宝石の国Any%RTA フォス生存&月人消滅チャート   作:あじまる

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⚠︎⚠︎⚠︎不明な干渉を検知⚠︎⚠︎⚠︎


えー、今回はフォスとホモくんの装備が大きく変わるため、挿絵をご用意しておりましたが、管理人様が現在もDDoS攻撃と戦っておられる様ですので、挿絵機能の復旧はまだまだ先になりそうです(泣)

ひとまず本編の方は投稿させていただきますが、機能が復旧次第挿絵を追加させていただきますので、何卒宜しくお願い致します。

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#12 海の報告~装備新調まで

 

 

 

「エクメア、わかったぞ!!」

 

「…その名前で呼ばないでくれないか、バルバタ」

 

 

 執務室で戦闘報告を確認していた私は、先刻任命したばかりの技術責任者の大声で顔を上げた。

 

 

「しかし流石だな。着任したばかりだというのに、もうあたりがついたか」

 

「まったく、暇が開けてみりゃとんでもない案件持ってきやがって。とにかく直ぐに確認に来てくれ」

 

「ああ、わかった」

 

 

 そう呟いた私は即座に散じ、記憶となったのち技術局で再生する。

 

 

「はやいな」

 

「非常事態だ。民の安心の為にも可及的速やかに解決しなければならない…それでは、報告を聞こう」

 

「ああ、アドミラビリスの投下作戦…だったか?それで出撃し、先刻再生した30名のうち27名に関しては、如何なる異常も確認出来なかった。まあ半日も経ってないうちに断定するのは危険ってことで、まだ療養所に待機させているが、俺の見立てじゃ直ぐにでも帰ってもらって問題ない」

 

「……ということは、原因がわかったのか?」

 

「そうだ、だがな、これは一筋縄じゃいかないぞ……このデータを見ろ」

 

 

 そう言ってバルバタが差し出してきたタブレットを受け取り、データを確認する。そこには先刻出撃した30名のうちの、残りの3名の身体データが表示されているが、精神活動を表すパラメーターは殆ど反応を示していない。それが影響しているのか、身体の安定性のパラメーターは最低値付近をさまよっており、”安定ケース”に入っていなければ実体を保てないだろう事は明白だ。

 こちらが一通り目を通したことを確認したバルバタは、同期させたタブレットを操作してデータを切り替えた。

 

 

「…再確認だが、俺たちが月から離れた場所で散じた場合、霧の身体はそのまま霧散して消えるが、魂…この言い方はあんまりか、じゃあ記憶としようか。記憶に関しては再びこの月へと漂着し、鉱油の中で身体を再生して復活を果たす…ここまではお前もよく知ってる話だろ」

 

「ああ」

 

「ここからはごく稀な事例だが、精神状態に異常がある場合、身体の形成に支障をきたすことがある。精神的アレルギー反応や鬱状態とかだな。こうなっちまったら身体が保てなくなり、五感は喪われ前後不覚へと陥り永劫の暗黒へと囚われることになる。その苦痛を取り払う為に”安定ケース”が開発された」

 

「知っている」

 

「はっ、シャカに説法ってやつだったか。それで、今回の3名もその類かと思ったんだがな。炎に焼かれたせいで精神的なショックを受け、一時的に身体を維持できなくなったんじゃないかってな……だが、これを見てみろ」

 

 

 バルバタがこちらに飛ばしてきたデータを確認する。3名の身体が表示され、記憶と肉体の継ぎ目まで拡大されていく。

 何か、違和感がある。

 画像をさらに拡大し、記憶の輪郭を観測する。本来まっさらであるはずのそこには、確かに何も映ってはいない。だが何かがおかしい。記憶の境界線が揺らいでいる……まさか、この透明な揺らぎは…!

 

「…これは、インクルージョン、なのか?」

 

「さすがだな、一発で見抜くか…そうだ、炎によってあのホワイト・ダイヤモンドの体が焼失した際に、”燃焼を模倣”し気体になった炭素に乗って空気中に溶けだした、インクルージョンの抜け殻…あるいは亡霊。それがこの透明な寄生虫の正体、だと思う。何せハッキリと観測出来ないんで、推測になっちまうが…」

 

「…どういった影響がある」

 

「…燃焼インクルージョンは、記憶に喰らいついている。元々インクルージョンには記憶情報を溜め込む性質があったが、完全に記憶情報を放出してから休眠状態に入るまでの一瞬の間に、新しく情報を溜め込もうと一番近くにいた彼らの記憶に喰らいついた…というのが俺の見立てだ」

 

「……これは、取り除けるのか?」

 

「今すぐには無理だ。記憶領域全体に無数に喰らいついた燃焼インクルージョンは、彼らの感情や意識にまで取りついて、何らかの精神活動を喰っているんだ。無理にはがそうとしたら記憶が引き裂かれて分裂しちまうかもしれん………こいつらは、長く昏迷状態におかれることになるだろう」

 

「…ホワイトダイヤモンド…!」

 

 

 身体から怒気が放出され、周囲の構造物が溶け始めるが、私は怒りを抑えることが出来なかった。

 私は無に帰るまでの間、虐げられてきた彼等に輝かしい幸福を約束すると誓ったのだ。一切の反応を奪われ、安定ケース無くしては存在できなくなってしまった3名は、もはや幸福とは程遠いでは無いか。

 

 奴をこのまま野放しにする訳には行かない。このままでは虚無に囚われる民を増やすだけだ。速やかに奴を破壊しなければならない。

 

 

「お、おい…」

 

「バルバタ、安定ケースの稼働は問題ないか」

 

「あ、ああ。あの3人はこのまま安定ケース内で過ごしてもらうことになるが…」

 

「稼働できる安定ケースを増やしてくれ。使わないに越したことはないが、奴を調伏しなければ我らの犠牲が増え続ける。それが終わったなら擬似インクルージョンの生成・制御の研究チームに加わってくれ」

 

「了解、人使いが荒い王子様だ…まあ、しょうがないな。俺らを明確に害することが出来る「敵」は初めてだ。俺たちも一丸となって掛からないとな」

 

「…ああ」

 

 

 職員に指示を出すバルバタを見たあと、霧散して執務室へと戻る。再生後直ぐに軍部へと通信を繋げる。

 

 

「…諸君、解析結果が出た。先の戦いで焼かれた3名はホワイト・ダイヤモンドから放出された燃焼インクルージョンにより長期療養に入った。奴の放つ炎は我々の精神に干渉しうる非常に危険なものだ。よって、これよりホワイト・ダイヤモンドを最優先排除対象に指定する。至急新型機を動かせ。ホワイト・ダイヤモンドを砕き回収せよ。ただし接近戦は挑むな。炎はなんとしてでも避けよ」

 

「了解しました!」

 

 

 通信を切断し、別の端末を取り出して、椅子にもたれ掛かる。

 

 観測データにはウェントリコススはフォスフォフィライトを吸収した場面が表示されている。人間合成計画の進捗は上々、と言っていいだろう。奴は殻から再生しアドミラビリスと言葉を交わした。このまま精神を刺激しつつ、合成真珠を埋め込む算段を立てれば問題ないだろう。

 

 しかし、あの白い宝石が邪魔だ。奴がフォスフォフィライトの周りをうろついている限り、我らはおいそれと手出しができない状況に陥ってしまった。急ぎ奴を粉砕せねば、人間を造る所では無くなる。

 

 ”犬”は未だ動かせない…となると、やはり擬似インクルージョン搭載の合金による罠がいるか…ホワイト・ダイヤモンドめ、月の砂の件といい、まるで我らの悲願を阻む為に現れた悪鬼だ。

 

 

 …あるいは、フォスフォフィライトを懐柔することも視野に入れるべきか?恐らく奴は炎を使う度に身体を燃やし失っていく。それを止める為ならば、奴に入れ込んでいるフォスフォフィライトは我らにつくやもしれん。

 

 あまり故意に干渉しては「自然な過程を経て自発的に活動する擬似人間を生成する」というプロセスに支障がでるが、後輩が戦う理由を無くすために我々につき、祈りの成就のための柱になると言うならばそれも杞憂に終わる…

 

 

 しかし、これは最終手段だな。長い時の中で生まれた薄荷色の希望を、使い潰すわけには行かない。まずは運用できる戦力で撃滅を試みるのが先決だ。

 

 待っていろ、我が民に手をかけた罪、必ずや償わせてやるぞ、ホワイト・ダイヤモンド……!

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッ…ハッ…アッー!アーツィ!アーツ!アーツェ!アツゥイ!ヒュゥー、アッツ!アツウィー、アツーウィ!アツー、アツイッス!すいませへぇぇ~ん!(新特性)なRTA、はーじまーるよー。

 

 前回は海上戦を何とか制し、命からがら丘まで帰りついた所まででした。フォスもホモくんも欠けがなくて良かったです。ウェントリコススと金剛の会談も滞りなく進み、紆余曲折あったものの、何とか”肉”の一族との友好は築くことが出来ました。国↑交↓が正常化してすぐにウェントリコスス達は新天地を目指して丘周辺の海域を離れましたが「王族と友好的な関係を築けた」という事が重要なので、後のことはそんなに心配しなくても大丈夫です。それに、月からアドミラビリスを連れ帰る頃には月人とのコネで星中観測可能になっているので、今後100%会えないという事もないです(寿命を除いて)

 強く生きて、どうぞ。

 

 …それに、遠洋の様子について聞けるのは何気に初めてなんですよね。アドミラビリスと友好関係になっても、通常は近海に住むことを選択するので、かつてアドミラビリスが暮らしていた本来の故郷の様子に関しては知る方法がありませんでした。今回遠洋からの報告を聞けるなら、wikiがさらに潤うことになるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 ところで、前回獲得、というか勝手に生えてきた特性についてなのですが、走りながら分かった範囲の情報をまとめてwikiに上げた所、有志の検証班によって以下の情報が解読されました。

 

─────────────────────

 特性:火生三昧

 精神状態が「怒り」の時に「火炎光背状態」を付与する。

 

「火炎光背」

 1.発動中、全メンタルダメージカット

 2.発動中、スキル「迦楼羅炎」を付与する。

 3.発動中、体組織を徐々に燃焼し消耗していく。

 

 

「迦楼羅炎」

 1.燃焼している部位で攻撃を行った際、対象に「残食」状態を付与する。

 2.一定以上の習熟で火炎放出、火炎操作を解放。

─────────────────────

 

 情報提供してから返答までが早すぎるッピ!!(感嘆)

 

 

 ……さて、用語だけ見れば、脳裏によぎるのは不動明王です。しかし、これまでこの様な特性が発生したとの報告はありませんでしたし、こんな様な文字化けが起こることも無いはずでした。

 

 走者の推察になりますが、ホモくんのインクルージョンが「燃焼」を学習・模倣した際に、その状態をゲーム的に表現しようとしたCPUが引き起こしたバグ、というのが可能性としては高いかなと思います。

 

 ゲーム開発側が用意したテキスト等の限界を超えて、演算された世界の事象をこちらに可視化した際に発生した不具合。それが文字化けや不自然な用語の選択という形でなされたのでしょう。

 

 いよいよ本RTAの再現性が皆無になって参りましたね(呆れ)

 ですが、この現象を記録として残す価値は大いにあると思いますので続行です。

 

 

 それでは「特性:火生三昧」の内容について考察していきましょう。

 

「火炎光背」状態の時に付与される「スキル:迦楼羅炎」。これを習熟した際に解放される「火炎放出」や「火炎操作」は「司銀」から抽出・コピーされたものでしょう、恐らく操作感も同じであると思われます。「残食」とやらが何かは分かりませんが、火炎も水銀と同じく一撃で月人を倒せることがわかりましたし、これが解放されればシンシャ並の戦闘力を誇るダイヤモンドとかいうバケモンが誕生することでしょう。

 

 

 

 

 

 しかし、懸念もあります。

 

 ホモくんが怒り、「火生三昧」を使用する度、その炎によってほぼ確実にホモくんは”焼失”していくでしょう。

 

「火炎光背」状態では体組織を徐々に燃焼し消耗していく、というのが最悪です。炭素結晶であるホモくんが燃焼するという事は、すなわち気化して消えてなくなっていくということに他なりません。この消耗は不可逆です。

 前回の戦いでは、恐らく「炉身溶融」によって生み出される無尽蔵の溶岩によってこのデメリットが肩代わりされていたのでしょうが、次回以降も安定して使える手ではありません。

 文脈的には「迦楼羅炎」の習熟度アップで解放される「火炎放出」「火炎操作」のスキルであれば、焼失のリスクなく炎を操って戦えるでしょうが、それを解放するためには何度も「火生三昧」を発動しなければならないというジレンマ…

 

 

 ………なんにせよ、彼の怒りが炎に転じその身を焼き尽くすその前に、なんとしてでもチャートを走りきらなければなりません。でなければ、ホモくんも、フォスも、このRTAも終わりです。

 

 

 

 

 

 

 

 そうこうしていれば空も白んで来ましたね。現在時刻は早朝、ホモくんは窓際に座って口元をぐにぐにと触っております。

 金剛先生より夜が明けてから報告を聞くという旨のお達しを頂き、双の浜から引き上げてすぐ自室へと戻ってきましたが、そのお陰でホモくんの服は焼け焦げて穴だらけのままです。服にも穴はあるんだよなぁ…(至言)

 

 あ、古剣についてですが、帰る途中にどこからともなく現れたゴーストによって回収されてしまったので、今のホモくんは素寒貧です。なんでも管理責任を問われてめっちゃ詰められたとか。カワイソウニ…カワイソウニ…(他人事)

 あと何故かホモくんが古剣にペコペコ頭下げてましたけど、なんなんですかね?

 

 

 まま、ええやろ。朝礼に遅れないように最低限支度を整えて部屋を出ましょう……っと、廊下でばったり遭遇したのは、ヘミモルファイトとウォーターメロン・トルマリンの若手コンビ。パンナコッタ・フーゴのスーツの様になったホモくんの制服を見てドン引きしてますね。草。

 

 

「うわーホワイト、ハデにやったねぇ〜」

 

「…明るいとこで見たら余計酷いな、メロンでもこんな燃やさないぞ…これ、レッドベリルに見つかったら大目玉なんじゃ…」

 

「おはよーござ!メロンもふく、ぼわぼわさせたことあるのー?」

 

「うん!そのたんびにレッドベリルにおこられてるよぉ〜…」

 

 

 メロンは電気を溜め込み、放出する特性「電輝羊」によって、広範囲に高火力を撒き散らすことが出来る宝石ですが、代償として高電圧に服が耐えきれず頻繁に発火させています。それでもここまで燃やした事は無いでしょうし、レッドベリルの反応はどうなるやら……

 

 …何やらメロンとヘミモルの目がおかしいですね。まるでホモくんの後ろに修羅でも見つけたかのような…あっ、レッドベリルさん…おはようござ…

 

 

「おい」

 

「うぎゅ」

 

「まさか、そんなカッコで朝礼に出ようとしてた訳じゃ無いよね?」

 

「…だめ?」

 

「ダメッッッ!!」

 

 

 あー、これは服修復イベに入ってしまいました(ロス)

 よく見たら、レッドベリルの後ろには半分寝ているフォスが引き摺られていますね。フォスに貸してたグローブとソックスもボロボロですし、これは昨日の夜から目を付けられてましたね(諦め)

 抵抗するだけロスなので大人しくネクタイを引かれながら着いていきましょう。朝礼はキャンセルだ!

 

 

「がんばってね〜」

 

「…あんなキレたとこ初めて見た…工芸組こわぁ〜…」

 

 

 

 

 

 

「…よし、もうこれは使えないから、新しい制服にしたよ。これ以上ボロボロになると冬用の麻が無くなっちゃうから、マジで大事にしてね」

 

「はーい!」

 

「はぁー、ほんとに分かってんのかな?…フォス、そのグローブとソックスどうする?ホワイトには新しいのおろしたし、フォスも使いたいならおろすけどー?よく割れるんだからしててもいいと思うけどなぁ」

 

「…うーん、じゃあお願いしよっかな」

 

「がってん!…ぐへへ、これでやっとあの構想を完成させることが………ふ、ふふふ…!」

 

 

 こわい(こわい)

 

 服の修復も終わったのでソックスとグローブを手にして不気味な笑い声をあげているレッドベリルを放置して金剛先生の教卓へと向かいましょう。

 

 朝礼の時間はとっくに過ぎているので、教卓周辺には先生とユーク・ジェードコンビしかいませんね。

 

 

「む、やっと来たか。ヘミモルファイトから聞いていたが、それにしても時間がかかったな」

 

「いやそれがさ、なんかレッドベリルのヤツすんなり直してくれなくて。服直しながらめっちゃ体測って来たんだよー…」

 

「ファッションバカは伊達では無いな…まあいい、先生がお待ちだ」

 

 

 

「……フォス、ホワイト」

 

「は、はい」

 

「はーい!」

 

「…色々と、言いたいことはあるが……よく、無事で帰ってきてくれた」

 

 

 さて、先生の様子ですが、特段怒っている様子はありませんね。夜の会談でウンコ王が釘を刺してくれていて助かりました。

 こちらをひとしきり撫でた金剛は、咳払いをした後眉間に皺を寄せて話し始めました。

 

 

「……本来ならば、言いつけを破り独断で海に入ったおまえ達に、これ以上博物誌の編纂を継続させるべきでは無いのだろう」

 

「うっ…その節は、すみません…」

 

「……だが、貝の一族との約束もある。いつの日か、彼等が再びこの丘に辿り着き、海の話を聞かせてくれるその時まで、博物誌は継続するべきだと判断する」

 

「せ、先生!ありがとうございます!」

 

「ただし、今後一度でも言いつけを破ることがあれば即時停止とする。わかったな」

 

「言われてんぞ、ホワイト」

 

「うん、わかった!」

 

「…先生、おまえにも言ってるんだがなぁ…」

 

 

 さらに深くなった皺を指でほぐしながら、金剛は少し雰囲気を柔らかくしました。

 

 

「さてもう一件、君たちに伝えておくことがあったのだが、なにぶん時間がかかる物のため、一旦置いておく。ふたりとも、今のうちに海の報告を済ませておきなさい。ユークレース、記録を」

 

「はい先生」

 

「え、えぇ〜…めっちゃ真面目なやつじゃん…でも海での事は、昨日王が話してた事でだいたい全部だよ?」

 

「おまえの視点から見えたものにはまた違った側面がある筈だ。なんでもいい、話してみなさい」

 

「うーん…うーん……あっ、そういえば、王の一族に伝わる伝説の話があった!」

 

「ほう、それは?」

 

「確か王の一族…アドミラビリスの成り立ちについての話でした。思い出すので少しお時間を……よし」

 

 

 一呼吸置いたフォスは何故かキメ顔で語り始めました。もしかしてウェントリコススのモノマネか?に、にてねぇ〜(呆れ)

 

 

「…この星にはかつて、”にんげん”という…」

 

 

 キメ顔フォスがそこまで話したところで、教卓からミシリと嫌な音が響き、バラバラに砕けました。驚く一同を前に、金剛は今までに無いほど険しい顔をして割れた机を見つめたまま動きません。見かねたジェードが小声で注意してきます。

 

 

「…おい、ふざけずにやれ」

 

「すっすいません、真面目に話します!!えー、この星にはかつて、”にんげん”という動物がいたという。この星が5度欠けた時まではしぶとく生き残ったが、6度目にはついに海に入り、”魂”と”肉”と”骨”、この3つに分かれたという」

 

「…どこかで聞いたような話ね。それで?」

 

「…アドミラビリスはそのうちの”肉”、生殖と死を細やかに繰り返しながら、知を重ね紡ぐ特性を受け継いだとされる」

 

「彼等貝の一族か。ならば”骨”とは?」

 

「一方”骨”は、他の生物と契約し長い時を渡るすべを身につけ、地上へ戻った…これって僕らの成り立ちに似てるよね!?」

 

「フォスー?記録中に事実と主観を混ぜるのはダメよ?…それで、”魂”は?」

 

「……”魂”は…………”魂”は、ついに清らかな新天地を得、再興のため”肉”と”骨”を取り戻すべくさまよっていると言われている、らしい」

 

「……ユークレース」

 

「…ええ、恐らくはそうなのでしょうね。先生、どうお考えですか?」

 

 

 話を振られた金剛は、机のヒビを見つめたまま重苦しく口を開きました。

 

 

「……あくまで…彼等の一族に伝わる伝説に過ぎないと…割り切って判断するべきだろう」

 

「では、”にんげん”という動物とは…」

 

「わからない」

 

「…先生?」

 

「………すまない。だが…」

 

 

「たのもー!!」

 

「失礼しま〜す」

 

「先生、お話中失礼します、例のものが完成したので工芸組一同にてこちらにお持ちしました」

 

 

 ハゲのせいで重くなった空気を工芸組の声が吹き飛ばしました…てか例のものってなに?私知らないんですが…(困惑)

 

 

「……やけに早いな。まさか徹夜したのか」

 

「すみません、ですが物が物のため、僕らも創作意欲を抑えられませんでした」

 

 

 そう諌めるハゲはこころなしか話題が切り替わった事に安堵している様子ですね。チッ、もっとハゲの苦しむ様を堪能したかったですが致し方無し。今は工芸組の用事を確認しましょう。

 

 ペリドットが促すと、スフェン、レッドベリル、オブシディアンの三名が机を運んで来て金剛とフォス達の間に置きました。

 

 

「ふっふっふ、それではご覧下さい!我々の技術の結晶を!」

 

 

 威勢のいいレッドベリルの掛け声と共に、掛けられていた布が取り払われると、そこには見覚えのある形状の剣と、十二個の輪が置かれています。特徴的なのはその色、夜空のような漆黒の中に、赤と青の光が星の瞬きの様に入り乱れており、神秘的な輝きを放っています。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「ペリドット、これって…?」

 

「それは、先生から説明して頂きたい」

 

「うむ、これは王弟より差し出された棘を加工して剣と釧に整形したものだ。王が言った武器や装飾品にしても良い、というのが響いたらしく、押し切られる形で許可したが、まさか半日経たずに仕上げてくるとは…」

 

「うへへ〜こーんな機会滅多にないからね〜。剣については僕が解説させて貰うよ〜。せっかく剣にするなら、王さまとの思い出の品にした方がいいと思って、ホワイトが持ち出してた古い剣の拵えで作ってみました〜。柄と鞘はスフェンが頑張ってくれたよ〜」

 

「こっちの輪っかは?」

 

「それは僕とレッドベリルで仕上げた釧だ。もう一本の棘から削り出した輪を三つに割り、端材の木片から作った蝶番でとめている」

 

「ソックスとグローブの上からこれをつけて、ベルトで吊るしたらウスノリ要らずで履けるし、何より少々ヒビが入っただけじゃバラけなくなる!そして、この腰のベルトから足へと続くライン!これぞ僕が求めていた美の形!この仕組みを新作制服とあわせて使えば美しさと耐久性を合わせた最高の装いが…」

 

「ほわー、あなたたち、くしろっていうの?よろしくね!…んー、あなたたち、なんかびりびり、ちがう、ごわごわ?ぶわぶわ?ふしぎなかんじ!」

 

 

 なおもブツブツ演説しておりますが、これ要するにガーターベルトですよね(ドン引き)

 あとホモくんはなんで輪っかに話しかけてるんですかね?こわーいこわいわー(棒)

 

 というか…

 

 

「医療用で置いとくって話は?」

 

「ああ、ルチルに拒否られたよ。生物由来の鉱石を付けるのは不確定要素が多くて極力避けたいからって」

 

「あっそう…」

 

「じゃあフォス、ちょっとお着替えしましょうねー」

 

「えっなになになに?さっき制服着直したばっか…」

 

「何のために新作制服をそのまま着せたと思ってんの!割れやすい宝石の為の完全カバー制服作成の為の礎になってもらうよ!」

 

「え!?僕がこの輪っかつけんの!?ヤダヤダ、硬度七くらいあんでしょこれ!擦れたら割れちゃうって」

 

「割れないように作ってるから!ちょっとだけ、先っちょだけだから!!」

 

「なんのだよ!先生何とか言ってください!!」

 

 

 壊した机を見つめて憂鬱な表情を浮かべていた金剛が顔を上げてフォス、というより博物誌担当を見つめてきます。

 

 

「先程言ったもう一つの伝えておくことというのが、これだ。先にも言ったが、貝の一族が再び丘に辿り着き、海の話を聞かせてくれる。その相手はおまえ達博物誌担当だ」

 

「は、はい」

 

「それに、王弟を救ったのはおまえ達二人だ。故に友好の証であるこのアゲートはおまえ達が管理するのが相応しいと判断した」

 

「ってことは、剣持っていいんですか!やったー!」

 

「いや、剣はどう考えてもホワイトだろ…」

 

「うるさいやい!僕も守られてる、ばっか、じゃ………ぐぎぎぎぎ」

 

「危ないってば!一旦置け!」

 

「…フォス、持ち上げるのが精一杯では、この剣は預けられない」

 

「どおしてだよおおお!!」

 

 

 哀れフォスは輪っかを入れた袋を引っ提げたレッドベリルに連行されていきました。ん?という事は、ホモくんに帯刀許可が出るって事ですかね?

 金剛がこちらに納刀した剣を差し出してきます。

 

 

「…ホワイト、おまえの体質が不安定なことは承知しているな。その剣は戦う為のものでは無い。おまえが助けた友との、友好の証だ。くれぐれも無茶な戦いはしないように」

 

 

 あーそういう…

 まさに宝剣ですね。お飾りの剣を寄越して戦わないように言い含めて来るとは。

 まあいいです、さっさと受けとって帯刀しましょう。

 …ホモくん、受け取って?(困惑)

 

 

「…せんせー、きのうね、つきじんがせんぱいをきずつけて、おうさまがかなしいきもちになったとき、ぼく、はじめて”おこった”の」

 

「……」

 

「つきじんは、なんでみんなをきずつけるの?」

 

「………わからない」

 

「つきじんとあうたびに、おやすみしてたみんながなきはじめるの。はなれたくない、いきたくない、せんせいたすけてって。ぼくのうちがわからきこえてくるの」

 

「……おまえは、何を…」

 

 

 気のせいかホモくんの周囲が揺らいでいるような……

 あっ、思い出してキレてる!?

 マズイですよ!

 

 

「ぼくは、せんぱいみたいに、みんなをじょうずにたすけてあげられない。それが、とってもくやしくて、かなしくて、ゆるせないの!」

 

「……ホワイト、気を静めなさい」

 

「もしかして昨日言ってたやつか!?皆水持ってこい!」

 

「つきじんとおはなししたことはないけど……もし、つきじんのやりたいことが、だれかをかなしませて、きずつけるなら!!そんなねがいごとはぶっこわしてやるぅぅあああッ!!!!」

 

 

 

 力任せに金剛から剣を奪い取ったホモくんが一段と怒り、放たれた熱波で先程砕けた机が燃えだしました。原型ないやん!(現実逃避)

 

 

「っ!!なんて熱気なの…!僕たちが熱いと感じるなんて……!先生、下がって下さい!」

 

 

 ユースレースの声を無視して金剛は燃え盛るホモくんに近づき、頭に手を伸ばします。

 

 

「……おまえの怒りは、その優しさからくる義憤だ。だが、怒りに飲まれては大切な物を取りこぼしてしまう……戦いたいと言うならば、心を落ち着け、決して目を閉ざしてはならない。さあ、ゆっくりと力を抜きなさい」

 

「うぅぅ!……はぁッ、はぁ……」

 

「そうだ、怒りは古代生物の心の欠陥でもある。くれぐれも呑まれないように」

 

「……ぼく…は」

 

「あーっ!ホワイト、さてはまたやったな!!スフェン水かせ!」

 

「うわ、ホワイトどうしたの!?」

 

 

 着替えが終わったのか、黒い輪を手足につけたフォスと、ガチギレしてるレッドベリルがやって来ましたね。

 

 

「うぉらぁ!!鎮火ァ!!大事にしろって言ったよね!?マジでもう麻ないから!!」

 

「わぷ、うわわわわわ」

 

「…私の机が……」

 

「……ねえ、着替えに行ってる間に何があったの?」

 

 

 

 

 炭化した机はぶっかけられた水によって完全に破壊され、中野くんのステーキみたいになりました。

 蒸気を上げているホワイトを揺すっているレッドベリルは興奮冷めやらぬ様子で金剛を睨みつけます。

 

 

「先生!このままじゃ月人より先に冬眠用の麻布が燃やし尽くされます!何とかしてください!!」

 

「うーむ、耐火繊維の精製…………石英の微粒子と、テトラエトキシシラン、マグネシウム、バナジウム、亜鉛を少量ずつ、ウスノリと混ぜて………液状にし……………ぐぅ」

 

「……先生?おーい、先生ー?……寝ないで〜!」

 

 

 負荷がかかり過ぎて大分おねむな様ですね。

 まあ確かに毎回全裸になってたらそのうち垢BANされそうなので、何とかして欲しいところですが……ん、何やらバタバタと足音が聞こえてきますね。あれは、ジルコン?

 

 

 

「先生!!黒点が三つ同時に出現しました!!イエローセンパイが引き付けていますが、いつまで持つか分かりません、至急救援をお願いします!!」

 

 

 

 ……は?

 三器同時出現だと!?!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




☆コメント返しのコーナー

〇とりあえず、スキルの文字化けを解読してみました。
(中略)
特性やスキルの名前からして、
どうやら不動明王が関係していそうですが…
うーんわからん!宝石の国と不動明王には何か繋がりが?
自分雰囲気で見てるタイプだからなんも知らないんよな。

有能検証兄貴のおかげで特性・スキルの全容が分かりましたが、これまた特大のデメリット(焼失)があるため扱いには難儀しそうです。
不動明王に関しては……

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如来、菩薩に関しては顕教から存在していましたが、明王は密教が成立してから生まれた概念。つまり……
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〇文字化け部分が不動明王モチーフ……月人って天道モチーフなんだろうけども振る舞いとか姿形とかからすると仏教における外道がモチーフとも解釈できるのよね。
そう考えると彼らの望む結末って仏教的には解脱や悟りとは真逆とも見える……あ、これ明王案件そのものですわ。

ただのプレイアブルモブ宝石なのになんでフォスみたいな謎属性ついてきてるんですかね(困惑)
こわーいこわいわー



〇有志の方の解読でチャート崩壊が確定したのが分かりました…ホモ君あなたが交信してるのいったい誰なんだい?

口ぶりから複数形、たまにこちらの入力に対しても返答してきますね(こわい)
複数形のほうは内側、つまりはインクルージョン?うーん、ホモくんの不活性インクルージョンに何か秘密があるのでしょうか?



〇月人消滅チャートってそっちィ!?
原作通りに祈りで消し去るんじゃなくて燃やし尽くして成仏(物理)ってことぉ!?

「火炎光背」の説明文を読む限り、月人を燃やし尽くす前にこっちが燃え尽きそうですね…
てか燃やしたところで月で復活してそうですが、そこんとこどうなんでしょうか?「残食」とやらがどう影響しているかも分かりませんし、チャートに積極的に組み込むのは難しそうです。



〇不確定要素多すぎて走者さんの胃と毛根が死にそう(建前)ナイスゥ!(本音)

うわー!
どうか行かないで……(毛根)
あー!落としちゃった……

ウワァァァァァァ……
マアァァァァァァ……
うぁー!落としたァー!

ゲームのチャート落としちゃった!!(ガバ)



〇走者、そろそろもうそのチャート捨てたほうがいいんじゃね?
このガバガバ具合じゃ

紙(チャート)なんて必要ねぇんだよ

馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!(慢心)




☆現在の装備・ステータス

name:ホワイト・ダイヤモンド
 
 硬度:10/10
 靱性:7.5/10
HP:175→174/174(焼失)
 INT:6/10
 POW:9/10
 DEX:8/10
 
 特性:不活性インクルージョン
    司銀
    轣ォ逕滉ク画乂

装備:三鈷剣


{IMG}





name:フォスフォフィライト


硬度:3.5/10
靱性:4/10
HP:75
INT:4/10
POW:3/10
DEX:1/10

特性:玉石混淆

装備:釧(上腕、前腕、下肢)


{IMG}






次回

王から受け取った宝物を身につけたフォス達の前に、月人の無慈悲な悪意が襲いかかる。これまでに無い大軍、新たな兵器、卑劣な策略。未だかつて無い脅威を前に、二人は抗う。

ご期待下さい
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