〈いや、別に何も無いけど…アオ、メンタル弱過ぎじゃない? いや、確かにデリカシーない発言だったけどさぁ。そんなに気にしないでよ。怒ってアオ吹っ飛ばしちゃった私も悪かったし…。ユタカに愚痴ったら、その発言はアオが悪いけど、今桃華がアオを狙ってきたらどうするのって言われて…アオを一人にして、危険に晒されてたらどうするのって…〉
ユタカ、優しいなぁ。
見捨てろって言ってもいいのに。
むしろカヅキおばさんなら、見捨てろって言ってるはずだ。
それ程の事を、僕はした。
「本当、失言する癖…父様の遺伝だよなぁ…」
ため息が止まらない。
ついたらついただけ、幸せが逃げていくとか言われているけど、もはやその人の自業自得なのではないだろうか。
僕は膝を抱えた状態で、横になる。
〈危険なところにはいないよ。だから、安心してビーチに戻っていいよユエ〉
〈いや、出来ないから戻ってきたんだって言ってるんだけど? もう、アオ何処?!〉
念話で叫ばないでくれないかな…頭が痛くなってしまうから。
僕は少し眉を寄せながら頭を押さえる。
顔をつけた材質がヒンヤリしてて、とても心地が良かった。
〈アオ?!〉
〈そんなに癇癪起こさないでよ、ユエ。あと叫ばないで、頭痛くなるから。あんまり叫ぶようなら念話切るよ〉
ぐっ、とユエは押し黙る。
そして彼女は、少し泣きそうな声になりながら、言った。
〈…アオが、私に見捨てられるって…そんな事は絶対に起こらないよ。むしろ、私が貴方に捨てられる可能性の方が高いのに…私の身分より、アオの方が高いんだよ? アオの好きに、采配出来るんだよ?〉
〈君を捨てる? それこそあり得ないでしょ。君を本気で愛しているし、君に溺れて理性が崩壊しかけている愚か者だよ? 君に嫌われたら、どう生きていけば良いのか分からない。呼吸も何もかもわからなくなるかもしれない。もしかしたら、狂う可能性だってある。そんな愚者だよ、僕は。だからね、ユエ〉
僕はそこで言葉を区切る。
ユエは、僕の言葉を待っているかのように、黙っていた。
〈脅しじゃないけど、僕から離れないで欲しい。君を度々怒らせる、愚かな男だけど。どうか、見捨てないで欲しい。でも、君は君の幸せを、願って欲しいと思う自分もいるんだ。ユエ、もし僕以外を愛してしまったのなら〉
「アオ以外を愛せるわけない。もし、アオ以外を良いと思ってしまったのなら…私は自害する。貴方を裏切るなんて、私には耐えられない…っ! 怒らせてくれていいよ、見捨てるなんてするはずないよ!! 私の幸せは、貴方の隣だけだよ…アオ…っ!!」
ユエが目の前に転移してきて、僕にそう言う。
暗くて表情がよく分からないけど、泣いているようだった。
僕は起き上がり、彼女を見上げる。
「…いつも君を泣かせてばかりだね、僕は。そんな奴でも、君は一緒にいてくれるの?」
「…っ、酷くても、傷付けてくれてもいい…っ! 私は、貴方がいい…っ! 泣いたり、傷付いたりするのは、貴方が大好きで…愛してるからだもん…っ!!」
それ、共依存じゃないかなぁ…僕も、そうなっているのだろうけど。
立ち上がった僕は気配を探って彼女の手を取り、握った。
「ユエ、泣かせてごめんね。酷い男でごめん。離れたくなったら、いつでも言ってね」
「しないって言ってるのに!! アオの馬鹿っ!! 分からず屋っ!!」
握っていた僕の手からするりと抜け出し、痛くないくらいの力で、ユエは叩いてくる。
暫くされるがままになっていたが、彼女の方が力尽きたようで、僕の胸に頭をくっつけてきた。
「アオ……私も我慢する。今まで悩ませてごめんね。でも、手だけは繋いでて欲しいなって思うの。それくらいの我儘、許してくれないかなぁ…」
「ユエが謝る事ないよ。僕が悪いんだから。君に我慢を強いてしまって、大変申し訳ない。でも、ありがとうユエ。ずっと、君だけを愛すよ」
僕の言葉に、ふふふ、と彼女は嬉しそうに笑う。
そんなユエを見て、僕も口元が綻んだ。
実際、彼女の表情が見えているわけではないが雰囲気である。
「ところで、ここ何処?」
「さぁ…? 取り敢えず上層部分ではあるんだろうけど、暗過ぎて何も見えなくてさ」
まぁ、暗い方が落ち着くから僕は好きだけれど。
この場所がもし、時を止める機能がついているのなら…ずっとユエと二人きりで過ごせるのに。
「アオ。我慢だよ」
「…筒抜けですか…そうですか…」
手を繋いでいるから、尚更僕が何を考えているかわかるのだろう。
「
ユエが光魔法を使った事により周囲が照らされ、ここがどういう場なのかわかった。
「遺跡…?」
海中にあったものと同質の壁。
四方に広がっている通路。
僕が通ってきた道を見てみれば、予想通り下層部分だったようで、そこにも通路が広がっているみたいだ。
「なんで海中にこんなものが…。あ、ママが作ったとか?」