劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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真由美単体じゃちょっと難しかったんで摩利を追加で


IF世界 真由美と摩利

 達也が入院したことは大々的にテレビで放送されていたし、光宣が海外逃亡したことは真由美から聞いていた摩利だったが、彼女は達也が退院したと大喜びで報告してきた真由美に対して、ムスッとした表情で対応していた。

 

「どうしたの、摩利? 貴女だって達也くんが入院したと聞いた時は驚いていたじゃないの」

 

「あたしはあの魔法のことを知っているから、達也君が入院するような事態になったのかと思って驚いただけだが、裏事情をお前から聞かされてからは納得していただろ」

 

「そうだったかしら? でも、何でそんなにつまらなそうな顔をしているのかしら?」

 

 

 達也が誘拐された水波を連れ戻しに行くのには、国防軍の目を欺かなければいけないということも説明してあるので、真由美には摩利がつまらなそうにしている理由が分からない。

 

「あたしたちが探し回っても見付けられなかった九島光宣をあっさりと見つけた挙句に、誘拐された桜井を連れ戻してUSNAから飛行魔法で帰ってきたんだろう? アイツが二科生だったということを思い出すと、魔法の評価というものは本当に正しくされているのだろうかと思っただけだ」

 

「達也くんはいろいろとイレギュラーなのよ。摩利だって、達也くんの実技の成績は知っているでしょう?」

 

「だから、実戦で使う魔法と、評価の対象とする魔法は本当に同じなのかと疑問を懐いただけだと言っているだろ」

 

 

 達也の実技の成績は、お世辞にも優秀とは言い難い。平均より下の成績なのだからそう評価されてもおかしくはないのだが、達也がUSNAで残してきた戦果を考えれば、評価が自分たちより下などありえないと感じてしまうだろう。少なくとも、同じことをやれと言われても摩利には不可能だ。

 

「そもそも正式な旅券があったのなら、あのような茶番劇は必要なかったんじゃないのか? わざわざ司波の泣き顔を放送する必要はあったのか?」

 

「少しでも疑わしいと思われたら厄介だったからじゃないの? まぁ、達也くんの魔法を知っている人は国防軍内にもいるんだろうけども、おいそれと公言できることじゃないし、証拠さえなければ介入すら難しい場所での入院だったからね」

 

 

 巳焼島は四葉家の私有地として認識されており、達也が掲げた恒星炉プラント事業の重要な拠点という位置づけだ。国が簡単に介入してノウハウを全て海外に流すと脅されたら、日本の魔法産業はあっという間に遅れてしまう恐れがある。軍内部に思うところがある人間は多々いるかもしれないが、少なくとも背広組は達也の機嫌を損ねて海外に亡命されるのを恐れ、巳焼島には介入すべきではないという考えをしている。

 

「しかし、同じ十師族といっても、お前の家とは随分と違うよな、四葉家というのは」

 

「今更ね。摩利だって四葉家の異名は知っているでしょう?」

 

「あぁ。大袈裟なんじゃないかとも思っていたが、達也君の実力を見たから、あながち誇張というわけでは無いんじゃないかとは感じたが」

 

「それって、十文字くんとの一騎打ちのことでしょう? あれでもまだ、達也くんは加減してた方なんだけどね」

 

「まぁ、アイツが本気だったら、十文字は今頃この世に存在していないだろうしな」

 

 

 克人の障壁魔法を滅ぼし、腕を吹き飛ばして尚拳銃型CADを突き付けていたのだ。あの状態で達也が魔法を行使すれば克人に抵抗の手立ては残っていなかった。もしあれが本気の命の遣り取りだった場合、克人は完全に消されていただろう。摩利にもそのことは理解できている。

 

「というか、達也君がUSNAの施設を破壊したというのは本当なんだろうな? 少なくともUSNAの基地が襲撃されたというニュースは入っていないし、情報部の方でもそのようなことは発表していないのに、何故お前は知っているんだ?」

 

「これでも十師族の一員ですもの。国防軍には無い情報網を持っているのよ? まぁ、達也くんがやったという証拠はないから、USNA側も国防軍も達也くんを問い詰めることはできないわよ。そもそも、たった一人に基地二つを陥落されただなんて、USNA政府が発表できるわけないじゃないの。そんなことを言えば、面子は丸つぶれな上に、他国から笑われてしまうだろうしね」

 

「だがアイツの実力を考えれば、それもあり得ると思えてくるのが不思議だ……初めは面白いヤツだと思ったが、恐ろしいヤツだったんだな」

 

「あら、今更? 達也くんが裏でいろいろとやって来たのは、摩利だって知っているはずでしょう? 表沙汰にはなっていないけども、私たちの最後の九校戦が無事に終わったのだって、達也くんがいろいろと手を尽くしてくれた結果なんだから」

 

「確か、香港系の犯罪シンジケートがちょっかいを出してきていたんだっけか? というか、あたしは大怪我をして無事じゃなかったんだがな」

 

「まぁまぁ。細かいことは兎も角、大会が中止にならなかったのは達也くんのお陰なんだから」

 

 

 肋骨骨折を「細かいこと」で終わらせて良いのかと摩利は思ったが、死者が出なかったと考えれば確かに無事に閉幕したと言えなくもないかと思い直し、とりあえずそのツッコミは呑み込んだのだった。




肋骨骨折は十分重症だと思うんだがな……
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