my way of life   作:桜舞

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122話『知ってるはずだよね、ユエ?』

ユーリおじさんは僕も怖いが、シンク何かやったのか?

 

「はいはい、もう寝る時間よあなた達。明日はお休みだけれど、早朝の訓練は無し。明日は朝からフリーデリーケに、行ってもらいます…って、もう魔力切れ起こしてるんだけど?! カヅキ、もっと丈夫に作ってよ?!」

 

弟に疑念の目を向けていると、母様がそう言いつつ崩れ落ちる。

カヅキおばさんに喚きながら文句を言うが、お前の扱い方が悪いせいだ、と返されていた。

 

「シャル、もう帰ろうか。うん、もう少し重く作っても良いのではないか、カヅキ?」

「そいつの体重準拠で作ったんだがな。文句を言うなら、ナツキを太らせれば良いんじゃないか?」

 

太った母様か…。

あんまり想像できないな。

結構スタイルが…。

 

そう考えた所で、僕に向かって雷魔法が飛んできて、咄嗟に避けた。

飛んできた方向を見ると、予想通り父様が母様を抱き抱えながら、片手を上げている。

にこやかに笑いながら、僕に殺気を飛ばしているところを見るに、僕の考えは父様に筒抜けだったようだ。

 

「グンジョウ、いくら息子といえども…」

「貴方は何やってんの?! 本当、あたしに関して馬鹿になるのやめてってば!!」

 

母様が父様を殴った鈍い音が、僕らの耳に聞こえた。

父様は母様を落とす事なく、蹲る。

 

「だが、シャル…」

「だがも何もありません!! ルティ、ナズナをベッドに投げてきて!! あたしは本体に戻ります! レヴィ、あたしの躯体の保管よろしく!」

 

そう言って、母様は電池が切れた人形のように動きを止めた後脱力した。

母様の言葉に父様は慌て出したが後の祭りのようで、ルティとレヴィが現れて母様の言葉を実行する。

 

レヴィが父様の手から母様の躯体を剥ぎ取り、ルティは猫を持つように父様を持って転移していった。

 

「騒がしい奴らだな、まったく…ほら、お前らも早く寝ろ。フリーデリーケは、ここから車でも半日かかるからな」

 

カヅキおばさんがエリクシールを吸いながら、僕らに向けてシッシッと手を振る。

ここにいても仕方ないので、僕らは素直に寝室に帰る事にした。

 

◆◆◆

 

セヴェリ・カルセドニー・フリーデリーケという人は、周囲をとても気にしている男の人。

僕が彼に初めて会った印象はそんなもので、あまり記憶に残らないような人物だった。

 

「フリーデリーケ卿、あんま変わってないんだろうなぁ…」

 

僕らの誕生日の宴でも、挨拶をした後は壁の花になっていたくらいだ。

奥方はおらず、自分が退いたら甥に跡を継がせるつもりだと、父様から尋ねられた時話していた。

 

「変わんないでしょ。歳を取れば取るほど、性格は固定されて変わりにくいって、母様言ってたし」

「偏屈ジジイなわけ? そのフリーデリーケ卿」

 

スナック菓子をテーブルに開け、それを摘んでいるシンクとシャナの会話には混ざらず、僕は本を読んでいる。

話の話題を振ったのは僕だけれど。

 

「いやいや、むしろその逆。すっごい周りに気を使う人だよ。自分の存在が周りから邪魔だと思われてるって、被害妄想がすごい人でね。そのせいなのか、すっごい細身で。頬も痩せこけてて…生きてるかな、フリーデリーケ卿…」

「死んだら話がこっちに来るだろ。来てないんだったら、生きてるって事じゃね?」

 

それはそう。

 

21貴族だけでなく、誰かが亡くなったりしたら父様がすぐ把握出来るらしいと、母様から聞いた事がある。

 

なんのギフト貰ったんだろ、父様は。

影を使ってる雰囲気はないんだけど。

 

「アオ、何の本読んでるの?」

 

ユエが僕の肩に頭を乗せながら聞いてきた。

僕は彼女の方を見ず、本のタイトルを少し見せる。

 

「……魔法における、相対性理論…」

「結構面白いよ」

 

面白くないしわかんないと、ユエは僕から離れてシャナに抱きついた。

 

面白いんだけどなぁ…。

一般的な相対性理論に加えて、魔法で起こした現象についての論文なのに。

結構勉強になるよ、これ?

 

「グンジョウ…あんまりユエちゃん放っておくと、他の人の所に行くかもしれないよ? もう少し構ってあげたら?」

 

抱きついてきたユエの頭を撫でるシャナをチラ見して、僕はまた本に目を落とす。

 

「そうなったら僕は首を括るだけだから。それに、僕が読書好きなのは小さい頃からだし。それはユエも知ってる事でしょ? そんな僕に愛想を尽かすなら最初から愛想を尽かしてるし、付き合ったりしてないよ。そういう性格なのはお互い知ってるはずだよね、ユエ?」

「そうだけど…」

 

ユエが、ユタカ達の方を見ている気配がする。

多分また、二人はイチャイチャしているんだろう。

羨ましいと目線で訴えられている気がしたが、僕はあえて無視をした。

 

僕がシンクと同じ事をしたら、慌て出すのはどこの誰なんだ。

負けず嫌いなのか何なのか知らないけど、ユタカがやってるなら私も、なんて考えやめてくれないかな。

後で恥ずかしい思いするの、僕じゃなくて君なのに。

 

と、ユエが思考を読むのを前提で思う。

すぐさま、視線が鋭いものに変わった気がした。

 

「アオの馬鹿、意地悪」

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