劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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新刊が二月予定なので、一月になれば本編に復帰出来そうです


IF甘婚約者ルート 雫編

 風紀委員会本部のCADの定期メンテナンスをしている達也を、雫は退屈そうに眺めていた。春休みなので本部に詰めている必要は無いのだが、既に見回りも済ませ、生徒会室に遊びに行くつもりだったのだが生徒会の方は忙しそうだったのでこうして本部でぼんやりと過ごしていたところに、達也がメンテナンスに来たのだ。

 

「達也さん、それって面白い?」

 

「面白いとか面白くないとかは、人それぞれだと思うぞ。雫は調整とかに興味なさそうだし、たぶん面白くないと思う」

 

「じゃあいいや」

 

 

 暇つぶしになるかと思っていたが、面白くないと言われ雫はすっぱりと興味を失い、再びぼんやりと達也の作業を眺めていた。

 

「ねぇ達也さん」

 

「今度は何だ?」

 

「達也さんは、子供何人欲しいの?」

 

「いきなりな質問だな」

 

 

 普通の高校生なら動揺してもおかしくない質問だが、達也は作業の手を止めずにそう答える。雫の方も若干羞恥心が薄いのか、平然とした表情をしていた。

 

「だって、これだけ婚約者がいるんだから、一人一人ずつ生んだとしても結構な数だよ? もちろん、一人で終わる人ばかりじゃないだろうし、達也さん的には何人欲しいのかなって思って」

 

「四葉の人間という立場からすれば、跡取りは多い方が良いだろうな」

 

「達也さん個人の感情では?」

 

「祝福されるのなら、何人でも」

 

 

 達也がとある事情がら祝福されずに生まれたことを知っている雫は、達也の言葉の裏に隠された気持ちを把握し、せつない気持ちになってしまった。

 

「大丈夫、私はどんな子でも可愛がって育てるから。たぶんお父さんもお母さんも」

 

「雫のご両親は雫を可愛がってくれてるからな。たぶんそうだろう」

 

「他の人だって、達也さんとの子なら絶対に可愛がるだろうし、他の人が産んだ達也さんの子でも可愛がってくれると思う」

 

「雫は他の人が産んだ子でも可愛がれるのか?」

 

「……大丈夫。きっと可愛いと思うから」

 

 

 少し間が開いたのは、子供の顔を想像したからで、相手が誰とかそう言う事を考えたわけではない。もちろん達也も勘違いはせず、雫の答えに満足した雰囲気を醸し出していた。

 

「達也さん、なんだか嬉しそう?」

 

「重婚の問題は、相手同士がいがみ合わず平和な関係を保ってくれるかもあるからな。雫のような考えをしてくれる人がいるのはありがたい」

 

「きっと私だけじゃなく、深雪やほのかだって思ってるよ。だって、本当に達也さんの事が好きだから。達也さんを困らせるようなことはしたくないもん」

 

「そうか」

 

 

 作業が終わり、達也は汚れた手を綺麗にしてから雫の頭を撫でる。

 

「達也さん、明日私の家に来て」

 

「明日? まぁ予定はないが」

 

 

 いきなり誘われても動揺せず、達也は冷静に頭の中でスケジュール表を開き予定がない事を確認した。

 

「深雪たちには内緒。たぶん一日かかると思うからそのつもりで。着替えはこっちで用意するから」

 

「何をさせるつもりなんだ?」

 

「内緒」

 

 

 何かを企んでいるのは分かったが、結局聞き出すことは出来ず、達也はとりあえず雫の誘いを受ける事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深雪と水波を何とか納得させ、達也は誘われた通り一人で北山家を訪れた。玄関で紅音と遭遇したが、特に何も言われず雫の部屋に案内された。

 

「いらっしゃい、達也さん」

 

「いったい何の用なんだ? 雫のCADを調整しろとかだったら、前から言ってるようにライセンスを取ってから」

 

「そんな事じゃないよ。もっと大事な事」

 

 

 いつになく真剣みを帯びている雫の態度に、達也も居住まいを正す。

 

「今日は達也さんと一緒に子供を作ろうと思って」

 

「……どういうつもりだ」

 

「昨日話してる時、早く達也さんの子供が欲しくなって。他の人が産んだ子でも愛せると思うけど、やっぱり自分で達也さんの子供を産みたい」

 

「だからって、俺も雫もまだ高校生だ。その辺りはどうするつもりなんだ」

 

 

 いつも以上に鋭い視線を雫に向けた達也だったが、雫は戦くことは無く笑ってその視線を受け止めた。

 

「達也さん、お金持ちの事を甘く見過ぎだよ。子供を預けるくらい難しくないし、学業と両立するのだって頑張れる。それに、お母さんが手伝ってくれるって言ってたし」

 

「それで先ほど微妙な視線を向けられたのか」

 

 

 これから娘が何をするのか知っていたからこそ、達也に文句の一つも言わずにこの部屋に案内したのかと、達也は今更ながら紅音の心情を察したのだった。

 

「だから達也さん、私に達也さんの赤ちゃんをください」

 

「それがどういうことか、ちゃんとわかってるんだな?」

 

「もちろん。あっ、でも」

 

「何だ?」

 

「暫くはほのかたちには黙っててほしいな。私が一番だって優越感に浸りたいわけじゃなく、なら私もとかなりそうだから」

 

「まぁ、黙っておくのは俺も賛成だ。あまり連続でしたくはない」

 

「やっぱり達也さんは、他の男の人とは違うね。じゃあ、しよ?」

 

 

 可愛くおねだりする雫に、達也は彼女を優しく抱きしめ、ベッドまで持ち上げて運ぶ。

 

「雫、君は自分がどれだけ可愛いか自覚してるみたいだな」

 

「何で?」

 

「君があのように誘えば男が断れないと理解してる風だったから」

 

「他の人はどうでも良いよ。達也さんが誘いを受けてくれただけでいいの」

 

 

 よく見れば雫の顔に赤みがさしている。達也は雫が素面ではなくちゃんと緊張しているのだと理解し、優しく雫の服を脱がしていくのだった。




それまでネタがもつか心配です……

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