劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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この二人は情報が少なすぎる……


IF友人ルート その1

 せっかくのデートだというのに、エイミィはどうせならスバルも一緒にという提案をした。スバルにしても、一対一のデートは恥ずかしいのでエイミィの提案はありがたいものではあった。だが、心の何処かで達也を一人占めにしたいという気持ちがあったのは否定出来ないのだった。

 

「司波くんは忙しいから、私たちに使える時間が少ないもんね」

 

「だからと言って、僕とエイミィを纏めて相手にするとなると、相当大変だと思うんだけどね」

 

「そうかな? 深雪やほのかと違って、私たちは司波くんに甘えたりしないと思うんだけど」

 

「あの二人は例外だろ……」

 

 

 長年達也の事を想い続けた深雪と、思い込みが激しく依存癖のあるほのかと同列に見られるのに、スバルは若干の抵抗を覚えたのだった。

 

「そんな事より、早いところ待ち合わせ場所に向かおうではないか。司波君の事だから早めに行動しているだろうしな」

 

「司波くんは真面目だもんね。私なんて時間ぎりぎりにならなきゃいかないのに」

 

「君のそのクセは直した方が良いね。最悪、ドタキャンするんだから」

 

「あれは家の用事とかで仕方なくでしょ」

 

「そうだとしても、もう少し早く連絡するとか、家の用事なら前日に分かるだろ?」

 

「そうだけどさ~」

 

 

 エイミィとスバルが待ち合わせ場所付近に到着すると、何やら人だかりが出来ている。その中心付近が待ち合わせ場所なのだが、人垣を掻き分けるのはかなり苦労しそうなくらいの人数であった。

 

「なにかあったのか?」

 

「良く分からないけど、この人たちの大半が女性だよね?」

 

「それがどうかしたのか?」

 

 

 スバルの問いかけに、エイミィはにぱっと笑みを浮かべ両手を合わせた。

 

「スバルがお願いすれば、どいてくれるんじゃない?」

 

「一応言っておくが、僕はれっきとした女だからな?」

 

「でもほら、紅葉とかはスバルの事恋人にしたいとか言ってたよ?」

 

 

 去年のクラスメイトである桜小路紅葉の事を思い出し、エイミィはスバルならこの人垣を掻き分ける事も可能なのではないかと思ったのであった。

 

「渡辺先輩のように、万人に受け入れられるわけじゃないんだが」

 

 

 そんなやり取りをしていると、人垣が勝手に開き中から達也が現れた。

 

「何を話してるんだお前たちは」

 

「あぁ、やっぱり中心にいたのは司波君だったか」

 

「やっぱり?」

 

「これだけの女性が色めき立っていたのだから、相当な男性か芸能人がいたかのどちらかだと思ってね。芸能人にしては、女性しかいなかったのを考えると、相当な男性がいたと考えるのが普通だと思ってね」

 

「司波くんなら納得だよね」

 

 

 人垣を形成していた女性たちは、達也がスバルとエイミィに話しかけたのを見てがっかりと肩を落としながらこの場を去っていった。

 

「さて、それじゃあどこかに行こうか」

 

「私、甘いもの食べたーい!」

 

「スバルもそれでいいか?」

 

「僕は構わないよ。これでも、甘いものは好きなんだから」

 

 

 達也の前で女らしさをアピールしようとしたが、どうも上手くいかず、スバルは店に着くまで頻りに首を捻っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人が甘いものを堪能しているのを、達也は正面に座りながら眺めていた。

 

「あれ? 司波くんは食べないの?」

 

「嫌いではないが、さすがにその量は食えん」

 

「そうかい? 僕でも問題なく食べられるんだがな」

 

「スバルは女子だからだろ。良く聞くのは、女子は甘いものなら結構食べられるらしいじゃないか」

 

「そうだね……甘いものは別腹と昔の人が言ったように、意外と食べられるものだね」

 

 

 達也とスバルが話している間も、エイミィは幸せそうな表情で食べ続けている。

 

「ケーキバイキングは人類の宝だよね~。もうちょっと持ってこよう」

 

「まだ食べるのかい? 僕が言うのもなんだけど、さすがに食べ過ぎではないかい?」

 

「まだ全種類制覇してないから! 後ちょっとなの」

 

「そうか……僕はこの辺で止めておこうか。十分元は取れたからね」

 

 

 スバルは限界に達したのか、エイミィのような貪欲さは発揮されなかった。それでも、十分元を取るくらいは食べたので、貪欲と言えば貪欲だったのかもしれない。

 

「それにしても、エイミィは凄いね。あれだけ食べても太らないし、胸も成長しないんだから」

 

「後半は本人に言ってやるなよ。良く分からないが、女子はそう言う事を気にするんだろ?」

 

「そうだね……雫とかエイミィはやたらと気にしてるが、僕はあまり気にしないね」

 

「女子は男子は大きい方が好きとか思ってるとか、レオや幹比古が話してるのを聞いたが、実際はどうなんだ?」

 

「そう思い込んでる人もいる、ってところかな。僕は小さくても好きになってもらえると思ってるから」

 

「何々、何の話~?」

 

「エイミィ……口の周りにクリームが付いてるぞ」

 

 

 紙ナプキンを手に取り、達也がエイミィの口周りを拭くと、エイミィは子供っぽい笑みを浮かべ、再びケーキを頬張るのだった。

 

「見ていて気持ちいくらいの食べっぷりだな」

 

「ほう? しはふんらっへ、このくらひ――」

 

「呑み込んでから喋ったらどうだい? それに、時間ももうすぐ終わりだよ」

 

 

 スバルの忠告に頷いて答え、エイミィは皿の上のケーキを時間内に食べ終えるのだった。

 

「ふぅ……これで全種類制覇だね」

 

「さて、それじゃあ次の場所に行こうか」

 

「司波くん、ご馳走様でした」

 

 

 当たり前のように奢ってもらう腹積もりであったエイミィは、支払う前から達也にお礼を言う。達也も最初から払うつもりだったので、特に気にした様子もなく会計を済ませたのだった。




まぁ、足りない情報は作ればいいだけなんですけどね……

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