my way of life   作:桜舞

129 / 408
129話『俺だってこれくらいは出来る』

「だよね」

 

さて、どうしたものか。

 

「雷系でコイン飛ばして弾丸にする?」

「そんな芸当出来るの、シャナかシンクくらいでしょ。君出来るの?」

 

ユエも僕の隣で考えながら、そう呟いたものだから尋ねてみる。

答えはノーだった。

 

「私も一応全属性使えるけど、ママの娘だからコントロールが…」

「デバイス持ってきてないの?」

 

遺跡の時に、おばさんが開発したデバイスをユエは持っていたはずだ。

だが彼女は、目を横に滑らせる。

 

「…ただの捜索だと思って…フリーデリーケ卿のとこだしって…」

「ユエ…」

 

どうやら収納魔法にも入れてなかったようだ。

 

雷魔法を使おうと思えばできる。

ただし、シャナ頼りだが。

 

リンクを繋いでるといっても、シャナの魔力を使うからそう連発出来るものでもない。

先程の戦闘で、シャナの魔力量も削れているだろうし。

 

「月曜になっても、俺達が戻って来なかったら…先生達が、異変を感じて…来てくれないでしょうか…?」

「その前に、シャナとシンクの結界が保たない。籠城するには、ここは不向きすぎる…んー…別に噛まれても、感染するわけじゃないと思うし…良し、いくか」

 

ブランシュとノワールを掴み、僕は扉の方へ歩き出した。

いやいやいや、とシャナとユエから服を掴まれ、止められる。

 

「なんで感染しないって思うわけ?! 魔王の因子が埋め込まれてるんでしょ?! 十分感染する要因あるじゃん?!」

「アオが行くなら、私も行くからね?! なんで一人で行こうとするの馬鹿!!」

 

女性陣の圧凄い…。

あと、またユエから馬鹿って言われた…。

 

どうやって宥めようと思っていると、シンクの結界が弾けて消えた。

 

「何痴話喧嘩してんだ、お前ら」

「痴話喧嘩ではないんだけど…この場からどうやって出ようかって話をしてるんだよ」

「ちょっと聞いてよシンク!!」

 

先程の僕の行動をシャナから聞いたシンクは、あー、と納得する。

 

「それは怒られるわ、お前。まぁ、俺が来たからにはって事で。シャナ、まだ魔力量は平気か?」

「え、うん。一日くらいだったら、守りの結界は張り続けられるけど…何する気?」

 

シンクの発言に、シャナは首を傾げた。

 

「じゃあ、全員分よろしく。ユタカ、無理させるけど…」

「良いよ、存分に使って」

 

シンクと手を繋いでいたユタカが微笑む。

一体何をする気なのか、と思った所で、シンクとユタカの間でリンクが繋がったのがわかった。

魔力回路が二人の間で、高速で回り始めているのを感じる。

 

「シンク! 一体何をするんだ?!」

「母様程じゃねぇが、俺だってこれくらいは出来るんだよ!!」

 

シンクが魔武器であろう大きな杖を出し、扉に向けて振り下ろした。

 

神罰(ディヴァイン・パニッシュメント)!!」

 

光魔法最大級の、神罰。

昔戦争があった際、母様がこれを使って死にかけたらしい。

それ以来、母様がこれを使う事はなく、僕も見た事がなかった。

 

シンクが神罰を使った直後から扉の外の音が無くなり、静寂が訪れる。

ドサッ、と背後から音がして振り向くと、シンクとユタカが倒れていた。

 

「シンク!! ユタカ!!」

「ごめ…ユタカ…シャナ、すぐ屋敷に、結界張れ…魂喰らいのも、壊したから…あと、グンジョ…ちょっと寝れば、回復するから…心配すんな…」

 

そう言って、シンクは目を閉じる。

二人のバイタルをシャナがすぐ確認するが、シンクの言葉通りのようで胸を撫で下ろしていた。

 

シャナが指を鳴らし、屋敷全体に結界を張る。

僕はそっと、宝物庫の扉を開けた。

暗い廊下が続くばかりで、人影は見当たらない。

 

「…とりあえず、移動しようか」

 

僕の提案に、三人が頷いた。

 

◆◆◆

 

ユタカとシンクを抱えて、客室のベッドに寝かせる。

窓から庭が見えたのでそちらを見ると、結界の境に人が殺到しているのが見えた。

 

「いや、怖っ…」

 

本当にホラー映画じゃん。

観るのは良いけど、実際体験するとこんなに怖いものなんだな…。

 

是非ともシャナには結界を維持してもらわねば。

魔力量がやばい場合は、ユエとツルギに謝り倒してまたアレをやらなければ…仕方ない、本当に仕方ない、出来ればしたくない。

 

「アオ、ご飯出来たよ」

 

ユエが扉を少し開けて、部屋の中を覗き込んできた。

屋敷の中は誰一人おらず、食材だけは残っていたので、それを拝借して三人が夕飯を作っていたのだ。

僕は料理作れないし、ユタカとシンクが心配だったから、ここに残らせてもらっていたが。

 

「ありがとう。二人を残していくの心配だから、僕はここで頂くよ」

 

そう言うと思った、とユエは夕飯が乗ったトレーを僕に渡してくる。

本当に、僕の事を理解してくれてて有難い。

 

「ユエ、ありがとう。こんな僕と付き合ってくれて」

「やめて、死亡フラグに聞こえる」

 

普通に感謝を伝えただけなのに、死亡フラグって言われてしまった…。

 

ユエからトレーを受け取り、客室の机に置く。

視線を感じて振り返ると、ユエがまだそこに立っていた。

 

「? どうかした?」

「……察してよ」

 

プイッ、と顔を横に向けた彼女に苦笑する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。