my way of life   作:桜舞

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123話『今回はちょっと、マズいかもしんねぇな…』

「意地悪なのは認めるけど、僕を馬鹿だと言うのなら、学年主席取ってみたら? 今度のテスト、手を貸さないからね。それでも良いなら、僕を馬鹿と言い続ければいいんじゃない?」

 

言い過ぎだとシャナから注意を受けるが、最初にそう言ってきたのはユエなので、僕は謝る気など無い。

うー、とユエが唸り声を上げるが、僕は本から顔を上げる気もなかったので、そのまま唸らせておく。

 

「グンちゃん、結構言うね…。私も言われた方だけど、あそこまでキツくなかったかな…」

 

ユタカの呟きに対して、僕はページを捲りながら返した。

 

「君の場合、纏わりついてきて鬱陶しかったから、あぁ言っただけ。適度な距離感だったなら、そこまで言うつもりは全くなかったよ」

 

シャナがため息をつき、僕から本を奪った。

いい加減にしろ、とドスの聞いた声で、僕の頭を叩く。

 

「グンジョウ、少し冷静になったら? 本を読むの邪魔されたくないのは分かるんだけど、ちょっとは周りを見なさい」

 

シャナの言葉に周囲を見るが、周りが少し引いてるのを見て、やらかした、と心の中で頭を抱えた。

 

本を読んでいる間の僕の応答は、結構冷たいというかなんというか。

いつも話すような態度ではなく、棘がふんだんに盛り込まれているような態度を取るので、二重人格かとエミル君に言われていたりしたのに。

 

「……みんな、ごめん。城に帰ってから読む事にするよ…ユエもごめんね。もっと、馬鹿って言ってくれていいよ…」

 

収納魔法に本をしまい、ユエに頭を下げる。

彼女は少し涙目になりつつ、シャナにまた抱きついた。

 

「アオのバーカ。本当にバカ。死なれたら困るから婚約解消しないけど、いい加減にして」

「…はい、すみませんでした。いや、本当に嫌ならしてくれてもいいんだけど…死のうとしても絶対蘇生させられるし…」

 

そういう所だと、ユエからも叩かれる。

シンクも呆れた目を向けるし。

うん、僕が悪いので甘んじて受けるとしよう。

 

◆◆◆

 

半日…約6時間経って、フリーデリーケの領地に辿り着く。

車で屋敷に向かっている途中、僕は窓の外から見える民の笑顔に違和感を覚えた。

普通に見れば、談笑したりしているだけに見えるのに、それが作り物の笑顔に見えてしまったのだ。

 

「…なんか異様」

「グンちゃんもそう思う?」

 

僕と同じく、反対側の窓から外を見ていたユタカが、僕の呟きに同意してくる。

彼女も違和感を感じているようで、シンクの服を掴みながら不安そうな顔をしていた。

 

「大丈夫だって、ユタカ。何かあっても、お前だけは絶対守るから」

「シンク……君、本当にブレないよね…」

 

ユタカの頭を抱き、そこへ口付けを落とすシンクを見て、僕は苦笑する。

何を当たり前な、という顔をされたので、さらに苦笑を深める他ない。

 

車が屋敷に着く。

僕らが降りると、屋敷の方から痩身の男性が走ってきた。

 

「お待ちしておりました、グンジョウ殿下」

「お久しぶりです、フリーデリーケ卿。陛下から通達はいっている事かと思いますが…」

 

えぇ、えぇ、とフリーデリーケ卿は頷く。

そんなに首を振ったら頭が取れそうだと思うくらい、彼の体は痩せ細っていた。

 

「…フリーデリーケ卿、失礼を承知でお尋ねしますが…ちゃんと食事はなさってますか?」

「勿論でございます。食べても何故か痩せてしまって…お恥ずかしい限りです…」

 

はは、と笑う彼へ、僕らが帰った後病院にかかった方がいいと勧める。

食べても痩せていくなんて、何らかの病気を疑った方がいい。

 

「どうぞ、我が家へ。何もなくて恐縮の限りですが…存分にお調べになっていただければ…。それに、王都からの長旅でお疲れの事でしょう。お部屋も用意しましたので…」

「何から何まで、ありがとうございます。明日には帰りますが、お世話になります」

 

僕はフリーデリーケ卿に礼を言い、敷地内に足を踏み入れる。

シャナとシンクも僕同様に足を踏み入れ、同時くらいにその足が止まった。

 

「? 二人共、どうかした?」

 

ユエやユタカ、ツルギは案内されるまま歩いて行っているが、僕は二人の様子に首を傾げる。

 

「何か、気持ち悪い…」

「これを感じれないおにーさまが羨ましいぜ。今回はちょっと、マズいかもしんねぇな…」

 

一体何があったんだと問いかけるが二人共、感覚で感じてるから説明出来ない、と返してきた。

シャナは寒そうに腕を擦ってるし、シンクは冷や汗が浮かんでいる。

別に寒いわけでも暑いわけでもなく、過ごしやすい季節であるのにも関わらずだ。

 

「二人共、魔力量は人並み以上だから、転移で帰る?」

「こんな所にグンジョウ達残して、帰れるわけないでしょうが。さっさと見つけ出して帰るよ!」

 

シャナが僕の手を掴んで、先へ行ってしまった三人に追いつくように歩き出す。

その後をシンクが付いて来るが、弟は一言も喋らなかった。

 

本当、ここには何があると言うんだろうか?

 

今回も魔王の遺物の反応はあったが、それが何かまでは特定できなかった。

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