今回! なんと! 遂に! みちるちゃんが!
エッチな怪異に! 遭遇します! このためのR-15タグ!
夜のKIRISHIMA。トレーニング後のスタジアム。
都条みちるは水飛沫に濡れた髪をタオルで拭きながらロッカールームを目指していた。
企業ロゴの入った青のビキニとパンツ、その下に着こんだ黒のアンダー。ユニフォームとして支給されたものだが、見た目は完全に水着で、事実濡れても大丈夫な素材でできている。
この格好で廊下を歩くのは最初こそ抵抗があったが、今ではすっかりもう慣れてしまった。
「あれ……」
あと少しでロッカールームに着くというところで、みちるはその〈異常〉に気づいた。
別に大したことではない。胸のビキニがほつれて、そこから〈糸〉が出ていた。垂れた〈糸〉は今みちるが歩いてきた廊下を逆走するようにスタジアムへの出入口まで続いている。
「どこかで引っかけちゃったのかしら。お気に入りだったのに」
引っ張ってみても〈糸〉はぴんっと張って動かなくなる。普通なら切ればいいだけだが、ジェットバトルの激しい動きを想定したユニフォームは繊維からして強靭だ。
特にみちるは押さえているモノも大きい。柔なビキニで試合中にブチッといかれたら大変だ。観客の前で〈もろ出し〉してしまい、そのまま引退したドルフィンも過去にいた……なんて都市伝説があるくらいだ。
そういった背景からユニフォームの繊維は手で引っ張ったぐらいでは絶対に切れないし、ロッカーにある荷物にもハサミはなかったはず。
「戻って〈糸〉の端を取ってくるしかなさそうね」
先にロッカールームに行った入華を待たせるのも悪い。みちるは踵を返して、足早にスタジアムに向かった。
◆ ◆ ◆
「どういうこと、これ……?」
トレーニングが終わり、コーチやドルフィンの帰った後ということもあり、スタジアムはわずかな電灯が点いているだけだった。
無人の客席がぐるりとプールを囲んでいる。夜の学校を歩くような気分で、みちるは〈糸〉をたどった。
相変わらず引っ張ってもウンともスンともいわない。だから、やっぱりどこかに引っかかっているのだろう、とアタリを付けていたのだが。
〈糸〉はスタジアムにいくつかある出入口のうち、みちるが歩いてきたのとは別の出入口に続いていた。
「どうして、こんなことが……」
みちるは今日の行動を振り替える。ロッカールームでこのユニフォームに着替え、さっきの廊下を通ってスタジアムへ。それからUMIマシンに乗ってトレーニング、そしてロッカールームに戻ろうとしてユニフォームのほつれに気づいたのだ。
だから、みちるは今日、さっき通った出入口しか使っていない。なのに、なぜか〈糸〉は使っていない出入口へと伸びている。
「…………」
みちるは言い知れぬ恐怖を感じた。吹き抜けになったスタジアム。背中に冷たい風が触れて、不覚にもぶるっと身を震わせてしまった。
「と、兎に角、糸の端を見つけないと」
みちるは糸を足早に歩き出した。
「そういえば、ここってコーチがいつも使っている出入口だったような……」
男性で、しかも歳上であるコーチは気を遣ってなのか、いつもみちるや入華とは別の出入口を使っている。だとすれば──。
「もしかして、コーチの手荷物に糸の端が引っかかっちゃったのかしら?」
糸に気づかずコーチが帰ってしまったせいで、みちるの通っていない廊下にも糸が伸びている。そう考えれば説明はつく。
みちるは頭の中で、スーツ姿のコーチがビキニユニフォームから糸を引いて歩く姿を想像する。なかなかシュールな光景だが、当事者としては笑ってもいられない。
──しゅるしゅるしゅる。
「えっ、なに、これ!?」
突然、糸が引っ張られ始めたのだ。
ここまで来る間に回収した分だけでも、かなりの長さがあったが、それらはあっという間に廊下の奥へ消えてしまった。しかし、糸はまだ高速で引っ張られ続ける。
「きゃっ! ちょ、ちょっと、これ……!」
──しゅるしゅるしゅるッ!
ユニフォームのビキニから直に糸が引っ張られていく。ほつれ目が右へ左へと高速移動し、裁縫の過程を逆再生するかのようにユニフォームのビキニから糸が奪われていく。
「これって、もしかしてかなり〈ヤバい〉状況なんじゃ……!?」
コーチは〈夕凪荘〉からKIRISHIMAまで車で通勤している。もしもコーチが糸に気づかず、車を発進させてしまったら?
その問いに答えるように、ものすごい勢いでユニフォームが糸に還っていく。胸を覆っていたずのビキニは布地を失い、徐々に徐々に包み隠していた豊満なモノを露にしていく。
「マズいッ、マズいわ! すぐにコーチに電話しないと、このままじゃ……!」
──しゅるしゅるしゅるッ!
「くっ」
みちるは回れ右して大急ぎロッカールームへ駆け戻る。糸を引く力と逆方向へ走っているため、さっきまでの倍の勢いでビキニの布地が奪われていく。チラッと見れば、もう上半分がなくなっていた。
アンダーもあるが、それだけでは〈ぶるんぶるんッ〉と揺れるモノを押さえきれない。腕で胸を押さえながら、みちるはロッカールームに駆け込んだ。
「あれ、みちるセンパイ? どうしたんですか、ユニフォームが」
「説明はあとよ! 入華、すぐにコーチに連絡して車を停めるように言って!」
「は、はい!」
何がなんだか、と言いたげな表情のまま入華は電話をかける。ツーコールして電話がつながった。
「あ、コーチですか。運転中にすいません。でも、すぐに車を……はい?」
「どうしたの、入華」
「コーチ、車なんて乗ってないって」
「え?」
変わりますね、と入華から受け取ったスマートフォンを耳に当てる。
『もしもし、都条くんか。どうしたんだ、何か急な用件でも』
「急用は急用なんですけど。コーチ、今どこにいるんです」
『どこって監督に呼ばれて今さっきまで監督室にいたが』
「コーチの手荷物か体に糸はくっついてませんか」『糸? いいや、付いてないが?』
ビキニからは未だに糸が引っ張り続けられている。その勢いは依然として緩まない。
「それじゃ、これは誰が……?」
「ああっ、みちるセンパイ! ユニフォームが!」
「そうなのよ。このままいくと、ビキニの布地が全部糸に──」
「そっちじゃありません、下です、下」
「下?」
入華が必死に指差す先を見ると、ビキニとセットになったパンツからも糸が出ていた。
「ま、またなの?」
まさか、さっきスタジアムに行って戻ってくる時に引っかけてしまったのか。つくづくドジな自分が嫌になりかけて、みちるは〈異常〉に気づいた。
「違うわ! この〈糸〉も〈引っ張られている〉!」
ぴんっと張った糸はロッカールームの扉まで続いている。そして、ゆっくりとではあるが、糸の出ているパンツのほつれ目が右から左へ動いている。布地が奪われていく。
『都条くん、どうしたんだ? 何かあったのか?』
「きょっと緊急事態といいますか……」
「このままじゃ、みちるセンパイがすっぽんぽんにされちゃいます!」
『ぶっ!?』
スマートフォンの向こうでコーチが吹き出した。
『い、いったいそっちはどういう状況なんだ』
「うまく説明できないんですけど、兎に角大変な状況で……」
──しゅるしゅるしゅる。
どう説明したものか悩んでいる間にも、ビキニとパンツから伸びた糸は扉の向こうへ消えていく。ビキニはもう上半分がなくなっており、パンツもお尻の割れ目が顔を覗かせている。
『状況はわからないが、緊急事態なら俺もすぐにそっちに行く』
「わかりました。──入華、コーチに今いる場所を伝えて。走りながら合流するわよ」
電話をつないだままスマートフォンを入華に返し、みちるは再びスタジアムに向かって駆け出す。これで少しは糸にも余裕ができると思ったが甘かった。たわんだ分だけ糸は引かれ、またぴんっと張ってしまう。
(こっちの動きに合わせてきているの?)
糸はどちらもスタジアムを経由して、コーチが使っている出入口へ続いていた。
(ま、マズいわね。これ以上布地がなくなったら……)
布地をほとんど奪われたビキニはもうその役目を果たしていなかった。今のみちるは揺れる胸を腕で抱きかかえるように押さえ、さらに半ケツ状態になりつつあるお尻を手で隠しながら走っている。〈クール〉とはほど遠い格好だ。しかも、糸の終わりはまだ見えない。
(本当にどうなってるの、これ。まるで糸を巻き取られてるみたい)
釣り糸にかかった魚はこんな気分なのだろうか。
糸の先を目でたどると廊下が十字に交わっている所を直進している。その瞬間、十字路を人影が横切った。コーチだ。スマートフォンを手に大急ぎで走ってきたらしい。当然、足下に細い糸が張ってあるなんて気づかず──。
『うおっ!?』
「きゃあっ!?」
ブービートラップよろしく足に糸を引っかけたコーチは盛大に転倒。強引に糸が引っ張られたせいでみちるのビキニとパンツもぐいっと前に引っ張られる。本来の役目を果たせるほどの布地は残っていない。そして何が起きたか。
──ばるるるんッ!
都条みちる、18歳。人生初めての〈もろ出し〉だった。
◆ ◆ ◆
「こ、コーチ、大丈夫ですか! ああっ、みちるセンパイも大変なことに! コーチ、見ちゃダメです、そのまま寝ててください!」
「入華、気持ちはありがたいけど、それじゃコーチが窒息しちゃうわ」
「ああっ、そ、そうでした! すいません!」
入華に目どころか口と鼻まで押さえられていたコーチは解放されるなり「ぷはーっ」と深呼吸した。鼻先がやや赤いのは転倒した時に床にぶつけたからだろう。
「何がどうなっているんだ。まさか君ら二人して俺をブービートラップに引っかけたわけじゃないだろうな」
「違いますよ」
言いながらもコーチは律儀に目をつぶっていた。そのせいですぐ近くに落としたスマートフォンにすら気づいていない。
「ああ、もう! コーチ、いいですから目を開けてください!」
「そうか。あ、あったあった、スマホ……」
「……」
「都条くん、君もしかして、着替えを忘れたのか?」
「違いますよ。そうじゃなくてこれは」
ユニフォームはビキニもパンツもほとんどが糸に還ってしまっていた。今みちるが身に付けているのは黒のアンダーのみといってもいい。
そしてアンダーだからなのだろう、これがまた最低限の布地しかない。上はブラジリアン水着みたいだし、下はほとんどTバックだ。だから、みちるは必死に手で胸と股を隠しているのだが。
「都条くん、非っ常に言いにくことなんだが……」
「みちるセンパイ! それだと何も着ていないみたいですよ!」
「えぇっ!?」
アンダーの上を腕で、いわゆる〈腕ブラ〉で押さえて、下を広げた手の平で隠すと、ちょうどアンダーが見えなくなる。
すると、どうだろう。まるで全裸で恥ずかしいところを手で覆っているような格好になる。図らずとも、みちるは〈安心してください、履いてますよ〉の状態になっていた。
「…………っ!」
理解すると同時にかーっと頬が熱くなる。絶対耳まで赤くなっているし、もう頭から湯気が出そうだった。しかし、事態は待ってくれない。むしろ急を要する。
「そ、そんな……!?」
「どうした、都条くん」
「〈糸〉が……」
──しゅるしゅるしゅる。
アンダーの上と下それぞれから黒い糸が引かれている。
(でも、おかしいわ。さっきまで糸が出ていたのはユニフォームだけだったのに。それにアンダーはユニフォームの下に隠れていたし、何よりどこにも引っかけてはいないはず)
アンダーの上下、それからわずかに残ったユニフォームの上下。合計で四本の糸が、廊下の奥へゆっくりとだが確実に引っ張られている。
「どうなってるんですか、これ」
「俺が聞きたいぐらいだ」
糸を見た入華とコーチが声をあげる。ぴんっと張り詰めた糸。本来なら緊張すべき場面なのだろうが、みちるの中にあったのは緊張や恐怖などではなく〈羞恥心〉の三文字。
このままアンダーまで奪われたら正真正銘、廊下のただ中で素っ裸にされてしまう。
正確には指ぬきグローブやスポーツシューズもあるので完全な裸ではないが……いや、むしろそっちの方が余計に変態チックかもしれない。
それは全然〈クール〉ではないし、何より18歳の乙女として絶対に避けなくてはいけない。
「コーチ、念のため訊きますがハサミは?」
「スーツのポケットに刃物が入ってたら、そいつは不審者だぞ」
要するにないらしい。となれば糸を切ることは諦めて──。
「この糸の先を探ります。裏で糸を引いている相手を見つけて、ガツンと一発やらないと気が済みません」
「裏で糸を引くは暗躍するという意味の慣用句だぞ、都条くん」
「わ、わかってますよ!」
みちるは胸を腕ブラで押さえ、半ケツになりつつあるお尻を後ろ手で隠しながら先を急ぐ。
しかし、糸はどこまでも続いていた。
◆ ◆ ◆
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」
「コーチ、岸辺露伴みたいになってますよ」
しかし、コーチが〈オイオイオイ〉したくなるのも無理はない。
みちるたちはKIRISHIMAのビルの出入口にいた。外に出るための扉だ。時刻は夜七時。生憎の曇り空で星は見えないが、それでも〈空に向かって伸びる糸〉は見えた。
排煙のない〈ワダツミ〉の空は澄んでいて綺麗だった。それこそ満点の星空と〈そこに向かって伸びる糸〉が見えるほどに。
「この糸、空から引っ張られてたっていうことですか?」
「そうなるわね、入華」
今もなお糸は巻き取られ続けている。アンダーがなるなるのも時間の問題だ。屋内であれ屋外であれ、人前で素っ裸になるのは何としても避けなければいけない。
「でも、これじゃ手の打ちようが……」
入華がそう言いかけた時だった。空に何か細い光が走った。
「二人とも伏せろッ!」
「コーチ!?」
叫ぶと同時にコーチが身を盾にしてみちると入華を庇った。
──しゅるしゅるしゅるッ!
その上着から〈糸〉が空に向かって伸びている。その数三本。
「コーチ、見えました!」
ガンナーであるみちるは視力にも自信があった。普段かけているのは伊達メガネで、裸眼でも2.0はある。そうでなくともあそこまで露骨に光を反射していれば誰にでも見える。
「見えたって、いったい何が」
「〈糸〉です! 空から降ってきたのは〈糸〉です。しかもその先に〈釣り針〉がありました!」
「〈釣り針〉って、お魚を釣る時に使うあの?」
「まさにそれよ、入華」
これで謎が解けた。どこにも引っかけていないはずのユニフォームやアンダーから糸が出ていたのは〈釣り針を引っかけられたから〉だ。そこから布地がほつれ、引っ張られるごとに〈糸〉が出ていたのだ。
「でも、空の上から釣りをする人なんているんですか?」
「あるいは釣りを嗜むのは人間だけじゃないのかもしれない……うおっ!」
「コーチ!」
みちると入華の見ている前でコーチの体が浮いた。糸で引っ張り上げられているのだ。まるで映画のワイヤーアクションだが、映画と違って安全性は担保されていない。
「くそッ、高かったんだぞ」
コーチは空中で上着を脱ぎ捨てて着地する。釣られた上着は見る見る高度を上げ、夜空へ消えていった。
「も、もしかしてあの〈糸〉って……」
「人間を〈釣る〉ための……」
だとすればみちるがユニフォームの布地を奪われるに留まっていたのはまだ幸運だったのかもしれない。下手をすればみちる自身が魚のように〈釣られて〉いた。
(けど、このままだと、いずれ……!)
迷っている時間はない。みちるはすぐさま決断した。
「コーチ、ビルに戻ってバスタオルを持ってきてください。入華も一緒に」
「でも、それだとみちるセンパイが」
心配の色を濃くする入華に、みちるは首を振る。
「〈釣り人〉の狙いは私よ。一緒にいたら二人まで巻き込まれるわ」
「だったら、なおさら君をひとりにはできな」
露骨に明後日の方向を見るコーチ。みちるのアンダーは布地のほとんどが糸に還っていた。
「私に考えがあります。けど、それはひとりでないとできないんです」
「……はぁ、わかった。バスタオルだな」
「ありがとうございます、コーチ」
「だが、絶対に危険なことはしないように。それだけは約束してくれ」
「はい、もちろんです」
みちるが頷くと、コーチは入華を連れてKIRISHIMAのビルへ駆け戻っていった。
「よし、これで」
みちるは周囲に目配りする。この時間帯なら人目はほとんどないが、念のためだ。
──しゅるしゅるしゅる
また釣り糸が降ってくる。みちるは跳び退いて、それらを回避。路面に引っかかった釣り針は舗装を剥がして空へ巻き上げられていく。
ずっと避け続けてもいられない。みちるは〈あるもの〉を探した。ここはKIRISHIMAのビルの正面。となれば、探しているものは必ずあるはず。
「……あった」
ちょうど巡回中らしく、無人になった〈あるもの〉の扉を開け、みちるは脱いだアンダーを放り込んだ。
「釣り糸が岩に引っかかるのも釣りの醍醐味よね」
◆ ◆ ◆
「なぁ〈あれ〉について何か知らないか?」
翌日、海津見学園での授業を終えてKIRISHIMAにやってきたみちるは監督から声をかけられた。
「君のコーチや咲宮くんにも尋ねたのだが、首を横に振られてしまって」
言いながら監督はビルの正面を指差した。
マイクを手にした女性やカメラを担いだ男性が詰めかけている。小さな人工島である〈ワダツミ〉は島内でのニュースに敏感だ。それなりに離れていても報道陣の声が聞こえてくる。
「──そして、こちらが〈守衛小屋〉のあった跡地です。ご覧ください。舗装のアスファルトがめくれあがり、地面が露出しています。通電線には力任せに引きち千切られたようになっており、犯行の強引さが伺えます。守衛さんはいつ頃、異変に気づかれたのですか」
「昨晩の9時頃です。巡回に出ていて、ほんの20分〈守衛小屋〉を留守にしていた間にこれです。もう何が何だか」
インタビューはまだ続いていたが、みちるの耳には入ってこなかった。
「…………」
「ネットニュースでは〈守衛小屋泥棒〉と題されて、わずか20分で建屋ひとつを持ち去った手際について様々な憶測が飛び交っている。KIRISHIMAとしてもこのまま問題を放置するわけにはいかない。それで夜遅くまで練習していた君たちに話を聞いているのだが、何か知らないか?」
「…………」
「都条くん?」
「な、何も、知りません……」
みちるは首を振った。同時に心の中で土下座して謝った。
あの夜、みちるが探していた〈あるもの〉とは守衛小屋だ。そこ〈釣り糸〉を引っかけて、諦めさせる。それがみちるの考えた対抗策だった。
海釣りでも岩に針が引っかかって糸がダメになることはあると聞く。だから、それを応用したつもり……だったのだが。
(まさか、守衛小屋ごと〈釣られる〉だなんて)
あの〈釣り人〉はよっぽど強引な性格らしい。とはえい、話して信じてもらえるようなことでもないし、何より──。
(は、裸で夜のKIRISHIMA構内を走り回ってたなんて、言えるわけないじゃない……!)
恥ずかしさに火照ったからだに夜風が気持ちよかったり、スースーするのも新鮮で意外とよかったりもしたが……。
この秘密は墓場までもっていこう、とみちるは心に誓ったのだった。
To Be Continued……
今までエピソードを分割して投稿していましたが、今回趣向を変えて一話完結で投稿してみました。
分割がいい、一話完結がいいなどありましたら、感想欄で教えていたたければ幸いです。今後の投稿の参考にします。
今後の投稿形式について、ちょっと質問です。今までエピソードを分割投稿してきましたが、まとめて一話完結がいいのか読者さんの声を聞きたいです。
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こ、これは……『分割投稿』だとッ!?
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いいや!『一話完結』だッ! 押すね!