「あぁ、そういう事なら構いませんよ」
そんなわけでトライヘキサのドロップアイテムに興味津々なモモンガさん――高校生活を絶賛満喫中な鈴木悟君に事実上の通達となる相談をするため赴いたら、殊の外あっさりと受諾してもらえた。
「申し訳ない。埋め合わせはしますので」
「おっ、良いんですか? 期待しちゃいますよ?」
「うっ、お手柔らかに」
こちらのモモンガさん、原作との差異としてはユグドラシル時代にペロロンチーノさんとぶくぶく茶釜さんのやり取りを見て兄弟姉妹への憧れを持ち、何をトチ狂ったのかフレーバーテキストにゲーム内アバターのモモンガではなくリアルの鈴木悟の兄という設定を持たせたNPCを創造している点が一番の分岐点というか特異点というかだろう。
しかもそのNPCに何の因果か
まぁパンドラズ・アクターの後に作ったからモモンガ――正確には中の人――が兄として扱うパンドラの弟という中々に混沌とした立場であり、しかも他のNPCにも至高の御方と兄弟だという認識もされていた事で各々の情緒をバグらせていたとか。もうこの時点で笑いが止まらない。
結果としてナザリックの雰囲気は緩くなり、モモンガさんもNPCにとって絶対者である事こそ変わりないものの全知全能というわけでもないと認識され、ナザリック総出で甲斐甲斐しく見守られお世話される愛されキャラとなった。ウケる。なお
「俺には何かないのか?」
「リリスのルージュから新作選ンできましたよ。お好みの異性にでもどーぞ」
「おま……っ!? なんつーセレクトするんだよ!」
「別に同性でも構いませンが?」
「そういう問題じゃねーよ!?」
リムルさんの方はなろう版ベースに
で、基本的に
つーかあの世界って普通に魔境よな。ヴェルドラとかミリムとか味方キャラだけど明らかにダンまちの黒竜より強い気がするし。いやまぁ星のカービィとファイアーエムブレムとで強さ比べるようなもんだと思えば野暮な話か。なお
「なぁ、アンタも創造系の能力持ちなんだろ? もし良けりゃ作品を見せてくれねぇか?」
「構わねェが……えーと、お初だな? バールド・ルキフグスだ。悪魔で冥界の地方領主やってる」
「南雲ハジメだ。巻き込まれて異世界に召喚された以外は一般人のつもりだが、姉御が言うには主人公らしい」
「おk把握」
「はえーよ。てか納得すんのか……」
で、こちらが報告のあった混じってたらしいラノベの主人公か。話だとメカメカしてるのが好きなタイプらしいし、見せるならコレかね。
「ま、例えばコイツだな」
「「「おぉっ!?」」」
取り出したのは無骨な見た目の大型銃器。何やら歓声が重なって聞こえたが、前のめりなモモンガさんとリムルさんを見れば正体は見当つくよね。男の子共め。
「こいつは……」
「俗に言うビームライフルだ。高エネルギーで励起させた荷電粒子を外側からガッチリ押さえて限界まで我慢させてから隙間を開けたらそこから飛び出るやつ」
「「???」」
「荷電粒子砲ってやつか?」
「「知っているのかハジメ!?」」
「誰が雷電だ」
仲良いなコイツら。部下の忠誠心が高くて過激派なせいで苦労してる仲間とか?
ちな、このビームライフルは
ついでに言えば、一応は科学的な説明をしてるものの、結局は
まぁ同じような原理を利用した方法が癌治療の分野にあったりするんで、何かの拍子にポンと実現する日が来るのかもしれん。種の次のISでも使えるようにしっかり学ばんとなぁ。
なおこの世界では普通に魔法を使う方が早い模様。計算能力や空間把握能力が必要なのは
「ぶっちゃけビームよりレーザーのが速いし周囲への影響も少ないから、魔法を使えるならそっちのが良いと思うわ。リムルさんのメギドとか」
「あー」
「何それ詳しく」
「こんな風に水でレンズを作って、太陽光を収束させて急所を撃ち抜くんだよ。距離や角度をしっかり計算しないと威力は出せないから格下相手の殲滅用にしかならないやつ」
「ほへー」
こんな感じに雑談をしたりゲームでマルチプレイや対戦を行ったりで仲を深めつつ、主目的であるトライヘキサ弱体化転生の許可をもぎ取ったアタシは帰還したのであった。あの面子で白熱したにも関わらず破壊される事のなかったコントローラーが一番の功労者に違いない。
しかし原作主人公ってオーラが違うよな。でもって『
「そンなわけで当日は少しばかり大規模な術式を動かすンで、領民から健康に問題がない程度に生命エネルギーを搾取するからな。万が一の失敗に備えて戦力を連れてくから一時的な防衛力の低下もあるから留守番組はよろしく」
「「「はーい」」」
で、領民の代表を集めて説明したのが現在。
原作でトライヘキサが数多くの拠点を破壊したって話だが、問題なのは近くから手当たり次第なのか強者や熱量に誘引される性質持ちなのかはたまた
単なる獣なら封印場所から順繰りでもおかしくないはずなんだが、強者をサーチアンドデストロイする性質持ちなら割と領の危険度が高い。
「そこンとこどうよ?」
「んー、
しかし疑問が一つ。
「『
「えーと、確か人体実験とか改造とかされてたかと。それで数が三つに増えてて、その内の一つを抜き取って保有していたリゼヴィムさん勢力が復活に使ったような?」
「曖昧だな、オイ?」
『
で、
しかしアザゼルが言ってたが、本来なら
一応、既に天界には修理を目指した調査について打診しているし、日程調整もほぼ済んでいる。可能性としては低いが、下手に直した事で全
「ぶっちゃけ聖杯である必要はないですし、再現性のない部分ですからねぃ。記憶が曖昧になっても危機を覚えませんで」
「それもそォか」
むしろリゼヴィムとアジ・ダハーカにトライヘキサの制御方法を考えさせたら正解を導きそうよね。そのまま横槍になっても困るから事が済んだ後でになるが。
「それでは実施日は決定という事で?」
「そうなるな。現場に行くのは
「ほうほう、それはそれは。さぞ悔しいでしょうねぃ」
原作では奇襲気味だったらしいが各勢力ともボロボロにされたらしいし、各々で備えてもらわんとな。友好的な勢力は人工
「ま、封印の上からでも弱体化転生が成功するのはアジ・ダハーカで証明済だ。
「フラグ乙」
「やめーや」
念のため鳩に聞き取りした封印術式とは干渉しないようになってるはずだが、肝心の鳩が曖昧にしか記憶してないって不安要素があるんよね。全知全能どこいった。
まぁ記憶を読まれるかもしれないって危険に備えての忘却やら封印やらの可能性も残っちゃいるが、おかげであと一歩から進めない。いっそ古の家電製品よろしく斜め45°チョップで記憶戻らんかな。
いうて弱体化転生の技術は
いや別に何かあったら各神話体系に無駄足踏ませた詫びに何かしら補填して予定を延期するだけなんだが。横槍もリゼヴィムやハデスみたいな本来なら入れる側の視点が充実してるんで対策に抜けはないはず。オーフィスもグレートレッドへの執着が薄れてるからトライヘキサをぶつけるために確保とかはせんだろ。
「むしろテメーの横槍が一番怖いまであるンだが?」
速度的な問題こそあれど、開拓を含めてぶっちゃけ山も谷も大してない順調満帆なのが現状だ。
「それは杞憂ってやつですねぃ。むしろ乳神とか異世界の動きを監視してるくらいですのに」
が、それはないと断言された。確かに今までもどちらかといえば協力的だが、それは軌道に乗る前限定かと身構えてた部分はあるんよね。
つーか乳神って、そういやいたなぁ。イッセーを改変したからこのまま発見されずに済んでほしいわぁ。いやまぁ来たら来たで捕獲して分解して無害化した簡易型を量産するつもりではあるが。
「それはそれで勘づかれてこっち来る事態に繋がらンか?」
「この世界から直接ではなく、別の異世界を複数経由してますので可能性は限りなく低いかと。0と1で構成された情報生命体しか存在できない一次元の世界や唯一の存在である神が創世そっちのけで自分を高め続ける事に終始してる世界とかありますし」
「むしろどうやって介してンだよそれ」
「それは企業秘密というやつですの」
「さいで」
どうやら察知されてカウンター気味に降臨されてしまう事はなさそうだ。
いうて乳神なんつーモンがいるなら、ご同輩に尻神やら脚神やらが存在してても不思議はないんよね。可能性としちゃ低いが、もしもイッセー並の執着を持ったフェチが存在してたら何かの拍子にソイツらが来てしまいかねない。数値化できるようなもんでもなし、そもそも確かめる術を考えたくもねぇわ。
「とりあえずこちらからの横槍はありませんので、安心して儀式を行って下さい。警護の人員としてモモンガさんとリムルさんが見学させたいメンバーを連れてくるような話もしてましたし」
「それ聞いたせいで全く安心できねェよ」
見学者ってナザリックのNPCとか魔国連邦の配下とかで役職持ちになってるような連中だろ。モモンガさんやリムルさんが側において見学するとして、自分達の主にこんな待遇とか喧嘩売ってんのかみたいな感じにキレそうじゃん。可能な限り消耗は避けたいんだよなぁ。
つーかトップの指示で基本的に大人しくしてくれるとは思うが、デミウルゴスとかディアブロとか何人かは内容の穴を突いて勝手な動きしそうな気配が濃厚なんだが。いや、さすがにメリットよりデメリットが勝つから動かないよな。誰だって囲んで叩かれるのはゴメンだろ。そう思いたい。思いたいが……うーむ、わがんね。
「では断りますか?」
「あー、直接見学はこの世界の関係者って事でトップの二人までかな。各々の本拠地に中継ならしてもいいが」
「なるほど、ではそのように」
モモンガさんとリムルさんはともかく、部下の面々は納得してくれっかねー。自分達の主ならもっとスマートに解決できたってクレーム入れてくる程度で済ませてくれれば御の字なんだが。
まぁ、なるようになるか。冥界の開拓を大きく妨げるような事態にさえならなきゃ。