劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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やっぱり真由美は年上っぽく感じないんですよね……


IFお姉さんキャラルート その3

 夕歌との用事を済ませた達也は、そのまま真由美と鈴音が待つカフェテリアへと向かう。途中学生とすれ違ったが、特に達也の事を気にした様子もなく、また達也の事情を知ってる様子もなくすれ違ったことから、十師族や師補十八家、百家ではないのだろうと達也は推測したが、単なる暇つぶしでしかなかった。

 

「あっ、達也くん、こっちこっち」

 

 

 だが真由美が達也に声を掛けたことで、先ほどすれ違った学生は達也に驚愕の視線を向ける。達也の事情は知らなくとも、真由美の事情は知っていてもおかしくはない。その真由美が親し気に声を掛けた事と、達也という名前からなんとなく察しがついたのだろう。

 

「七草先輩、あまり大声で呼ばないでくれませんかね」

 

「気にし過ぎだって」

 

「一応魔法大学は部外者に対して厳しい事になってるんですから」

 

「今日はそちらが手を回してるから問題ないんでしょ? だったら気にするだけ無駄よ」

 

「そう言う問題ではないと思うのですが……鈴音さんからも何とか言ってくださいよ」

 

「真由美さんのこれは今に始まった事ではありませんので」

 

「そうでしたね」

 

 

 鈴音に助けを求めた達也ではあったが、鈴音の言い分にあっさりと納得し説得を諦めた。真由美としてはそれで納得されるのは面白くなく、ますます不満そうな顔になったのだが、達也も鈴音も相手にすることははしなかった。

 

「それで、先輩方はどのようなご用件でしょうか」

 

「特に用事は無いんだけど、せっかく達也くんが魔法大学に来るって聞いたから、少しお茶でもどうかなって」

 

「何処から俺が来ると聞きつけたのかは聞きませんが、たまにはのんびりするのもいいですかね」

 

「今日は比較的暇なのですね」

 

「谷間、という感じですかね。夕歌さんに呼び出されたのも、次の任務に関係ないものではなかったですし」

 

 

 達也は堂々と嘘を吐いたが、真由美と鈴音にそれを確かめる術はなく、また達也も嘘だと疑われる態度ではないので、真由美と鈴音は早々に信じ込んだのだった。

 

「それで大学側も達也くんが来ることを認めたのね」

 

「いくら四葉とはいえおかしいとは思っていましたが、そういう事情でしたか」

 

「それで、次のお仕事は何処で何をするのかしら?」

 

「それは秘密です。例え七草家のご令嬢とはいえ、そうやすやすと十師族の務めを他家の人間に話すわけにはいきませんので」

 

「特にウチと四葉は仲が悪いものね……というか、あのタヌキが四葉家に一方的に喧嘩を売ってるだけなんだけどさ……」

 

「とにかく、お茶程度ならお付き合いする時間はありますので」

 

「では、ゆっくりとしましょうか」

 

 

 真由美が色々と悩んでる隣で、達也と鈴音はのんびりとした時間を過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 達也が帰ってから、真由美は夕歌と対面していた。同じ構内にいたのだから会う事自体は不思議ではないが、こうタイミング悪く会うと互いに気まずい空気になってしまうのだ。

 

「あら七草さん、達也さんとのお茶は楽しかったかしら?」

 

「そうですね。津久葉先輩こそ、達也くんと何をしてたのですか?」

 

「家の秘密なの。教える事は出来ないわ」

 

 

 達也と口裏を合わせているので、夕歌からボロが出ることも無い。真由美は達也が言っていたことを真実だと思っているので、夕歌の嘘にも気づけずにいた。

 

「四葉は十師族の中でも特に秘密主義ですものね。婚約者である私たちにすら言えないことって、いったい何なのか気になりますわ」

 

「私だってすべてを知ってるわけじゃないのよ? 四葉縁者とはいえ私は分家の人間、本家の方が何を考えているかなんて、私に全て知らせる必要は無いもの」

 

「分家筋とはいえ、津久葉先輩は達也くんの婚約者として――つまり本家に嫁ぐわけなのだから、それなりに情報は入りそうなものですが」

 

「達也さんだって、深雪さんに全ては話さないんだから、私になんて教えてくれるわけないじゃないの」

 

 

 夕歌の説得力抜群のセリフに、真由美は反論出来ずにただただ頷く事しか出来なかった。達也と深雪の関係は真由美も重々承知しているため、深雪に言わないことを夕歌に言うはずがないと納得せざるを得なかったのである。

 

「とにかく、達也さんが何の任務に就くかなんて、逐一私に報告なんてされないし、今回は私が魔法大学に籍があるからたまたま頼まれただけなの」

 

「そう言う事でしたか。てっきり津久葉先輩が達也くんに会いたいだけで呼んだのかと思いました」

 

「デートするのに大学の構内に呼びつけるわけないでしょ? 達也さんとならどこだって楽しいけど、大学の構内なんてさすがに選ばないわよ」

 

 

 実際は真由美の想像通りなのだが、さすがに四葉の縁者だけあって夕歌は嘘を吐くことに躊躇いを持たない。表情もいつも通り涼しいもので、真由美の眼力では夕歌が嘘を吐いているとは見抜けなかった。

 

「そう言う七草さんこそ、よく今日達也さんがここに来ることを知れたわね。何処から聞き出したのかしら?」

 

「私にだってそれなりの情報網はありますので」

 

「別に咎めるつもりは無いし、無理に聞き出したりしようとしてるわけじゃないのよ? ただ一応達也さんの事は大学側には言わないようにとお願いしていたのに、何処から漏れ出たのかしらね」

 

 

 本気で気にしてる様子ではないが、真由美は自分が聞き出したことで大変な事になるのではないかと少し不安を抱いたのだが、何食わぬ顔で夕歌のプレッシャーを受け流していた。

 

「まぁ、そう言う事ですから、互いに腹の探り合いは止めましょうよ」

 

「そうですね。将来は同じ立場とはいえ、今は過干渉する事は止めておきましょう」

 

 

 夕歌も真由美もその結論で納得し、互いに帰路についたのだった。




最後バチバチになったな……

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