my way of life   作:桜舞

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130話『試行錯誤した結果』

ユエに近付き、その頬に口付けた。

 

「帰ってから、ね? 流石に人の家でイチャつけないし、この状況だろ? 隙を見せたら、マズい気がするんだ」

「もう無人なのに…。それに圏外だから、ママにもバレないと思うよ?」

 

ユエさん、誘惑しないでください…。

 

僕は彼女の顎に手をかけ、少し上を向かせた後キスをする。

すぐに唇を離し、これで我慢してとユエの耳元へ低い声で告げた。

 

「…わかった。我儘言って、ごめんなさい…」

 

少し頬を染め、ユエはパタパタと、元来た道を走って戻っていく。

その後ろ姿を見て思った。

 

可愛いなぁ、僕の彼女。

早く婚姻結びたい。

誰にも触れさせないように、逃げられないように囲いたい。

好きだ、愛している、ユエ。

 

「はぁ…」

「…クソデカため息つかないでもらっていいですかね、おにーさま」

 

ベッドの方からシンクの声がして、僕は振り返る。

薄目を開け、眉を寄せながら弟は僕を見ていた。

 

「起き上がれそう?」

「いや、まだ無理…。ユタカは?」

 

僕はシンクの横を指差す。

弟はそちらの方に目を動かし、規則正しい彼女の寝息にホッとした顔をした。

 

「今何時?」

「もうそろそろ、午後9時。迎えが来るのが明日の午後3時。約18時間しないと、この事態は母様達の耳に入らない。それまで結界保ちそう?」

 

シンクの問いに答えると、あー、と弟は腕を持ち上げ、自分の顔にかける。

 

「…無理かも。シャナの方がどうかわかんねぇけど、守りの結界を使う必要がないから、そこの消費はないと計算しても…シャナも保たないかもな…」

「また魔力循環させなきゃいけないか…したくない…」

 

僕はため息をつきつつ、扉を閉めて椅子に座った。

 

「手を繋ぐだけで出来るだろ? 何したくないって」

「…それ、試さなかったと思う?」

 

むしろ何でやってんだよ、とシンクは驚いたように僕に聞いてくる。

 

「僕の魔力保有量が少ないせいで、シャナと手を繋いだだけじゃ、お互いの魔力循環が上手くいかなかったんだよ。抱き合ったりとかもしてみたんだけど、それでもダメ。最終的に、キスをしながらなら出来るって分かって…本当に非常事態以外はしないようにしようって、お互いに話し合って…」

「うわ…」

 

シンクが引いてるのが分かったが、仕方ないじゃないか。

一回、シャナが魔法を練習で連発し過ぎて魔力欠乏を起こした事がある。

その時は母様が魔力を補って事なきを得たが、もし母様がいない状況でそうなったら、という仮説のもとシャナと話し合って、試行錯誤した結果がさっき話した方法だった。

 

僕だってユエ以外となんてしたくないし、更に実の姉だ。

したいと思わないし、むしろ気持ち悪い。

人命救助や、非常時以外でやろうと思うはずないだろ。

 

「グンちゃん…それユエ知ってるの?」

「知らないから黙っててね、ユタカ。いや、話しても許してくれそうではあるんだけど…」

 

ユタカも目を覚まして、僕らの会話を聞いていたみたいで、そう尋ねられる。

人命救助で姉とキスをしたなんて知られたら、ユエの場合怒る以前に仕方ないと言うだろう。

だが、その時は必ず自分を呼べと言うはずだ。

 

今回は僕らの捜索場所と、ユエ達の場所が遠過ぎたせいで、シャナを運ぶにしても途中で保たないと判断した上でやった。

 

「許してくれないかもなぁ…」

 

でも自分以外となんてと、ユエは確実に怒るだろうと想像し、僕は落ち込む。

 

「グンちゃん…」

 

顔を覆って俯いてしまった僕に、ユタカは苦笑する。

 

「俺らの分の飯残ってる?」

「…残してるだろうね。いつ目が覚めるかわからないけど、一応って思ってるだろ。何? 食べれそう?」

 

おう、とシンクは起き上がった。

話を切り替えるために言ったのか、それとも本当にお腹が減ったのか。

どちらにしても、話題を変えてくれて助かったと思う。

 

しかし、回復が早いと思うけれど、あの魔法を使った時母様は一人で使用したらしく、今回は二人だからダメージが少なくて済んだのだろうか?

 

「飯冷めてると思うけど?」

「別に良いよ。味が少し落ちるだけで、食べれないわけじゃないし。ユタカの分も貰ってくるよ。起き上がれる? ユタカ」

 

うん、と返してきたユタカに、少し笑いかけ、僕は椅子から立ち上がり、扉を開けた。

だが、そこにシャナが立っていて僕は少し驚く。

 

「シャナ?」

「多分、もうそろそろ起きたかもなって思ってご飯持ってきたよ。ふふん、お姉ちゃんの勘は正しかったのだった!」

 

カートに食事が載っているのは良いのだが、なんかテンションおかしいんだけど、どうしたんだ。

 

そう思いつつ、偉そうに腰に手を当て、少しのけぞっているシャナを見る。

その顔が青ざめていて、察した僕はため息をついた。

 

「シンク、ユタカ、悪いけど自分達で配膳してもらえる?」

「どこ行くわけ?」

 

シンクが問いかけるが、僕は困ったように笑う。

それだけで察したらしく、シンクはシャナを呼んだ。

 

「…何?」

「少し回復したから、やるなら俺とやれ。魔力保有量は俺の方が多いから、別にしなくても出来るはずだ。それに、俺も回復するから一石二鳥だろ」

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