する火の素質を有しているにも関わらず人外と結ばれたわけだし、虚蟬機関としては欲しても得られなかったモノを捨てた贅沢な人物って扱いで嫉妬に狂う対象だろうし。
朱乃やトビーは
そういや朱乃以外にもソーナ眷属に五大家関係者いたような。五大家の正確な規模がわからんから率が高いのかは不明だが、裏の人間なら素質は最低保証されてて修行しちゃうから発現率は高いわな。仕組みを知ってたら自爆というか
とはいえ、知ろうとしないのは呪術的な防衛を考えたら間違ってないのかもしれんが。深淵を覗くとき深淵もまた……的なヤツな。
そんな感じで情報が入った拠点を潰して回ってたら、五大家から自分達の不始末だから手を出すな的な警告のつもりっぽい事を言われた。
なお、こちらの集めた情報では残る拠点が本部を含めて三ケ所になってから。単純に動きが遅いのか、それとも漁夫の利目的なのか、判断に困ったよね。
「弱肉強食の掟に従って生きてんなら、敗者に権限なンざねェのは理解してるな? テメーらにゃしばらく日本地獄で獄卒として働いてもらう。勤務態度が悪けりゃそのまま苛責の練習台に格下げだ。逃げても地の果て次元の狭間まで追ってケジメ取らせるからアホな考えは止めとくこった」
「あわわわわ……初代に殺されるぅ」
そして日本地獄に獄卒研修生が多数送られることになった。
代表してはわわってんのは隠神刑部を名乗る大狸の妖怪。
鬼いさん時空の混ざるこの世界において、隠神刑部とは衆合地獄の一角に居を構える大妖怪の親分である。
なら目の前の妖怪は偽物なのかと言われれば実はそうでもなく、どうやら二代目を名乗る事を許された優秀な子分らしい。おそらくはこの世界特有の設定だろうが、それはさておき。
「いやぁ、桃太郎の生まれ変わりが吉備津彦と名付けられたとは。長生きしてみるもんだぁ」
こっちは温羅を名乗る鬼。桃太郎の元ネタでもある吉備津彦に退治された悪役とか、実は崇められてたものの侵略戦争に負けて悪役にされた土着の神とか、複数の説を持つが正誤に関係なく実力派の大御所妖怪だ。
鬼いさん世界だと桃太郎の退治した鬼は瘟鬼で肉体派とは言えん感じだから、温羅の相手をした吉備津彦は日本神話の神であり桃太郎とは別人……なんかね。ようわからん。
「バールド、例の黒い太陽は
「百鬼夜行のトリだったか。最近になって考え出されたらしいが」
「西洋の術者が言うには人工妖怪だとか」
「本来なら回復して何度だって立ち上がって戦えるはずだったんだがなぁ」
「へェ、得したな。うちの領民にも妖怪はいるし」
頼れる男、曹操の報告に隠神刑部と温羅が補足を入れる。副作用の有無を調べたら猫魈姉妹や他の妖怪に活用したいところやね。大妖二体がすっかり大人しくなってるのは、連れてきた部下が日本地獄直通の転移門で送られているのと関係あるんだろうか。
つーか下手したら連絡受けた鬼いさん時空の隠神刑部がブチギレながら二代目を迎えに来そうだし、移送を手伝ってあげた方がいいんだろうか。ただでさえこの辺りは更地に近い状態だし……むしろ今ならそこまで被害が出ないから都合が良いのか?
さて、どうしてこんな妖怪達を鎮圧した風なのかというと、まぁタイミング良く
いやね、五大家のクレームに対抗して三貴神から発行された許可証を見せたら偽物だなんだと騒ぎ立てるもんだから検分させるために許可証を渡してみたんよ。借りパクしようとしたら天罰が下る仕組みになってるんだが、案の定やらかそうとしたアホがいたらしく奥の院とやらが吹き飛んで日本の霊的守護がヤバい事態に。
いやまぁ人間目線の話なんで人外視点じゃ大して問題でもなかったんだが、とりあえず回収に来たらその混乱に乗じる形でオズに扇動された妖怪が襲撃してきたんよね。タイミング的には偶然に偶然が重なったっぽいが。今度は日本地獄からの許可証を掲げて聖戦ごっこ楽しかったです。持つべきはコネやなって。
「さて、人間には天罰が下ったし、妖怪も鎮圧して日本地獄への引き継ぎも済ンだ。戦利品に関しちゃ調査後に改めて報告上げりゃ問題ねェ。よっし、もうここにゃ用はねェし帰るぞー」
「待ちなさい!」
引き上げの号令を掛けたら呼び止められた。解せぬ。今この場で命令形を使えるのは日本地獄から出向いてきたお迎え課の上役くらいたぞ。
なんて事を思いながら声のした方を見れば、なんか発育のいい朱璃さんっぽい雰囲気のある少女。
「そこの狐の面を被った者、顔を見せなさい」
「はい上から目線なので失格でーす。次までに直せバーカ」
「え? きゃ……!」
続く言葉遣いで望みを叶える必要はないと判断し、手拍子を一つ。狐面の少女は足元に空いた穴に吸い込まれていきましたとさ。本人は気が抜けてたのか不意打ちに悲鳴を上げたようだが、訓練が足りんかったかな。後で追試だ。
ところでボッシュートって今の子に通じるのかしらん。
「き、機会を! もう一度機会をちょうだい!」
なんと、ここで推定姫島家の少女はリテイクを要求してきた。図太いと呆れるべきか挫けないと感心するべきか。敬語じゃない部分は周りの五大家へ弱みを見せない意味もあるだろうが、上から目線が対等くらいにはなったし許容してやるとしよう。
てなわけで召喚。
「え、あれ?」
「あぁ、やっぱり……」
おっとここで一段落したと判断したのか仮面を外していたアクシデントが。そして晒されている朱乃の顔を見た少女は感極まったらしく言葉に詰まっていた。涙ぐんでもいるし、排他的な要素は他の五大家連中より薄めな個体なんかね。
まぁ、それでも人外相手への態度は変わらなそうだが。
「一つだけ聞かせてちょうだい。貴女は今、幸せ?」
「朱雀姉さま……はい。私は、私達家族はとても幸せに暮らしています」
「そう、良かった……」
何やら感動的な場面だが、名前と関係性を匂わす敬称を使った朱乃には補習も必要だなコレ。おぉ、悪寒に周囲を見回す辺りは流石の勘か。今回に関しちゃ全くの無意味だが。
つーか他の五大家連中もいる中でそれっぽいやり取りはどうなんだ。ここで一族の恥晒しだとか何とかで身柄を引き渡せとか処刑させろとか言い出したら、見せしめにミルたん達を連れてきて一人ずつ魔法少女にしていく事も検討せにゃならん。
「結界の立て直しにはどれくらいかかる?」
「総力を結集しても即、とは参りませんし、各地の警邏を疎かにするわけにも参りません。週単位で考えませぬと……」
「それにまずは神々への申し開きをせねばなりません。例の書類が偽物でなく、間違いなくあれは天照大神様や月読尊様の御力でございました」
「人外、よりにもよって悪魔へ委任されていた事には忸怩たる思いがありますが、事ここに至っては真摯に受け止めねばならないのでは?」
「ううむ……」
あ、大丈夫そうっすね。日本神話にごめんなさいしなきゃ〜って言ってる軍服コスプレの男は黄龍を名乗ってたし、権力の座にしがみつく老害枠を除けば一等お偉いさんなはず。
いやまぁ逆に若いから急進派な危険人物な可能性もあるが。その意味じゃトビーのお祖母さんみたいな例もあるから必ずしも老害とは限らんか。全部まとめてどうでもいいが。
互いに切り札は伏せたままだったろうが、向こうは地脈を利用してそうな雰囲気があったんで防衛向きというか、その辺をかき乱してやれば大きく力を削ぎ落とせそうだ。なお搦手なしで真正面から妖怪に攻められそこそこ被害を出した模様。
まー少なくともルキフグス領を攻められる可能性は低いし、多神話連合状態な領地の地脈とか簡単に動かせるもんじゃないだろうし、脅威足り得ないかな、と。
そんなわけで日本神話からの許可証を回収したり黄龍と名刺交換をしたり雑事を済ませたら今度こそ帰還したんだが、それほど時間を置かずにその黄龍から相談事を持ちかけられた。
内容は妹さんに宿った
まぁ問題は妹さんの
どうしてこうなった。
ファントム・ブレイブ新作待ちで、現在既に体験版ぐるぐるしてるんで今月来月更新微妙です。