明かした。明かしてしまった。ここまで隠して隠して隠し通したこのツラを世間様にご開帳して見せてしまった。この先、既にレールからほとんど脱線していた【一般人としてクソゲーを堪能し人生を謳歌するルート】は本当に通ることは叶わなくなっただろう。スタジオにいる観衆が一斉に携帯端末で俺の写真を撮っていく。こうなったらバーゲンセールだ。もう失う物は何もないのであればこの話題を利用してファンを増やしてやろう。
ならば速決断が良し、まずは普段はやらないファンサービスだ。何枚でも撮っていけ。
「SNSに上げる写真はカッコよく撮ってくれー!」
しかし悲しいかな、そう頭では考えていても声と身体が震えてしまう。元々ただの一般人、SNSに自分の顔をあげる事は理性ある人間ならば普通やらないのだ。だからこんな行動を起こしているという事は、もはや俺は普通の人間では無くなったのだろう。
今撮られている写真はSNSに上げられて話題になるだろう。SNS及びインターネットはとても面白く退屈しない世界だ。しかし匿名であるが故に人の感情がストレートに現れてしまう魑魅魍魎の巣窟だ。俺はそんな世界に新たな素材を大量投入したのだ。
こんな恐怖が伴う事をアイツらはやっていたのだ。特に天音永遠なんて天職と言える程に。
「こんな感じで永遠の凄さを知る事になるなんてな」
次までに人前に出る際に気をつけることをレクチャーしてもらおう。何を対価で求められるのか分からないが…
彼はスタジオの中心で凄い数のフラッシュに当てられていた。私でも少し引いてしまうぐらいのフラッシュを受けてなお、彼は「SNSに上げる写真はカッコよく撮ってくれー!」なんてカッコつけている。
流石は私が認めた楽郎君なんて思っていたが、彼の身体が小刻みに震えていることに気づいてしまった。
彼だって怖いのだ。いつも飄々としている彼の事だから今回も華麗に乗り切るだろうなんて簡単に思っていた。しかし、あのけたたましいフラッシュの中に向けられる感情は必ずしも応援や興味といった肯定的な物ばかりではないだろう。そんな事、彼は百も承知だろう。それでも彼はその怖さを隠そうと頑張っているのだ。
ならば応援しなければいけない。
彼をここまで引き摺り出した責任も取らなければならない。
「私ね、実は後悔してたの」
隣で口角が天井まで行きそうなほどに吊り上がっている隣のKだけに聞こえるように囁く。
「なんでさ。計画通りじゃん」
「世界中が今日、彼を見つけたんだよ。私のライバルが増えちゃうじゃん」
「ふーん。やっぱりそういう事だったんだ。まぁ応援はするが今の調子でアタックすんなよ。多分本気にしないからな」
「ご忠告痛み入ります」