my way of life   作:桜舞

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133話『高度な遊び』

治めるべき民もいなくなった領地を是非自分にと言ってきたのが、テレジア卿だった。

なんでも、領民が爆発的に増えたので新しい土地か何かが欲しかったと、後で報告書を読んだ。

 

それに懐疑的だったのが、父様とカヅキおばさんだ。

 

「確かに税収は増えているし、出生率も上がっているようだが…本当なのか、これは?」

「私も影を使って調べたが、本当の事のようだ。あの古狸…何を考えているかわからん。ベルファさんに突っかかるくらいしか能がない、ただのクソジジイだろうに…一体どんな手品を使ったのやら」

 

肩を竦めるカヅキおばさんと、更に眉が寄る父様。

母様はといえば、窓に向かって祈っていた。

多分、亡くなったフリーデリーケ卿や、領民が安らかに神の元へ行けるように、祈っているのだろう。

それが、僕が報告書を上げに行った時に見た光景だった。

 

そして僕らは今、期末テストを控え、勉強会を開いている最中だった。

 

「わ、わかんない…どういう事…?」

「シャナ…ここの公式と、ここの公式が…間違っている。このXを求めるには…」

 

数学の公式を覚える気もない姉が、ツルギに教えてもらっている。

恋人に教えられているのだから、今度こそはちゃんと覚えるだろう。

僕はといえば、期末試験の範囲内でシンクと問題を作り、お互いに交換して解いてを繰り返していた。

 

「なんか、一般人には理解出来ない、高度な遊びをしているみたい…」

「ユエ、みたいじゃなく、実際そうだから…」

 

ユエとユタカが僕らの行動を見ながら、若干引いた目で見てくる。

 

君達、僕らの事を一体なんだと思ってるんだ。

自分だからこそ、苦手分野の克服をしようとしているだけなのに。

 

「おま…引っかけにも程があるだろ、これ?」

「そっくりそのまま返すよ。科学の問題でこれ出してくるとか、本当に君って奴は…!」

 

学園の図書室で勉強しているわけなのだが、シンクと掴み合いの喧嘩をしそうになって、お互いの恋人に宥められる。

 

「まぁまぁ、シンク…」

「これ二人きりで勉強した方がいいんじゃない? ね、アオ。そうしようよ」

 

そうしたいのは山々なんだけど、君誘惑してくるでしょ。

ここ学園なのわかってるの?

何の為にみんなで勉強してると思ってるの?

 

そういった視線を向けると、目を逸らされた。

僕の思考も読んでいるはずだから、やっぱりか、と思ってしまう。

 

「シンク、どうする?」

「んー…じゃあ、お互いの恋人に教え合うってのはどーよ? 俺はユエ、お前はユタカ。良い考えじゃね?」

 

何処がと怒鳴り声をあげそうになるユエの口を、ユタカが塞いだ。

 

「苦手分野、結構あるんだ。グンちゃん、よろしくね」

「懇切丁寧に教えるよ。ユエ、ちゃんとシンクに教わりなね?」

 

ムーっとなったユエの腕を引っ張り、シンクは僕から彼女を離していく。

 

腕を掴む必要性あったかなぁ。

後でしばこうかな、シンクの奴。

 

「じゃあ、よろしくお願いします」

「うん、よろしくね。じゃあ、苦手分野からやっていこうか」

 

ユタカの苦手分野は大体シャナと同じだったが、姉と違い理解力がユタカにはあった。

少し教えれば、こういう事かと理解を示し、問題をスラスラ解いていく。

 

「ユタカ、シンクとはどう? まぁ、見てて分かるけど」

「女心っていうものを少し理解した方がいいよ、グンちゃん。ユエをグンちゃんから離して冷静にさせる為だとはいえ、私の初恋はグンちゃんなのは変わりないんだからね? …シンクとの関係は良好そのものだよ。むしろグンちゃんよりも、もっと好きになってるよ」

 

問題を解きながら、ユタカは微笑む。

幸せそうで、本当に良かった。

 

「ねぇ、ユタカ。もしもの話なんだけどさ。僕が君を選んでいたら、ユエはどうしていたと思う?」

 

僕らから遠い場所にいるユエを見る。

シンクを睨みながら、たまに小声で何か言いながら、ちゃんと勉強しているようだ。

 

「グンちゃん…たとえ想像でも、ユエに失礼だよ。でも、そうだなぁ…ユエの性格を考えたら、オーシアに帰っていたかもね。ユエって結構、勝ち気だから。グンちゃんより良い人見つけて、私は幸せだって笑ってたかもね」

 

ふふ、と笑うユタカに、僕は苦笑する。

聞いた側だけれど、想像してしまって少し嫌だと思ってしまった。

 

やっぱり、ユエの隣は僕がいい。

他の男になど渡すものか。

ユエは、僕のものだ。

 

「グンちゃんも難儀だね。ちゃんとユエに伝えてる?」

「伝えてるけど、恥ずかしがってね。少しは慣れてくれれば有難いんだけど、なかなか…」

 

ユタカの苦手分野を一つ一つ解説しながら、閉館時間まで僕らはいた。

校舎から出ると夕陽が世界を照らしていて、とても綺麗だと感じる。

 

「腹減ったなー。どっか食いにいく? シャナも作るの面倒だろ?」

「確かにそのお金はあるけどさぁ…って、なんであたしが作る前提で話してんの? 自分で作りなさいよ?!」

 

シンクの奴、素直にシャナのご飯が食べたいって言えばいいのに。

 

日常に帰ってきたのだと、二人のやりとりを見て僕は思った。

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