my way of life   作:桜舞

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117話『この場から退場して頂きましょう』

瞬間、ユエが転移門を桃華の背後に開け、そこへ押し込めるように、僕は切り結んだ桃華を押した。

 

「どこに飛ばそうっていうのかな、ねぇ雪那?! お兄ちゃん、行くなら一緒に行こうよ?!」

「ちっ!!」

 

僕の攻撃を受け流し、桃華は僕の背後に回るとその背を蹴り飛ばしてくる。

受け身を取って転がり出た先は、僕がお祖父様の執務室に来る前に、ユエ達三人を見た庭だった。

 

「お兄ちゃーん!!」

 

僕の頭上に躍り出た桃華は、持った剣の切先を僕に向けながら落下してくる。

避けなければいけないが、桃華の落下してくるスピードが早く、左右どちらに避けても首を斬られる予測しか立てられない。

 

「アオっ!!」

 

転移門から飛び出してきたユエが、僕の名を叫ぶ。

シンクから渡された魔力も残りわずか。

生き残る術を考える暇もなさそうだ。

 

「くそっ…!!」

 

少し避けて、剣を肩に突き刺して動きを止めて、桃華の首を跳ねるまで考えた所で、桃華が横に吹っ飛ばされた。

 

「グンジョウ、大丈夫?!」

 

姉が魔法を使って、桃華を吹っ飛ばしてくれたらしい。

僕は起き上がって体勢を整え、シャナの方を見て唖然とした。

 

「シャナ!! って、その首何…」

 

首から鎖骨辺りにかけて点々と、赤黒い跡が付きまくっている。

 

「首…? ……っ!! ツルギ君?! 跡残さないでって、あれほど言ったじゃない?!」

「え、嘘」

 

シャナは首元を押さえ、後ろから追いついてきたツルギに、顔を真っ赤にしながら怒鳴った。

緑色の光がシャナの手を照らし、首の跡が瞬時に消える。

僕は驚きすぎて、桃華の事を一瞬忘れた。

 

「シンクの言った事、マジだったわけ…?」

「俺だって冗談で言ったつもりだったんだけど?! 姉の情事なんて、誰が覗くかよ!! ツルギ!! お前手ぇ早すぎだろ馬鹿!!」

 

僕が呆けているからか、攻撃を仕掛けてきた桃華に反応出来ず、間に転移してきたシンクが入ってくれる。

弟も驚いているようで、ツルギに怒鳴った。

シンクの怒鳴り声に、彼は少し目を伏せ、

 

「…すみません、シャナが可愛くて…抑えられず…」

「「聞きたくねぇぇぇえ!!」」

 

照れ気味に言うものだから、僕とシンクは八つ当たりで、桃華を吹っ飛ばす。

吹っ飛ばされた桃華だったが、彼女も体勢を整えた後、唖然としてツルギを見ていた。

 

「うっそ…あの奥手の(つるぎ)が…? あたしが抱きついたり、しなだれかかって遊んでたら、顔真っ赤にして抵抗してた剣が…? 大人の階段上ったって…マ?」

「はぁ?! ツルギ君で遊んでたっていうの?! 信じらんない!!」

 

ツルギの彼女になったであろうシャナが、激昂する。

いやその前に、母様達からツルギが説教されるのを心配した方が、シャナ的には良いんじゃないだろうか。

最悪殺されるぞ、ツルギ。

 

「何を遊んでいるのですか、あなた達は」

 

ゴッ、と鈍い音がして、桃華が前のめりに倒れた。

彼女の頭を押さえ、地面に叩きつけた人物を見て、僕は驚く。

 

「お祖母様…」

「はぁ…嘆かわしい。不法侵入者くらい捕えられなくてどうします。あなた方の戦闘を見ていて思いましたが、甘すぎますね。カヅキは何をしているのですか」

 

どうやら気配を殺して桃華の背後に回り、背中を蹴った後、体勢を崩した桃華の頭を掴んで、自分の体重を乗せながら彼女を地面へと倒したのだろう。

 

声がかかるまで、誰もお祖母様の存在に気付かなかった。

流石カヅキおばさんの師匠である。

 

「はぁー?! この耄碌ババア!! 重いんですけど?! どけやコラァっ!!」

「口汚い言葉ですね。とてもお嬢様のお子様方に聞かせられるものではありません。どうせ、殺した所で貴女はまた現れるのでしょうが。取り敢えず、この場から退場して頂きましょう」

 

桃華の腕を膝で拘束し、頭を押さえ付けながら、お祖母様は腰辺りからタンクナイフを取り出し、桃華の首を一突きした。

声帯まで届いたであろうそれは、桃華の絶叫を掻き消し、やがて彼女は絶命する。

 

「うわ…首って結構硬いのに…どんだけの膂力なんだよ、お祖母様…」

 

シンクがドン引きしながら呟くが、それは考えてはいけない。

母様から聞いた話、お祖母様も転生者らしい。

ただ、お祖母様は母様達と違って、神から何も貰ってはいないという話だ。

 

それであの強さなのだから、生前は…って、僕一回見た事あったな。

人間離れした動きしてて、これで魔力がない状態なのだと言う。

僕も見習わなけらばならないだろうなと思った。

 

「旦那様、あとの処理はお願いします」

「ターニャはアクティブですねぇ。まぁ、そこも貴女の魅力ではありますが」

 

桃華の遺体が燃え上がる。

お祖父様、僕と同じ炎系統だったのか、と思ったが、遺体が塵になった瞬間、風の魔法を使ってそれらを吹き飛ばした。

かと思えば、桃華の形に焼け焦げた草を、再生魔法で元通りにしたりして、僕は違和感を覚える。

 

「お祖父様、母様みたいな事、いつの間に出来るようになったのですか?」

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