my way of life   作:桜舞

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111話『今なんて思った?』

「大体さぁ、グンジョウ兄さん達来たんなら教えてくれてもいいじゃんか。兄さんに会えるの、義姉様の誕生日か、兄さん達の誕生日しかないじゃん。俺、兄さんみたいな男になりたいんだよなぁ」

「ならそのヤンチャぶり、少し治めなさいよ…」

 

シャナが呆れた目でルージェを見る。

見られた彼は、すぐにムッとした。

まだ10歳。

年相応の反応なんだけど、君将来テスタロッサを継ぐの理解して…なさそうだなぁ。

 

「姉さんには関係ねぇだろ!」

「グンジョウが10歳の時はもう少し大人しかったし、知識だってルージェより有ったよ。グンジョウ目指すなら、少し勉強とマナーを覚えた方が良いよ、ルージェ」

 

うんうん、とユエとユタカは頷いているが、君達僕と再会したの12歳の時だったよね?

10歳の頃の僕なんて知らなかったよね?

なんでそんな自信満々に頷いてるわけ?

 

シャナがルージェと同じ目線で口喧嘩を始めたので、姉を宥めようとした矢先、ゴンと痛そうな音がしてルージェが蹲った。

彼と同じ銀の髪をしたお祖母様が、拳を握り締め仁王立ちしていたので、音の正体は彼の頭が殴られたからだとわかる。

 

「何をしているのです、ルージェ。殿下方がまだお食事をなさっている最中でしょう。まさか、邪魔をしていたわけではありませんね?」

「げ、母様…」

 

ルージェが頭を押さえながら、お祖母様に対してそんな事を呟く。

途端、お祖母様の眉が吊り上がった。

 

「げ、とは何ですか、げ、とは。そうですか、そんなに私の教育は甘かったのですか。ルージェ? 明日から毎日帰ってきなさい。更に厳しく養育するとしましょう」

 

あぁ、最初から謝っておけば良かったのに。

お祖母様は自分の非を認めた者に関しては、寛容的だ。

何が悪かったのか懇々とお説教をした後、許してくれる優しい人だ。

それ以外の者がどうなるかなど…目の前の光景を見ればわかる。

 

「母様怖いって!! 何だよ、別に良いじゃんかよ!!」

「良くないから言っているのです。殿下方、愚息が失礼を致しました。よく言って聞かせますので、ご容赦を」

 

お祖母様はルージェの頭を掴み、下げさせた。

その際、グギッと痛そうな音が鳴る。

それを見ていたユエとユタカは、顔面蒼白になっていた。

多分、淑女教育の時を思い出しているのだろう。

 

「先生怖い…」

「容赦無い…」

 

お互い手を繋ぎ、カタカタ震えている。

少し見ていられなくなって、僕はお祖母様に声をかけた。

 

「お祖母様。仰る通り食事中ですので、退出して頂けると有難いのですが」

「はい。失礼致します」

 

お祖母様がルージェを引っ張っていき、彼付きのメイドが僕らに頭を下げて扉を閉める。

僕はシンクと目配せして立ち上がると、それぞれの恋人の元に行った。

 

「ユタカ、もう大丈夫だからなー」

「ユエ、僕の為に頑張ってくれたんだね。今も、頑張ってくれている君が好きだよ」

 

シンクはユタカを横抱き…所謂お姫様抱っこをして慰め、僕はユエの手を取り、手の甲へキスをしながら微笑む。

その様子を、シャナが呆れた目で見ていた。

 

「そういうの、二人きりの時にやってくれないかな弟達? 食事中だって言ったの、グンジョウでしょ?」

「恋人のケアをして何が悪い」

 

シンクの言葉に、僕も頷く。

だから二人きりの時にやれ、とシャナは怒鳴った。

 

ツルギとそういう関係になれてないから、嫉妬してるんだな。

 

なんて思った瞬間、ナイフが僕の目の前を通過して壁に突き刺さる。

それに対して、僕は怒りよりも血の気が引くのを感じた。

 

シャナのスイッチは、姫モードだけではない。

ユーラ王国に行く時にも見せたあの顔。

本気で怒った母様に匹敵するくらいの、あのドスの効いた声。

激怒した姉に、僕は逆らえるはずがない。

 

「グンジョウ、今なんて思った? 声に出して言ってみろ。さぁ、早く」

「申し訳ありませんでした!!」

 

僕はテーブルを飛び越え、姉の足元で土下座する。

その動作とシャナの様子に、僕と姉以外の皆が驚いていた。

 

いつも、のほほんとしているシャナが、足を組んで僕を見下ろしているのだから、それはそうだろう。

 

それに対して怯えている僕も見た事がないから、ツルギも戸惑っているはずだ。

 

「私は、何を思ったか言ってみろと言ったんだ。お前の頭は脳無しか? なぁ、グンジョウ。私がなんだと言うんだ? ん? 私とお前はリンクが繋がっている上に、双子だ。お前が思った事はこちらに筒抜けだと、前にも言ったな? 壁も作れない上に、何を戯けた事を言っている」

「申し訳ありません、姉上。仰る通りです。弁明も致しません。姉上のお好きなように処罰して下さい」

 

ユタカが慌ててシンクの名前を呼ぶ。

そちらを見る事は叶わないが、もしかしたらトラウマを抉られているんじゃないだろうか。

あの航空艦の中でも、シャナの様子に青ざめていたし。

 

「シャ、シャナちゃん…あの…」

「これは愚弟共が悪い。ユタカ、口を出すな」

 

いつもちゃん付けで呼んでいるシャナが、彼女を呼び捨てにしている。

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