魔女学園のTS生徒〜被検体の俺は美少女の皮を着せられ、魔女学園(女子校)へ編入する事に〜 作:海神アリア
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「あ〜、もう! 男って本当にバカ!」
黒いローブの魔女は、心底苛立ったように床を踏み締めた。
「若くて可愛い娘に、すぐ鼻の下伸ばしちゃって! そんなにあの娘のおっぱいが好きな訳!? 仕事中なのを忘れるとか、性欲塗れも大概にしなさいよ!?」
「分かった、悪かったって……
だからホラ、貰った
剣士は仲間の怒りにタジタジとなり、必死に懇願する。ローブの女性は苛立ちげに舌を鳴らすと、袖の下から黒ずんだ水晶玉を取り出した。
……もしや、それが黒い炎を出すアイテムか!?
「させない! 『ウォーター・ボール』!」
「洒落臭え! 『ファイヤー・ボール』!」
敵の魔女に放った攻撃が、剣から放たれる魔法に防がれてしまった。水は瞬時に蒸発し、辺りに水蒸気が立ち込める。
……あの剣、本当に厄介だな!
つーか、剣士のクセに遠距離攻撃も出来るとかズルすぎるだろ!
「さぁ、魔物よ! 私に力を貸しなさい!」
魔女が掲げた水晶玉が妖しく輝き出す。すると床には、禍々しいオーラを放つ魔法陣が浮かび上がった。……俺はこの光景に見覚えがある。渋谷で出会ったエルフの魔女、アラキーネの使った召喚魔法だ。あの時は蟲の魔物だったが、今度もまた恐ろしい魔物がお出ましになるのか!? 危険を察知した俺は、数歩分の距離を飛び退いた。が、光が収まった時に魔法陣の中に居た魔物は、全く予想外の物だった。
スライムである。
20〜30cmの大きさをした、ゼリー状の魔物が5匹ほど召喚された。
「え……スライム?」
正直、ちょっと拍子抜けしてしまった。アラキーネが召喚した甲虫兵とかに比べれば、全然強そうではない。とはいえ、早めに討伐するに越した事はない。
「『ウォーター・バレット・リボルバー』!」
連射した水の弾丸が、全てのスライムに一発ずつ命中する。魔物は避けようともしなかったので、当てるのは簡単だった。
問題はもっと別のところにあった。
ゼリー状の魔物は水を取り込み、プルプルと身体を震わせるだけだった。
「なッ……!?」
スライムはジュル……ジュル……と粘度の高い音を立てながら、ジリジリとこちらに寄って来る。
マズい、これはマズい!
なんで魔法が効かないんだ!? スライムなんて、雑魚キャラの代名詞じゃないか!?
いや、待て、落ち着け。他の魔法はどうだ? 水を飛ばす魔法じゃなくて、『水で切りつける』魔法なら……?
「切り刻め、『サファイア・ソーサー』!」
水の円盤を低空飛行で飛ばし、魔物を上下二つに切り分ける。これが俺の取った次なる手段である。
円盤は回転刃となり、確かに命中した。
が、魔物の胴体は分かれて居ない。
スライムはまたしてもブルンブルンと身体を震わせながら、まるで大きな煎餅を円周から食するが如く、水の円盤を体内に吸収していったのだ! しかも吸収した後に、身体が一回り大きくなった。
「さ、やっちゃいなさい!」
スライム達は主人の命令通り、獲物である蒼蘭ちゃんに飛びついた。
「うわッ、このッ……離れなさいよ!」
スライムを振り解こうとするが、幾ら身体を動かしても身体から取れそうにない。ゼリー状の魔物は次々と少女の身体を弄りはじめる。
「ひうんッ!?」
左半身に刺激を感じ、思わず身悶えしてしまった。
感覚で分かる。スライムが身体を弄り、蒼蘭ちゃんの乳首にむしゃぶり付いたのだ。
否、それだけでは無い。
魔物はあろう事か、華の女子高生の制服を溶かしているではないか! ワイシャツもブラジャーも、繊維のある物はどんどん溶けていき、蒼蘭ちゃんの地肌が露わになっている。それをスライムは、舐め回すように自分の身体を這わせているのだ。
「ひッ……や、やめ……あうッ!」
快感と羞恥心で、体温が上昇する。ボロボロになったブラジャーは床に落ち、遂に少女の乳房を隠しているのは、水色の粘液だけとなった。
「フフフ、随分素敵な格好になったじゃない」
女冒険者は魔物に弄ばれる無様な少女を嘲笑うと、新しい武器を取り出した。ビリビリと弱い電気を帯びた、魔法の鞭だ。
「今度はお姉さんがたっぷり可愛がって、あ・げ・る♡
……ホラ、鳴け! このメス犬がッ!」
鞭が唸りを上げて、スライム越しに攻撃が叩き込まれ……
「ひぎゃあああッ!?」
な、何だこれ……
痛みもあるが、それ以上に『痺れる』感覚が強い。身体中に電気が……まさか、スライムの所為か!? 塩水が電気を良く流す様に、スライムは導電率が高いのか?
「ホラホラ、さっきまでの強がりは何処行っちゃったのかしら?」
「ヒッ、アッ、痛ッ……あぁぁッ!」
ビシバシと鞭が叩き込まれる度に、身体を痛みと痺れが身体を襲う。
ヤバい、特に上半身がヤバい……ブラジャーまで溶けているせいで、直にダメージが来ている。
あぁ…………クソッ…………
このまま何もできず、嬲られ続けるのか…………?
「おい、お前ばっかり楽しんでズルいぞ!
俺達が楽しむ分が無くなっちまうだろうが!?」
「……全く、本当に懲りないんだから。
ま、それもそうね。だから……これでトドメにしてあげるわ!」
今までで最も強烈な一撃を喰らわせるべく、女冒険者は残虐な笑みを浮かべて大きく腕を振り上げた。
そしてその腕が、少女を甚振る快感を得る事は無かった。
「『
真っ赤に燃え盛る炎の鷹が、魔女の腕に直撃したからだ。鞭も手袋も瞬時に燃え尽き、女冒険者の地肌まで瞬時に焼き焦がす。
「いぎゃッ!? 熱ッ!!」
「何ッ!? だ、誰だお前らは!?」
冒険者二名は攻撃が飛んできた方向へ振り向き、剣士が代表して来客達に尋ねた。
「あーしらはその
テロリスト相手に怯む事なく、仁王立ちで返答したのは金髪の魔女。オシャレで陽気な、友達思いで義理堅い一面もある炎の魔女、
いや、彼女だけではない。
同じチームの
「クソッ、ここで増援かよ!?」
「でもこっちにはこの水晶があるわ! 何人来ようと、可愛い魔物の玩具にしてあげるわ!」
そういうと、再び水晶へ魔力を流し込み、新たに10匹ものスライムを召喚した。
「やれ、お前達!」
粘液の魔物が主人の命令に従い、可憐な魔女達に襲いかかる。
「残念だが、そりゃアタシらをナメ過ぎってもんだぜ!」
既にギターを背負ったケースから取り出し、ギタリスト風歌は演奏準備を完了していた。
「アタシの魔法でブチ上がれ! 『サウンド・バースト』!」
彼女がギターを思いっきり鳴らすと、前方に音の衝撃波が発生した。スライム達は攻撃をモロに食らい、身体を四散させて息絶える。
「セイラ、目を強く瞑りなさい!」
相変わらずよく通る声で、アディラは俺に指示を飛ばした。瞼に力を入れて、俺は全力で視界を遮る。
「『デザート・ストーム』!」
アディラの魔法が炸裂すると、身体にまとわりついたスライムが動きを鈍らせていった。これは粘液に砂を吸わせる事で、泥状にして固める作戦だろう。
「ありがとう、アディ……」
礼を言いかけたその時、
「フンッ」
ベリィッ!!
「いってぇぇッ!?」
湿布を勢いよく剥がされる様な痛みが、蒼蘭ちゃんのたわわなおっぱいを襲ったのだ!
「こんな無駄に大きい物をぶら下げているから、こんな無様を晒すのよ! 少しは自重しなさい、この駄肉ウサギ!」
「いや、もうちょっと優しく剥がしてくれても良いじゃん! 後、自重って何!? 私にどうしろって言うの!?」
「自分の胸に聞きなさい!」
「理不尽!」
どうやらスレンダー美少女な財閥令嬢の怒りに触れたらしい。そんな事を言われたって、蒼蘭ちゃんのおっぱいは変態博士の性癖による産物である。俺にはどうしようもない。
「とことん俺達を舐めたマネしやがって……こうなったら、まとめて焼き払うだけだ!」
「……ッ! 気をつけて! あの剣は火の玉を飛ばして来る!」
剣士が最後の足掻きと言わんばかりに、炎の剣で攻撃態勢に入る。
「弱った水の魔女じゃ、俺の『ファイヤ・ボール』は防げないだろ? 全員炙って、豪華な上納品にしてやらぁ!」
剣が大きく振るわれ、轟々と燃え盛る炎の玉が飛来する。
……確かに剣士の言う通りだ。電撃のせいで身体に力が入らない。先程他の客を守った様に、消火する事は難しい。だから……
「みんな、私の事は良いから逃げて……!」
そうだ、避けるしかない。俺は走れない以上、他の皆だけでも逃すべきだろう。なのに、
「心配しないでよ、セーラ!」
友人は俺を庇うかの様に、炎の前に立った。
「待って、炎華! そんな事をしたら貴女が火傷しちゃう! 早く逃げて!!」
敵の勝ち誇った表情で分かる。当たれば大怪我は必須の一撃だ。なのに、彼女は自分の安全より俺を庇う事を優先している…………
が、次に起きた事で俺の心配は霧散した。
「『炎のギャル魔女・炎華ちゃん』に火炎魔法で攻撃とか、ちょっとあーしの事甘く見過ぎじゃね? どーなのよ、おにーさん?」
火球の直撃を喰らって尚、ギャル魔女は火傷一つ無く立っている。
「え、え? 何が起きたの!?」
全く理屈が分からない。炎の魔法で相殺するなら分かる。炎華は強いから、剣から飛ばす炎より強い火炎魔法で対抗できる。それなら俺も理解が追いつく。
だが、彼女は魔法を使わずに腕だけで防御して見せたのだ!
「何……でだよ? お前、まともに俺の魔法を喰らった筈だろ!」
「ん〜? そりゃ、炎の魔女には炎耐性があるに決まってるじゃん? 『使い手と同じ系統や属性の魔法は効き目が薄い』なんて、ちゃんと授業で習う事っしょ?
……ははーん、さてはおにーさん、子供の頃授業サボってたな?」
彼らにとっては衝撃の事実だったのか、冒険者二名は固まったまま動かない。まぁ、気持ちは分かる。俺だって知らなかった事だ。
同時に、俺の攻撃がスライムに効かなかったのも納得だ。身体が『液体』で出来ているスライムには、同じ『液体』である水魔法は効き目がほぼ無いと言う訳だ。
そして炎華の話によると、その『魔法耐性』のルールは、魔女が扱う魔法の属性や魔物の体質による影響らしい。つまり、
「『炎の剣』は剣が炎属性なだけ! 使い手が『炎魔法』が得意じゃ無いなら、炎魔法は普通に効く!」
「はい、セーラ大正解! つーわけで、くらえ! 『
炎の魔女が放つ固有魔法が、脅威の火力と回転力を併せて敵に突っ込んだ。
「な、なんだその魔法は!?」
「ちょ、ちょっと! さっさと剣で防ぎなさいよ!?」
最後の抵抗すら出来ず、ショッピングモールに騒ぎを齎した悪人は、炎の車輪に吹っ飛ばされた。
彼らは火傷を負い、痙攣しているが息はある。ちゃんと治療をすれば回復するだろう。
◆
「いやー、終わった終わった! これでサンライズモールの火事は防げたっしょ?」
「多分……その筈。ここの冒険者は倒した訳だし」
「そっかそっか! じゃ、火事を予知したセーラのお手柄って訳だね!」
その場でへたり込んでいる蒼蘭ちゃんの頭を、炎華は優しく撫でてくれた。
「蒼蘭ちゃん、怪我は私が今治すから!」
聖が回復魔法で怪我を治し、溶けた服を修繕魔法で修復してくれた。電撃の痛みも、河原で受けた鞭の傷もみるみるうちに治っていった。溶けた下着も残っていた生地から再生されていき、腕で胸部を隠す必要がなくなった。
「ありがとう、聖。
……何か、その……本当にいつもありがとうね。私、貴女に迷惑かけてばっかりで……」
「ううん、これが治癒役の仕事だもん。全然迷惑だなんて思ってないよ」
彼女は俺の目を真っ直ぐに見つめた後、徐に抱きしめた。
「えっ、あのっ、聖!?」
「良かった……蒼蘭ちゃんが無事で……私、ナヴァラトナさんから蒼蘭ちゃんが一人で行ったって聞いて、凄く心配だったんだよ? 蒼蘭ちゃんは強いけど、ほっとけない所あるから、無理しちゃう事もあるってこの前知ったから、何かあったら、私……」
彼女の声色と抱きしめる手の感覚で伝わって来る。聖は、本気で俺の事を心配してくれたのだろう。いや、聖だけでは無い。冒険者相手に啖呵を切った炎華にも、同じくらい心配をかけたかもしれない。
「ごめん、上手く言葉が纏まらなくて。でも、一人で無茶したり、抱え込まなくて良いんだよ? 蒼蘭ちゃんは、もっと周りを頼っても。勿論、私に出来ることがあれば、力になるからさ!」
…………………………
完全に失敗した。俺はただ自分を肯定したいが為に、単なる自己満足の為に、一人で先走って、それでピンチに陥ったのだ。事件の発生場所が分かった時点で、先ず他のチームに相談するべきだったのだ。『急がないと間に合わない』なんてのは、俺の単なる思い込みだ。実際、聖達は間に合ったのだから。俺は、一人で何かを成せる程立派な人間では無い。だから、誰かを頼るべきだったのだ。
「……ごめん、聖。ごめん、炎華……。
私、焦ってた。早く自信を付けたくて、早く何かを成し遂げたくて……。心配かけて、ごめん。それと、ありがとう。二人だけじゃなくて、風歌とアディラも、助けてくれてありがとう」
友人達に謝意と感謝を伝えると、聖は穏やかな顔で微笑み、炎華はニカッと笑って蒼蘭ちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「よーし、そんじゃ戻るか! 帰るまでがアルバイトだからな! 生徒会メンバーとして、アタシが皆んなを送り届けるさ。
……まぁ勿論、寄り道してから帰るけどな! 無事に仕事が終わったんだから、パーッと打ち上げと行こうぜ!」
風歌が皆に打ち上げの音頭を取り始めた。アディラは「やれやれ」と言いたげな表情で肩をすくめている。だが、折角のお誘いだ。参加するのも悪くないかもしれない。
……そう、マギナさんからの依頼はこれで終わりのはずだ。だが、俺の心には達成感よりも強固な『違和感』がこびり付いていた。
(…………俺は、何かを『見落として』いるんじゃないか?)
会議室で予知の事を思い出す直前の、『何か引っかかる』様な感覚。脳の一部分が、或いは第六感的な何かが、俺に危険信号を発している。
(……冷静に、振り返ってみよう。『違和感』の正体は何だ?)
異世界からの冒険者は、俺の事を何と言った?
確か、『お嬢様学校の生徒』だと言っていた。
何故だ?
ザリック三兄弟は、エアガンの事を本物の銃だと思い込んでいた。当然だ。異世界から来たばかりで、地球の玩具の事なんて分かるはずがない。
……なら彼らは何処で、俺を『お嬢様学校の生徒』だと認識した? それが出来るのは、制服でその学校が判断できる人間じゃないのか?
他にも、違和感はある。
鎧の男は、自身のハンマーを『異世界の力』と言っていた。
これも変じゃないか?
そりゃ、俺たちから見れば、冒険者達は『異世界の人間』である。が、冒険者側が自分達の事を『異世界人』と呼ぶのは不自然である。
最後にコレは憶測が強めだが……スライムを召喚した魔女だ。
彼女は『貰った
誰に貰った?
いや、そもそも何故、彼女は自分の魔法を使わなかった? 魔物を召喚する水晶、電気の鞭、全部道具頼りじゃないか? 魔法が発達している異世界人だぞ? 自分の魔法くらい身につけている物じゃないのか?
ほんの少しの違和感も、重なれば大きな疑念となる。そしてその疑念は、不吉への予感となり、心臓の鼓動を加速させる。
例えば、さっき戦ったのは異世界人ではなく、冒険者のフリをした者だったら? そして、それを『本物の冒険者』が命令したのだとしたら? 魔法を認識できるが扱えない、予知魔法に目覚める前の俺みたいな『知覚者』が、異世界由来のアイテムを貰って、囮として暴れていたのだとしたら?
「蒼蘭……ちゃん? どうしたの、息が荒いよ? 体調が悪いの?」
聖が心配そうな顔を向ける。
……俺の、俺の考え過ぎや思い違いなら良い。だが、もし、万が一、この予感が当たっていたら……?
聖をはじめとした、みんなに被害が及ぶ。それは、それだけは避けなくてはいけない!
直感に突き動かされるまま、魔力活性化も不十分な状態で、俺は未来予知の魔法を使った。
「みんな、伏せて! 私達は囲まれている! まだ戦いは終わりじゃない!!」
叫び終わったほんの数秒後、最悪の予知は現実となった。空間から突如として、八つの水晶が出現した。炎、水、風、土の水晶が、各々二つずつ。
それらは少女達を囲む様に旋回し、瞬く間にその輝きを増大させ、
油断しきっていた魔女達目掛けて、蓄積された魔力を放出したのであった。
果たして、蒼蘭ちゃん達の運命や如何に…?
学内バイト編は、後数話で終わりの予定です!今しばらくお付き合い頂ければ幸いです。