my way of life   作:桜舞

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119話『まさかあんな事になってるなんて』

頭上からかかった声に、僕はまた驚く。

上を見上げると、フヨフヨと日傘を差しながら母様が浮いていた。

 

「…母様、なんでここに。あ、ツルギ叱りにきた?」

「なんでツルギ君を叱らなきゃいけないのよ。彼、シャナに手を出してないわよ? あれはスキンシップ過剰だっただけ。ナズナと一緒だから、彼も知った所でツルギ君を怒れないでしょうね。自分だって、あたしにしてたのだから。ちなみに、見てませんからね。なんでわかるのって顔しないでちょうだいよ。この後の展開を星読みで見たからに決まってるでしょ?」

 

僕が言いたい事に対して全て答えた母様は、地上に降り立った後、お祖父様の方へ歩いて行った。

ユエが全く言葉を発さなかったので彼女の方を見ると、臣下の礼をとって頭を垂れている。

 

「ユエ、母様行ったけど」

「…びっくりした。王妃様、ママと一緒で神出鬼没過ぎない? 全然気が抜けない…」

 

チラリと母様の方を見ると、僕らの方を見てニコニコしていたので、ユエの言葉は聞こえているようだった。

それに気付いたユエも、冷や汗を流して慌てている。

 

とりあえず色々考える事は多いけど、魔本は僕らが回収したと見て良さそうだった。

 

◆◆◆

 

「で、お前シャナに手を出したのかよ」

 

あの後、お祖父様は母様と話があるそうで、僕らは食堂に集まり朝食を頂く事にした、のだが。

シンクが彼にそう小声で聞いた言葉は、僕らの耳に入った。

シャナとツルギが同時にむせて、姉の方は隣にいたユタカが介抱している。

ちなみに席順は昨日と違い、女性陣と男性陣で分かれていた。

 

「なっ…な…」

「シンク?! なんて事聞くの?!」

 

ツルギより先に復活したシャナが、シンクに対して怒鳴った。

彼はそれに対して、だってよぉ、と恨みがましそうにツルギを見る。

 

「母様は手を出してないって言ってたけど、それ信用できるもん? 俺やグンジョウが彼女に対して我慢しているっていうのに、お前だけってなんかズルくねぇ?」

「ズルいズルく無いじゃなく、なんで今その話しようと思ったのかって聞いてるんだけど?!」

 

シャナの怒りは尤もだ。

流石に部屋に帰ってからするべきだろう、とは僕も思う。

ユタカは顔を真っ赤にしているし、ユエ…は、シンクに同意見のようだ。

うんうん頷くんじゃないよ、君は。

 

「で、手ェ出したわけ?」

「…誤解を招くような言い方をしたのは、謝ります。すみませんでした。でも…俺は彼女に一切、手を出してません。その…あの時の俺が、悪かったんですけど…シャナに、ここにずっといるって、何回も言ったんです…が、不安がるので、その…」

 

だからあんな、キスマーク大量につけたっていうのか。

案外愚直なのか、ツルギは。

 

「跡付けるなって、シャナちゃん怒鳴ってたけど…?」

 

ユタカも恐る恐る聞く。

シャナは少し頬を染めて、

 

「あ、あれは…イチャついていた時に、ツルギ君に一回付けられたんだけど…案外痛くて…。首にキスするのはいいけど、跡付けないでってお願いして…そのまま寝ちゃったんだ。確かに不安だったけど、まさかあんな事になってるなんて、驚いたよツルギ君? グンジョウに指摘されるまで、気付かなかったんだから」

 

と、ジト目になり、ツルギを見る。

ごめん、と彼は姉に対して謝った。

二人の様子を見ていたユエが、僕の方をじっと見つめてくる。

 

〈ユエ、そんな目で見ないで。僕ら全員、君ら女性陣に手を出したら待っているのは死だけなんだから。そんなに僕と閨を共にしたいなら、ユーリおじさん達を説得してきてごらんよ。僕だって我慢してるんだからね? 本当は君をぐちゃぐちゃにして啼かせたいし、君を僕で一杯にしてやりたいのにそれが出来ないんだから〉

〈念話だからって、そんな直接的に…アオの変態〉

 

そうされたいって目で見てきたのは、君なんだけどね?!

 

はぁ、とため息を吐いた僕に対して、シンクがポンポンと肩を軽く叩いてきたのでそちらを見ると、うんうん頷かれた。

 

〈ユエよりユタカの方が、誘い多いだろ? どうやって退けてるんだよ、お前〉

 

過去の彼女の行動を思い返して、弟に尋ねる。

だがシンクは、何言ってるんだという風に、肩を竦めてきた。

 

〈ユタカの扱いが下手だっただけだよ、お前は。ちゃんと、好きだって口説いてからキスしてやれば、結構大人しいぞ? ユエに実行してみれば? 欲求不満なんだろ、あいつ〉

 

そんな事したら、僕の方が理性保たないっつーの!!

ただでさえ、魅力的な彼女にどうしたら手を出さずにいられるのかって、毎度お誘いがある度に頭を悩ませているというのに!!

 

「大人だなぁ…シンクは…」

「お前がガキなだけだろ、グンジョウ」

 

いや、まぁ…その通りなんだけどさ。

年相応な悩みだと思うんだけど。

 

「アオの事馬鹿にしないでくれない?」

 

僕にそう言い放ったシンクに対して、ユエが眉を吊り上げて食ってかかる。

 

「なら、お前も大人になれよユエ。お前らの痴話喧嘩に巻き込まれんの、本当にごめん被りたいんだけど?」

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