劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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どうやって師族会議編を終わらせるかが分からなくなってきた……


最終選考

 達也の婚約者候補として名を連ねた女子、または女性が一ヵ所に集められた。呼び出しの理由はもちろん、最終発表が行われるという名目だ。

 

「あら、リーナじゃない。久しぶりね」

 

「ハイ、エリカ。アナタも候補だったのね」

 

「見たことある人も多いけど、見た事ない人もいるわね。さすが達也くんって言ったところかしら」

 

 

 エリカとリーナが周りを見渡すと、一高の同級生やOGなど見覚えのある人から、まったくの初対面の人もちらほらと見受けられる。

 

「あら、エリカにリーナ。貴女たちも来ていたのね」

 

「深雪は決定的だもんね。それほど緊張してる感じもしないし」

 

「この間正式に一条家からの申し出を断ったから、心配事が片付いたからじゃないかしら」

 

「白々しいわよ、ミユキ。アナタは既に内定をもらってるのでしょ?」

 

「そんな事ないわよ。叔母様もお兄様も何もおっしゃって下さらないから、私だって結果は知らないのよ」

 

 

 深雪とリーナは内定をもらっているのだが、他の候補者と同様に扱う為にその事は伏せてあるのだ。深雪もリーナもその事は理解しているので、本当に白々しい会話だと本人たちは思っているのだが、周りの候補者にはその事は伝わらなかった。

 

「深雪さん、お久しぶりね」

 

「ご無沙汰しております、七草先輩。香澄ちゃんも、ごきげんよう」

 

「こ、こんにちは」

 

 

 四葉のテリトリーと言う事で、普段こういった空気に慣れていない香澄は若干緊張しているように見て取れる。だが、真由美は慣れたもので、何時も通り猫の皮を被っていた。

 

「あそこにいるのは響子さんよね? それに津久葉先輩も」

 

「七草先輩、夕歌さんの事をご存じだったのですか?」

 

「同じ大学だもの。深雪さんの方こそ、津久葉先輩と何処で知り合ったの?」

 

「ちょっとした知り合いなんです。お兄様共々、色々とお世話になっていますので」

 

「そうだったの」

 

 

 まだ夕歌が四葉の関係者であることは知られていないので、深雪もその事を伏せて話を誤魔化す。

 

「深雪、エリカも」

 

「ほのか、雫もこんにちは。少し久しぶりね」

 

「試験の後、あまり会わなかったからね」

 

「生徒会の方でも、時間がズレたりしちゃったものね」

 

「仕方ないよ。深雪だって四葉の人間なんだからさ」

 

 

 四葉家では、達也に当主の座を譲るにあたり色々と人事異動などが行われ、深雪もそれに立ち会うことになってしまったのだ。理由は深雪の父親である龍郎も関係者として呼び出され、その娘として深雪も招待されたのだ。

 

「深雪のお父さん、大丈夫なの?」

 

「気にしなくていいわよ。あの人は所詮あの程度の人だから」

 

 

 龍郎は一応現状のまま本社の重役としての地位を与えられたのだが、達也を道具のように扱っていた事、また、後妻である小百合の達也への態度を改めない限り、次の役員会で降格も在り得るという脅しを真夜から下されたのだった。

 

「それにしても、見た限り凄い人ばっかりだね。私、選ばれるのかなぁ……」

 

「大丈夫よ。お兄様だってほのかの事を嫌っていないもの」

 

「でも、他の人は魔法資質高そうだし……」

 

「ほのかだって負けてないでしょ? てか、魔法資質なんて言われたら、あたしなんて真っ先に弾かれるわよ」

 

「気にし過ぎ。エリカだって十分高い資質があると思うよ」

 

「……褒めても何も出ないんだからね」

 

 

 雫のセリフに、エリカは気恥ずかしそうに視線を逸らす。そんなエリカの姿に、深雪たちは笑みをこぼしたのだった。

 

「ところで、タツヤは何処にいるのかしら?」

 

「お兄様なら、叔母様とご一緒に最終選考の為に会議室にいらっしゃるわよ」

 

「ここに集まった人、全員が選ばれるわけじゃないんだよね」

 

「いくらお兄様が優秀な魔法師で、国が一夫多妻を認めてくれたと言っても、ここにいらっしゃる方全員を娶るのはお兄様でも不可能よ」

 

「優秀な遺伝子を残す前に枯れちゃうかもしれないもんね」

 

「エリカ、貴女って少し下品よね」

 

「そうかな?」

 

 

 深雪のツッコミにとぼけた感じで返すエリカだが、自分でも今の発言は若干品が無かったかもしれないと思っていたのだった。

 

「皆様、大変長らくお待たせいたしました。これより、四葉家次期当主であられる司波達也様の婚約者として選ばれた方を発表させていただきます。私、四葉家現当主の名代として進行役を仰せつかりました葉山と申します」

 

 

 突然現れた葉山の姿に、四葉関係者以外の候補者は驚きの表情を浮かべる。

 

「これよりこちらのモニターに、婚約者として達也様に認められた方のお名前を表示していきますので、ご自分の名前を確認された方より、あちらの部屋へと移動していただきます。また、お名前が表示されなかった方は、残念ですが落選、と言う事ですのでお帰りいただく事となります」

 

 

 後半の言葉に、深雪とリーナ以外の候補者は肩をびくつかせた。ここまで来て落選、という事実は受け入れられないだろうなと、深雪は可能性のありそうな人に同情したのだった。

 

「では、これより発表してまいりますので、どのような結果であろうとも過剰に反応しないようお願いいたします」

 

 

 説明を終え、葉山はわきに下がる。そしてモニターに名前が表示され始める。順当に深雪、リーナ、真由美の名前が表示され、三人は四葉家の使用人に案内され部屋へと移動する。

 その後、エリカ、ほのか、雫といった一高の同級生や、鈴音、夕歌といった一高OG,愛梨、栞、沓子、香蓮の三高女子など、名家の名前が続々と表示されていく。

 残り少なくなっていく中で、響子や千秋の名前も表示され、先に部屋に向かったエイミィやスバルも含め、達也の知り合いは全員婚約者として認められる事になったのだった。

 

「以上をもちまして発表を終了させていただきます」

 

 

 葉山の宣言と共に、残った候補者たちはガックリと肩を落として会場を後にしたのだった。




とりあえず候補者はしっかりさせておかないと

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