質問:リアル乱闘で一番強いのは?
慧:天音 永遠
メグ:天音さん
永遠:私
顔隠し:永遠
質問:慧きゅんと出会ったきっかけは?
慧: まじでヤメレ
メグ:とある格闘ゲームです
永遠:VRゲーム
顔隠し:クセがとても強いVR格闘ゲーム
質問:おすすめのエナドリは?
慧とメグ:私たち爆薬分隊はライオットブラッドを主に飲用しています
永遠:飲まない!
顔隠し:ライオットブラッド…効くよ
質問:以前話題になったファストフード店の写真は?
慧:天音永遠の策略
メグ:みんなで集まってた時の写真です
永遠:絶賛人気急上昇中の瑠美ちゃんをよろしくねー!
顔隠し:コンナアツマリガアッタンダネ
あの写真に関連したいじりがくることを最初から覚悟していたが、質問という形式はまずい。ひっじょーにまずい。
瑠美が世間では人気上昇中のモデルであり、天音永遠の弟子である以上、あの席にいても問題ない。だが問題は素顔の状態である俺の横顔が乗ってしまっている点である。その状態で質問なんてされてしまったら外道どもが黙っていないだろう。
この質問をされる瞬間に何故かホログラムで例の写真がスタジオの中心に投影されてしまう。
この投影速度から番組スタッフもこの話題に触れると予想していたのだろう。予想だよな?全員グルとかじゃないよな?
「この写真に映っている5人は天音先輩。メグさん、慧さん。そして女性の方と男性の方ですね。女性の方は見覚えあります。最近人気が出始めている陽務瑠美さんですね」
「うん。ばっちり合ってるよ。流石エイトちゃん。よく知っているねー。これも彼女の師匠ポジション。私なの」
「なるほどぉ。これは今後の活躍に期待ですね」
「なーぁー顔隠しくーん?何故カメラに目線を向けないのかなぁ?」
「うるせぇ鰹やろう深淵お便り代読してやろうか」
「それだけは勘弁して…」
「この男性の方って?もしかして顔隠しさんなんですか?」
今日は無礼講とばかりに飛ばしてくるエイト氏。もう何もかも終わってしまうキラーパスを剛速球で投げてくる。
「「ウンソダヨー」」
「ハーー!イヤイヤ俺じゃないですよー!?」
「いくらなんでもそのボケはもう無理だぜ。顔隠し」
「もうエイトちゃんにも言われちゃったし終わりだし観念しろー?」
ここから入ることが出来る保険ってないんでしょうか?神様?
夏目が凄い可哀想なものを見る目でこちらを見てくる。
うん。その目線もあれだぜ?諦めをつけさせようとしてくる援護射撃に見えてしまうんだぞ。
「この男性が本当に顔隠し選手なんですか?我々としてはご本人の口からお聞きしたいです!」
「いいぞエイトちゃん!そのままGOだ!彼の正体を全世界に紹介するんだ!」
もう永遠のテンションがおかしくなってしまっている。普段の知的かつ理性的な彼女のイメージとはかけ離れた彼女がこの生放送の特番に映ってしまっている。そんなことを頭の端っこで考えていたが、先ほど[名前隠し]をカミングアウトしたばっかりだった。自分から爆弾を爆破させていたことに気づき、彼女の心配から自分の心配に切り替える。
この南瓜頭に守られるのも潮時なのかもしれない。数々の激戦を共に戦ってきた相棒であることは間違いなく、[顔隠し]の象徴にもなってくれた。しかしこれ以上ひた隠しにするのは限界があったのだ。
「今までありがとうな。ちょっくら行ってくる」
覚悟は決めた。いいだろう。世間様にこの顔を見せてやる。
エイトちゃんが思った以上に楽郎君に対して切り込んでくれたことを良いことにさらに追撃をかける。
「いいぞエイトちゃん!そのままGOだ!彼の正体を全世界に紹介するんだ!」
君はもっと世界に誇っていい、誇らなきゃいけない人間なのだ。なんせ私に恋という概念を教えてくれた張本人なんだから。そう思って彼を見ているとさっきまでやかましかった彼は静かになってしまった。なにか考えているのだろう。顔を全世界に晒すという行為そのものにどのようなメリットがあるのかとか。そんな所だろう。そして、
「今までありがとうな。ちょっくら行ってくる」
彼はそういって南瓜型のヘルメットをさすり、問題となったファストフードの集合写真が投影されていたスタジオの中心に歩いていく。
中心についた彼はまだ緊張しているのか深呼吸を繰り返している。そんなぎこちない彼を容赦なくテレビカメラが世界中に発信していく。
「あー。この番組を見ている人に前もって言っておきます。[顔隠し]はKに雇われた一般人であったことは本当です。そんな俺がここまで来れたのは皆さんの応援があってこそです。なので顔バレしてもこれまでと変わらず応援をしてくれると本当にうれしいです。それじゃ」
そんな予防線を貼るほどまでに彼は顔を出したくなかったようだ。これは予想外の反応だ。彼のことだからてっきり、サラッと顔だしをしてくれると思っていたのだ。その分無理やり顔出しまで持っていってしまった罪悪感が生まれてしまっている。
そんなことを考えていると彼が一瞬こちらに視線をよこし、私と目が合った。
南瓜ヘルメットのせいで何を考えているか知る術はない。なのだが私には
【焼肉おごりな?】
そんな生意気なことを言っているように思えた。
そして彼の顔が南瓜ヘルメットの下から現れる。
うん。私の見立ては間違い無かったようだ。
「やっぱり君はスポットライトに当たってこそだよ。楽君」