『待て、報告が次々上がってきてるんだ。ナツキ捌け、私一人では無理だ…ナズナ、丁度いい貴様もやれ! お前の仕事でもあるんだぞ、これは!!』
ちょうど父様も母様に会いに来たようで、カヅキおばさんが父様に怒鳴りつけている。
バサバサと紙が舞う音がし、暫くしてからおばさんの声が電話口から聞こえた。
『待たせたな、グンジョウ。口頭で説明するのにも骨が折れるからメッセージで送っておいた。後で確認しておけ。テスタロッサの方に異変は?』
「何もありません。襲撃音も聞こえませんので、敵方はこちらには来ていないかと」
僕はスピーカーにして、カヅキおばさんからのメッセージを確認する。
そして、目を疑った。
「おばさん、これ本当にそうなんですか? 本当に、これが各家の家宝だというんですか?」
『何を疑う必要性がある。それが報告に上がった全てだ…グンジョウ。何がわかった』
僕は先程お祖父様の所で話した内容を、おばさんに話す。
おばさんの方もスピーカーにしていたようで、父様の唸る声が聞こえた。
「21貴族の家宅捜索、した方が宜しいかと進言致します陛下」
『…確かに、その記述と今回の襲撃の家宝奪取、無関係とは思えん。俺の方から通達を出しておこう。グンジョウ、苦労をかけさせる。俺が動ければ一番いいのだが…』
何を馬鹿な、と母様が父様を叱責する声がする。
確かに、王である父様が動くべきではない。
動くなら、代えが効く僕だ。
「テスタロッサの捜索が終わり次第、襲撃に遭った家以外に行きたいと思います」
『グンジョウ、魔王討伐以外は学業優先ですからね。あたし、そこは譲るつもりはないわよ』
母様…。
今そんな事言ってる場合なんだろうか…。
うんうん、って父様も同意してるし。
「母様…」
『留年した王太子なんて、事情があろうとお嫁さんになるユエちゃんも可哀想でしょうが。グンジョウ、貴方の手が回らない時はあたしが出ます…ナズナ、そんな目で見ないでちょうだい。カヅキ、躯体をあと3体作ってもらうわよ。貴女に出来て、あたしに出来ないなんて事、あると思う?』
カヅキおばさんがため息をついた。
頭が痛そうにしている様子は、軽く想像できる。
『留年なんざさせるかよ。公務扱いで、出席日数は足りるようにはしてある。追試は受けてもらうがな。あとナツキ、お前が私の真似事が出来るとは思えんがな。私の出力はお前の三倍だ。だから作らん』
『はぁ?!』
電話越しに、カヅキおばさんと母様の口論が始まってしまった。
父様が宥めに入った所で僕は電話を切る。
とりあえず、何かあっても卒業まではいけそうだと思われた。
◆◆◆
夕飯時、その日の捜索を打ち切ったメンバーが集まった時点で、僕は先程の事を皆に伝える。
皆一様に難しい顔をしていた。
それもそうだろう。
魔王の遺物が21貴族の家にあったなんて、誰が思うのだろうか。
「公務扱いねぇ…。まぁ、そりゃ助かるけど」
「母様は、学業優先して欲しそうだったけどね。まぁ、留年になるよりかは良いかなと思う」
シンクが肩を竦める。
出席日数の事は多分、カヅキおばさんが学園長に掛け合ってくれたのだろう。
正直助かった。
確かに、魔王の遺物を探す為に学校を休みまくって留年した王太子とは、格好がつかないし尚且つお目溢しで卒業出来たとて、出席日数が足りない等と噂が広まるのも早いだろう。
そこを公務という事でカバー出来るのは大きい。
王族とは、色んな意味でも目立つ存在だ。
いい噂も、悪い噂も。
貴族の話に上がるのはとても早い。
「王妃様の言い分もわかるけどね。それ、私達も入ってるんだよね?」
「そうじゃなきゃ無理だと思うけど…流石に僕とシャナとシンクで遺物探しはきついよ」
確か、学園長はカヅキおばさんの教え子だったはずだ。
ならば、ユエとユタカの事も知っているという事。
流石に恩師の娘を留年にさせるわけはないとは思うが、あとでカヅキおばさんに確認しておこう。
「でも、もしも留年ってなったら…グンジョウ殿下を廃して…次はシンク殿下か…」
「え、やだ。ユエが受けてるの、すっごい厳しいのに。それに留年になるって話なら、私達もじゃん。グンちゃんとシンクが廃嫡になるなら、次の候補はアンナでしょ?」
僕が王太子廃嫡になるって話、もしもでもしないでくれないかな…。
そうならないように、今も頑張ってるのに。
父様と母様がかけてくれた期待を、裏切るわけにはいかないんだから。
でも、そう思われるくらい僕が情けないって事なのかな…。
少し落ち込んだ僕を、姉弟が慰めてくれる。
食堂には僕らしかいないから、こんな話が出来ているわけなのだが。
お祖父様達が気を遣ってくれたのか、食事だけ並べられてメイドも下がらせていた。
まぁ、こんな話他の人には聞かせられないよな。
いくらテスタロッサのメイド達が、お祖父様やお祖母様達に忠誠を誓っているとはいえ、人の口に戸は立てられないと言うし。
「んで、誰か何か見つかったか?」
「全く何も。寧ろここにあるの何なの?」
相方から修正入れたらってきたので
話書き直しですー…
うん、確かにカヅキなら
出席日数くらい何とかしますわな…