浅野学秀の双子の妹がエンドのE組に入った話 作:あるふぁせんとーり
| 誕生日 | 1月1日 |
| 身長 | 169cm |
| 体重 | 49kg |
| 得意科目 | その時好きな教科 |
| 苦手科目 | その時嫌いな教科 |
| 趣味、特技 | 悪戯、人心掌握、賭け |
| 将来の目標 | 好きなことで生きていく |
| 百億円獲得できたら | 椅子にする |
| 懐事情 | とても潤っている |
ブニョン、ブニョン。
「……」
ブニョン、ブニョン。
「……」
ブニョン、ブニョン。文字に起こしたら恐ろしく珍妙であろうその効果音に小テスト中の生徒達は僅かな困惑とそこそこの苛立ちを覚えていた。何を隠そう、その正体はカルマにおちょくられた殺せんせーが握った触手で壁を殴りそのイライラを発散する音である。しかしその柔らかい触手で壁を殴ってもブニョンと跳ね返るばかりでストレス発散にはならず、結果として発生した事実は問題を解く生徒達への迷惑。最前席に座る岡野が「殺せんせーうるさい!問題集中できないからそれやめて!」とお怒りになりながら抗議すると、殺せんせーは我に返って「し、失礼しました!」と慌てて答えた。丁度その時一連の問題を解き終えた志御は「おーわり」とプリントをひっくり返して頬杖を突いた。
「なぁカルマぁ、あのバケモン怒らせたらやべーぞぉー?」
「またおうちにこもってた方がいいと思うけどなー」
「大ピンチってやつだ」
隣の方から聞こえてくるのは、ハナからテストなんてものに興味はない寺坂率いる不良三人組がカルマを馬鹿にする声。しかしカルマは「ははっ」と薄ら笑いを浮かべて答えた。
「何いってんのさ。殺されかけて怒らないバカとかいるわけないじゃん。しくじった挙げ句に漏らしかけた寺坂君と違ってさぁ」
「な、テメエ?!」
「あっは、クッソダサかったなアレ」
志御がケラケラと笑うと寺坂は「テメエもそっち側かよ!」と机を思いっ切り叩く、いわゆる「台パン」に及ぶ。それに気が付いた殺せんせーは「こら寺坂君!テスト中に大きな音を立てないで下さい!」と顔を真っ赤にして注意する。どっちかといえば怒りよりもさっきのイライラの影響が残ってそうなその表情に生徒達は(その触手の方がよっぽどうるせえよ)と心の中で呟いた。
「せんせー、俺もう解き終わったからおやつタイムにしていい?」
「駄目ですよ。今はまだ授業中で──」
そう言いかけた殺せんせーはカルマと、あとついでに志御の手元を見るなりそのゴマ粒のような目を見開いて驚愕した。
「そ、そのおやつ!!そのジェラート先生のじゃないですか!!昨日イタリアで買ってきた!!」
「あ、これ殺せんせーだったんだな」
「そうですよ!!溶けないようにわざわざ成層圏経由で運んできた……ってなんで志御さんも食べてるんですか?!」
「カルマが教員室の冷凍庫漁ってるの見かけた口止め料。次はぶどう味頼むぜ?」
「何注文してるんですか?!うう……わざわざ食費を切り詰めて買ってきたのに……」
何人かの思考が揃ったらしく、「ジェラートのために食費を?!」と驚愕の視線が殺せんせーに向けられる。 「取り寄せると遅えんだよな」なんて言いながらペロペロと美味しそうにジェラートを舐める志御に殺せんせーはどこからか取り出したハンカチを噛んで「キィー!」と悔しそうにする。「へー、これそんな大切なんだ?」とまだ七、八割くらいを残したカルマが問いかけると殺せんせーは「当然です!」と怒ったまま顔におっきく丸を出す。
「じゃあどうする?そんな大事なもの食べちゃったけど、一発くらい俺のこと殴ってみる?」
「そんなわけないでしょう!!残りを美味しく頂くだけです!!」
「食べるんだ……」という驚愕やら困惑やら幻滅やらの複雑な感情が混ざった視線が殺せんせーに向けられる。しかしそんなのお構いなしにズンズンとカルマの席の方へ歩いていく殺せんせー。そして近づいていくその途中で唐突に、パチュン、と足元で音が鳴り、触手が弾けた。床に転がった無数の対先生用BB弾。「やっぱせんせークソチョロいじゃん」とカルマはエアガンの引き金を引くが、先生は焦りながらもそれを難なく避ける。
「そんな顔しないでよ殺せんせー。これが俺の殺り方なんだから。別に授業とか興味ないし、いつでもお構いなし。それが嫌って言うなら俺でも俺の身内でも好きに殺せばいいよ。まあ──」
甘い匂いを漂わせる溶けかけのジェラートをナイフに見立て、カルマは殺せんせーのアカデミックドレスにそれを突き立てる。
「それをやったあんたを誰も先生とは見なくなる。「殺せんせー」は俺に殺されるって事だ。……じゃ、やることやったし帰るよ。じゃあねー、「先生」」
「多分テストは満点だから」と言い残して教室を去っていくカルマ。「何も変わってねえな、あいつ」と志御はジェラート最後の一口を頬張り、そして財布から千円札2枚を取り出して出口の方を眺めていた殺せんせーに差し出した。
「はい先生。ジェラート代」
「結構です、志御さん。普段であれば受け取っていたのですが、あいにく今はそのような気分ではありませんからねぇ」
「ふーん。いいぜ、今回はごちそうさま、だな」
そんなことを言っている内に気づけば遠くで鳴っているチャイム。殺せんせーは「皆さん、手を止めて下さい」とマッハ20で各自の答案用紙を回収していく。そして回収し終えて6限が終わって、今日の全ての授業はおしまい。そのまま諸連絡を伝えられて、その日は解散となった。
◇◇◇
椚ヶ丘中学校3-E発、イタリア・ローマ行き、およそ25分の空の旅。殺せんせーはテストの採点をしながら独り言をこぼしていた。
「ヌルフフフ、彼のせいでイタリアまでもう一往復です。志御さんもそうですが、カルマ君のような頭が切れて悪知恵の働く生徒は鍛え甲斐がありますねぇ。しかも、彼が言う通り、私は誰も傷つけるわけにはいきません」
「あれほど舐め腐ってるだけあって多少手強くはありますが、それでも私を手間取らせるにはまだまだですねぇ」とカルマの小テストに花丸を付け、殺せんせーは少しスピードを上げた。
◇◇◇
「よお、朝早くご苦労なこったな」
午前7時15分。カルマが教室に足を踏み入れると、志御はカルマの隣の席でスマートフォンを弄りながら彼を出迎えた。想定外の先客にカルマは僅かに驚きを見せた。そして志御は持っているレジ袋を差して「生臭えな、タコか?」と問いかける。カルマは「そうそう」と頷いた。
「ほら、殺せんせーってタコにそっくりじゃん。だから代わりにタコ殺しといたらどんな反応するかなーって」
「はっ、下んな。たこ焼きにされるのがオチだろ」
「……っていうかさ。俺が一番最初に殺せんせーにダメージ与えたわけじゃん?傷一つ付けらんなかったやつがなんでそんなイキってるの?」
「あっは、こっちの台詞だぜ!たかが傷の一つ二つでイキり散らかしてんの腹痛くなるから止めろよな!」
そう言ってケラケラ笑う志御にカルマは苛立ちを隠さない。その嘲笑うような整った笑みを覗き込み、目を見開いて問い詰める。
「ねえ、少し黙ってくんない?」
「誰に命令してんだ厨二」
「説明しなきゃ分かんない?」と小さくあくびをしながら目を開く志御。兄、そして父に良く似た強い瞳が見据える。
「そもそも考えてみろよ。国が本気でやって太刀打ちできない怪物だぜ?ガキ一人がどうやって舐めプしながら殺せんだよ」
「へえ、国とか傷一つも付けられなかった無能の癖に?」
「なら賭けるか。……そうだな、お前が今日中に殺せんせーを殺せたら、私は恥を忍んであのクソつまんない
「で、殺せなかったら?」
「お前は私にあんパンを奢る」
その異常なリスク・リターンにカルマは真意を悟る。「お前如きに殺れるはずないだろ」という
高評価お願いします!
あと割とカルマと志御は似た者同士なところあります