「シグマ、何やっとんねん!なに口車にのってんのや!」
「そうよ、来たばかりなのに喧嘩なんかしたっていい事はないわよ?」
エドガーとちょっとした口論をした後。シグマは反省会をさせられていた。
「す、すいません、気が付けば言っていました……。ですが、僕は悪くありません!あいつが、エドガーがノーシュを馬鹿にしたのが悪いんです!」
「だからってあれは……。はぁ……さんざん忠告したのに、お前って奴は……」
とっさの出会いだったから仕方のない部分もある。とはいえ今いるのは外国なので自分達の方がアウェーなのだ。
もっとも、急に煽ってきて平気でいられるかと言われたら内容と精神力次第だろうが。
「どうやら、既にマキナだけじゃなく、ベアトリウスの軍部全員に大火事事件の再調査の事は知れ渡っているようだな」
「そうみたいね」
「なにか、まずいんですか?」
メイがルーカスに質問をする。
「いや、こちらも許可を求めたんだしまずくはないだろう。それに、向こうはシグマ達だけで調査をしているんじゃなく、ノーシュという国全体でやっていると思っているはず。向こうが国全体で調査していると思っているのなら、俺達としては好都合だ。警戒心が分散されるからな。今の事だって国全体だと思っているからこそ手を引いたんだろう」
「国全体って……」
シグマは自分達にしか再調査隊を派遣していないので、ルーカスの言ってる事がなんのことか理解できず、眉をしかめる。
「そりゃ当然、あんた達の先輩よ」
気になっていたら、ランドルフ騎士団長達首都護衛部隊の事をベアトリウスは気にしている、とアリアが答えてくれた。
「だがあいつ……エドガーという男は違うようだ。あいつだけはそんなの知ったこっちゃないみたいだな」
「あのエドガーっていう奴は礼儀がない奴やなぁ。見た目はシグマやわいやルーカスとそこまで年齢が変わらないっぽいけど……」
「俺もエドガーなんていう男がベアトリウスの軍人になっているなんて、今ので初めて知った。マキナ以外の軍人……アイカも含めればネールも含めて5人知れたのは良い事だ。これを知れただけでも俺はダグラスに来た意味があったと思う」
「ええ、それにあのエドガーっていう男はここが故郷みたいだから、例えいなくなったとしてもここにいる間は意識しないとね」
ベアトリウス人でも、エドガーという男が自国の軍人になっているという情報はあまり知れ渡ってはいないようだ。マルクが言うように、シグマのように若い顔立ちをしていると言った所から察するに、彼も成人して入って間もないのだろう。階級がどこまでかはわからないが。
マキナがいるから一定の安心はある。が、これでベアトリウス内では自分達の再調査に協力するつもりはない、否定的な人間がいる事が知れた。この事はシグマ達にとって予想出来ていた事であったが、相手がエドガーのような人間だと知ると話は少し違ってくる。嫌がらせを考えないといけないからだ。今はあのベリアルという男が今日で会ったようにまともである事を祈るしかない……。
「……」
「さっ、調査を始めましょう」
「ノーシュの町でやった事をそのまますればええんや、さっきの事があったばかりなんやから、落ち着いてやるんやで」
「わ、わかってます……」
「(ちょっと心配かな……)」
ダグラスに来て早々、暗雲が立ち込める。まだ、大火事事件について一般人に話しかけていないのに、だ。
シグマとその協力者達は、やはりベアトリウスでは何かがあると心の中で思いながら、少しずつ前に進もうとしていた。
「すいませーん、ノーシュの者です。大火事事件の再調査をしておりまして、ご協力をお願いしているんですけどー」
ダグラスでの聞き込み調査が始まった。しかし、当初の予定どうり、犯罪者の事もあって、自分達に話してくれる人の数は今までめぐってきた街の中で一番少なかった。
「誰に話しかけてきてるんだお前ぇー!俺が誰だかわかってんのかゴルァ!」
ダグラスの住人は殆どこんな感じだった。
この町に住んでる人達も、自分達調査隊の事は気にはなっているようで、そういう人達は比較的穏やかに話しかけてくれた。大火事事件の事も、知っている人は知っていて、大変嬉しいなと思った。
うろついている犯罪者達を警戒しながらなので、いつもどこか追い詰められているような、汗をかいているが。
「え?大火事事件?……へぇ、そういう事がノーシュであったんだ。ああ、うん、あたし知らないよ。ごめんごめん!ダグラスや首都のアギスバベルにも行った?すごいガチじゃん!まぁうん、でもあたしは知らないからね。ごめんね~じゃあね~」
ダグラスでの調査は、大火事事件については知らないと一言だけで終わる人もそりゃあいたが、なんでそういう事をしているのか、どこまでやっているのか、自分達がやっている事に対して興味を持ってくれる人が多かった。
これはダグラスがベアトリウスの南で、外部からの情報が届きにくいという地理的状況が関係していると思うが、それでも、シグマが折れずに大抵の住民に大火事事件について聞く事が出来、無事に調査を終えれた事は幸いだった。
「十二年前の大火事事件の事が知りたいぃ?」
一番有用だったのは、ダグラスで一番年をとっているとあるおじいさんの話だった。
「そりゃあ当時の事は知っているよ。今より各地に色々出向いていたしな。でもなぁ……当時のわしに言ってほしいんじゃよ。わしはずっとわしまで調査が来ると思っとったぞ。なぜ今なんじゃ。昔のノーシュはこんな事しないはずだったんじゃがのう……」
このおじいさんが言っているのは間違いなくランドルフ騎士団長達の事である。若い世代は大火事事件の事について知らないのは当然で、シグマ達も今まで若い人には意識的に話しかけてこなかった。だから、終わる時はあっという間に町での調査が終わるのだ。その老人達でさえ知らないという人間が大半なのだから、どれだけ調査が難航しているのか、シグマは嫌というほど感じる。
「申し訳ないんじゃが、わしも大火事事件の事はよく知らないのじゃ。すまんな」
おじいさんはそう言って、シグマ達と別れた。
「お前達のような人間にたまに会うからの、その重要性も偶然性も知っておる。だからこそ言わせてもらうが……逃した犯人を捕まえるのなら、もっと残忍に行け。住・ん・で・い・る・住・民・が・と・ん・で・も・な・い・犯・罪・を・犯・し・て・い・る・、・な・ん・て・知・り・た・く・な・い・か・ら・の・ぅ・」
しかし別れ際に、意味深な事をつぶやいた。
ダグラスが生まれ故郷だというおじいさんがいうと中々説得力があった。
「……はぁ……」
調査は一日中徹底的に行われた。だが結局、結果的には全滅。犯人の手掛かりは見つけられなかった。
まぁこんなわかりやすい場所に犯人はいないだろうとは思っていたが、それでも怪しい何かは見つけたかった。シグマは次どこにいけばいいのかという気持ちでため息が出る。
「う~ん……」
「ダメやったか……」
マルクもアリアも、ここにいないとなると……と頭をひねり考え込む。ダグラスは場所が場所なので色々言われる事が多い。決して平和な所じゃないのだ。何かを調べるなら行った方がいい所だし、現にシグマ達以外の何人ものベアトリウス人が足を運んできた記録がある。なのに何もなかった。この事実は、シグマにとって素直にショックだった。
「……」
そんなシグマ達を、遠くから見つめる謎の若い男が一人。しかし、当然、遠くにいるシグマ達は存在に気づかなかった。
「——こうなってくるとしんどくなってくるでぇ?かなり探すのが難しくなる。まぁ範囲が絞れたとも言えるけど」
ベアトリウスの中で、一番有用な町がチェックされ、それがなし、と判断された。この結果は、調査の仕方を改めるのに十分な情報だった。つい先日酒場で会議をしたばかりではあるのだが。
「俺としては、犯罪者達が皆から言われている通りの人達で助かったけどな。そりゃこの中にはいないよなという感じで」
ダグラスでうろついている犯罪者達は、大火事事件当時、牢屋に入っていた人達も多いので、必然的にアリバイがある。なので、怪しい人物候補には上がっても、肝心な大火事事件の犯人には程遠かった。それでも、あの大火事事件はベアトリウスでもよく知られた事件なので、話しかける意味はあった。
「でもここで有用な情報がないとくると……」
「あそこに行くしかないわね……」
「あそこ?」
アリアが言った言葉に、メイが食いつく。あそことはいったいなんなのか。
「アレスハデス監獄所……」
「どういう所なんですか、そこは……?」
マイニィが、淡々と質問をする。
「この町の犯罪者達を始め、ベアトリウス中の犯罪者が収容されている刑務所よ。丁度ここから北にある。ルンバ方面にあるの。近くまで行った事があるなら看板があるはずだから、ああ、あそこかってわかるはず」
「いや、わかりません……」
「わい達は線路に沿って城下町まで来た。西からここには来てへん」
アレスハデスはノーシュの国境からそう遠くない。もちろん、ベアトリウスの首都アギスバベルからも。しかしこれはあくまで犯罪者を集めやすい土地に過ぎない。人がたくさんいて、集めやすくもあり、それでいてなおかつ人があまりいないウェイジー地帯の場所にアレスハデス監獄所はあるのだ。なので、西からやってきたシグマ達は必然的に行ってはいなくても、アリア達首都住みから見れば、通ってきた事になる。
「列車の事でマキナと出会ったから、近くまでいたのは確かみたいね」
なるほどな、と納得するノーシュ組。
「その監獄所はそんなに有名なんですか?」
シグマが気になって質問する。
「有名も何も、アレスハデス監獄所から一番近い町がこのダグラスなのよ?あそこと行き来してるこの町の犯罪者は何人かいるはずよ」
「かなり厳重な警備らしいで。刑罰も厳しく、あそこで更生できなかった奴は知らんというのがベアトリウスの方針や」
「まぁ、ダグラスが若干無法地帯なのはそういう理由だな」
「こ、怖い……」
情報屋のマルクがノーシュ人なのに知っているのは当然として、アリアもルーカスも、流石ベアトリウス人という感じの事を言ってくる。シグマは(もちろんメイも)流石にベアトリウスの地名まで事細かに(ランドルフ達から教えられて)覚えているわけじゃないので(特にシグマは城の中で育ったため)、比較的ノーシュから近い場所にあるアレスハデスであっても、その存在はわからなかった。
「人殺しとか泥棒とか、犯罪にも色々な種類、色々な事情があるでしょ?だから大火事事件の場合、犯罪者の方が、有用そうな情報が集められるんじゃないかと思ってね。このダグラスよりもっと危険だけどね」
「いうて集められるか?絶対に変に思われるやん」
マルクが冷静に意見を言う。
「大火事事件の犯人が名乗ってくれないんだからしょうがないでしょ。大体隠れている人を探し当てるっていうのに、普通に調べてどうすんのよ?」
「いくら極悪犯罪者ばかり集められてるって言うても、可能性は低そうやんか。今さっきやった聞き込みで分かった事やろ?」
犯罪者仲間情報に、大火事事件の事が入っているか否か。ようはそういう事だ。それを頼りにしてるのもなんだかなぁとマルクは言いたいのだ。
「それでも事件を解決させたいなら行くしかないわ。この国で徹底的に調べるっていう事はこういう事よ」
ノーシュでの再調査も事前にランドルフから言われていた通り、一度自分達がやったからあまり有用な情報はないと思うと言われ、実際その通りだった。犯人はベアトリウス方面に逃げたというのもあくまでランドルフ達が目聞きした事に過ぎない。たとえ当時追いかけても、肝心の犯人は静かになるまでどこかに隠れていた事だろう。それがわかったからランドルフ達は追いかけずに戻って来たのだ。なので、ベアトリウスでも普通の町を探しても有用な情報はないと思った方がいいのだ。
「シグマ……」
メイは心配しながら、シグマが話し出すのを待っていた。
「……うん。——僕はアレスハデス監獄所に行こうと思う!」
シグマのこの宣言は、少しばかりだが調査隊全体の士気を上げた。今まで本人が一番落ち込んでいたからである。
「……?シグマ、お前アレスハデスに行くのか?」
「え?ええ……そのつもりですけど……」
マキナはシグマの大声で耳に入ったのか、数メートル離れた場所で近くの住民とアイカで話していたのにシグマの声を聞いてこっちに移動してきた。
「はっ、お前にあの監獄所に行く甲斐性があるとは思わなかったぜ」
余計な奴もついてきたが。いや、最初から近くにいたのか。
「なんだとぉ!?」
「まてまて落ち着け」
「エドガー、お前はまたそうやって……」
「なんだよ?俺が悪いってのか?俺の近くでどこに行くのかの話をして、ベアトリウスの地名を聞くたびに一喜一憂してるのはそっちじゃねえかよ。成人してるんだろ?行きたいなら案内板見て黙って行けよ」
「……」
エドガーの言う事も一理ある。ちょっと馬鹿真面目だったかもしれない。だが、エドガーに聞いてもらう距離で作戦会議などした覚えはない。
いつのまにかいたのが理解できず、腹が立つ。
「実をいうと、私もあの監獄所にはいずれ仕事で行く予定があってな。お前達でよければこのままこのダグラスに来たように連れて行ってやってもいいぞ」
「へっ、お守もりかよ。ガキじゃねえんだからよ。マキナ先輩は人に優しくていいっすねー。俺も見習いたいですわぁ」
イラァッ。
「——ただし!このダグラスの【治安向上】に協力してくれたら、の話だがな!」
「……」
どうやらマキナはエドガーの発言を聞いて咄嗟に提案を変えたようだ。
お前がそう言うならこれでいいだろ、という感じ。マキナの方が先輩な分やはり上手だ。現場をこなした数が違うとすぐにわかる。
シグマはマキナの態度を見て、やらないと例えお願いしたとしても行かせてはくれないだろうなと思い落胆した。
「お前もそれでいいな?ベリアル」
「……ああ」
マキナはエドガーと言えばベリアルだ、みたいに当然のように後ろにいる保護者代わりのベリアルにも確認の質問をした。面倒だなと思いながら。
この面倒くささがあるから、エドガーはベアトリウス軍人内で半ば放置状態にあっている。マキナの場合普段の仕事が忙しいため常に余裕がないのも関係している。
「このダグラスがあんたら軍人がいる分安全なのは間違いないけど、治安向上って具体的になにするねん」
今のうちに少しでも町を良くしていたいという提案には賛成だ、とマルクが少し乗り気でマキナに話しかける。
「見てわからないか?ゴミ拾いや人員の対応だ。落ち込んだり倒れこんだりしている人がたくさんいるだろう。木造建築の家だってよく壊れている」
「おいちょっとまて、それら全部対応しろってか?わいは家の直し方なんてわからんぞ」
聞いてみたら、小さい事、種類もいくつかある事をやれと言われたので思ったよりも本格的でマルクは少し参ってしまったた。
「そこまでやれとは言わん。しかし専門家が来てくれない場所だからな、自分達でやるしかないんだよ。ましてや、わざわざこんな場所に来る物好きがいたら、手伝ってくれぐらい言うだろ?もしまだお前達がそういう事を聞いていないなら、ただ住民から気を使われているだけだ」
「……」
言われて、改めてダグラスの風景を見渡してみるシグマ達。自分達の事を見ている住民達は、なぜかほぼ全員決まって、何かしてくれないかなぁと思っているような、期待している視線を向けていた。
というより、普段の生活のちょっとした事を本当にやってほしいだけなのだろう。間の時間に趣味や休憩をしたいだけなのだ。
「もちろんただとは言わん。やってくれたら報酬はいくらか払おう。ダグラスの治安向上は長年ベアトリウスの国家繁栄プロジェクトの中の1つでな、ベアトリウス人なら誰でもしている事をお前達もやってくれと言っているだけだ」
「……」
シグマ達は、マキナが何を言っているのかを理解して、大火事事件の調査は駄目だったし、ついでならやるか……と消極的賛成をした。
しかしマルクは、思わぬ報酬に喜び、一人明るく笑顔になっていた。ああいう存在が自分達側に一人でもいるというのはシグマ達にとってありがたい話だった。
サボりとか嫌々やっている、とか思われにくいから。
「ちぇっ、めんどくせー」
「嫌々やるな。マキナに言いつけるぞ」
「……わかりましたよベリアル師匠」
自分の故郷なのにこのモチベーションの低さは問題だな、とベリアルはエドガーを見てて思った。
といっても面倒くさいのは本当なのだろう。真面目な顔をしてやっても、初めてダグラスに来たノーシュの奴らより作業が遅い。
ちょっとした掃除や壁塗りでなんでこんな時間が掛かるんだ?とベリアルは思っていた。
「——ああ、そうだったんですか!どうりで……」
「……」
エドガーがシグマ達の方を見る。どうやらシグマ達は壊れた家に住む住民になんで壊れたのかを聞いているようで、魔物と、飼っているペットの猫のせいだと言われた。
野生の猫を保護し、ついでにネズミ退治をやってもらっていたらしいが、爪とぎとして引っ掻いた木々はそのまま腐る事が多いという。
調べてみると猫の爪から鉄の匂いがして、それが原因だという事がわかる。
シグマ達は家の水ではなかなか落ちない猫を入念に洗いながら、この猫はどこ生まれなんだろうと思っていた。
ベリアルはエドガーにお前もあんな風に出来ればいいんだがな、と言おうとした。しかし言わなかった。
エドガーが小さい声で【なんであいつにはあんなに仲間が囲まれているんだ……】とつぶやいたからだ。
「……」
自分でシグマ達に言った通り、エドガーはこのダグラス出身である。荒れ果てて、単純に住みにくいこのダグラスが彼の故郷だ。
ベリアルは、エドガーが必死の思いで軍人になって、豪華食事をバクバク食べ、まともな寝室でぐっすり寝るのをみて、本当にあの程度の暮らしを純粋に求めていたのかと驚いたのだ。ベリアルはエドガーを見て、怒らなくて良かったなと心底思った。
環境の違い。それは生まれ場所が違うだけだから仕方のない事だ。しかし、手を伸ばし、つかめそうな距離にあるのに届かないのはもどかしく悔しい物だ。
運がいいだけのくせに。自分だって同じなのに。そういう負の感情を、ベリアルは前にいるエドガーからひしひし感じていた。
シグマ達はというと、男達は人員対応、女達はゴミ拾いと奇麗に別れていた。といっても、目の前にあるちょっとした物は人だろうと物だろうと対応したが。
マルクやルーカスが道端で倒れている男を二人で肩に担いで運んでいる時、ふと視界にゴミが放り投げてきたのを確認した。
投げた方向を見ると、そこにはエドガーがいた。
「……へっ、後は頼んだぜ」
「……」
シグマはサボりかと思ったが、服がかなりよごれているのでそれなりに仕事はしたんだろうなと思う。
こういう時頼ったりすればいいのに、とことん自分達と交わらない奴だなと思った。自分もあいつに話しかけようだなんて思わないが。
「それぐらい自分で入れなよ」
何か言わないといけないだろうと思って、シグマは咄嗟にエドガーに話しかけた。
「あ?……やだよ面倒くさい」
「自分の故郷だろ?」
「こんな所好きだとでも思ってんのか?」
「……」
しかしエドガーは出会った時と何ら変わらない憎たらしい態度をとっていた。
「……そもそもなんで外国人であるお前らがベアトリウス内の町の手伝いなんかなんかしてるんだよ。調査が終わったらさっさと次の町に行けよ。鬱陶しい」
ただの愚痴だったのだろう。聞こえないと思っていたエドガーは、近くにいたシグマを怒らせた。
「——それはこっちのセリフだろ!マキナさんがただで連れて行ってくれそうだったのにお前が変な事言ったからこうなってるんじゃないか!」
どっちが悪いと思っているんだ。二人はどんどんヒートアップしていく。
「うるせぇバーカ!こっちはさっさと修行してぇんだよ!行きたいなら勝手に行けって、何度も言わせるんじゃねえ!」
「ばっ!?……ああ、そうですか!ならお好きに!」
「「ふんっ!」」
「……とことん相性が悪いみたいやな、あの二人」
「ああ。だが、確認できただけでも良かっただろ。戦闘中とかだったらうまく連携とれずに足手まといの原因になっていたかもしれんぞ」
「それを否定できんのが、今のシグマの辛い所やな……」
「……」
あんな汚い喋り方をする奴と初めて出会ったシグマは、言い負けないようになんとか振るまう。
しかし向こうは一方的に言った後ベリアルと共に宿屋に戻ってしまった。
「……」
エドガーをなんとか働かせるために咄嗟に言った事なので、シグマを腹立たせるわけにはいかないか、とマキナはこの辺で良いかと決断した。
「もう十分だ。シグマ、アレスハデス監獄所に行きたいならついて行ってやろう」
「!本当ですか、ありがとうございます!」
「……」
協力者の何人かはようやくかと思っていた。治安向上は別に苦じゃないが、そうじゃないだろうとは思っていたから。
マキナも大変だなと同情しないわけじゃない。が、とにかく前へと進んでほっとするシグマ達だった。
約束のリアライズをどう思いますか?
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面白い
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面白くない
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作家視点でやるなと思ってみてる
-
その他