透き通る世界の無銘の弓兵   作:矛盾ピエロ

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ハスミの絆ストーリーです。時系列的にはシャーレ奪還後かな?

今後も本編で登場した生徒の絆ストを本編の間にちょくちょく挟んでいこうと思います。


すれ違いコミュニケーション

 

~モモトークwithハスミ~

 

『こんにちは先生。少し個人的に聞いていただきたいことがありまして...

 よろしければ、相談に乗っていただけませんでしょうか?』

 

『もちろんだとも』

 

『あ、ありがとうございます!...!すいません、つい...その、断られてしまったらどうしようかとばかり考えていたものですから...すごく、ホッとしました』

 

『気にしなくていい。都合のいい日を知らせてくれればこちらから伺おうか?』

 

『ありがとうございます。先ほどは少し変なことを口走ってしまいましたが、その...

 いえ、やはりお気になさらないでください。後ほど、またご連絡しますのでよろしくお願いします』

 

『承知した。連絡を楽しみに待っておこう』

 

 

#####

 

 

 その後、改めて届いたハスミからの連絡は午後にトリニティ総合学園の自治区内で待ち合わせをしたい、というものだった。指定された日時に急を要する用事はなかったので了承し、時間通りに足を運ぶ。

 

 まだお昼を過ぎたばかりの時間。午後の街は今日が休日という事もあってか、生徒や大人の区別なく人で賑わっていた。約束の場所に目を向けると、既にハスミが待っているのが見える。特徴的で大きな翼はひと際目立っており、人ごみの中でもよく目を惹いた。

 

「こんにちはハスミ」

 

 声をかけてみるが返事がない。どうやら少しボーっとしているようだ。こちらに気づいていないハスミにもう一度声をかけなおす。

 

「ハスミ?」

 

「......あっ...いつの間にいらしたのですか?」

 

「今来たばかりだ。すまないな、待たせてしまったようだ」

 

「いえ、私も少し前に着いたばかりですから。声をかけていただいたのに気づかなくてすみません。少し、ボーっとしておりました」

 

 見た限りでは体調が悪いようには見えないが大事を取って今日の予定をキャンセルすべきかと聞いてみる。

 

「体調は大丈夫かね?もし調子が悪いならまた後日でも全く問題は無いが...」

 

「いえ、休日に街へ出かけることがあまりないものですから、こんなに人が多いとは思わず少し驚いていたのです...よくすぐに見つけられましたね?」

 

 休日は家でのんびりするタイプなのだろうか?それとも普段から休日も忙しなくやるべき事に振り回されていたりするのだろうか?もし後者であるなら今日の相談にも関わってくるかもしれないな、などと考えを巡らせつつハスミと雑談を続ける。

 

「あぁ、自慢ではないがこれでも目は良い方だからな。それにハスミは目を惹く容姿をしているから遠くからでもすぐに分かる」

 

「め、目立ちますか?その、それ程でもないと自分では思っているのですが...」

 

「謙遜することはないだろう。ハスミは十分魅力的だし、それほど立派なものを持っていれば他者よりも目を惹くのは自然なことだ」

 

「あ、ありがとうございます...///それと、立派...ですか?」

 

「あぁ、まだキヴォトス(こちら)に来てからそれほど時間が経ったわけではないが、他の生徒よりも大きいのではないか?」

 

 続けた言葉に何か引っかかるものがあったのか、表情に少しの困惑をにじませながらハスミは話を続ける。

 

「...い、いえ、その、それは...たしかにそう、かもしれません、ね。はい、否定はしませんが...いえ、しかし、私よりも大きい方もいますし...」

 

「?...あーすまない。あまり言及は控えるべきだったか。どうにもまだキヴォトス(こちら)の常識に慣れていなくてな。私が元いた場所ではそれほどのものはあまりお目にかかる機会が無かったものだからつい、な。不快にさせたならすまない」

 

 存在感のある翼に目を向けつつ、座を経由してこれまでの記憶を少しだけ遡ってみる...うむ、やはりそこまで立派な翼を持つ者は英霊にも少なかったはずだ。

 

「いえ、そ、んなことはありません。むしろ私が大人の常識に疎いだけかと...ただあまりにも堂々と仰ったので...少し驚いてしまっただけですから」

 

「以後、気を付けよう。悪かったな」

 

「大丈夫です、はい。逆に私の方こそ、申し訳ありません」

 

 少し雰囲気がギクシャクしているように感じ、本題に入る前にもう少し会話を重ねてハスミの緊張を拭うべきだろうと会話を続ける。

 

「しかし、簡単に仕舞うことも出来ないだろうし、やはりそこまで大きいと日常生活では不便に感じる事も多いのだろうか?」

 

「はい?あぁ...そう、ですね。不便な時もあったりしますね...私の愛銃がスナイパーライフルという事もあって、狙撃のために長時間同じ姿勢でいたり、日常の書類仕事でも肩が凝ってしまったり、走る時にも、その...揺れが...気に、成ったり...」

 

「...ん?」

 

 ここにきて何か、そうなにか途轍もなく大きな違和感を感じる。

 

「やはり生活に支障が出ては困りますから、最近はダイエットも始めまして...」

 

「...体重と一緒に増減するものなのか?」

 

 違和感の正体を探るため、慎重に会話を続けていく。

 

「?えっと...?一般的にはそうだと思いますが?あぁもちろん、人によって差はあるでしょうけど...」

 

「そう、なのか...?初めて知る知識、だな。その――――」

 

 少し触らせてもらえるだろうか、と聞こうとしてはたと己の過ちに気づく。

 

(いくらなんでも年頃の少女にみだりに接触すべきではないだろう...!それにもしキヴォトスで“翼”に触れるという行為になにか、ある種の意味があるとしたら...?

 全く、己の浅慮で生徒を気づ付けてしまう所だったな。言葉にする前に気づいてよかった。今後は注意しなければ)

 

「えっと、その...先生?どうかされましたか?」

 

「いや、なんでもない。見れば見るほどに美しい“翼”だと思っていただけさ」

 

「.........」

 

 その言葉にハスミの体が硬直する。失言だったか?と先程の言葉を顧みるが、どの部分が失礼に当たったかが分からず困惑してしまう。肉体的特徴については、やはり軽々しく口に出すべきではなかったか?

 

「...ハスミ?」

 

「翼...ですか」

 

 確認するようにぽつりと呟かれた言葉を肯定する。

 

「?あぁ、ずっとその話をしていたつもりだったんだが...」

 

「そう、ですか...翼...」

 

 ゆっくりと納得するように静かに呟くハスミ。何と勘違いしていたのだろうか?気になって先程までの会話を思い出しつつ尋ねてみる。

 

「?一体、何の話だと...待て、まさか...!」

 

 目立つ...魅力的...立派...大きい...堂々と...肩が凝る...走る...揺れ、る...そこまで考えてハスミの勘違いに辿り着く間際、ガタッとハスミが勢いよく椅子から立ち上がる。

 

「な、何でもありません!そ、その!急用を思い出してしまって...!すいません、先生!これで失礼しますぅぅ!!」

 

「お、おい...!相談はどうするのだね!?」

 

「それはまたの機会にぃぃぃぃぃ......」

 

 一陣の風のように走り去っていったハスミの後ろ姿から見えた僅かに耳は、たしかに真っ赤に染まっていた。

 

 

#####

 

 

~モモトークwithハスミ~

 

『先生、その今日はわざわざご足労頂いたのにすいません』

 

『いや、気にすることはない。また今度ゆっくり聞かせてくれ』

 

『...ありがとうございます。その、あの...いえ、何でもありません。

 今日のことは、忘れてください』

 

『...あまり気に病まないでくれ。誰しも勘違いはあるさ』

 

『忘れてください!』

 

 




原作の方でキズナストーリーを見ていただければわかるかと思いますが、おさわり発言は無しです。エミヤは紳士なのでね、先生が紳士ではないとは言いませんが...

きわどい言動は今後も本編・イベント・絆ストに関係なくマイルドになると思います。エ駄死ですから
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