桜色に手をのばす   作:かなで☆

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第4話『来客』

 雲一つなく晴れた空を、火影室の大きな窓から眺めながら、カカシはまとまらない考えを巡らせていた。

 自分の気持ちははっきりしたものの、サクラはサスケを想っている。それは間違いない。

 しかし、あまりの寂しさに耐えかねている今、自分のスキルを使えばサクラの気持ちを動かすことはできる。

 サクラも、自分になら安心して全てを委ねられるだろう。

 たが付け入るようなことを本当にしてもよいものか。

 とはいえ、サクラの身に何か起こるようなことはあってはならない。

 となれば先ほどヤマトが言ったように、早く手を打ち、自分がサクラを…。

 そう考えると、自分の腕の中にいるサクラを思わず想像してしまう。

 ふわりと、サクラの髪が頬をかすめたような感覚に陥りハッとして、何を考えているんだと、自分を叱責して窓に頭を打ち付けた。

 鈍い音が響き、共に執務にあたっていたシカマルが驚いて書類からカカシへと視線を移した。

 「どうしたんですか?」

 「あ、いや。何でもない。ちょっとボーっとしてた」

 慌てて取り繕い、机に向き直り書類を手に取る。が、どうにも内容を見ていないカカシの様子に、シカマルは眉間にシワを寄せた。

 「六代目、少し休憩にしますか?」

 「ん?いや、大丈夫だ。大丈夫」

 とはいうものの、まったく書類の内容が頭に入ってこない。

 集中しようと、カカシは一度目を閉じて気持ちを落ち着かせてから再び書類を見直す。

 しかしそれでもどこか集中しきれない。

 その様子に気付き、シカマルはカカシの手から書類を抜き取った。

 「休憩をはさみましょう。お茶を持ってこさせますんで」

 苦笑いのシカマルに、カカシは「すまない」と返して椅子の背もたれに体を預けて天井を仰ぎ見た。

 ゆっくりと息を吐き出す。そこに、ドアをノックする音が重なった。

 「六代目様。お客様です」

 先代火影の綱手についていたシズネの声であった。

 今日は来客の予定は入っていなかったはずだと、カカシとシカマルが目を見合わせて首を傾げた。

 「急用ですか?」

 そうでなければ後日にしてほしいとの意味だ。

 どこか疲れた様子のカカシを見たばかりのシカマル。できれば休ませてあげたいとの配慮であった。

 しかし、返ってきたのはシズネの声ではなかった。

 「シカマルか?いいから開けろ」

 聞き覚えのある女性の声。しかしこの里にいるはずのない人物。

 2人はまた目を見合わせた。

 カカシが小さく頷き入室を促す。

 開いた扉の向こうにいたのは砂隠れの里の忍。テマリであった。

 「どうしたんだ、テマリ」

 シカマルが戸惑う。

 定期的に外交で木の葉の里に来ることになってはいるが、今日がその日ではない。

 砂隠れにおいても様々な責務を請け負うテマリが予定外に、しかも連絡もせずに来るなどよほどの事だ。

 「何かあったのか?」

 神妙な面持ちのシカマルに、しかしテマリは一瞥もせずにカカシの元へと歩む。

 「人払いをしてほしい」

 低いその声に、カカシは迷わずに頷いた。

 「下がれ」

 その言葉にシズネが一礼をして立ち去り、同時に密かに控えていた暗部も身を下げた。

 それを確認してシカマルが部屋を出ようと扉に手をかける。しかし、それをテマリが止めた。

 「シカマル、お前はここにいろ」

 暗部を下げてまでの話に自分がいてもいいものか。シカマルは一瞬迷ったが、カカシに頷かれ従う。

 念の為外を確認してからシカマルが扉を閉めた。と同時にテマリがカカシに詰め寄った。

 「あんた、サクラとどうなってるんだ!」

 「…え?」

 カカシとシカマルの声が重なった。

 「お、おいテマリ。お前何を急に…」

 シカマルが慌ててテマリの肩を掴んでカカシから離す。が、その手を振り払ってテマリは再びカカシに詰め寄る。

 「付き合ってるのか?もしくはこれから付き合うのか?結婚する気はあるのか?」

 「え?ちょ、ちょっと。な、なに?いきなりどうしたのよ一体」

 慌てふためいて混乱するだけのカカシに苛立ったのか、テマリは机に拳を叩きつけて言い放った。

 「はっきりしな!」

 ダンッ!と大きな音が響き、ただならぬ迫力にカカシもシカマルも言葉が出ない。

 しかしそれでも何とかカカシが口を開いた。

 「付き合っては、いない」

 弱々しく答えたそれに、シカマルが言葉を継いでテマリに言う。

 「当たり前だろ。サクラにはサスケが…」

 「だったら!」

 テマリが今度はシカマルに詰め寄る。

 「サクラとサスケは付き合ってるんだな。結婚するんだな」

 「や、いや。それはオレもあんまり知らねぇけど。って、お前一体何の話をしにきたんだよ。次に来るのは来週の予定だったろ?人払いまでして六代目のプライベートの話かよ」

 一体どうしたのか、シカマルも混乱を隠せない。

 テマリは1つ息を吐いてカカシに向き直った。

 「来週、予定していた日程で我愛羅が木の葉にくる」

 「風影が?!」

 また2人の声が重なった。

 「これはまだ機密事項だ。今日私は砂の人間としてここに来たんじゃない。サクラの友人としてきたんだ」

 という事は、サクラに関係した事で風影が木の葉に来るということだろうと、2人は予測する。

 カカシの胸がドクリと鳴った。

 何か嫌な予感がする。

 テマリの言葉が、そんな予感を決定付けた。

 「春野サクラに、砂隠れから見合いの要請だ」

 「なっ!見合い?!」

 シカマルが声をあげる。が、カカシは黙り込んだままだった。 

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