my way of life   作:桜舞

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109話『僕が情けないって事なのかな』

『待て、報告が次々上がってきてるんだ。ナツキ捌け、私一人では無理だ…ナズナ、丁度いい貴様もやれ! お前の仕事でもあるんだぞ、これは!!』

 

ちょうど父様も母様に会いに来たようで、カヅキおばさんが父様に怒鳴りつけている。

バサバサと紙が舞う音がし、暫くしてからおばさんの声が電話口から聞こえた。

 

『待たせたな、グンジョウ。口頭で説明するのにも骨が折れるからメッセージで送っておいた。後で確認しておけ。テスタロッサの方に異変は?』

「何もありません。襲撃音も聞こえませんので、敵方はこちらには来ていないかと」

 

僕はスピーカーにして、カヅキおばさんからのメッセージを確認する。

そして、目を疑った。

 

「おばさん、これ本当にそうなんですか? 本当に、これが各家の家宝だというんですか?」

『何を疑う必要性がある。それが報告に上がった全てだ…グンジョウ。何がわかった』

 

僕は先程お祖父様の所で話した内容を、おばさんに話す。

おばさんの方もスピーカーにしていたようで、父様の唸る声が聞こえた。

 

「21貴族の家宅捜索、した方が宜しいかと進言致します陛下」

『…確かに、その記述と今回の襲撃の家宝奪取、無関係とは思えん。俺の方から通達を出しておこう。グンジョウ、苦労をかけさせる。俺が動ければ一番いいのだが…』

 

何を馬鹿な、と母様が父様を叱責する声がする。

確かに、王である父様が動くべきではない。

動くなら、代えが効く僕だ。

 

「テスタロッサの捜索が終わり次第、襲撃に遭った家以外に行きたいと思います」

『グンジョウ、魔王討伐以外は学業優先ですからね。あたし、そこは譲るつもりはないわよ』

 

母様…。

今そんな事言ってる場合なんだろうか…。

うんうん、って父様も同意してるし。

 

「母様…」

『留年した王太子なんて、事情があろうとお嫁さんになるユエちゃんも可哀想でしょうが。グンジョウ、貴方の手が回らない時はあたしが出ます…ナズナ、そんな目で見ないでちょうだい。カヅキ、躯体をあと3体作ってもらうわよ。貴女に出来て、あたしに出来ないなんて事、あると思う?』

 

カヅキおばさんがため息をついた。

頭が痛そうにしている様子は、軽く想像できる。

 

『留年なんざさせるかよ。公務扱いで、出席日数は足りるようにはしてある。追試は受けてもらうがな。あとナツキ、お前が私の真似事が出来るとは思えんがな。私の出力はお前の三倍だ。だから作らん』

『はぁ?!』

 

電話越しに、カヅキおばさんと母様の口論が始まってしまった。

父様が宥めに入った所で僕は電話を切る。

 

とりあえず、何かあっても卒業まではいけそうだと思われた。

 

◆◆◆

 

夕飯時、その日の捜索を打ち切ったメンバーが集まった時点で、僕は先程の事を皆に伝える。

 

皆一様に難しい顔をしていた。

それもそうだろう。

魔王の遺物が21貴族の家にあったなんて、誰が思うのだろうか。

 

「公務扱いねぇ…。まぁ、そりゃ助かるけど」

「母様は、学業優先して欲しそうだったけどね。まぁ、留年になるよりかは良いかなと思う」

 

シンクが肩を竦める。

出席日数の事は多分、カヅキおばさんが学園長に掛け合ってくれたのだろう。

正直助かった。

確かに、魔王の遺物を探す為に学校を休みまくって留年した王太子とは、格好がつかないし尚且つお目溢しで卒業出来たとて、出席日数が足りない等と噂が広まるのも早いだろう。

 

そこを公務という事でカバー出来るのは大きい。

 

王族とは、色んな意味でも目立つ存在だ。

いい噂も、悪い噂も。

貴族の話に上がるのはとても早い。

 

「王妃様の言い分もわかるけどね。それ、私達も入ってるんだよね?」

「そうじゃなきゃ無理だと思うけど…流石に僕とシャナとシンクで遺物探しはきついよ」

 

確か、学園長はカヅキおばさんの教え子だったはずだ。

ならば、ユエとユタカの事も知っているという事。

流石に恩師の娘を留年にさせるわけはないとは思うが、あとでカヅキおばさんに確認しておこう。

 

「でも、もしも留年ってなったら…グンジョウ殿下を廃して…次はシンク殿下か…」

「え、やだ。ユエが受けてるの、すっごい厳しいのに。それに留年になるって話なら、私達もじゃん。グンちゃんとシンクが廃嫡になるなら、次の候補はアンナでしょ?」

 

僕が王太子廃嫡になるって話、もしもでもしないでくれないかな…。

そうならないように、今も頑張ってるのに。

父様と母様がかけてくれた期待を、裏切るわけにはいかないんだから。

 

でも、そう思われるくらい僕が情けないって事なのかな…。

 

少し落ち込んだ僕を、姉弟が慰めてくれる。

食堂には僕らしかいないから、こんな話が出来ているわけなのだが。

 

お祖父様達が気を遣ってくれたのか、食事だけ並べられてメイドも下がらせていた。

 

まぁ、こんな話他の人には聞かせられないよな。

 

いくらテスタロッサのメイド達が、お祖父様やお祖母様達に忠誠を誓っているとはいえ、人の口に戸は立てられないと言うし。

 

「んで、誰か何か見つかったか?」

「全く何も。寧ろここにあるの何なの?」




相方から修正入れたらってきたので
話書き直しですー…
うん、確かにカヅキなら
出席日数くらい何とかしますわな…
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