またボチボチ更新再開できたらなと思います
「...お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。全て現金でお支払いいただきました、以上となります。カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」
登校中にムツキと突然の再会を果たした後、学校へ到着するなりアヤネと共に今月の利息返済の準備に慌ただしくしていた。続々と登校してきたアビドスの面々と準備をすること数時間...ようやく今、利息返済の手続きが完了したところだ。
それにしても利息だけで約790万にもなるとは...利息の返済は
ブロロロ...
徐々に遠ざかるエンジン音を聞き流しながら、それぞれ肩の力を抜くアビドスの面々。
「ふぃー...今月もなんとか乗り切ったねー」
「お疲れさまでした~...教室に戻ってお菓子でも食べましょうか☆」
「さんせー...」
「ん...完済まであとどれぐらいだっけ?」
「えっと、309年返済なので...今までの分を入れると...」
「言わなくていいわよ、正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう...」
アヤネの口から告げられた常軌を逸した返済計画にセリカが聞きたくない、と口を曲げる。まぁ、セリカの気持ちも多少は理解できるので不満を口に出すことを止めるつもりはない。
「あ、あはは...」
「......」
重たい空気が漂う生徒たちを横目に遠ざかる現金輸送車の方を振り返る。
「? 先生、どうかした?」
「いや、なにもないさ。教室へ戻ろう、外は日差しが強い」
シロコの疑問を受け流して教室へ戻り始めていたみんなの後を追う。教室までの道中の話題は変わらず借金に関する話だった。
「ところで今更ですけど、どうしてカイザーローンは返済を現金でしか受け付けないのでしょう?わざわざ現金輸送車を手配する手間までかけて...」
「うぅん...言われてみれば確かに。電子決済の方が楽なのに...」
「きっと、現金の方が向こうにとって都合がいい何かがあるんでしょうね。具体的な事情までは分かりませんが」
「ま、とりあえず今解決すべきなのは目先の問題じゃない?外は暑いからさー、とにかく教室へ戻ってから考えよーよ」
ノノミのもっともな疑問に各々が口を出しつつ、歩みを進めるメンバーの最後尾で名残惜し気に輸送車が去っていった方向に視線を送るシロコの姿を見てセリカが念を押すように言った。
「...」
「シロコ先輩、あの車襲っちゃダメだよ?」
「ん、分かってる」
「...ホントにぃ?計画も立てちゃダメなんだからね!」
「......ん」
「もー!」
明らかに間があったシロコの返答にキレるセリカを宥めながら一行は教室へと戻っていった。
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教室へ戻ると対策委員会はそのままアヤネの号令で定例会議へと移った。登校中に聞いた限りだと本日の議題は2つ...あぁ、いや3つだったか。
「それでは利息の返済も終わりましたし、全員が揃っているのでこのまま定例会議に移ろうと思います。本日は3つの事案についてお話したいと思います」
『はーい』
「まず一つ目は昨晩の学校襲撃事件について。実行犯は『便利屋68』というゲヘナでもかなり危険で素行不良の生徒たちが所属している部活だということが分かりました。便利屋68の主な活動内容は...お金次第で何でもこなす万事屋といった感じでしょうか。
部活のリーダーはアルさんという方で自らを『社長』と称しているようです。その他の所属メンバーは3人。それぞれ室長、課長、平社員の肩書を持っているらしいです」
「いやぁー、本格的だねー」
「ていうか、ただでさえ治安が終わってるゲヘナで危険視されるくらい素行不良って..とんでもないわね」
「昨日柴関でお会いした時は全然そんな感じはしなかったですけどね~...それにしても社長さんだったなんて、凄いですね☆」
「いえ、調べてみたところあくまでも肩書は自称のようです。そもそも4人しかいないので室長とか課長の肩書ってあんまり意味ないですし...」
「ゲヘナって起業が許されてるの?」
シロコの疑問に対してアヤネも困惑しつつ答える。
「私もそこまで詳しいわけではありませんが、流石にそれは無いかと。勝手に起業したんじゃないでしょうか?」
「あら~...校則違反ってことですね。やっぱり違和感を感じてしまいますけど」
「いえ、それがノノミ先輩が思っているよりもかなり非行の限りを尽くしているようですよ?そうでないとゲヘナ学園で問題児扱いなんてされないでしょうし...とにかく!理由は定かではありませんが、そんな危険な組織がアビドスを狙っているんです!もっと気を引き締めないと...!」
「次はとっ捕まえて取り調べでもしてみますかー」
「ぜひ、やりましょう...!」
普段よりも燃えているアヤネの様子に何かあったのかとセリカが気にかける。
「アヤネちゃん、何かあったの?並々ならぬ恨みを感じるんだけど...」
「いいえ、特に何も。ひとまず一つ目の報告については以上です。皆さんからなにかありますか?」
「特になし」
「ん~...私もシロコちゃんと同じく特にどうしたいみたいなのは思いつきませんね~」
「そんなの決まってるじゃない!次
「んー...賞金とか出るならそれも一つの手かなー。そこんところどうなの?」
「えっと、調べた限りでは今のところそういった情報はなかったと思います」
「そっかぁー。んじゃ、私は保留かな。もちろん、襲ってくるなら返り討ちにはさせてもらうけどねー」
「続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!先日ヘルメット団の拠点と思しき場所で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果...現在は取引されていない型番だということが判明しました」
「もう生産してないってこと?」
「そんなのどうやって手に入れたの?」
「生産が中止された型番を手に入れる方法...キヴォトスにおいてそれは『ブラックマーケット』しかありません」
ブラックマーケット...リンから聞かされたことがある。学園数個分に匹敵する敷地面積を持ち、数多の企業が秘密裏に法外な取引や利権争いを繰り広げるキヴォトスきっての
「たしか、連邦生徒会ですらその権力が及ばないキヴォトス屈指の
「先生もご存じだったんですね...あそこでは中退、休学、退学...様々な理由で学校を辞めた生徒たちがいくつもの不良集団を形成しており、連邦生徒会の認可を得ていない非公式の部活もたくさんあると聞いています」
「とっても危険な場所じゃないですか...」
「便利屋みたいな?」
「えぇ、便利屋68も過去にブラックマーケットで何度か騒動を起こしたことがあるそうです」
「ブラックマーケットでも騒動を起こしちゃうなんて筋金入りだねぇー」
「とりあえずそのブラックマーケットに行けば新しい手掛かりが手に入るかもしれないってことね!」
「現状では貴重な二つの手掛かりのどちらともかかわりがある場所ですからね...気を付けていきましょ~☆」
「ん、しっかり準備していこう」
「んじゃま、決まりだねー。次の目的地はブラックマーケット。とんでもなく広いらしいし、みんなで頑張って調べよーね。もしかしたら意外な手掛かりもあるかもしれないしね」
全員が一致団結し、新たな目的を得たところで――――最後の議題が本題に挙がった。
「3つ目は...昨晩、先生が便利屋68の方々とすき焼きを食べていたというタレコミがありました。先生?どういう訳か、しっかり聞かせてもらいますからね?」
アヤネの言葉を聞いた瞬間、刺すような視線が5対こちらに照準を合わせたのが分かった。