魔女学園のTS生徒〜被検体の俺は美少女の皮を着せられ、魔女学園(女子校)へ編入する事に〜   作:海神アリア

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こちらのお話は、一応本編とは無関係な番外編です。
それ故、時系列をガッツリ無視したタイミングでの投稿となります。また、本編の設定やキャラクターの性格に関して若干の矛盾や違和感が発生しているかもしれませんが、大目に見て頂けると幸いです。

今宵はハロウィン。ハロウィンと言えばコスプレ。コスプレに必要な物は可愛い衣装と…『美少女に着替える』事ができる魔法のアイテムですよね!(皮モノ好きの暴論)


番外編 魔女達のHappy Halloween!

「今日は素敵なハロウィンの日〜♪ 美味しいお菓子と素敵な衣装が、貴女を待っているわ〜♪」

 

 即興で作った歌を口ずさみながら、我が不肖の姉は衣装の調整をしている。無論、自分で着るものではない。今、正に、現在進行形で私に着せているコスプレ衣装の事だ。

 

 更に具体的な説明をすると、「瑠璃海 蒼蘭」ではなく、「如月リリア」の姿になった私に衣装を着せているのだ。真っ白なノースリーブのワンピースを着せ、こちらも真っ白でふわふわの羽を背中に取り付け、最後に魔法で浮かせる事ができる輪っかを頭上にセットすれば、可愛い『天使』の完成である。

 

「ねぇ、何故にこの衣装?」

 

「あ、しず君は知らないっけ? この暁虹学園にはハロウィンの日、生徒達が衣装を着て友達の部屋へお互いに遊びに行く風習があるんだってさ!」

 

「いや、それは知ってるよ? 私だって仮にもここの生徒だもん。私が言っているのは、なんで私が『リリアちゃんの魔女っ子スーツ』を着せられて、更に天使のコスプレをさせられてるのかって事」

 

「だって、リリアちゃんは『氷の魔女』だからね。『寒さに強い身体なら、秋が深まる肌寒い日でも、薄手のお洋服が着られるのでは?』っていうお姉ちゃんの仮説を立証したかったのよ。そして、しず君のリアクションを見るに、お姉ちゃんの仮説は正しかったみたいね!」

 

 天才研究者は自慢げに胸を張った。

 

「……本音は?」

 

「可愛い天使になったリリアちゃんが、ハロウィンを過ごす姿を見たかった」

 

「正直でよろしい。いや、ちっともよろしくねぇわ」

 

「まあまあ、ちゃんと鏡で見てごらんなさい。今のリリアちゃんは、何処に出しても恥ずかしくない『最高の天使』なんだから!」

 

 私は鏡の前に連れて行かれ、そこに映る少女の姿を見て思わず息を呑んだ。リリアちゃんの銀髪と白い衣装は、確かに親和性が段違いだった。瑞々しさを携えた透き通る様な肌と、エメラルドの様な瞳も、幻想的な存在である『天使』というテーマにピッタリと合致している。確かにこの沙織お姉ちゃん(へんたいまほうつかい)が言う通り、何処に出しても恥ずかしくない美少女天使だ。

 

「ね、お姉ちゃんの言った通りでしょ?」

 

「……ノーコメントで」

 

「もー、照れちゃって♪ それじゃ、早速写真撮らせてね」

 

「え、ちょっと!?」

 

 突如としてスマートフォンから繰り出される激写の嵐に対応出来ずに居ると、インターホンが鳴り響いた。来客の正体は、何と聖と炎華だった。

 

『トリック・オア・トリート、くるみん先生!』

 

『胡桃沢先生、蒼蘭ちゃん来てませんか?』

 

 インターホンから聞こえてくる声を聞き、沙織お姉ちゃんはハッとした様だ。そう、ここは非常勤講師『胡桃沢先生』が居る筈の胡桃沢ラボだ。だがその正体は、これまた『魔女っ子スーツ』を着た我が不肖の姉、雨海 沙織である。今、姉貴はスーツを着ていない為、このまま聖達を迎えるのは不自然極まりない状況になる。

 

 ……その筈なのだが、姉貴は少し考えた後に、何とそのまま玄関へ赴いた! 

 

「久しぶり、聖ちゃんに炎華ちゃん」

 

「え、さおりん姉!?」

 

「沙織さん、どうしてここに!?」

 

 いや、本当に何を考えているんだ!? 

 

「実はね、胡桃沢博士とは研究者同士、色々と良くして貰っているの。今日だって、私と()()()が遊びに来るって聞いて、私達にお部屋を貸してくれたのよ♪」

 

「そうだったんですか……」

 

 いや、騙されてはいかんぞ、聖よ。

 姉貴は、ここぞとばかりにアリバイ工作に乗り出した様だ。雨海沙織の姿で学園内を彷徨いても良いように、ラボの持ち主との繋がりと、『学園に遊びに来た』という出来事をでっち上げるつもりだ。

 

「あれ、『従姉妹』って事は……」

 

「その通り、私と蒼蘭ちゃんの可愛い従姉妹、リリアちゃんと遊びに来ちゃいました!」

 

 あっけらかんと言い放ちやがった! 

 いや、この格好で外出ろってか!? いの一番に、この衣装で親友の前に出ろってか!? おい、『おいでー、リリアちゃん♪』じゃねえよ! 心の準備が出来てねぇんだわ! 

 

 私は心の中で悪態をつくと、目をつぶって深呼吸をする。

 

 私は如月リリア、私は如月リリア。氷を扱う魔女にして、ちょっぴり内気で、ロシアン系な見た目で銀髪小学生……。

 

「お、お久しぶりです! 聖お姉さん、炎華お姉さん!」

 

 私は意を決して、親友二名の前にやってきた。

 

「やっぱりだ! 久しぶりだね、りあるん!」

 

 炎華は(形式上だが)久しぶりのリリアちゃんとの再会を、両手ハイタッチで祝してくれた。

 

「か、か、可愛い! 天使のリリアちゃん、とっても可愛いよ!」

 

 聖は天使姿のリリアちゃんに心を奪われた様だ。

 

「ありがとうございます。で、でも、聖お姉さんの衣装も素敵ですよ!」

 

「そ、そうかな? ちょっと、小学生に見せる格好じゃない気もするけど……」

 

 聖のコスプレは、赤と黒を基調にしたナース服。所謂『黒ナース』だ。紫色のウィッグも身につけた気合いの入れ様で、宛らゲームやアニメの美少女ヴィランだ。

 

「そんな事ないですよ。ちょっぴりホラーやダークな方が、『ハロウィン』って感じもしますし。それと、炎華お姉さんもとっても似合ってますよ!」

 

 炎華の衣装は黒い帽子に黒いローブ、オーソドックスな『魔女』スタイルだ。聖のようにウィッグは着けていないが、彼女の金髪と紫色の瞳が、衣装との調和を魅せている。本当に絵本から飛び出して来た魔女のようだ。素材の良さをこれでもかと言うぐらいに活かした、素晴らしいコスプレだと感じた。

 

「えへへ、ありがと! やっぱハロウィンといったら『魔女』っしょ! 王道は大事、そう言う意味じゃ、りあるんの天使姿もハロウィンっぽくて最高だね!」

 

「な、何だか照れますね……でも、ありがとうございます」

 

 ストレートに褒められると、流石に頬が熱くなるな……。

 

「そうだ、せっかくだし、みんなで写真撮ろうよ!」

 

 炎華が提案し、スマホと自撮り棒をカバンから取り出した。

 

「ほら、さおりん姉も一緒に!」

 

「え、私も!?」

 

「せっかくのハロウィンだよ? さおりん姉はコスしてないけど、楽しまなきゃ損じゃん! ひじりんも良いでしょ?」

 

「勿論! 沙織さんとリリアちゃん、二人をセンターにして撮ろ!」

 

 天使なリリアちゃんの隣に姉貴を配置し、私達姉妹を魔女と黒ナースが両側から挟む。

 

「じゃ、撮るよー!」

 

「え、あ、はい!」

 

 自分が撮られるとは思ってなかったらしく、姉貴は柄にもなく慌てた様子を見せた。何枚か写真を撮った後、炎華は姉貴のスマホに写真を送ってくれた。

 

「………………」

 

「あれ、さおりん姉?」

 

「……………………」

 

「沙織さん?」

 

 沙織お姉ちゃんからの反応はない。先程撮った写真を、只々うっとりとした表情で見つめている。

 

「安心してください、放っておいて大丈夫なので」

 

 どうやらコスプレ少女達の写真撮影が、年下ヒロイン好きの姉貴には大層心に響いたようだ。この感じだと、どうせ暫く戻って来ない。気にするだけ、心配するだけ無駄だ。

 

「あ、じゃあさ、ハロウィンと言えばお菓子じゃん?」

 

 炎華がズイッと顔を近づけた。

 

「美味しいお菓子、食べたくない?」

 

「それは……食べられたら嬉しいですけど……」

 

「じゃ、決定ね」

 

 そういうと、魔女は天使の手を優しく握った。

 

「あーしの部屋で、ひじりんと一緒にお菓子食べよ、りあるん!」

 

 ◆

「………………」

 

 落ち着かない。

 いや、本当に心が落ち着かない。

 

 まさか自分が、女の子の部屋に招待させるとは! 以前、成り行きとはいえ聖を自室に招いた事はあった。だが、自分が招かれる側になるとは夢にも思って居なかった。

 

 周りを見渡しても、自分の部屋とは大違いだ。化粧台にビーンズクッション、可愛いぬいぐるみにガラスのインテリアまである。全力の女子力で殴りかかってくるこの部屋に、私は内心圧倒されていた。

 

(私はこの部屋に居ても良いのだろうか? 華の女子高生が住まうこの部屋で、しかも都会のキラキラ系ギャルの女子力満載ルームで存在を許されているのだろうか? ここで呼吸をしても犯罪にはならないだろうか? いや、落ち着け、今の私はリリアちゃん、みんなの妹的な存在……な筈、多分……。だから、あまりソワソワしていると、逆に失礼になる可能性も…………)

 

「出来たよー!」

 

 私の悶々とした長考は、部屋の主からの声で見事にかき消された。

 

「あ、私、テーブルまで運ぶね!」

 

「ありがと、ひじりん!」

 

 聖がトレーに皿とコップを乗せて、テーブルまで運んでくれた。皿の上には、炎華が作ったカップケーキが所狭しと並べられていた。

 

「わぁ……凄い……!」

 

 プレーンだけでなく、ココアパウダーやレーズンを用いたケーキもあり、炎華の腕前に感嘆するしかなかった。

 

「やっぱ、お菓子は出来立てが一番美味しいんだよねー♪ 折角のハロウィンだし、今年は『天使のお客さん』もいる事だし? パティシエール炎華ちゃん、思わず張り切っちゃいました!」

 

「これ、本当に頂いて良いんですか!?」

 

「勿論! 

 ……た・だ・し、『ハロウィンの合言葉』を言えた子にだけ、炎華お姉さんはお菓子をご馳走する事にしています! さぁ、りあるんもひじりんも、炎華お姉さんに言ってごらん?」

 

「それじゃ、一緒に言おうか、リリアちゃん」

 

「はい! せーの……」

 

 私達は息を合わせて、

 

「トリック・オア・トリート!!」

 

 ハロウィンの合言葉を口にした。

 

「はい、それでは召し上がれ〜♪」

 

 魔女のお姉さんに促されるまま、私はカップケーキを一つ、口の中へ運んだ。

 

「美味しい……美味しいです、炎華お姉さん!」

 

 焼きたて、出来立てというのもあるが、やはり炎華の料理スキルはかなりの物だ。課外授業からその片鱗を見せていたが、やはり実際に味わうと何度でも改めて実感させられる。

 

「喜んで貰えて、あーしも嬉しいよ! めっちゃニコニコ笑顔の天使に喜ばれるとか、テンションめっちゃ爆アゲになるし!」

 

 少しの間、私達は魔女の持て成しに舌鼓を打った。

 

「そうだ、リリアちゃん。蒼蘭ちゃんの事、見なかった?」

 

 ふと、聖が質問を投げかけてきた。

 

「えっと……蒼蘭お姉ちゃんは、ちょっとお出かけするって言ってました……」

 

「そっか……」

 

 聖は少し悲しそうな、寂しそうな表情を浮かべた。

 

「あの、蒼蘭お姉ちゃんに何かご用事があったのですか?」

 

「あ、ううん。用事って程の事でも無いんだけど……」

 

 聖が小さくため息をついて、言葉を紡いだ。

 

「『蒼蘭ちゃんとも、ハロウィンを楽しみたかったなー』って思ったの」

 

「確かに、セーラがどんなコスで来るか、結構楽しみだったよね」

 

「………………」

 

「でも、用事があるなら仕方ないか! ごめんね、リリアちゃん、気にしないで!」

 

「そうそう、余ったカップケーキ、持って帰って良いからさ!」

 

「何から何まで……ありがとうございます」

 

 私はパティシエール炎華に、深々と頭を下げて礼を言った。

 

 ◆

「姉貴、起きろ! 夕方だぞ!」

 

 私は胡桃沢ラボまで送られた後、早速沙織お姉ちゃんを叩き起こした。

 

「え、もう夕方!? いつの間に!?」

 

「いや、時間はこの際どうでも良い! それより、出して欲しい物があるんだ!」

 

「それは一体?」

 

「……どうせ姉貴の事だ、用意してあるんだろ? 『蒼蘭ちゃんのハロウィン用衣装』も!」

 

「ふっふっふ……バレたか」

 

「なら話は早い! それを寄越して貰おうか!」

 

「お、今から蒼蘭ちゃんモードでハロウィンタイムなの?」

 

「ハロウィンは夜からが本番だからな!」

 

 私はリリアちゃんのスーツから蒼蘭ちゃんのスーツに着替え、沙織お姉ちゃんが用意した『魔法少女』の衣装に袖を通した。その後、購買でお菓子を買い込んで、友人二名にスマホで連絡をする。

 

『トリック・オア・トリート! お菓子を受け取ってくれなきゃ、イタズラするぞ!』

 

 魔女達のハロウィンは、これからが本番である。私は親友への返礼の品を届けに、そしてハロウィンを目一杯楽しむ為に、日の沈む女子寮へと駆け出した……。




折角のハロウィンという事で、突発的な番外編、もといショートストーリーを放出させて頂きました。衝動に任せて書いたものなので、粗削りかつ簡素な代物ではございますが、どうぞお納めくださいませ。

因みに、第三章は誠意執筆中です。筆の速度は相変わらず遅いので、気長にお待ち頂ければ幸いです……。
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