my way of life   作:桜舞

137 / 408
137話『こんなクズで本当に大丈夫?』

「ここに入る前に周囲を見てみたけど、ここ最近で作られたように見えなかった。ユエ、他の人に念話飛ばせる? 出来ればカヅキおばさんに聞いてみてほしいんだけど」

 

やってみる、と彼女は目を閉じ、少ししてから目を開ける。

 

「ママに聞いたけど、そんな施設作った記憶ないって。多分大昔のだろうから気をつけろって」

「そこは予想通りだね。あとは…みんな呼べそう? 本当にごめんね、君頼りで。流石にこの距離と海中だからか、シャナに繋ごうと思っても出来ないみたいなんだ」

 

僕とユエが話せていたのは、距離が近かったからだろう。

ビーチにいるであろう姉に念話を飛ばしてみたが、途中で途切れる感覚がして繋がらなかった。

 

僕の魔力量が低いせいでもあるだろうが。

 

「もう来てるぜ、おにーさま」

 

肩を組まれ、そちらを見るとニヤリと笑ったシンクがいた。

シンクの魔法技術も上がっているようで、ユーラ王国で文句を言っていた弟とは思えないくらいだ。

僕とユエ以外、全員転移させてこちらに来たらしい。

 

「グンジョウ、ユエちゃん。アクアシューズ持ってきたよ」

「ありがとうシャナ。助かる」

 

僕とユエに水場用の靴を渡してきた姉に、礼を言う。

正直、素足でこの遺跡を探索するのは少しばかり嫌だな、と思っていたのだ。

もしかしたら、何か鋭利なものがあって足を怪我する可能性があったから。

 

「怪我したらその場で治すよ?」

「君の魔力を消費させるわけには、いかないだろ?」

 

僕の心を読んだのか、ユエがそう言ってきた。

少し苦笑しながら、繋いでいた彼女の手を少し撫でる。

 

「あ、グンちゃん。今思い出したから聞いていい? この場とは全く関係ないんだけど」

「ん? 何、ユタカ?」

 

挙手をしたユタカに、僕は首を傾げた。

 

「フリーデリーケにあったと思う、魔王の遺物ってなんだったのかなぁ、って」

「…あぁ…それ…。親族に確認したら、チョーカーだってさ。宝物庫の一番奥に飾られてたはずだって話でね。僕も期末試験が終わってから、カヅキおばさんと一緒にあそこへ戻って探してみたけど、見当たらなかった。多分、もう魔王の手にあるだろうね。一体それに、何の効果があるのかは分からないけど」

 

その話にシャナが驚いた顔をしている。

 

一体いつの間にって話だろうけど、君が期末試験が終わったからと、休みの日にグースカ寝ている間だよ。

あの後昼夜逆転して、次の日辛いって嘆いていただろうに。

 

「魔王の遺物が、あるかわからないですけど…ここの調査は…してた方が、良いですよね…」

 

ツルギも周囲を警戒しながら、聞いてくる。

 

「まぁね。ある程度探索して情報を得た後、戻ってカヅキおばさんに報告。魔王の遺物があるなら、破壊なり持って帰るなりしよう。いいね、みんな?」

 

パーティメンバーに尋ねると、全員頷きを返してきた。

僕も頷き、歩を進めようとした瞬間、シンクがいきなり手を打って大きな音を出す。

それに驚いて、僕らはシンクを見た。

 

「…結構大きいな、この遺跡。音が返ってくるのが遅い。探索に時間かかるかもしれねぇ」

「やるならやるって言いなさいよ?! 驚いたでしょうが!!」

 

シャナに背中を叩かれ、シンクは少し前のめりになる。

しかも結構大きい打撃音だったので、弟の背中にはシャナの手のひら形の跡がついている事だろう。

 

「いってぇ…。いてぇよ、姉ちゃん。叩く事なくない?」

「事前に言わなかったシンクが悪いと思うよ?」

 

ユタカが苦笑しながら、シンクに回復魔法を使っていた。

俺の彼女最高と言いつつ、弟はユタカを抱きしめる。

抱きしめられたユタカは顔を真っ赤にし、離してほしいと弱々しく言った。

 

羨ましいなぁ…どうしたらそんな精神強くなるのか、教えてほしい…。

 

「アオ?」

「わかってます、わかってるからそんな目で見ないでユエ。あぁ…目が真っ赤…。ごめんね、ユエ」

 

ジト目で見られた僕は、彼女の目元が泣いたせいで赤くなっているのに今更ながらに気付き、謝る。

 

本当、僕最低。

彼女泣かせてばっかりで。

 

「グンジョウ…?」

「うん、言わないでシャナ。わかってるから」

 

僕の言葉にユエの顔を見たシャナが、何か言いたげに名を呼びながらこちらを見てきた。

それに対して、言わないで欲しいとお願いする。

 

シャナにも何か言われたら、ちょっと立ち直れない。

今から遺跡探索するっていうのに。

 

「シャナちゃん。話し合いは終わってるから、それ以上アオに何も言わないであげて。私は大丈夫だから」

「ユエちゃん…我が弟ながら、こんなクズで本当に大丈夫?」

 

クズって…いや、まぁ…その通りなんだけどさぁ…。

彼女泣かせるわ、怒らせるわ…果てには女の人に言い寄られるわ…わぁ、僕クズじゃん…死にてぇ…むしろ誰か殺して…。

 

僕は顔を覆い、項垂れる。

 

「クズじゃないから大丈夫。アオ、落ち込まないで。アオ身長大きいんだから、あまり項垂れられるとちょっと…それに、女の人に言い寄られるって…誰に言い寄られたの」

「…今はないけど…昔は、ツェリとかユタカとか…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。