劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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実際達也がなったら如何なるんでしょうね。


候補者は……

 騒動が一段落したところで、紗耶香がポツリとつぶやいた。

 

「そういえばもうすぐ生徒会長選挙ね」

 

「月末だろ? まぁもうすぐといえばもうすぐだが」

 

「今年は服部と中条の一騎打ちって言われてるわよね」

 

 

 最近似たような話題を生徒会室でした覚えがあった達也は、その話題を聞く事にした。生徒会室ではあずさは出馬するつもりはないと言っていたので、このままなら服部が生徒会長になるのだろうと、達也は思っていたのだ。だが、桐原が思わぬ事を言い出した。

 

「いや、服部は出ないぜ」

 

「そうなのですか? そういえば会長が服部先輩は十文字会頭が跡を継いでほしいと思ってると言ってましたが」

 

「ああ。それで服部本人も乗り気でな。さすがに時期会頭候補を生徒会長選に出馬させたりはしないだろ」

 

「そうなると次の会長は中条さん?」

 

 

 花音がそうつぶやくと、今度は達也が首を振った。

 

「中条先輩は出馬したくないと言ってました」

 

「まぁ、中条さんの性格じゃあね……」

 

「会長って感じはしないわよね……」

 

 

 同学年四人が納得してる横で、達也は少し考えていた。時期生徒会長候補二人が出馬しないとなると、一体誰が会長になるのかと……

 見回りを終えて昇降口に向かうと、生徒会の仕事を終えた深雪、部活を終えたほのか、雫、エリカ、美月、レオ、そして実習室で自主トレをしていた幹比古も既に集まっていた。そして話題は自ずと月末の生徒会長選の事になった。

 

「ちょっと頼りないような気もしますけど……」

 

「でも、実力はピカイチ」

 

「それで、服部先輩の可能性は完全に無いんだよね?」

 

「そうらしい。会頭も正式に打診するらしいし、服部先輩もそのつもりだって桐原先輩が言ってたからな」

 

「ですがお兄様、中条先輩も出馬しないと仰られてましたよね?」

 

 

 この間の生徒会室での会話で確かにあずさは生徒会長になるつもりは無いと言っていたのだ。

 

「そうなると誰が……そうだ! 深雪が生徒会長になっちゃえば?」

 

「何言い出すの。私はまだ一年なのよ」

 

「別に一年生が会長になっちゃいけないってルールも無いし、生徒会長になれば達也君を生徒会に引き抜けるわよ?」

 

「そうですね。七草会長は一科縛りのルールを廃止するって言ってましたし」

 

「そうよ。深雪が会長になれば達也君を生徒会に入れられるし、学校でも一緒に居られる時間が増えるんじゃない?」

 

 

 メフィストフェレスの少女版のように繰り返すエリカに対抗したわけではないのだろうが、幹比古がもう一つの可能性を見出す。

 

「何なら達也が出馬したら?」

 

「おっ、それは面白そうだ!」

 

「バカ言うな。深雪なら一定の票は集まるかもしれないが、俺に票が集まるとは思えん」

 

「でも達也さんは九校戦優勝の立役者」

 

 

 男のみで話してた内容に雫が加わってきて、達也は本格的に頭を押さえたくなった。

 

「あのな雫……百歩譲って事実だとしても、俺は一つしか競技に参加してないんだ。裏方の仕事なんて見てて分かるものじゃない」

 

「でも、達也さんが出馬すれば私は支持します!」

 

「私もです、お兄様!」

 

 

 ほのかと深雪が張り合うようにそういうと、達也はとうとう頭を押さえだしてしまった。

 

「冗談は止してくれ。本格的に頭痛がしてきた……」

 

「でも私も達也さんを支持する」

 

「少なくとも二科生の女子は全員達也君を支持すると思うわよ?」

 

「男子も殆ど支持するだろうぜ」

 

「止めてくれ……」

 

 

 達也が本気で嫌がっていると気付いた深雪は、もうこの話題に加わる事はしなかった。深雪としても達也が学園のトップに立つのは見てみたいのだが、これ以上達也を困らせるのは憚られたのだ。

 

「そういえばお兄様、この間カウンセリング部から呼び出されてましたが、どんなご用件だったのです?」

 

「ん? あぁ……平河先輩の事でちょっとな」

 

「平河? 九校戦のエンジニアだった平河小春先輩?」

 

「そうだ。例の事故で責任を感じてしまってるらしい。それでカウンセリング部で心のケアをしてるらしいんだが……何故か俺にも手伝えと言ってきたんだ」

 

「誰が?」

 

「小野先生が……」

 

 

 達也がそういうと、全員が何故か納得したように頷いた。

 

「遥ちゃんならありえそうだな」

 

「達也君なら平河先輩の心の傷も治せそうだしね」

 

「何を根拠に……」

 

「だって、達也君が本気で平河先輩を慰めれば、きっと先輩も復帰出来るわよ」

 

「確かに……達也さんならカウンセリングも出来そうですものね」

 

 

 エリカのいい加減な発言に、美月が本気で同意した。その所為で達也はますます頭痛に悩まされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、達也が教室へ着いた時には、既に幹比古が来ていた。

 

「早いな」

 

「最近朝の勤行に加えてもらえるようになったから、その影響かな」

 

 

 かつて神童と呼ばれてた時の力を取り戻しつつある幹比古は、実家の勤行に再び参加出来るようになっていたのだ。それは達也が幹比古の魔法発動時の無駄を削ぎ落とし、スムーズに発動出来るようにCADを改良し、幹比古が自分の力を見つめなおすきっかけを作ったからなのだ。

 

「そういえば達也、ちょっと変な事聞くけど……」

 

「変な事なのか?」

 

「い、いや! 僕はそうは思わないけど……昨日廿楽先生に達也が生徒会長選に立候補するのは本当かって聞かれたんだ」

 

「……何だって?」

 

 

 達也は目を細め幹比古を見つめる。先日達也が立候補したら面白いと言い出したのは幹比古だからなのだが、幹比古は慌てて手を左右に振る。

 

「僕じゃないよ!?」

 

「そういえばアタシも先輩に、二科生の風紀委員の子が生徒会長選に出るって聞いたけど、あれって達也君の事だよね?」

 

「俺も部活の先輩たちが噂してるの聞いたぜ」

 

 

 達也が頭を抱えていると、もう一人のクラスメイトも同じような事を言い出した。

 

「私も聞きました」

 

「美月も? やっぱり部活の先輩?」

 

「いえ、昨日カウンセリングルームに行った時に小野先生が」

 

「カウンセリング? 美月何か悩んでるの?」

 

「ちょっと相談しただけだよ。エリカちゃんに心配してもらうような事でも無いし……」

 

「気になるじゃない! 白状しなさい!」

 

 エリカは別の場所に興味を持ったようだが、達也はカウンセリング部の小野遥が自分が会長選に参加するという事を言っていた事に興味を持ったのだった。

 

「兎に角、俺は出馬などしないし、この間言ったように俺に票が集まるとは思えん」

 

「えー、でも部活の先輩は支持してたけどな~」

 

「ウチの先輩も結構達也の事支持してたぜ?」

 

 

 達也はこの噂の出所を探すのに前向きになった。誰かが噂を広めてない限り、自分が出馬するなどと言う与太話が広がる訳無いと確信していたからだ。




美月の悩み事ってやはり幹比古絡みなのか? 無自覚ラブコメコンビめ。
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