my way of life   作:桜舞

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134話『お前動揺し過ぎじゃね?』

イフリート1の月後半。

夏季休暇に入り、僕らはトリスタン領にある王家の避暑地に来ていた。

 

ツルギに教えてもらったおかげで、シャナは赤点を回避して今回はいい成績で終われたようだ。

ツルギも結構上の方の順位だったらしく、シャナが褒め称えており、彼は少し照れているようだった。

 

ユエとユタカも、僕らが教えたので順位が上がったと喜んでいて。

そして、僕はと言えば。

 

「首席が2人とか、そんなのあり得るわけ?」

「全教科満点だったんだから、仕方なくね?」

 

避暑地にあるプライベートビーチで、おばさんが用意してくれた日除けのビーチパラソルの下、飲み物を飲みながら僕は少し愚痴る。

そんな僕を見ながら、シンクは苦笑した。

 

シンクと問題を作りあって解いていたおかげか、その範囲がテストに出て、難なく解いていったらシンクも同様だったようで、異例の首席が二人という事態になったらしい。

 

次席がおらず、三席の人の名前が載っていて、少し申し訳ないと思った。

 

「だからって、せめて何かでケチ付ければいいのに…僕が次席でも文句は言わないんだけど」

「んなの王族に限らずやったら、その先公クビだろ」

 

まぁ、それはそう。

 

ビーチパラソルの下、机と椅子も用意されており、僕はそこに頬杖をつく。

 

海に来たんだから水着を着ろとおばさんに言われ、僕とシンクは水着を着て自分達の恋人を待っていたわけなのだが。

 

「アオー! お待たせー!」

 

ユエの姿を視認した瞬間、僕は羽織ってたラッシュガードを脱いで彼女に着せた。

 

「…? アオ? どうかしたの?」

「ごめん、ユエ。これ着ててくれない? あとそれ誰チョイス? 刺激的すぎるよ…」

 

青色のビキニを着てきた彼女だったがプロポーションもよく、他の人の目に触れさせたくなくてラッシュガードを羽織らせた、のだが。

 

ユエは少し不満そうに、僕を見上げていた。

 

「私が選んだんだけど。何? 可愛くない? 刺激的って…普通のなんだけど、おかしい?」

「違う。似合い過ぎて、僕の理性が揺らぐから着てってお願いしてるだけ。それに、その扇状的な姿、他の男の人の目に触れさせたくない。いくら家族でもだ。ユエ、可愛いよ……本当、あの宣言がなければ君を抱き潰したい。ね、君もそう思うだろユエ…?」

 

彼女の肩に手を置き話していたが、最後の方は耳元で囁く。

少し体を離して彼女の表情を見ると、顔を真っ赤にし狼狽えていた。

 

「なんで口説くと、そんなになるの君…いつも誘ってくるの、君の方なのに」

「だ、だって…アオ、自分が凄く格好いいって…自覚ないじゃん…。そんな人に口説かれたり…その…欲望を口に出されると…私…」

 

フイッと、口元に手を当て顔を背ける彼女が可愛すぎて、思わず抱きしめてしまう。

 

可愛い、ユエ本当に可愛い。

このまま二人で消えたい…。

 

「襲うなよ、グンジョウ」

 

ユエと一緒に来ていたユタカを膝に乗せながら、シンクが釘を刺してくる。

 

「……襲わないよ…でもありがとう、シンク。ちょっと頭冷やしてくるね、ユエ」

 

彼女を離し、僕は海に入っていく。

シンクが指を鳴らしたのと同時に、僕に魔法がかかった感覚がして弟を見る。

 

「海の中でも呼吸できるようにしてやっただけだよ。あと、眼鏡外さなくても良いようにな。お前動揺し過ぎじゃね? 俺がかけなきゃ、そのまま入るつもりだったろ? 錆びるぜ、眼鏡」

 

コンコンと、自分の目元を叩いてシンクはニヤリと笑った。

僕はそれに苦笑を返し、弟にまた礼を言って海に入っていった。

 

◆◆◆

 

結構深いところまでいってから、僕は海面を見上げた。

太陽の光が入り、キラキラと光る海面が揺らいでいて、とても綺麗だと思う。

それに、水の中だから水音以外は何も聞こえない。

 

シンクから水中でも呼吸が出来るようにしてもらったおかげで、別に息苦しくもなく、結構快適だった。

 

「…危なかった…」

 

僕らから結構離れた場所だったが、あのビーチにはうちの両親とカヅキおばさんがいた。

三人で何か話していたから、こちらに気が向かなかったのは不幸中の幸いである。

シンクが声をかけて止めてくれたのも大きかった。

 

もし、ユエと二人きりだったなら。

もう僕は、彼女を襲ってしまっていただろう。

 

「結構綱渡りじゃない…? これ…」

 

毎日彼女を見ているが、理性が揺らぐ事が増えてきたように思う。

あと一年ちょっと、僕は耐えられるのだろうか…?

 

「アオ?」

「幻聴も聞こえ始めた…って、なんでいるのユエ」

 

彼女から離れて頭を冷やすため、海に入ったというのに。

 

僕のその言い方に、ユエはまたムッとする。

 

「いちゃ悪い? アオが心配で追いかけてきたんだけど。いない方が良かった?」

「いや、ごめん。言い方が悪かった。ここにいないはずの君がいて、驚いただけ…だから、何処か行こうとしないでユエ?! 僕が悪かったから!!」

 

ムッとしたまま、僕から離れるように泳ごうとした彼女の腕を掴んだ。

そのまま引っ張り、腕の中に閉じ込める。

 

「…アオの馬鹿」

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