指摘され、一体何処が悪いのか、其処が分かりずらい
と言った所を探し自分の出来る限りの直しを入れました。
「横島クンッ!目を覚ましてちょうだい!」
「横島さん!死なないで!」
二人の女性の声で横島忠夫は僅かに意識を取り戻した。
そんな横島に気付いたのか二人の女性―美神令子と氷室おキヌは横島に駆け寄ってきた。
「横島くん、大丈夫!?もうすぐ小竜姫達が来るわッ!」
「そうですよッ!小竜姫さまや冥子さん達が来てくれます、それまでッ!」
美神とおキヌの二人は目じりに涙をため必死に呼びかける。そんな二人を少しでも安心させようと声を出そうとする横島だが、喉が潰れているのか掠れた音しか出なかった。
「ッ!ダメよ喋ったらッ!お願いだからじっとしていて!」
今の横島はある筈の左腕がもぎ取られ、両足はあらゆ方向に曲がり、左目も潰れ…喉が焼かれ炭化と化し……致死量を超えた血を流し瀕死の状態であった。
そんな状態で喋ろうとする横島を止めるのは当たり前のことだと言えよう。
美神によって、喋る事は止めた横島だがいきなりに血の塊を吐き出した。美神とおキヌは青く染まってた顔を更に青くしある筈のない物の名を叫ぶ。
「くッ!こんな時に文珠があれば!」
―文珠
霊力を凝縮しキーワードで一定の特性を持たせて解凍する技。
有史以来、横島含め数人しか発現しなかったとされる。
文珠を使えば例え瀕死であろうが生きていればどうな怪我も治せる…が今、 文珠は一つもない…いや、無くなったと言った方が正しいだろう。
元々、文珠のストックは数個あり、つい数十分前には確かに存在していた。
たった数十分の間に一体何があったのか…
襲われたのだ。
横島達…厳密には横島を狙った魔族にだ。理由なんて幾らでもあった。
“神界・魔界・人界の三界の英雄
“人界の切り札”
“魔神殺し”
“文珠使い”
……様々な称号が先の大戦で横島に付いた者である。その中でも“魔神殺し”が今回の事件の元凶といえる。
魔神…魔の神と呼ばれる最上級魔族。
到底人には打倒されることのない存在であるが、そんな魔神を複数とはいえ
倒したのは横島達であり、魔神アシュタロスにトドメを刺したのが横島である。魔族は弱肉強食で力の強い者が弱き者を従えさせる。肉体的にも精神的にも魔族より劣る人間を見下すプライドの高い種族……
そんな弱肉強食の世界で生きる魔族が文珠が使えると言えど自分等より劣る人間の横島を野放しにする訳がなく数多の魔族が横島の命を狙ってきた。
最初は、単体の下級魔族が、次は複数の下級魔族、そのまた次は下級魔族と
中級魔族が複数………一流の霊能力者なら下級魔族なら倒すことが出来るかもしれないが複数になると話は別である。その上、中級魔族も加われば一流であろうと倒すことも逃げることも叶わない……けど、横島も含め令子やおキヌ…その仲間たちは一流ではなく超一流。中級魔族など敵ではない。現に横島と共に居た者達は下級、中級魔族を難なく倒し生き延びている 。
……しかし、今回は違った。
下級魔族の姿は見られず、中級魔族が数体と上級魔族が数体が街中で襲ってきた。
不意打ちという形でありながら…そこはやはり、横島と一緒に魔神…アシュタロスを倒した強者たち、横島はサイキック・ソーサー、ハンズ・オブ・グローリーそして文珠を使い、美神は神通棍とお札で、おキヌはネクロマンサーの笛を使い応戦し押されぎみだったが着実にその数を減らしていた。残り一体という所で最悪な事態が起こった…………
母親とはぐれたのか一人の子供の泣き声が横島達と魔族の耳に届いた。
その声を聞いた魔族はその場の誰よりも速く反応し、あろうことか、魔族は横島や美神じゃなく子供にすぐさま攻撃を放った。
子供を見殺しに出来る筈もなく、横島は子供と魔族の間に立ちサイキック・ソーサーで攻撃を防ぐことに成功したが追い討ちをかけるかの様に更に二発の攻撃を魔族は放った。
最初の攻撃の防いだサイキック・ソーサーは二発目で左腕と共に吹き飛ぶ、
三発目が横島に直撃した……
左目は吹き飛んだコンクリートの破片が直撃し潰れ、両足は攻撃の余波で折り曲がり、高熱を帯びた攻撃で喉は炭化し体中から血が吹き出た。
常人なら即死か意識を保ってなれないだろう横島は最後の力を振り絞り残り最後の文珠に〈癒〉ではなく〈滅〉の一文字をいれ、背を向けて逃げる上級魔族に投げ魔族は呆気なく消滅した。
子供を守れた安心か敵を倒した安堵なのかは分からないが横島はそのまま意識を失ってしまった。
そして、美神とおキヌの必死の呼び掛けにより意識を取り戻した横島だった。
「美神さん!小竜姫さま達と冥子さん達がもうすぐ来るそうですッ!」
「分かったわッ!おキヌちゃんはそれまで横島クンにヒーリングを使って少しでも傷を治してッ!無いよりはマシよッ!!」
「はいッ!!」
了承ともにすぐさま横島の隣に座り手を添えた。すると手の平から緑色のあわい光が溢れ出した。ヒーリングを使っている証拠だ。
……しかし、おキヌは本来ネクロマンサーでヒーリングを、使えるも掠り傷や打撲程度しか治せない…横島の怪我は誰が見ても掠り傷、打撲なんかとは比べ物にならない程酷い…
治せる筈がない…筈がないのにそれでもヒーリングをかけ続けるのは横島に死んでほしくない一心だからだった。
神族の小竜姫と日本屈指の式神使いの
六道冥子が来るまでなんとしても生かすため。小竜姫と冥子は神通力、式神十二神が一神ショウトラによる高い治療能力でなければ横島の怪我は治すことは出来ない。あと、数分もすれば高い治癒能力を持つ者たちがやってる。
それまで、横島の命が持つかどうかで
ある。
「ッ!? そんな、ダメッ! お願い治って、治ってよッ!! 」
ヒーリングを休まずかけているにも、
微かに上下していた胸は次第に小さくなっていっていく。おキヌは必死ヒーリングをかけ続ける。それでも、弱くなる呼吸、それに美神も気付いたのか
小竜姫や冥子達が来るのを待っていた美神は急いで横島の側に駆け寄った。
「横島クン! 横島クン! ダメよッ! 目を開けなさい!死んじゃダメ、まだ 好きだって言ってないのに!」
その言葉におキヌは若干驚きと戸惑いの表情を見せた。
この場に、美神令子を良く知るものが
居ればおキヌ同様驚いていただろう。
確かに美神は横島に好意を覚えていた 。横島以外の他の皆もそれを分かっていた…だからこそなのだ。
美神は横島が他の女をナンパしたり、
仲良くしていると制裁と言い訳し殴る蹴る…しまいには神通棍でしばき倒す
といった手段に出てしまう…しかし、
これらは横島に対しての嫉妬から来るものであったのだ。
例えばある時、横島が美神に好きと言った事があった。(上司として)
その時、美神は顔を赤く染め神通棍を
横島の頭に振り切っていた。
様するに…照れ隠しがヘタな乙女と言うことだ。
そういった場面は何回もあり、皆もそれを呆れながら見ていた。だからこそ
今の美神の言葉に驚きを隠せなかった。
「ちょっ! 美神さんこんな時に何言ってるんですかッ!! …………私だって横島さんのこと」
「う、うるさいわねッ! こんな時だからよッ!邪魔しないでッ!」
「邪魔しますよ! 時と場合を考えて下さいッ!横島さんが死にそうなんですよッ!」
「だからよ! こんな切羽詰まった状況じゃなきゃ言えないのよ!」
「貴女って人はッ! こんな時じゃないと告白出来ないんですか!?」
醜い…小竜姫やワルキューレが居たら
美神とおキヌのやり取りをそう言うだろう。というより、誰でもそう言うだろう。
すっかり、存在を忘れられてる横島というと……
「(だ…誰か助け……て)」
美神の言葉に驚きヒーリングを止めてしまた為、唯でさえ弱っていた心拍は
直ぐにでもその動きをやめてしまいそうだった。
それに気付かない美神とおキヌは醜いやり取りはその後数分後…小竜姫達が来るまで続いていた。
その数分間、おキヌが横島にヒーリングをかけ続けていたら小竜姫や冥子達が来るまで辛うじて生きていたかもしれなかった。が、時すでに遅し。
“人界の切り札”
“魔神殺し”
と名だたる称号をもった横島忠夫は
誰にも気付かれず逝ってしまった。
享年二三年の若き歳でこの世を去った。誰にも気付かれずに………
横島忠夫憐れなり。
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