聖書の神なら立川で鳩サブレ食ってるぞ   作:夜月工房

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49.許可を得たよ!

「あぁ、そういう事なら構いませんよ」

 

そんなわけでトライヘキサのドロップアイテムに興味津々なモモンガさん――高校生活を絶賛満喫中な鈴木悟君に事実上の通達となる相談をするため赴いたら、殊の外あっさりと受諾してもらえた。

 

「申し訳ない。埋め合わせはしますので」

「おっ、良いんですか? 期待しちゃいますよ?」

「うっ、お手柔らかに」

 

こちらのモモンガさん、原作との差異としてはユグドラシル時代にペロロンチーノさんとぶくぶく茶釜さんのやり取りを見て兄弟姉妹への憧れを持ち、何をトチ狂ったのかフレーバーテキストにゲーム内アバターのモモンガではなくリアルの鈴木悟の兄という設定を持たせたNPCを創造している点が一番の分岐点というか特異点というかだろう。

しかもそのNPCに何の因果か上位(アタシら)次元で生きてた転生者の魂がユグドラシル時代からINしてて、フレーバーテキストの影響が多分にあるとは自覚しつつも兄の自覚を芽生えさせると共にゲームの仕様を振り切れず見守るだけの歯痒い日々を過ごしていたらしい。

まぁパンドラズ・アクターの後に作ったからモモンガ――正確には中の人――が兄として扱うパンドラの弟という中々に混沌とした立場であり、しかも他のNPCにも至高の御方と兄弟だという認識もされていた事で各々の情緒をバグらせていたとか。もうこの時点で笑いが止まらない。

結果としてナザリックの雰囲気は緩くなり、モモンガさんもNPCにとって絶対者である事こそ変わりないものの全知全能というわけでもないと認識され、ナザリック総出で甲斐甲斐しく見守られお世話される愛されキャラとなった。ウケる。なおカルマ値極悪(めんどいの)多数という事実。

 

「俺には何かないのか?」

「リリスのルージュから新作選ンできましたよ。お好みの異性にでもどーぞ」

「おま……っ!? なんつーセレクトするんだよ!」

「別に同性でも構いませンが?」

「そういう問題じゃねーよ!?」

 

リムルさんの方はなろう版ベースに外伝(スピンオフ)含む漫画の要素を追加した感じの舞台で、何名か異物だろう転生者(オリキャラ)が入り込むも、基本的に魔王編くらいまでは原作通りに進んだらしい。まぁ見た目が堕天使な生ハムが原作開始前から介入してたせいで東の帝国が驚きの白さになってたり、タイムリープしてたらしいクレイマンが綺麗になってたりで、その後は果てしなく混沌としてたらしいが。

で、基本的にリムルさん(こっち)も愛されキャラに変わりはない。部下からは崇拝要素強めなのも変わりないが、同格以上がそれなりに多い部分は違うか。

つーかあの世界って普通に魔境よな。ヴェルドラとかミリムとか味方キャラだけど明らかにダンまちの黒竜より強い気がするし。いやまぁ星のカービィとファイアーエムブレムとで強さ比べるようなもんだと思えば野暮な話か。なお共通項(スマブラ)

 

「なぁ、アンタも創造系の能力持ちなんだろ? もし良けりゃ作品を見せてくれねぇか?」

「構わねェが……えーと、お初だな? バールド・ルキフグスだ。悪魔で冥界の地方領主やってる」

「南雲ハジメだ。巻き込まれて異世界に召喚された以外は一般人のつもりだが、姉御が言うには主人公らしい」

「おk把握」

「はえーよ。てか納得すんのか……」

 

で、こちらが報告のあった混じってたらしいラノベの主人公か。話だとメカメカしてるのが好きなタイプらしいし、見せるならコレかね。

 

「ま、例えばコイツだな」

「「「おぉっ!?」」」

 

取り出したのは無骨な見た目の大型銃器。何やら歓声が重なって聞こえたが、前のめりなモモンガさんとリムルさんを見れば正体は見当つくよね。男の子共め。

 

「こいつは……」

「俗に言うビームライフルだ。高エネルギーで励起させた荷電粒子を外側からガッチリ押さえて限界まで我慢させてから隙間を開けたらそこから飛び出るやつ」

「「???」」

「荷電粒子砲ってやつか?」

「「知っているのかハジメ!?」」

「誰が雷電だ」

 

仲良いなコイツら。部下の忠誠心が高くて過激派なせいで苦労してる仲間とか?

ちな、このビームライフルはHSDD(ここ)の次に予定されてる種世界における原理を用いてる。おかげで砂漠とかの地熱に影響を受けたり、空気をイオン化させたりと現実的な問題(けっかん)も多いんよね。

ついでに言えば、一応は科学的な説明をしてるものの、結局は平成時点(げんじつ)で採用されない程度に留まる技術。実現させるためにはミノ粉だのGN粒子だのみたいな魔法(かくう)の粒子を利用してる部分は変わらないっていうね。早い話、魔力と【異界信仰(クラフトチート)】の賜物でしかない。

まぁ同じような原理を利用した方法が癌治療の分野にあったりするんで、何かの拍子にポンと実現する日が来るのかもしれん。種の次のISでも使えるようにしっかり学ばんとなぁ。

なおこの世界では普通に魔法を使う方が早い模様。計算能力や空間把握能力が必要なのは魔法(こっち)もだし、軌道修正とかするのに頭の中だけじゃなく機械を通す分だけビームライフルのが面倒だろうな。

 

「ぶっちゃけビームよりレーザーのが速いし周囲への影響も少ないから、魔法を使えるならそっちのが良いと思うわ。リムルさんのメギドとか」

「あー」

「何それ詳しく」

「こんな風に水でレンズを作って、太陽光を収束させて急所を撃ち抜くんだよ。距離や角度をしっかり計算しないと威力は出せないから格下相手の殲滅用にしかならないやつ」

「ほへー」

 

こんな感じに雑談をしたりゲームでマルチプレイや対戦を行ったりで仲を深めつつ、主目的であるトライヘキサ弱体化転生の許可をもぎ取ったアタシは帰還したのであった。あの面子で白熱したにも関わらず破壊される事のなかったコントローラーが一番の功労者に違いない。

しかし原作主人公ってオーラが違うよな。でもって『神の恩恵(ファルナ)』で超人化してるのを考慮してもベルの魔改造が足りない事を自覚したわ。つまり古代の英雄に倣おうとしたザルド(オッサン)アルフィア(あねご)は間違ってなかったんや。タブンネ。それでも足りないとか言っちゃならん。

 

 

 

「そンなわけで当日は少しばかり大規模な術式を動かすンで、領民から健康に問題がない程度に生命エネルギーを搾取するからな。万が一の失敗に備えて戦力を連れてくから一時的な防衛力の低下もあるから留守番組はよろしく」

「「「はーい」」」

 

で、領民の代表を集めて説明したのが現在。

原作でトライヘキサが数多くの拠点を破壊したって話だが、問題なのは近くから手当たり次第なのか強者や熱量に誘引される性質持ちなのかはたまた無作為(ランダム)なのか。

単なる獣なら封印場所から順繰りでもおかしくないはずなんだが、強者をサーチアンドデストロイする性質持ちなら割と領の危険度が高い。

 

「そこンとこどうよ?」

「んー、原作(あの)世界線では復活した邪龍が確保した聖杯の一部を利用して簡単な制御をしてたっぽいですね。今回の転生失敗による復活ですと獣の本能に従ってその場で大暴れしたり、ピンチになったら無軌道に逃げたりするんじゃないでしょうか」

 

原作(むこう)じゃリゼヴィムが勝ち逃げ(しぼう)したのを契機に復活したはずだが、直前で裏切った邪龍がそのまま引き継いだ感じか。魔法に長けたアジ・ダハーカなら術式の制御はできそうだし。

しかし疑問が一つ。

 

「『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』にそんな機能あったか?」

「えーと、確か人体実験とか改造とかされてたかと。それで数が三つに増えてて、その内の一つを抜き取って保有していたリゼヴィムさん勢力が復活に使ったような?」

「曖昧だな、オイ?」

 

幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』の持ち主はヴァレリーだが、前に触れた通り誘拐(ほご)済だ。そしてこの世界における彼女は吸血鬼らしさを求めた生ハム監修の下で魔改造されてしまい、今ではすっかり武闘派である。深窓の令嬢っぽさはそのままなんで相対しても穏やかな微笑みを浮かべたまま優雅に超音速で物理法則も何もあったもんじゃねぇ軌道を描きながら迫ってくるからな。吸血鬼とは?

で、神器(セイクリッド・ギア)も当然のように禁手(バランス・ブレイカー)へと至っている。起動中は任意で不死者特効の聖なる波動を放ち、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)のように種族を問わない回復も可能となる実にロマンシングな(サ・ガ)をお持ちだ。自らの種族を省みろと言いたいが、混血なんでセーフらしい。ある意味でギャスパーは首の皮一枚繋がったと言えるんだろうか。戦闘力的には守られる必要性があんまりないし逆に守られるお姫様な不憫枠になるんかねぇ。つーか行方不明のままだけど原作通りリアスの眷属(ひきこもり)してんだろうか?

 

しかしアザゼルが言ってたが、本来なら禁手(バランス・ブレイカー)は名前の通りに世界の均衡を崩してしまう強力無比なモノであり、一つ時代に観測されるのは数件くらいが平均なんだそうな。つまりここ最近は禁手(バランス・ブレイカー)のバーゲンセール状態で、いよいよ天界の『システム』も危ないのでは……と個人的に震えていた。鬼灯様のお仕置きが怖いんじゃい。

一応、既に天界には修理を目指した調査について打診しているし、日程調整もほぼ済んでいる。可能性としては低いが、下手に直した事で全神器(セイクリッド・ギア)から禁手(バランス・ブレイカー)が没収される事態は避けたいんで、トライヘキサの件が済んだら向かう予定だ。弱体化失敗で復活からの鎮圧までが長引いたら延期になるだろうなぁ。

 

「ぶっちゃけ聖杯である必要はないですし、再現性のない部分ですからねぃ。記憶が曖昧になっても危機を覚えませんで」

「それもそォか」

 

むしろリゼヴィムとアジ・ダハーカにトライヘキサの制御方法を考えさせたら正解を導きそうよね。そのまま横槍になっても困るから事が済んだ後でになるが。

 

「それでは実施日は決定という事で?」

「そうなるな。現場に行くのはルキフグス領(うちら)の一部と異世界組(ゲスト)で、他の各神話勢力とかには万が一に備えて地元の守りを固めてもらう必要があるから映像中継で我慢してもらうわ」

「ほうほう、それはそれは。さぞ悔しいでしょうねぃ」

 

原作では奇襲気味だったらしいが各勢力ともボロボロにされたらしいし、各々で備えてもらわんとな。友好的な勢力は人工神器(セイクリッド・ギア)とかで底上げされてるが、相手が相手なんでどこまでマシな結果にできるか予想ができん。

 

「ま、封印の上からでも弱体化転生が成功するのはアジ・ダハーカで証明済だ。抵抗(レジスト)されるとしても封印には影響ねェからそのまま復活って事も起きンだろう……と、思いたい」

「フラグ乙」

「やめーや」

 

念のため鳩に聞き取りした封印術式とは干渉しないようになってるはずだが、肝心の鳩が曖昧にしか記憶してないって不安要素があるんよね。全知全能どこいった。

まぁ記憶を読まれるかもしれないって危険に備えての忘却やら封印やらの可能性も残っちゃいるが、おかげであと一歩から進めない。いっそ古の家電製品よろしく斜め45°チョップで記憶戻らんかな。

いうて弱体化転生の技術は異世界(チート)由来だし、その場で微調整は可能だ。あとは体調さえ崩さんようにしとけばヘーキヘーキ……ちくしょう何もかもがフラグに思えて怖いぞ。

いや別に何かあったら各神話体系に無駄足踏ませた詫びに何かしら補填して予定を延期するだけなんだが。横槍もリゼヴィムやハデスみたいな本来なら入れる側の視点が充実してるんで対策に抜けはないはず。オーフィスもグレートレッドへの執着が薄れてるからトライヘキサをぶつけるために確保とかはせんだろ。

 

「むしろテメーの横槍が一番怖いまであるンだが?」

 

速度的な問題こそあれど、開拓を含めてぶっちゃけ山も谷も大してない順調満帆なのが現状だ。生ハム(コイツ)らなら面白さ優先でこの辺りで後退を余儀なくされるような障害を作り出してもおかしくはない。

 

「それは杞憂ってやつですねぃ。むしろ乳神とか異世界の動きを監視してるくらいですのに」

 

が、それはないと断言された。確かに今までもどちらかといえば協力的だが、それは軌道に乗る前限定かと身構えてた部分はあるんよね。

つーか乳神って、そういやいたなぁ。イッセーを改変したからこのまま発見されずに済んでほしいわぁ。いやまぁ来たら来たで捕獲して分解して無害化した簡易型を量産するつもりではあるが。

 

「それはそれで勘づかれてこっち来る事態に繋がらンか?」

「この世界から直接ではなく、別の異世界を複数経由してますので可能性は限りなく低いかと。0と1で構成された情報生命体しか存在できない一次元の世界や唯一の存在である神が創世そっちのけで自分を高め続ける事に終始してる世界とかありますし」

「むしろどうやって介してンだよそれ」

「それは企業秘密というやつですの」

「さいで」

 

どうやら察知されてカウンター気味に降臨されてしまう事はなさそうだ。

いうて乳神なんつーモンがいるなら、ご同輩に尻神やら脚神やらが存在してても不思議はないんよね。可能性としちゃ低いが、もしもイッセー並の執着を持ったフェチが存在してたら何かの拍子にソイツらが来てしまいかねない。数値化できるようなもんでもなし、そもそも確かめる術を考えたくもねぇわ。

 

「とりあえずこちらからの横槍はありませんので、安心して儀式を行って下さい。警護の人員としてモモンガさんとリムルさんが見学させたいメンバーを連れてくるような話もしてましたし」

「それ聞いたせいで全く安心できねェよ」

 

見学者ってナザリックのNPCとか魔国連邦の配下とかで役職持ちになってるような連中だろ。モモンガさんやリムルさんが側において見学するとして、自分達の主にこんな待遇とか喧嘩売ってんのかみたいな感じにキレそうじゃん。可能な限り消耗は避けたいんだよなぁ。

つーかトップの指示で基本的に大人しくしてくれるとは思うが、デミウルゴスとかディアブロとか何人かは内容の穴を突いて勝手な動きしそうな気配が濃厚なんだが。いや、さすがにメリットよりデメリットが勝つから動かないよな。誰だって囲んで叩かれるのはゴメンだろ。そう思いたい。思いたいが……うーむ、わがんね。

 

「では断りますか?」

「あー、直接見学はこの世界の関係者って事でトップの二人までかな。各々の本拠地に中継ならしてもいいが」

「なるほど、ではそのように」

 

モモンガさんとリムルさんはともかく、部下の面々は納得してくれっかねー。自分達の主ならもっとスマートに解決できたってクレーム入れてくる程度で済ませてくれれば御の字なんだが。

まぁ、なるようになるか。冥界の開拓を大きく妨げるような事態にさえならなきゃ。

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