my way of life   作:桜舞

116 / 408
116話『寿命縮んでない?』

小さい頃から本を読むのが好きだった僕は、一回だけと母様にお願いして、司書の免許試験を受けたのだ。

本来なら大学とかに行って勉強しなければならないはずの問題を、難なくすらすら解いてしまった僕は、最年少記録を叩き出したようだ。

免許を貰いに行った時、周りから驚かれた記憶がある。

 

バラバラと物凄い勢いでページが捲られていく。

お祖父様から渡されていた書物も持ってきていたので、同じく周りを浮遊していた。

 

立っているのも怠くなってきたので、椅子を創造魔法で創り出し、それに座る。

自分で創っておいて何だが、座り心地がとてもいい。

足を組んでも、無理なく座れる。

 

本当、僕にシンクみたいな魔力があればなぁ…。

 

「とりあえず、遺物の一覧は複写しておばさんに送っておこう。こっちは記録に、伝説…関係ないな」

 

僕は表示枠を出し、魔王の遺物が書かれている一覧の本を、複写するという項目を選択してから、カヅキおばさんに送る。

オートで篩にかけ、関係無いものは本棚に戻していく作業を続けた。

 

魔王の消滅方法という項目が書いてある本を見つけ、それを読んでみるが全く実行できる内容ではなく、むしろ胸糞が悪くなって僕はそれを本棚に戻す。

 

「何だ、清き乙女と魔王を一緒に殺すって。魔王が女性だったら使えない手じゃないか。当時の魔術師は、何考えてるんだ全く…」

 

検証して書に記したのだろうが、先程僕が言ったような事を考えておいた方がいいと思う。

ため息をついた時に眼鏡がずれたので、元の位置に戻した。

 

シャツの胸ポケットに入れておいた携帯が鳴り出して、僕はそれを取り出し見る。

着信相手はカヅキおばさんで、僕はどうしたのだろうと首を傾げた。

 

「おはようございます、カヅキおばさん。どうかしました?」

『おはよう。グンジョウすまんな、仕事中だろうに。魔王の遺物の一覧、確かに受け取った。後、今テスタロッサの地下図書館にいるな? ユエが来たらすぐにそこを離れろと、ナツキからの伝言だ。自分で伝えられれば良かったのだが、ナズナの奴がな…』

 

おばさんが頭痛そうな口調で言い淀んでいるのを聞いた僕は、またかと察する他なかった。

 

躯体になってから、そちらの方が急に無くなった父様の鬱憤は、僕には計り知れないが…母様、寿命縮んでない?

大丈夫?

本体で相手しなくてもいいんじゃないの?

 

母様も父様を愛しているからこそ、求められれば応えたくなるのはわかるんだけどさ。

浮気されたくないっていう葛藤もあるんだろうな、なんて思うのだが。

別に拒否った所で父様は浮気しないだろうし、子供云々言われる事もないだろう。

だって、僕を含めて6人もいるのだから。

 

「父様がすみません…」

『お前が謝る必要性はない。アレが堪え性がないのが悪いんだ』

 

舌打ちしそうなくらいイライラしているのが分かる。

カヅキおばさんも母様を大事に思うからこそ、無理をさせている父様が腹立たしいのだろう。

しかし、母様もそれを望んでいるから口出し出来ない、って感じかなぁ。

 

ユエの声がして、僕は下の方を見る。

薄暗いから、僕が上空にいるとは思っていないようで辺りを見回していた。

 

「カヅキおばさん、ユエが来ました。切りますね」

『あぁ、またなグンジョウ』

 

僕は通話を切り、魔法陣はそのままに飛び降りる。

いきなり目の前に降り立った僕に、ユエは驚いていたようだった。

 

「え? アオ? 何処から?」

「上見てみて」

 

僕が指を上に差し、彼女もその方向を見上げた。

僕が残した魔法陣を見たユエは、僕と魔法陣を交互に見る。

その動作が面白くて、僕は笑いを堪えた。

 

「アオ、あれ…」

「…シンクに魔力借りて、発動させた。一応僕だって、魔力があれば使えるんだよ? いやぁ、渡されたけど、僕だから魔力馴染むのが早い早い」

 

言いつつ、彼女の背後に回って両肩に手を置き、押していく。

母様からの話は、星読みの力で見た光景だ。

なら、ユエが来た後に、何かが起こるという事に違いなかった。

 

「うわぁ。朝から逢引きしてるとか、雪那節操なくね? そこまで淫乱だなんて、お兄ちゃんの妹としては悲しいなぁ…」

「誰が淫乱か!! 節操ないって、私はアオにしかしていないっつーの!! ふざけんのも大概にしやがれ!!」

 

桃華が地上に続く道に現れ、ユエを挑発する。

それに乗った彼女は、桃華に対して暴言を吐いた。

 

「ユエ、落ち着いて…桃華、何故ここにいる。一応理由は聞いてあげるよ。聞くだけだけど」

「やだ、お兄ちゃん。その睨む顔も格好いい…!! うーん、アタシがいる理由ねぇ…そのまま渡すのも癪だから、邪魔して来いって魔王からのお達しなの。だから、お兄ちゃん。遊ぼ?」

 

僕はノワールとブランシュを呼び出し、ユエへ聞く。

 

「ユエ、転移門は開けるね? 僕があいつに斬りかかったら…」

「わかってる、任せて」

 

流石、僕の未来の奥さん。

少し言っただけで理解してくれるとは。

愛してる、ユエ。

 

僕は脚力強化を自分に施し、桃華に斬りかかる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。