「アヤネ、そろそろ落ち着いてくれ」
アヤネに頃合いを見計らって落ち着くように声をかける。怒りとは存外にエネルギーを消費する行為だ。肩で荒い息を繰り返すアヤネが落ち着いた頃、もう一つの議題を切り出す。
「借金の返済については一度置いておくとして、だ。伝えておかなければいけないことがある」
「アヤネちゃんも言ってたねー。この前のセリカちゃん襲撃の件だっけ?なにか新しい情報が手に入ったの?」
「あぁ、連邦生徒会で交通室に務めている生徒に手伝ってもらったことで、セリカを襲撃した集団のその後の足取りについて追うことができた。連中の足取りが最後に確認できた位置から推測できる拠点は...今、全員に共有した」
モモトークを用いて全員に情報を共有する。
「...ん、確認できたよ」
「にしてもよく見つけたねー?結構無茶とかしたんじゃないの~?」
「そうだな、リン――現連邦生徒会を纏めている彼女に見つかったらお説教では済まないかもしれない」
「始末書もの?」
シロコの疑問に人差指を口元に持って行くことで回答とする。あまり好きではないがバレなければなんとやら、だ。バレたらモモカにも迷惑がかかるし、口外しないようにと約束してもらう。
「そこまでしていただけるなんて...」
「大事な生徒の為となれば、な。この件についてはもういいだろう?それよりも送った情報について知っていることがあったら教えてくれ」
改めてヘルメット団の最後の足取りがあった場所について話し合う。
「この辺りって砂漠化が進んでる市街地の端の方ですよね?」
「たしか、今ではもう元々住んでいた方々も引っ越して廃墟になってませんでしたか?」
「治安が維持できなくてチンピラの溜まり場になってたわよね?」
「そういえば...!この辺りは以前危険要素を分析した際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認することができた場所です!」
「なるほどねー。それで?この後はどうするの?早速乗り込んじゃう?」
「そうだな。あれからまだ時間もそれほど経っていない。セリカ襲撃時の戦力が回復しきる前に手を打ちたいのが本音だ。とはいえ、急な話だからな。今すぐでなくとも構わない。どうする?」
全員を見渡して判断をゆだねる。結論はすぐに出た。
「もちろん、行くでしょ」「お礼参り、だね」
「みんなでお仕置きしちゃいましょー!☆」
「ふん!もう二度と変な気を起こさないように徹底的に懲らしめてやるわ!」
「私もオペレーターとして全力で支援します!」
「そうか...ならば、すぐにでも出発しよう。準備はいいな?」
『もちろん!』
全員が全員、やる気に満ちた表情で襲撃の準備を始めた。忘れ物が無いかを確認していざ出発。勇み足でヘルメット団の新しく見つかった拠点へと足を運ぶことになった、のだが――
「...どういうこと?」「いませんね~?」
辺り一帯は静けさに包まれており、人っ子一人い無いがらんどうの拠点が私たちを出迎えていた。
「ん、軽く辺りを見回してきたけど人の気配はない」
「うへーこっちもハズレだねー。でも...この辺の銃撃戦の後、真新しいのがほとんどだね。ごく最近何らかのトラブルがあったのかも」
『こちらでも改めて確認してみました。やっぱりもうこの辺りにヘルメット団はいないようです。真新しい銃痕を解析したところ、昨夜頃に出来たものではないかという解析結果が出ました』
「一足遅かったか...第三者の介入か、はたまた内部分裂か...いずれにしてもトラブルがあったのは確実なようだ」
激しい銃撃戦の後、その中でも特に目を惹くのは複数の爆破後だろう。パッと見た限りでは2種類ほどに分別できる爆破の形跡。どちらもこれまでのアビドス襲撃では使われた形跡のない爆弾だ。
(これまでに使われていなかった種類の爆弾...第三者の可能性が高いか...うん?)
手分けして周辺の状況から手掛かりを探していたところ、風に乗って手のひらサイズの紙切れが足元へと舞い落ちてくる。拾ってみると...
『ゲヘナ学園 便利屋68 代表取締役社長:陸八魔 アル』
なんと紙切れではなく名刺だった。ご丁寧に事務所の住所や電話番号まで記載されている。
「ゲヘナ学園...?アビドスの学区からはそれなりに離れているはずだが...」
風に乗って移動してきたにしては距離が遠すぎる。何かの手がかりになる可能性を考慮しつつも住所や電話番号まで載っているとなると、下手に見せれば即突撃という事にもなりかねないか...?
キヴォトス人の血気盛んさは十分に体感しているので可能性としてなくはないだろう。だが、全く無関係だったら笑い話にもならない...かもしれない。
今回の件に関係があるかどうか、先に個人で調査をしてから関係者であるなら皆に知らせるとしよう。そう結論付けて名刺を懐に仕舞っておく。
その後、合流して皆からなにか収穫や手掛かりが無いかを聞いてみたところ、セリカとノノミそしてアヤネが手掛かりを見つけていた。
『皆さん、こちらを見てください。セリカちゃんとノノミ先輩が見つけたものなんですが...』
「これは...何かの部品?」
『調べてみたところ、戦車の部品だということが分かりました』
「うへー...あちらさん相当やる気だったみたいだねー。正面から相手しなくてよかったかも」
『それもそうなんですけど...本題はそこではなくて、この部品、正確にはこれが使われている戦車は現在キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種であると判明しました』
「違法機種か...流石に一生徒の集団が易々と扱える類のものではなさそうに思えるが...」
『もう少し調べてみる必要はありそうですが、先生のおっしゃる通りカタカタヘルメット団は自分たちだけでは入手できない兵器まで保有しているということです』
「つまり...カタカタヘルメット団を裏から操ってた黒幕がいるってこと?」
『恐らくは』
どうにもきな臭さが増してきたな...
「それなら、この部品の流通ルートを調べることができれば黒幕さんの正体を明かすことができるかもしれませんね!」
『ノノミ先輩の言う通りです。黒幕が分かればなぜアビドスが執拗に狙われているのか、その理由も明らかになるかもしれません』
次へとつながる重要な手掛かりを掴むことができた、が...欲を言うならば当事者であるカタカタヘルメット団に直接話を聞かせてもらいたかったところではあるが...
「うん、とりあえず調べられるのはここまでかなー。ホントはヘルメット団の連中から直接話を聞きたかったんだけどね」
ホシノも似たようなことを考えていたようだ。動くのが遅かった...要反省だな。
「すまない。もっと早くに手を打つべきだったな」
「いえいえ、先生は気になさらないでください。タイミングが悪かっただけですから。またみんなで探しましょう?ね?」
「ん、気にする必要はない」
「そうね、アイツらに一発お見舞いできなかったのは残念だけど...」
『私もそれらしい情報が無いか、改めて探ってみます。ひとまず帰還しましょうか』
「あっ、それならさー帰った後に柴関にラーメン食べに行こうよー。アヤネちゃんを怒らせちゃった謝罪ってことでさ。アヤネちゃんの分はみんなで奢ろうよ」
「いいですねー☆行きましょう♪」
「今日はとんこつの気分」
「えぇっ!私今から柴関でバイトなんだけど!?今度にしてよ!」
「まぁまぁセリカちゃん。そんな固いこと言わないでさー。アヤネちゃんもそれでいい?」
『...次の定例会議からはちゃんとしてくださいね?皆さん』
奢りと聞いてか、アヤネも満更でもなさそうな様子だった。定例会議の時の怒りも多少は収まってくれたのだろう。そんな風に思いながらここ最近の出来事について振り返る。
一時は危うい状況にもなったが、結果的にカタカタヘルメット団に関連した事態は大きく進展することとなった。この調子なら他の問題...借金返済の方も近いうちに何らかの進展があるだろう。
簡単な問題ではないが、彼女たちの青春の障害となるものが一刻も早く消えるように出来る限りのことをしよう。何人たりとて若人の青春を邪魔する権利はないのだから。
遅くなって申し訳ない(;´д`)ちゃんと続きます
ただ、最近モチベーションの維持が難しいです。なにかブルアカ関連でテンションの上がる情報があれば感想等で是非ともご一報ください。
推しのチャームポイントPRとかも滅茶苦茶ウェルカムです。感想はもらえるだけで嬉しいですからね(辛辣なのを除く)