my way of life   作:桜舞

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124話『僕はそこまで利口ではない』

魔王の遺物の一覧の中にあった、

兜、弓、鎧、具足、銃、籠手、眼、槍、刀、爪。

以上10種は、魔王の手に落ちたとカヅキおばさんは言っていたけれど。

 

僕は魔王の遺物を思い出して、指折り数える。

 

魔本であるリブロはシャナの使役下だし、剣は破壊した。

魔玉も、もうない。

24種類のうち、こちらの手で破壊や奪取出来たのは3種類だけ。

 

「結構持ってかれてるよなぁ…」

「何が?」

 

三人に追いついてから、シャナは僕の手を離し、ツルギの腕に抱きついていた。

ツルギが少し慌てていたが、シャナの様子に彼は姉の頭を撫で始める。

 

そんな二人を眺めながら呟くと、僕の隣にいつの間にか来ていたユエが、首を傾げながら問いかけてきた。

 

「ん? あぁ、魔王の遺物。敵に結構取られてるよな、って」

「ママ達が今、遺物を使って逆探知して、魔王の居場所探してるらしいよ。次元の狭間に対してもやってるみたいだけど、なかなか成果が上がらないって、この間夕飯作ってる時にパパと話してた」

 

そんな重要な話、夕飯時に話すのかカヅキおばさん…。

いや、関係者しかいないし、おばさんの屋敷には対魔力対防御の結界が張られている。

防音の魔法も組み込まれているはずだから、内部の音が外に漏れる事は無いんだろうけど。

 

「本当にこの戦い、いつになったら終わるのやら…」

 

僕はため息をつく。

高等部の間、この状態なんて。

もしかしたら、卒業してからも終わらない可能性もあるんだけど。

 

「ユエとデートしたい…なんで高等部生なのに、こう青春ってものが感じられないんだ…」

「アオ、発言が…」

 

ユエが僕の言葉に苦笑する。

 

老けてるって言いたいんだろ。

わかってるよ。

趣味もアウトドアじゃなくて、インドアだし。

でもさぁ…ユエとデートしたいのも本当だし、本だって読みたいんだよ。

王になったらそんな事も出来なくなるんだから。

 

「シンク」

「嫌だ」

 

名前を呼ぶと即答でそう返ってくる。

 

こいつ、やっぱり僕の思考読んでるな。

僕の代わりに王太子にならない? って聞こうと思ったのに。

 

「おにーさまよぉ…それで父様達が納得すると思ってる?」

「思ってないし、思考しただけだろ。ユエだって頑張って、学校が終わった後、訓練が始まるまで妃教育受けてくれてるんだから…。僕だって、我慢しなくちゃいけないのはわかってるよ…はぁ…」

 

肩を落とした僕に対して、ユエとシンクが慰めるように背中を軽く叩いてきた。

 

◆◆◆

 

屋敷内に案内され、そこから捜索を開始してから1時間。

客室を探していた僕だったが、目ぼしいものは全くと言っていいほど見つからない。

そして、昼食は車内で取ってきたから別段お腹は空いてないはずなのだが、空腹を感じてしまう。

 

「…これが、シャナとシンクが言ってたやつかな」

 

魔力が吸われているのだろうか?

でも、フリーデリーケにそんな結界なんて、張られてはいなかったはずだし、むしろ張っていたのならこれは危ないものだ。

フリーデリーケ卿があんなに痩せ細っていたのも、それが原因なのではないだろうか?

 

〈シンク、今何処にいる?〉

 

念話を飛ばしてみるが、何かに妨害されている感覚がする。

携帯を開いてみたら、圏外になっていた。

 

「…散らばったのは、マズかったかな」

 

一つの仮説を立て、僕は客室から出る。

僕らは訓練を積んでいるとは言え、実戦経験は然程ない。

無くても蹴散らせるのが、母様達転生者である。

 

僕らの中で何かあっても生き残れるとしたら、ツルギと僕以外だけだ。

物理で来られたらそうでもないが、殊魔法に関してだけは、僕とツルギには分が悪い。

 

僕は客室がある部屋の扉を、全て開けていく。

確か、ここの捜索は僕とシャナだったはずだ。

姉を見つければ、多少は状況を打破できるかもしれない。

そう踏んだ。

 

何部屋目かの扉を開け、中を確認した時だった。

シャナが客室中央で倒れているの見つける。

 

「シャナ!!」

「う…グンジョウ…入っちゃ、ダメ…っ!!」

 

部屋に入ろうとした僕を、姉は制止してきた。

シャナは少しずつ、部屋から出ようとしているみたいだったが、それでも微々たる進みだった。

 

「…ごめん、シャナ」

 

何かがあって、僕に部屋へ入るなと言ってきたのは理解している。

だが、僕の半身をそのままにして置けるほど、僕はそこまで利口ではない。

僕は脚力強化を施し、床を蹴ってシャナを抱き抱える。

瞬間、魔力と共に生命力も抜け落ちていく感覚がした。

 

「ぐ…ぅ…っ!!」

 

渾身の力を振り絞り、シャナを抱き抱えたまま扉の外に向かって、また床を蹴る。

その状態で受け身を取れるはずもなく、僕は壁に体を叩きつける羽目になった。

 

「いっ…つ…ぅ……っ!」

「……ごめ……グンジョ…大…丈夫…?」

 

僕の腕の中で、シャナがぐったりしながら心配してくる。

まずは自分の心配をしてくれないだろうか。

 

「シャナこそ…何があったの…」

「…わかん、ない…遺物…探してたら、いきなり…。魔力とか吸われて、動けなくなっちゃって……グンジョウ…無茶な事したね…? 本当に、シスコン…なんだから。でも…ありがとう…助かったよ…」

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