「つまり、ジンクス!で す の で !!!」inキヴォトス   作:RBT E10

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お久しぶりです。
今回から原作に入ります。
トリニティダイヤモンドの大目標が示されます。予想できてる人も多いと思いますが。

それでは本編どうぞ


始まり

 

 

 

我々は望む、七つの嘆きを。

 

我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

 

 

 

 

「…い。せ…い」

 

声が…聞こえる…。

 

「おき…さい。せん…い。」

 

いったい…何が…。

 

「先生!」

 

”はッッッ?!?!”

 

「起きましたか?先生。」

 

 

”ここは…いったい?それに、先、生?”

 

目の前には美少女がいる。頭にはわっか?のようなものが浮いていて、耳が長い。

 

「ここは、キヴォトスです、先生。連邦生徒会長から何か聞かされてはいなかったのですか?」

 

”ええっと、何も、聞かされていない…かな。”

 

「………………」(こめかみを抑える)

 

”………………”

 

なんだか、気まずい。どうしよう…。

 

「とりあえず、移動しなければなりませんね。…下に行きましょう、先生。」

 

”あ、ああ。わかったよ…えっと…?”

 

名前が分からず少し口ごもると、目の前の彼女はこちらを向いて、口を開いた。

 

「ああ、申し遅れました、先生。私は七神リンと申します。」

 

”わかった。ありがとう、リンちゃん。”

 

「リンちゃッ?!…コホン。早くいきますよ。今キヴォトスはかなり危うい状況なのですから。」

 

そう言って歩き出した彼女の背を追って、私も歩き出した。

 

「このキヴォトスは無数の学園で構成されています。まるで国家のような権限を持つそれぞれの学園を、この連邦生徒会が束ねることでその秩序を保っているのですが…」

 

”なにかあったんだね?”

 

「ええ。事の発端は一週間前。連邦生徒会のトップである連邦生徒会長が突然失踪し、その対応に追われている間に七人もの凶悪犯の脱走を許し、さらにキヴォトス全域で混乱が拡大。」

 

前を歩く彼女の声は固く、重い。しかし、どこか希望が滲んでいる様だった。

 

「ですが、あなたがいます。先生。連邦生徒会長が直々に指名したあなたならば、きっと…。」

 

”期待にこたえられるように頑張るよ。”

 

 

そうこうしているうちにやってきたエレベーターに乗り込んだ。

 

 

エレベーターから見える景色は私を驚嘆させるには充分であった。

 

空はどこまでも青く澄み渡っており、巨大な輪がいくつか浮かんでいる。

 

しかし、地上に目を向けてみると近代的で整然とした街のそこかしこで煙が上がっているのが見える。

 

 

空はどこまでも青く透き通ったままであるのに、空の下は吹き上がる黒煙で汚されている。

 

静かに降りるエレベーターの中、私は「このままではまずい。」ということを否応なく突き付けられたのだ。

 

 

 

エレベーターが目的地に到着してチンと軽い音を響かせた。

 

そこから出てきた私とリンに声をかける少女が複数。…例にももれず、全員美少女である。

 

 

「見つけたわよ!代行!連邦生徒会長を呼んできて!」

 

「お待ちしていました、首席行政官。」

 

「風紀委員長が今の状況について、納得のいく説明を……と…。」

 

「ふぅ…。皆さんが来たのは…各自治区で起こっている混乱の事で…ですよね?」

 

今のやり取りの中でリンの雰囲気がなんだか黒くなったような気がする…気っと気のせいだろう。うん。

 

そんなことを考えている私をよそに、目の前の少女たちは矢継ぎ早に言葉を継いでいく。

 

「そう!何千もの自治区が混乱に陥っているのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたり…!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒が、数名抜け出したとの情報もあります。」

 

停学中の生徒…その子たちは大丈夫だろうか。今さっき自分もリンちゃんから凶悪犯の脱走を聞かされたばかりだ…。その生徒たちが無事だといいのだが。*1

 

「スケバンのような不良達が、登校中のうちの生徒を襲う頻度も格段に高くなり、治安維持が難しくなっています。」

 

「戦車やヘリコプター等、出所の分からない武器の不正流通が2000%も増加しています。これでは、正常な学園生活に支障が生じます。」

 

(2000%増加?!)先生はその尋常じゃない増加率に思わず目をむいた。

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

「………連邦生徒会長は……今、席に居ません。いえ、正確には…行方不明になりました。」

 

「え…!?」

 

「…………!!」

 

「…やはりあの噂は…。」

 

驚愕の表情を浮かべる三人。一人は予見していたようだが、それでも信じられないという表情を浮かべている。

 

そんな三人を意に介さず、リンは続ける。

 

「結論から言うと、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが、先程までそのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それは…今は、方法があるという事ですか?」

 

「はい。この先生が、フィクサーになってくれる筈です」

 

”…私?”

 

「この大人が…?ヘイローもついてないし、ほんとに大丈夫なの?」

 

「安心してください、ユウカさん。この先生は、連邦生徒会長が直々に指名した人です。意図はうかがうことはできませんが、私たちの力になってくれるはずです。」

 

「あの、連邦生徒会長が直々に?!」

 

「なんと………!」

 

「なるほど、連邦生徒会長が…。それは心強いですね。」

 

『連邦生徒会長が選んだ』というだけで一気に空気が良くなった。どうやら連邦生徒会長は私が思っていたよりもみんなから信頼され、頼りにされていたようだ。…だからこそ、今非常にまずい状態にあるのだろう。

 

”あはは…みんな、よろしくね。”

 

「おいおいまじかよ、すげーなお前。想像以上だぜ。んじゃあよ、あたしの家の全自動冷却扇風機直してくんね?暑くて干からびそうなんだよ。」

 

”それは大変だ!わかった。じゃあ、あとで…え?”

 

「なっ?!」「ッ嘘?!」「あなた、どうやって?!」「…ッ?!」

 

「ん?どうしたよおめーら。そんなオトモダチでも見たみてぇな反応してよぉ。」

 

いつの間にか、目の前にいる人物。その存在を認識した時、私は、動くことができなかった。

 

先ほどまで影も形もなかった存在が、急に目の前に現れたことに対して、悲鳴の一つでもあげればよかったのかもしれない。

 

だが、私にその行動をとらせるには、

 

彼女は

 

あまりにも

 

美しかったのだ。

 

銀に月光を溶かし込んだような長髪、色白童顔でタレ目ながらもその淡いアメジストには確かなきらめきが宿っていて、『不沈』の意思が垣間見える。

 

目線を下に向けるとがっしりとしながらも女性らしく、しかしいやらしさを感じさせない体躯を包む赤い水兵服風のワンピースと黄金の装飾が目を引く。

 

上に向ければ頭の頂点に生えている耳ー右耳についた蝶結びの紺のリボンがまた可愛らしいーの間に鎮座する焦げ茶色の帽子、そこから顎に向かってベルトが巻かれている。

 

そして、その頭上にはリンや先ほど声をかけてきた子たちと同様に輪がふわふわと浮いていた。

 

この思考を巡らせたと同時、私は、思わず、

 

「きれいだ」

 

と口からこぼしてしまった。

 

すると、かすかな音を拾ったのだろうか目の前の人物は目を丸くした…と同時に白い手袋をはめた手袋で私のほほを挟み、じっと見つめる。

 

「…へぇーお前が…ねぇ。…モルモットとか専属レンズみてーな目してんのな。」

 

そう言うと彼女は手を放して私から二、三歩程距離を置く。

 

次の瞬間

 

ジャキッ

 

彼女に銃が突き付けられる。そして、リンが、その目を険しくさせて言葉を放つ。

 

「なぜ、なぜ、お前がここにいるんだ…答えろ。」

 

「あん?何でってここから大レースが始まる予感がしてよ、アタシも、ワクワクが止まんねーぜってなったから、来た。」

 

放たれた人物は、それをひょいひょいと躱した。

 

「質問を変える、どうやってあそこから出てきた。あの、地下50メートルにつくられた牢獄から、どうやって出てきたんだ。…答えろ。

 

答えろゴールドシップ!!!

 

リンの声があたりに響く。

 

目の前のゴールドシップと呼ばれた相手はそれを気にも留めずに、少し開いた口から舌をだらんと垂らして

 

「あーアタシはもうやることやったからいいや。うん。」

 

と言い放った。

 

「お前ら頑張ってサンクトゥムタワーの制御さっさと取り戻せよな。じゃねーと手遅れになんぞ。」

 

「なっ手遅れだと?!」

 

「ほんじゃーなー、またな、おめーら。」

 

そして彼女は、ふっと消えてしまった。まるで、もとからそこにはいなかったかのように。

 

 

そこにいたのは、はっと正気を取り戻した先生と、かまえていた銃を力なくおろしたリンたちだけであった。

 

 

 

さて、そんなハプニングはあったものの、気を取り直してサンクトゥムタワーに向かうことになった一行。

 

道中にワカモ率いる不良集団が立ちふさがったものの、それらを突破して*2タワー内に入った先生とリン。

 

そこで先生はリンから、一つの道具を渡される。

 

”これは…タブレット?”

 

「…これは、連邦生徒会長が先生に残したもの。『シッテムの箱』です。」

 

「一見、タブレットに見えますが、その正体の全く分かっておらず、製造会社・OS・システム構造・動く仕組みの全てが不明。自分たちには起動すらすることができなかったものなのです。」

 

”そんなものが…”

 

「しかし、連保生徒会長は、先生ならシッテムの箱でタワーの制御権を回復させられるはず、とおっしゃっていました。」

 

「先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも…」

 

”………………”

 

「………では、私はここまでです。ここから先は、すべて先生にかかっています。邪魔にならないよう、離れています。」

 

”…わかった。やってみるね。”

 

そうして受け取ったシッテムの箱。どかで聞き覚えのある名前をしたそれ、どうやら起動するにはパスワードが必要なようだ。

 

だが、私はパスワードを知らない。しかし、

 

脳裏に文章が浮かんでくる。その文章に従ってパスワードを打ち込む

 

『我々は望む、七つの嘆きを。』『我々は覚えている、ジェリコの古則を。』

 

『……パスワード、承認完了』

 

どうやら当たっていたようだ。そして、

 

『シッテムの箱にようこそ、先生』

 

シッテムの箱は起動し、私はまばゆい光に包まれた。

 

『生態認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。』

 

 

 

 

目を開けると私は教室にいた。

 

とはいっても、壁や天井には穴が開いておりいくつかの雲が浮かぶ青空から太陽の光が降り注いでいる。足元は薄く水で覆われていて空からの光をキラキラと反射させていた。同時に耳に波の音が届く。どうやら周りは海で囲まれているようだ。

 

そして教室の中央の机で見たことない女の子が突っ伏して寝ていた。

 

「くううぅぅ……………………ZZZZZZZZZzzzzzz…………くううううぅぅぅぅぅ……………すやぁ…」

 

「むにゃむにゃ………………ハンバーグに…………人参………丸ごと………………」

 

「えへへぇ……とっても大きくて…………おいしそぉ………………………」

 

………なんだか可愛らしい寝言を言っている。

 

ほんの少し、いたずら心がわいてきた。そのぷっくらとしたほっぺを突いてみたくなったのだ。

 

(ツン、ツンツン)

 

「むにゃあ………おかわりは………まだはやいですぅ…………」

 

……柔らかい。やはり、見立ては間違っていなかった。とてもぷにぷにしていて突き心地のあるほっぺたをしている。

 

(ツンツンツン)

 

(ツンツンツンツンツン)

 

「ううぅぅぅぅんん……」

 

そうして突いていると、目の前の女の子はむくりと起き上がる。ふにゃふにゃとした寝ぼけ眼をこすりながらこちらをみつめて、「うむぅ………ありゃ。…ありゃ、ありゃりゃ?」と不思議そうにこちらを見つめた。

 

そして、どうやらこちらを完全に認識したのか、彼女は頬を赤らませた。

 

「え、あれ?あれれ?」

 

「え、先生?!」

 

「この空間に入ってきたということは、ま、ま、まさか■■■先生………?!」

 

その問いに”うん。そうだよ。”と返してやる。すると、目の前の子は慌てた様子で

 

「うわぁぁぁ?!そ、そうですね?!もうこんな時間?!」

 

「えっと、落ち着いて、落ち着いて………!すーはー…すーはー……」

 

とちょっぴり深呼吸。

 

「えっと、その、…あ、そうだ!まず、自己紹介から、ですね!」

 

そして目の前の子は

 

「私はアロナ!」

 

「このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をサポートしていく秘書です!」

 

と元気いっぱいに、その純真さを溢れさせながら、明るく言った。

 

「やっと、やっと会うことができました。私はここで先生を、ずーっと、ずーーーっと待っていました!」

 

"………寝ていたわけじゃなくて?”

 

私がそう返すと、彼女は再び頬を赤らめ

 

「あぅぅ、……も、もちろん、た、たまに居眠りしてしまうこともありましたけど…」

 

と答えた。私は、頬をゆるめながら

 

”ふふ、よろしくね。アロナ。”

 

といった。

 

「……っはい!よろしくお願いします!」

 

「まだ、声帯周りの微調整が必要ですが…これから先、頑張っていろいろな面で先生のことをサポートしていきますね!」

 

そう言った後に彼女は「あっ、そうだ!」と何かを思い出したかのように声を上げた。

 

「では、形式的ですが、まずは生態認証を行いますね!」

 

生態認証、そういえばここに来る前にそんな言葉を聞いた気がする。

 

さて、どうやるのだろうか?と思っているとアロナが「あの、こちらの方に来てください。」と呼びかける。

 

そして、アロナは人差し指を突き出して

 

「さあ、この私の指に先生の指をあててください。」

 

言われるがままに指にあてると、カチャリと音が鳴った。

 

「えへへ、まるで指切りして約束してるみたいですね。」

 

”どちらかというと宇宙人の映画の名シーンのようだけど…。”

 

「え、宇宙人との映画のシーンにそっくり?」

 

どうやら声に出ていたらしい。それを聞いたアロナはこちらを少しジト目で見てくる。

 

「…じつは、これで生体情報の指紋を確認するんです!」

 

「少しそのままでいてください」と言われ、しばらくそのままでいると、アロナの方から指を離して

 

「はい、これで確認完了です!むふー凄いでしょう!」

 

”うんうん、すごいね。アロナは。”

 

そのちょっぴり誇らしげにする様子が可愛らしくて、思わずこちらの目を細めてしまう。でも、当初の目的を忘れたわけではない。

 

現在のキヴォトスがどのような様子であるのかを、私はアロナに説明した。ついでに、連邦生徒会長がどのような存在であったのかも聞いてみる。

 

 

「なるほど……連邦生徒会長がいなくなって、タワーが制御できなくなったと。先生たちの事情は分かりました。」

 

「連邦生徒会長については…ごめんなさい。彼女がどのような人物であったのか、どうしていなくなったのかについても、何もわからないんです。」

 

「お役に立てず、すみません。」

 

”ううん、大丈夫だよ。”

 

「ありがとうございます。…連邦生徒会長については、その、力になれなかったですけど、サンクトゥムタワーについては何とかなりそうです!」

 

”じゃあ、お願い、アロナ。”

 

「わかりました!それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を回復しますね!少々お待ちください。」

 

…あの高いタワーのアクセス権の回復にはとても時間がかかると

 

「はい、サンクトゥムタワーの制御権を無事に取得完了しました。」

 

思っていた時期が私にもありました。あまりにも早い…僅か1秒足らずで終わってしまった。

 

”だいぶ早いね。”

 

「ふっふーん。アロナは優秀なのです!」

 

「では先生、どうしますか?今サンクトゥムタワーは私アロナの統制下にあります。」

 

「今の先生は、キヴォトスを手中に収めたといっても過言ではありませんよ!」

 

”………連邦生徒会に権限を移動できる?”

 

「はい、先生が望むなら可能ですが…よろしいのですか?」

 

”うん、問題ないよ。”

 

「…わかりました。では、」

 

そうして、私は元居た場所に戻ってきた。しかし、私があの空間に入った時と違って電気がついており内装がよく見える。

 

少し離れていたリンがこちらに近づいてきた。

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取得できたことを確認しました。…ありがとうございます、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに連邦生徒会を代表して、深く感謝いたします。」

 

「これで連邦生徒会長がいたころと同じように行政管理が行えます。」と言ったその顔は嬉しそうで安堵の感情が伝わってくる。それだけ、この塔の制御権を取り戻せたことは大きいのだろう。

 

 

「脱走した生徒たちはおいおい討伐および捕縛を行うとして…」

 

「先生、もう少しお付き合いよろしいでしょうか?」

 

”うん、大丈夫だよ。”

 

「ありがとうございます。では、…ついてきてください。今から、連邦捜査部『シャーレ』に案内します。」

 

そう言われてついていくと、「空室 近々始業予定」と書かれた張り紙のされた部屋についた。

 

どうやらここがメインロビーらしい。そして扉を開けて中に入るとそこには広々としたオフィスのような空間が広がっていた。

 

…少し大きめの机の上に山のように積みあがった紙の束があるのは気のせいだろうか?

 

「ここが、シャーレの部室となります。ここで、先生のお仕事を始めると良いでしょう。」

 

”ここが…”

 

これから働く場所であるシャーレの中に入った私はリンから説明を受けた。

 

いわく、

・目標が存在せず、特に何かをしなければならないという強制力は存在しない。

・キヴォトスのどんな学園の自治区に自由に出入りできる。

・所属に関係なく、どの生徒もシャーレの一員として部員にできる。

 

なぜ一部活にここまで巨大な権限を与えたのかというものを聞こうとしても、すでに連邦生徒会長はこの場にいない。…というよりいたときでも答えてくれなかったそうであるが。

 

「現在、連邦生徒会には多くの陳情や苦情が寄せられています。」

 

「時間が有り余っているシャーレならばこれらを解決できるかもしれませんね…。」

 

「それらの資料はすべてそちらの机に置いておきましたので、時間があるときにでも目を通していただけると幸いです。」

 

「すべては、先生の自由ですので。」

 

”頑張ります…。”

 

どうやら忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルの上を黒い女性が飛んでいく。仮面を着け、腰に鞘とホルスターを下げている。頭頂部に耳を生やした彼女は実際に()()()()()()()()音を超えそうなほどの速さで飛んでいく。

 

そして彼女が先ほどまでいたところではゴールドシップがゴールドシップの死体だったものを拾い上げていた。

 

「いやーサトノ様様だな、こりゃ。…まさか、こんな手のひらサイズのキューブがあんな精巧なホログラムを作ってたなんてよ。ラジコン操作もできて便利だな、おい。」

 

「まぁ、こいつは二度と使えねぇな。さすがに真っ二つになってたらもうダメだろ。」

 

「…もう出てきていいぞ、サトイモ。」

 

そう彼女が声をかけると奥からもう一人の茶髪のウマ娘…里野ダイヤモンドが表れる。

 

険しい表情をした彼女と、ゴールドシップは言葉を交わす。

 

「んで、どうだったよ。今のキタサンは?」

 

「…正直、まさか、とは思っていました。それでも、あのためらいの無さを見ると…」

 

「でも、違和感もあります。あの動きは間違いなくウマ娘の限界をはるかに超えたもの。つまり、ヘイローが存在している筈です。…しかし、」

 

「ヘイローは浮かんでなかった。…つまり、意識のない状態だってことだ。」

 

「となると、相手は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして、今のキタちゃんはその相手によって意識のない状態にされた上で操られている、ということ。」

 

その言葉を聞いたゴールドシップは目を細めて、問うた。

 

「勝てるか?」

 

「お前、勝てんのか?あいつ(キタサンブラック)に、あそこの連中に、黒幕に、勝てんのか?」

 

その問いに里野ダイヤモンド、否、サトノダイヤモンドは、その瞳に光を宿して、迷いなく答えた。

 

「ええ、勝てます。今すぐには無理ですが、力をつければ、必ず。」

 

そして続ける。「今はトレーニングの時期である。」と。

 

「レースと同じです。今の私は、彼女の足元にも及ばない。ならどうすればいいのか?」

 

「簡単です。鍛えればいい。」

 

(強さ)を、()を、(権限)を、(情報)を、今は積み上げる。」

 

「そして勝つ(救う)。必ず、何があっても、絶対に。…ですので」

 

「お願いします。力を貸してください。ゴールドシップさん。」

 

最後に頭を下げてまで伝えたその答え。それを聞いたゴールドシップはどこかつらそうな目をしたが、それをすぐに拭い去った。

 

「…よし、よく言った。いいぜ、やっ(助け)てやろうじゃねぇか。」

 

「…っありがとうございます!」

 

「お礼なんていらねぇよ。…大事な後輩があんな目にあってんだ、アタシだって、今腸煮えくり返りそうなんだぜ?」

 

そして、ゴールドシップは「ふぅーーー」と軽く息を吐いた。その吐息はまるで船の蒸気のようであった。

 

「…そんじゃまずは情報収集もだが、最優先は()()()()の強化だ。アタシが特訓つけてやる。サトノの技術でも埋められない差ってもんを埋めれる手伝いをしてやる。」

 

「そんで急がねぇとヤバいぞ。なんせタイムリミットがあるからな。」

 

「タイムリミット…?」

 

「ああ。いっつも地下に潜ってなかなか出てこねぇあいつらだが、その正体はトリニティにとりついた『怨霊』みてーなもんだ。だからこそ、あいつらが『ここだっ』て狙う瞬間がある。」

 

「それは…?」

 

「…エデン条約。聞いたことあんだろ。どこでやるかは知らねぇが、その時はトリニティ、ゲヘナの両方から多くの有力者が集まるだろうな。」

 

「そこでテロだなんだ起こしてでっかい被害出してみろ。トリニティは手薄。一番近いゲヘナもボロボロ。他のマンモス校もすぐには手出しできない。」

 

「そのタイミングであいつらがトリニティを手中に収める。そうなったら手遅れだ。奴さんはその道の技術でトリニティの生徒全員を戦闘マシーンに変えちまうだろうな。今のキタサンのように。」

 

「どうよ、なかなか筋が通ってんだろ?」

 

「…だから、そうなる前に叩く。奴らがこの地上に出てきたときに。」

 

「そうだ。だからタイムリミットはエデン条約が始まる前だ。その時までに、」

 

「力をつける。」

 

「そう言うこったな。」

 

しばしの沈黙。風が二人の間をするりと抜けた。

 

「なんにせよ、今はその時までに武器を磨き、より力をつける時。やることは変わらないのでしょう?」

 

そう言った彼女はにやりと獰猛に笑う。それを見たゴールドシップも同じように笑った。

 

「…だな。ほんじゃさっそく」

 

「はい、なんでしょう!」

 

「うちの空調直してくんね?衣食はいいけどこのままだと住がどっか行っちまうぜ。」

 

先ほどの表情とはうって変わって舌をでろんと出し、「ツルギ、ヒナ、カンナの三人とやりあった時のほうがまだマシだったぜ。」といった彼女は、もう心底つらいという表情で里野に頼み込んだ。

 

「ふふふっ、わかりました。里野にお任せください。」

 

「ありがてぇ。…頼むわ、マジで。

 

そうして二人はその瞳に目指すもの(ゴール)を宿し、歩き始めt

 

「ジンクスの気配がする…!」「なんて???」

 

「ですから、ジンクスの気配がするんですよわからないんですか?」

 

「いやわかんねーし、わかりたくもねぇよ。」

 

おいコイツなんかトンチキな事言い出したぞ、と軽く引いてるゴールドシップ。第三者がいたら「お前もだよ鏡見ろ!」と言われること間違いなしだ。

 

「トリニティで重大なジンクスが起きている気がする…いや起きてますよこれは!」

 

「あーダイヤ?今すげーシリアスな空気のはずだったんだけど?」

 

「シリアスだとかシリアルだとか、どうだっていいですよそんなこと!」

 

「そんなこと?!」

 

「兎に角!私は今からジンクスを破りに行ってきますね!!!何かあったら里野グループに連絡してください!」

 

「では!!!」

 

「え、あ、おう、わかった、頑張れよ…。」

 

ドヒュンと駆け出すダイヤに置いてけぼりのゴールドシップ。暫くポカンとしていたが、頭をガジガジと掻いた後にその場からふっと掻き消えた。

 

後に残ったのはただひゅるりと吹く風と、雲に隠れた太陽ばかりだった。

 

*1
凶悪犯=停学中の生徒ということに先生は気づいていません。

*2
戦車が4両ほどあったが、道中でゴールドシップを追ってきた尾刃カンナ率いるヴァルキューレの生徒たちが合流。その後協力して何とか突破した




はい(はい)というわけで本格的に原作が動き出します。

早速戦車が4両あるという強化がはいりましたが、先生たちはどうにか突破できたようです。
キルログとしては
先生率いるチュートリアルチーム:不良生徒多数、戦車2両
ヴァルキューレ生徒:不良生徒多数(主に援護)
カンナ:不良生徒多数、戦車2両
という形です。カンナにいたっては素手で砲弾を弾いて近づく、装甲をひっぺはがすといったこともやってます。…どうやら腕と脚に見慣れない装備をつけていたようです。過去にゴールドシップを捕まえる際にはつけていなかったらしいですが。

まだまだ書きたいシーンは沢山あるので今後ともこの小説をよろしくお願いします。


…だそうだ。
諸君らには、ぜひコン・ブリオでグランディオーゾなこの世界のコーダまで見届けてくれると幸いだよ。

ーゲマトリア所属:「指揮者」よりー
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