透き通る世界の無銘の弓兵   作:矛盾ピエロ

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やっとカタヘル団やってきました...(;´д`)


第四話 カタカタヘルメット団襲来!

 

 魔術について打ち明けてから2日程時間が経過した。通例に従うならそろそろカタカタヘルメット団が襲撃を仕掛けてくる頃合いだ。そのため、普段は各々自由に過ごす時間も今は全員が校内に集まって襲撃に備えている。

 

「そういえばホシノはどこに?先程から姿が見えないが」

 

「ん、ホシノ先輩ならヘルメット団が来るまで寝て待つって言って隣の部屋でお昼寝中」

 

「そうか、では起こしてしまわないよう注意しておこう」

 

「あはは...先輩はちょっとやそっとじゃ起きないので気にしないでください。それより先生、事前に準備したバリケードやトラップはどうでしたか?」

 

「特に不備は見られなかったから安心していい。あぁ、バリケードにはこちらの方で少し手を加えさせてもらったので普段より多少は長持ちするだろう」

 

「...今度は何したのよ」

 

 ジト目でこちらを窺うセリカの疑問に簡単に答える。

 

「いやなに、少しばかり魔術で補強をね」

 

「補強...いつもより堅くなったってことですか~」

 

「基礎的な魔術だが、存外便利なものでね。物持ちが良くなるのさ。例えば...」

 

 机の上に転がっていた鉛筆を手に取り強化してシロコに手渡す。意図を察してくれたシロコが鉛筆を折ろうと試みるが、びくともしない。

 

「ん!...ホントだ。全然折れない」

 

「シロコ先輩、ちょっと貸して!ふんっ!...ふんぬぬ~!...っぷは!全然折れないわね」

 

「わぁ~☆凄いですねぇ!先生?その魔術って私たちにも使えたりしないのでしょうか?」

 

 無邪気にそう言うノノミの問いに少し考えてから、やはり無理だろうと結論を下す。

 

「...まぁ難しいだろうな。魔術を扱うのに必要な“魔術回路”が無いし、魔術の原理を理解する必要もある」

 

「回路...ですか?」

 

「あぁ、詳細は省くがその回路を通じて私たちは魔術を行使しているからな。魔術回路無くして魔術は扱えない。もちろん、それ以外にも必要なものはいくつかあるが」

 

「ん、残念」「ですねぇ~」

 

「それよりも誰かホシノを起こしてきてくれないか?お客様のお出ましだ」

 

 英霊の優れた聴覚が来訪者の存在を告げる。雑談はここまでとして本題に入る時が来たようだ。

 

 ダダダダダダダダダダッ!

 

「わ、わわっ!」「!!」

 

「ひゃーっははははは!」

 

「攻撃、攻撃!!奴らはすでに弾薬の補給を断たれている!襲撃せよ!!学校を占領するのだ!!」

 

(どうやら私がアビドスに来ていることはあまり知られていないようだな)

 

 タタタタタタタタタタタタタタタタッ!!

 

「武装集団の接近を確認!カタカタヘルメット団、来ました!」

 

「性懲りもなくぞろぞろと来たわね...!とっちめてやるんだから!」

 

 シロコもホシノを連れてセリカの意気揚々とした宣誓に加わる。

 

「ん、先生のおかげで準備万端」

 

「むにゃむにゃ...んー...よし。それじゃみんなで懲らしめにいこっか」

 

「は~い☆」「ん!」「ふんっ!」

 

「私は教室からオペレーターとしてサポートします!先生もこちらでサポートをお願いしてもいいですか?」

 

 アヤネの言葉に少し悩んだが、各自、投影したインカムで多少であれば遠距離の通信も可能だ。ここは全体が見渡せる屋上で狙撃支援も兼ねた方が良いだろうと判断する。

 

「...いや、私は屋上から指揮と微力ながら弓による支援をさせてもらおう」

 

「そういうことでしたら了解しました!皆さん、インカムは付けましたか?それでは対カタカタヘルメット団防衛線、開始です!」

 

『おぉーーー!!』

 

 屋上へと急ぎ向い、高所から戦場を見渡す。どうやらヘルメット団の生徒たちは強化を施したバリケードの突破に想定よりも苦戦しているらしい。

 

「なんだこのバリケード!?滅茶苦茶硬いぞ!?」

 

「銃弾を撃ち込んでも全然壊れません!どうしますか?!」

 

 普段以上のバリケードの硬さに現場に着いたシロコたちも困惑していた。

 

「えぇ...?全然壊れてないじゃん...」

 

「うへぇ...まぁ楽できそうだからいっか」

 

「便利だね」「はい~☆」

 

『えぇと、ひとまず皆さん配置に着きましょう。先生指示を』

 

 見晴らしのいい高所から最適な配置を考える。

 

「あぁ、正門のバリケードの突破には暫し時間がかかると見ていいだろう。地の利はこちらにある。ノノミは流れ弾に気を付けつつ、校舎付近の高所で遠距離から火力支援を。

 シロコ、セリカは中距離を保って敷地内に設置したバリケードを盾に前線の突破されそうなバリケードの付近を狙ってくれ。ホシノは二人の補佐をしつつ、バリケード突破に合わせて前を頼む」

 

(まぁ、簡単には突破させんがね...)

 

 投影開始(トレース・オン)

 

 指示を出しつつ、漆黒の洋弓と万が一にも怪我をさせないよう矢尻を潰した殺傷能力の低い矢を投影する。狙うは銃器、手元で火薬が誤爆しないように撃ち終わり直後でリロード前の生徒を狙い撃つ。

 

 ギ、ギリィ...パシュンッ

 

「どわーっ!」「ほぎゃー!」

 

「隊長!武器が次々壊されていきます!」

 

「なにぃ?!...!屋上だ!屋上の奴から狙撃されてるぞ!撃て撃て!」

 

 装備を破壊され焦ったヘルメット団の後方部隊がバリケード破壊から標的をこちらに変えてきた。これでもうしばらくバリケードはもつようになるだろう。反撃に対ししばらく回避を優先したが、長距離射的に長けた銃器を扱う生徒がいないようで狙いは些か杜撰だ。これなら支援はまだできるな。

 

『先生!?大丈夫ですか?!』

 

「問題ない。どうやら向こうに狙撃手はいないようだ。後方部隊の注意がこちらに向いているうちに前線を制圧しよう。ホシノ、二人を連れて前進してくれ。ゆっくりでいい。まだバリケードは充分持つ」

 

 アヤネに問題ない旨を伝え、即座にホシノ達へと指示を出す。

 

「うへー...言いたいことはあるけど、それは終わってからだね。シロコちゃん、セリカちゃん、やっておしまい~」

 

「ん、急ぐよ」「すぐに終わらせてやるんだから!」

 

「いや、慎重に進んで欲しいのだが...ノノミからも何か言ってくれないか?」

 

「ホシノ先輩のお説教は長いですから、覚悟しておいてくださいね~」

 

 私ではなくホシノ達に対しての言葉をお願いしたのだが...

 

「...善処しよう」

 

 その後、前線が崩壊したカタカタヘルメット団は装備の半分以上を破損し撤退を余儀なくされた。念を押してその後の動きを追跡できるように発信機のついた矢を撤退する集団の武器に紛れ込ませておく。

 

「アロナ、念のため発信機の信号を追跡しておいてくれないか?」

 

『了解です!それはそうと、しっかり怒られてくださいね!先生?』

 

「君もか...」

 

 どうやら何か少女たちのお気に召さないことがあったらしい。はて、なにがダメだったのかと今回の行動を振り返りながら、ひとまずアヤネの待つ教室へと帰還することにした。

 

 

#####

 

 

「いやぁ~まさかの大勝利だったねぇ。ヘルメット団側も普段よりかなり力を入れてた感じだったけど、まさかほとんど無傷で終わるとはねー」

 

「まぁたしかにこれまでよりも上手くいったのは事実ですけど...勝たないと学校が不良に占拠されちゃうんですから、もっと危機感を持ちましょうよ...」

 

「先生の指揮もすごかった。私たちの時だけだとあそこまで上手くいかなかったし、これが大人の力...すごい」

 

「あーそうそう指揮と言えば、先生?なーんであんな無茶な真似しちゃったのかなー?」

 

 そのホシノの一言で全員の非難するような視線が一斉に向けられる。なるほど、たしかに私はキヴォトスの人間ではないからホシノ達がそう思うのも無理はないか。実際のところは、神秘の含有量の低い銃弾では無傷であることは確認済みなのだが、まだ話していなかったな。

 

「まぁ...なんだ、見渡した限り狙撃手の類がいないことは確認済みだったからな。ヘルメット団たちもかなり焦れていたし、あれだけの距離があれば銃弾が当たる確率は高くはないだろうと、そう判断したまでだ。それに――」

 

 銃弾がほとんど効かないのは確認済みだ、と言葉を続けようとしたところでアヤネの怒りの声に遮られた。

 

「当たる確率は高くないだろう...って、先生は私たちと違って銃弾一発が致命傷になるんですから!もっと慎重に行動しないとダメですよ!」

 

「その通り」「余計な心配かけさせないでよねっ」

 

「先生が怪我しちゃったらみんな心配しちゃいますから。もうメッ、ですよ~?」

 

「...うん。アヤネちゃんが言ってくれた通り。まだあって数日だけどさ、先生は私たちのためにいろいろ協力してくれてるしさ?みんな感謝してるんだよ、ツンデレなセリカちゃん含めてね」

 

「ちょっとホシノ先輩!誰がツンデレよ!」

 

「だからさ、これからはもう危ないことしないでよね」

 

 (また話そびれてしまったな...しかし、ここで抗議しても彼女たちの納得を得られるかは怪しい。それに私を心配してくれる気持ち自体は尊いものだ、大人しく叱られておくべきか...)

 

「約束は...難しいが、分かった。これからは善処しよう」

 

「ホントー?ちゃんと気を付けてよねー?」

 

「私たちも頑張るよ。先生が怪我しないように」

 

「はい、私も精一杯頑張ります」

 

「はーい☆私も頑張りますよ~」

 

「ま、まぁ、アビドスで怪我されても困るし、仕方ないからちゃんと守ってあげるわよ」

 

 口々にそう言ってくれるアビドスの少女たちの言葉にむず痒いような違和感を感じた。

 

(なんだか...慣れないな。これまでは守る側だったから...そうか、これが守られる側の気持ち、か...)

 

「ありがとう、みんな」

 

 自然、口から出たその感謝はなんの装飾もない心からの言葉だった。

 

 

#####

 

 

 温かな説教も終わり、ほっと一息ついたところでホシノから提案があった。

 

「今日は先生のおかげもあって上手くいったけど、毎回こういう訳にもいかないからねー。ずっと消耗戦してるわけにもいかないし」

 

「そうですね...備品の類のほとんどを先生の魔術に頼りっきりになっちゃってますし、それ以外の食料や医薬品も無限ではありません。ヘルメット団以外の問題も山積みですし...」

 

「というわけで、ちょっと作戦を練ってみたんだー」

 

「おー...!」「えぇっ!?ホシノ先輩が!?」「うそっ...!?」「わぁ~☆」

 

「その反応はいくら私でも、ちょーっと傷ついちゃうなー?おじさんだってやる時はやるんだよー?」

 

「...で、どんな計画なの?」

 

「ヘルメット団は数日のうちは補給で忙しいだろうから襲撃はないでしょ?今日までずっと同じサイクルだしね。だから、こっちの消耗が少なかったこのタイミングでこっちから仕掛けて、アイツらの前哨基地を襲撃しに言っちゃおうかなーって。今が向こうが一番消耗してるだろうしさ」

 

「い、今からですか!?」

 

「うん、今なら先生もいるし、ベストだと思うんだよねー」

 

 ホシノの提案にアヤネは急すぎるのではと驚いているが他の3人はかなり乗り気なようだ。実際悪くない提案だと思う。

 

「たしか、ヘルメット団の基地はここから30㎞ぐらいの場所だったはず。出発しよう」

 

「やっちゃいましょ!アヤネちゃん!」

 

「そうですね~向こうも、まさか今すぐ反撃されるなんて夢にも思ってないでしょうし」

 

「それは、確かにそうでしょうけど...先生はどうお考えですか?」

 

「悪くない案だ。物資の面でも精神的な面でもこちらに優位性があるのは間違いないだろう」

 

「よっしゃ、先生のお墨付きも貰ったことだしこの勢いでいっちょやっちゃいますかー」

 

「ん、善は急げ、だね」

 

「はい~それでは、しゅっぱ~つ☆!」

 

 




 ちょっと本作とは脱線しちゃうんですけど、Youtubeで「もしも東堂葵がカルデアのマスターだったら...」というIFについて掲示板で話し合うやつの動画をしばらく前に見つけて、めちゃくちゃ面白そうだったので一つ新作という形で出しました。


とはいえ、Fateには中途半端にしか触れていないですし、どーしてもブラザー東堂と女性サバのラブでコメな波動を受信できなかったので、ベストフレンド兼ブラザーの虎杖にもついていってもらいます。

気になる方は作者のマイページから覗いてみてください。それでは
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