my way of life   作:桜舞

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106話『魔王の遺物の一覧』

「そっか。ごめんね、話が終わったら僕らも加わるから」

「大丈夫。久し振りに会ったんでしょう? ゆっくりでも構わないからね」

 

ニコ、と微笑むユエの手を握る。

 

気遣いが出来る僕の彼女可愛い!

ここが城の中なら、抱きしめてキスしてるのに!!

 

「アオ、顔に出てる」

「…ごめん」

 

僕の心情が表情に出ていたのだろう。

ユエが呆れた目を向けてくる。

 

彼女と離れて少ししか経っていないのに、久し振りに会ったような感覚に陥ったから、気が高ぶってしまった。

 

握っていた手をユエに引っ張られ、身を屈めると頬にキスをされる。

驚いて目を丸くする僕に、彼女が小声で

 

「これくらいで我慢してね」

 

というものだから、抱きしめたくなる衝動に駆られた。

彼女の肩に頭を乗せ、ため息をつく。

 

「グンジョウ、いい加減に戻ってきなさい。ユエちゃん、苦労かけるけど弟見捨てないでやってね」

「見捨てるわけないじゃん。それに、アオにかけられる苦労なら、どんと来いだよ」

 

かけるつもり全くないんだけど、その意気込みはありがたい。

僕の彼女可愛いし愛らしいし、気遣いも出来てこんな覚悟あるなんて…僕恵まれすぎじゃない?

 

「はいはい、戻るよ。デカい図体してるんだから、あんまりユエちゃんに寄りかかると、ユエちゃんが潰れちゃうでしょ。ごめんね、捜索お願いね?」

「シャナちゃんが、ちゃんとお姉さんしてる…。うん、わかってるよ。じゃあ、また」

 

僕から手を離し、ユエは手を振った後、駆けていく。

その後ろ姿を名残惜しげに見ていたのだが、シャナに腕を掴まれ部屋の中に引き戻された。

 

「ユエちゃんが大好きなのはわかるんだけど、今はお仕事中なの忘れないでよ?」

「わかってる…」

 

こういう時の姉に対してイラっとしないのは、大体正論をシャナの方が言っているからである。

寧ろ苛立たせているのは、僕の方ではないかとも思ってしまう。

 

「おにーさま羨ましー」

「…ごめん」

 

ソファーに座りながら言ってくるシンクに、僕は謝る。

僕もソファーに座ると、両側から頭を撫でられた。

 

別に落ち込んでるつもりないんだけど。

あと、そうされると僕が末っ子な気がしてくるからやめてほしい。

気遣ってくれるのはありがたいけれども。

 

「お待たせしました。一応、これで全てですね」

 

大量の書物を浮かせながら、お祖父様が地下図書館から戻ってくる。

応接机の上にそれらを乗せ、向かい側のソファーにお祖父様は座った。

 

「ありがとうございます。後程、地下図書館の方も捜索したいと思いますが、宜しいでしょうか?」

「勿論構いませんよ。先程の動作は見て覚えましたね、グンジョウ? 一週間という短い期間ではありますが、存分に探すといいでしょう。見つからない場合でも、うちの使用人達に探させますので、ご心配なく」

 

それはありがたいけど、僕ら以外が触って大丈夫なんだろうか?

ルカさんの調査によると、僕ら王族の血と魔王の遺物は相性がすこぶる悪いらしい。

取り憑こうとしても、血が反発して王族には取り憑けないんだとか。

 

僕は一番上にあった書物を手に取り、ページを捲る。

両側からシャナとシンクも覗き込んできたので、少し見辛く感じた。

 

「二人とも、覗くなら後ろからにしてくれない? 見えない」

「ごめん」

「悪い」

 

二人は立ち上がり僕の後ろに回ったようなので、僕はページを何回か捲る。

そしてある一節に、捲る手が止まった。

 

「この記述って…」

「今までの魔王の遺物の一覧じゃねぇか。うっわ、えっぐ。こんなにもあるのかよ」

 

シャナが驚き、シンクが嫌そうな声をあげる。

判明した異物は、

 

魔玉・魔剣・魔弓・魔爪・魔刀・魔棍・魔杖

魔槍・魔斧・魔眼・魔符・魔手・魔銃・魔重盾

魔扇・魔足・魔本・魔鎧・魔兜・魔の指輪

魔のチョーカー・魔のピアス・魔の腕輪

魔のアンクレット

 

以上、24個。

 

魔玉は昔、母様達が破壊したと言っていた。

魔剣も、この間僕達が破壊している。

 

「魔槍は…敵の手に渡ってるよね…」

「母様が傷を負った原因がそれなら…そうだね…」

 

残り21個。

魔王との争奪戦ではないが、相手方に取られる数が多ければ、こちらに不利となるかもしれない。

 

「シャルが遅れを取ったのですか? あのシャルが?」

「あぁ、はい。ご存知なかったのですか、お祖父様?」

 

全く知らなかったと、驚いたお祖父様は首を振った。

 

これまずい事言ったかな。

母様、もしかしたら隠したかったんじゃないだろうか。

お祖母様の耳に入ったら、とんでも無い事になりそうだ。

 

「あの、お祖父様。お祖母様には内密にお願いします。流石に、お祖母様が突然来たら、母様が驚くと思うので…」

「そうですね。ターニャの行動理念はシャルが第一ですから。あと、立花卿が叱責されるでしょうねぇ。おおよそ推測は立てられますが、その時シャルは一人だったのではないでしょうか? 立花卿が傍にあれば、シャルに傷一つつける事など叶わないでしょう。お嬢様を一人にするとは何事ですか、とかターニャ言いそうじゃないですか?」

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