睡魔や疲労で中々執筆が進まなくてなんとか書き終わりました。
「うぅ……朝から…非道い目にあった…」
一人机に潰れる横島の顔には痛々しい傷がついてた。その傷は春恋の胸に顔を埋めていた為、付いた傷であった。
要するに横島の自業自得である。
「もうっ……悪かったってば…昨日はあまり寝つけなかったし忠夫が一人ロフトだから心配で……」
一方傷をつけた張本人は申し訳なさそうにしていた。しかしこれは横島の寝床で寝ていたことに対する謝罪で決して胸のことではない。
「寝ボケてそのまま上で寝ちゃったみたいね……」
食事の準備をしながら、朝の事を思い出す。
「私は忠夫様が寂しいかと思いまして」
春恋の隣で同じく食事の準備をするイナホは堂々と本音をぶちまける。
「 ってか、イナホちゃんも居たんだ…全然分からんかった」
横島の言う通り。横島の寝床にいたのは春恋の他にイナホも居たのだ。しかも此方は忍び込んでいたらしい。
「(はぁ……イナホちゃんも居たんだったら…イナホちゃんの胸にしとけば良かった…)」
春恋に痛めつけられても反省の色が無い横島……確かに、イナホの場合だったら結果は変わっていたかも知れないが…いや、結局春恋にバレ折檻を受ける事には代わりない。
「それに昨日は荷物運ぶのでバタバタしてたし………」
「バタバタって……動いてたの殆んど俺だけやないか!」
涙を流し恨めしそうに春恋を見る。
実に言われ昨日の内に寮に自分等の荷物を運ぼうとしたら…コダマに自分等の荷物も運べと言われた。勿論、その事を拒否しようとしたが……コダマの色仕掛けにより横島は喜んでコダマ達三人の荷物を運んでいた。
「で、でも、忠夫も忠夫よ? 姫神さんの色仕掛けで喜んで運んでたじゃない…」
「うぅっ」
春恋の言い分に唸り声しか上がらない横島にトドメを刺すようにもう一言付け足す。
「止めようとしたけど…忠夫凄い早さで荷物運んでたから声掛けられなかったのよ…」
自身の高い身体能力を駆使し目にも止まらない早さで寮と荷物を行き来していた横島には春恋の声は聞こえず一人横島を応援してたイナホの声しか聞こえていなかった…
もう何も言えなくなった横島は大人しく朝ごはんが出来るのを待つことにしようとしたが…一つの考えが浮かぶ。
「(コダマちゃんは今もなお寝ている……ハルコちゃん達にばれず寝室に行けたら…コダマちゃんの寝姿を見れるのでは!?)」
この男には性欲しかないのか…
朝あれだけ折檻されていたのに、また同じようにバレって折檻されるだけなのだが懲りない男である。
「……トイレ行こーと…」
春恋とイナホの目を盗みながら適当の理由をつけ、席を立つ横島。
泥棒の様に抜き足忍び足となんとも怪しい動きで移動する横島に気付かない訳がなく…
「忠夫…姫神さんの所に行かないように…ね?」
包丁を持ちながら此方を見る春恋は眉間にシワを寄せ怖い顔で見る。
幼い頃から横島の行動を見てきた春恋はすぐさま嘘を見抜き釘を刺す。
しかし、横島はこんな事では諦めない。
「な、何を言ってるんだ…と、トイレだよ!」
「そう……あ、イナホちゃん悪いんだけど姫神さんを起こして貰える?」
イナホの方を向き先程の怖い表情から笑みを浮かべ優しげな表情で頼み事をする。
「はいっ! おまかせあれっ! 起こすのは得意なんですっ!」
快く了承したイナホはちょんど切り終わった食材を春恋に渡し扉に向かう。
そんなやり取りを見ていた横島は流石に無理だと悟り、涙を流す思いで諦め脱力しながら椅子に座る。それをしっかり見ていた春恋はやっと安心し、調理に戻った。
「(まったく! 忠夫は本当にどうしようもないんだからっ! ……そういえば………昨日は聞きそびれたけど忠夫と知り合いだったみたいだし……忠夫との関係とか…聞きたい…)」
コダマを起こしに行くイナホの背中を見て昨日聞こうと思っていたことを思い出すと同時に不安に駆られる。
もし…自分が考えている関係だったらどうしようか、自分以上に横島に好かれていたら……と不安が募っていく一方だ。
不安をよそに誰かが扉を開けた。
「ん~まったく……先程からガヤガヤと……朝っぱらから騒がしくて敵わん……」
入ってきたのはコダマ。
眠そうに欠伸をし、迷惑そうな顔で文句を言う。
「あっ…オハヨーです。コダマ先輩っ」
文句を気にする事なく挨拶をするイナホと挨拶を返すコダマ。
イナホの後ろには顔をトマトのように真っ赤にし、大口を開けコダマを見ている春恋の姿が。
「姫神さんっ! 下っ! 下っ!!」
今だに寝ぼけているのか一向に自身の格好に気付こうとしないコダマに痺れを切らし注意する。
「むっ? …………む~むむっ!!?」
最初は何の事か分からなかったが、横島の食い入るように見てくる視線を追いやっと自分の格好を把握する。
彼女の格好は露出が高く下着がはっきりと見えてしまう程透けている、とってもアダルティな寝巻きを着ていた。
「…黒のレース…き、際どい! ……はっ! しまった余りのエロさについ口にッ!」
愚かすぎる……
言わなくても血走った目と鼻から垂れてる鼻血でどのみち何を考えているのか一目瞭然だ。
コダマは黙りこむ。次第に体が怒りに震えていく。気のせいかコダマの周りの空気が怒りで歪んで見える……
「な、なんという事じゃ…一度ならず二度までも……おヌシの不浄の眼ワシが清めておこうか……」
横島がコダマの下着を見たのはこれで二回目である。最初は入学当初…つまり昨日。そして二回目は今日…今現在進行形で見られてる。
最初は横島の胸元のアザを見て怒りを忘れそのまま見逃したが、今回は流石にそうは行かないらしい。
「ま、待ったッ! 流石にそれはアカン! 確かに見たのは悪かったけどこれは事故だ! 」
言葉通り清めようと…目潰しの構えを取るコダマに横島は必死に言い訳をする。
「事故じゃと…?昨日のもか?」
今すぐにも感情に任せ、横島に腕を奮いたいが横島の言い分を聞くため腕をおろす。それを見た横島はほっと少し安心する。
「そうだ! 昨日のも、今日のも不幸が重なった悲しい事故だ! ………だ、だから…ゆ、許して欲しい~なって?」
なんとも情けない事を言い、許しを請う。それを聞いた彼女はおろしていた手を再度振り上げ………降りおろす。
「ふ、不幸で唇を奪われてたまるかっ!」
キスをされた上、下着を二回も見られたコダマは横島の言う不幸で納得いくわけもなかった…それどころか怒りを大きくしただけであった。
「ですよねっ! ……ぎゃあぁぁ!!」
朝から二回も折檻を受けるはめになった横島は春恋とイナホが止めるまで折檻は続いた。
×××
「ワシの艶姿を拝めたのじゃ、光を失って釣りがくるわっ……って!」
春恋とイナホに止められ、仕方なく止め自室に向かい着替え終えたコダマは朝食をとってた。
「聞いておるのかおヌシはっ!?」
マナー違反だと分かっているが机を勢いよく叩き怒りをぶつける。
「うまい! こらうまい! あ、こっちもうまい!」
怒られてる横島は聞いておらず春恋とイナホが作った料理を味わって食べてるのか疑問に抱くほど口に入れてる。
その光景を呆れながら見ていたコダマは怒る気力も無くし自身も朝食を食べることに戻った。
「忠夫様っ! このおかずイナホが作ったんです! どうですか!?」
自身が作った物が入った小鉢を横島に差し出し、すかさず横島は箸を伸ばし小鉢の中のおかずを取り口に運ぶ。
「おぉ、これもうまい! こんなうまいの久しぶりに食ったよ!」
間をおかず味の感想を述べるとイナホはとっても嬉しそうにしている。
それを見てた春恋は羨ましそうに思う。
「(イナホちゃん…いいな…美味しいって言ってもらって…)」
「この味噌汁も美味しいなぁー!作ったのハルコちゃんだろ?」
「え? ……わ、私が作ったって分かるの!?」
一度も自分が作ったなんて言ってもないに関わらず、春恋が作った物だと見破る横島に嬉しそうに聞き返す。
「何言ってるんだよ。昔何回か作ってくれたじゃんか」
嘘偽りのない言葉に驚愕を通り越して歓喜している春恋に横からちゃちゃを入れてくる者が…
「よかったのぉ…愛しの「忠夫」に誉められて……その上、昔の味を覚えていてもらってのぉ」
悪戯っ子の様にコダマはとっても楽しそうに言う。
「ひっ、姫神さんっ!?」
いきなり横槍を入れてきたコダマに驚くがコダマの言葉を聞いて顔処か耳まで赤く染める春恋は少し怒ったようにも見える。
「それよりよいのか? こんなノンビリしていて……あの時計……四、五十分遅れておるぞ」
これは少しばかり怒らせたか?と思ったコダマは先程から他の皆が知らないだろう事を教える。
「えっ?」
コダマ以外の三人は動かしていた箸が止まり、大口を開け間抜けな声を出していた。
×××
「くっ! 何故ワシまで!!」
「私が同室になったからには……」
春恋と平行して走るコダマとその後ろには元気よく走るイナホ…更に後ろに横島がついてきてる。四人以外に誰も居ない学園までの通学路を全速力で走ってる。
「ハァハァ…遅刻は許しませんっ!!」
その言葉に顔をしかめたコダマは同室に成ったことを少し後悔しながら走り続ける。
「忠夫様大丈夫ですか!?」
フラフラと危なっかしい足取りで脇に手を置きながら走る横島を心配する。
「ハァ…ハァ……食べ過ぎて…わ、脇腹が……痛くて走りづらい!」
朝からおかわりをしまくった横島にとって食べてすぐの運動は堪えたらしく情けなく走ってる。
「我慢してあともう少しだから!……ん?」
「オラァ!! お前たちぃ!! 新年度早々、実ちゃんのハリセンに火を吹かせる気かっ!!?」
校門が見えたと同時にジャージ姿の実が目に入った。実はハリセンを肩に担ぎ愉快そうに大声を出す。実が居ることを知ると尚更遅刻出来ず必至に足を動かす。
「おーしっ!女子三名ギリセーフ!!」
なんとか遅刻ギリギリで春恋達三名が到着した。同時に門が閉じていく。
「ハァハァ…やっと着いた…」
「まったく…朝から走らせないでもらいたい…」
「あっ……忠夫様が」
イナホの呟きに全員横島の方に視線を向ける。 今だに門に向かって走ってるが門は徐々に閉まっていく…誰もが間に合わないと思ったが横島の姿が一瞬にして消え、実を含む四人は驚愕した。
「キャッ! 誰ですか貴方はっ!?」
横島が消えたと同時に後ろから女性の悲鳴が聞こえた。
何事かと四人は後ろを振り向く。
「初めましてっ! 僕、横島忠夫って言います! 生まれる前から愛してましたっ!!」
一人の女性徒に言い寄る横島の姿が…ちゃっかり手も握っている。
その光景にギャグ漫画かと思ってしまう程ずっこけてしまう四人。
「貴方とは初対面ですっ!! それよりも手を離しなさい!!」
「愛は時空を超えるんです!! ぼかー、ぼかーもおっ!!」
無茶苦茶な発言である。
一人勝手に盛り上がってる横島は唇を尖らせ、キスをしようとする横島を黙って見過ごす輩はこの場にはいない。
「何をやってるのよ!?」
「どわあぁぁっ!」
横島は誰かに叩かれ盛大に吹き飛び林の中に突っ込んだ。復活した春恋は持っていた竹刀でお仕置きをする。
「は、ハルコさん……何なんですか今の男性は…」
横島を吹き飛ばした春恋をみた女性徒は目元を引きつかせ横島の事を聞く。
「アハハ…会長」
問われた春恋は横島の事をなんて言って説明しようか困っていた。まさか、自分と同室の男性とは言えるわけもなく…必至に思考をフル回転して考えてると自分の肩を叩く者が…
「春恋先輩この方はどなたですか?」
肩を叩いていたのはイナホであった。
イナホの登場に思わず助かったと思った春恋はイナホに目の前の女性を紹介することにした。
「こちらは天日学園三年の高貴楓蘭さんで統生会の会長を務めてますわ」
紹介されたイナホは会長と聞いて驚いたが春恋の口調が変わったことに驚いていた。
「会長こちら私と同室の櫛八イナホさんですわ」
「あ、よろしくです! 会長さん!」
今度はイナホ自身が紹介され、頭を下げる。
「えぇ、よろしくイナホさん」
「あと……さっきの男性は…横島忠夫さんと言って私の知り合いですわ…」
イナホと楓蘭の紹介してる最中に考えついた横島の紹介をする。教えられた楓蘭は横島が吹き飛んだ林の中を思わず見て、いつまたさっきみたいなナンパ紛いな事をされるか分からないと身の毛がよだつ。一刻も早くこの場から去りたい楓蘭は春恋の手を取る。
「春恋さん、今日は測定の日です! 急ぎますわよっ!!」
「え…あ…は、はい! そ、それでは皆さんご機嫌よー」
逃げるように春恋を連れて何処かに行ってしまった。
横島は今だに林の中から出てくる気配が見られず、心配になったイナホが中に入ろうとしたが実に止められ実は林を指差した。指差した先に人らしき影が見えた。
「いって~…何もあんな強く叩かなくても……」
苦痛の声をあげるが、見る限りでは怪我などしてなく…体に付いた埃を落としながら中から出てくる横島。イナホはすぐさま横島に駆け寄る。
「忠夫様、大丈夫ですか? おケガないですか?」
「あんがと、大丈夫だから」
「ハイ♪」
「ケガないなら早く、教室行きなっ!!」
時間も時間だが、目の前で甘ったるい雰囲気出され腹が立った実は声を張り上げ注意する。
「は、ハイッ!!」
横島はイナホの手を取り、自分等の教室に急いで向かう。
やっと行ったと思い、先程の横島の事を思い出す。
「……私の目でも見えなかった移動速度…竹刀と言えど無傷の耐久力……」
エレメント強化してない素の視力と言え、捉える事の出来ない出鱈目な速さ。
数メートル飛ばされたのに何処も怪我を負ってない高い耐久力。
先日の入学式で行った試合で見せた達人級の構え……
「こりゃあ、ヤバいかな~……アイツ、私より強いかも…」
全く焦った様に見えないが、額には汗をかいていた。
キャラの口調が少し掴みにくいですね。
今回の横島は横島らしいかなと思いますが、出来たら感想お願いします。
脱字・誤字の指摘お願いします。
お気に入り・アドバイスお願いします。