my way of life   作:桜舞

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138話『君の発言聞き捨てならない』

去年の事だから今はノーカンでしょ、とユエとユタカから声が上がった。

それに、ツェリも今は疎遠になっているから気にしていないと、ユエは僕を慰めるように頭を撫でながら言う。

 

「あの、今昼時なんですけど…どうします? 先生から、一回帰ってこいって…昼飯食べてから、探索再開しろって…」

「あー…確かに俺らがここに来る少し前くらいに、もうそろそろ昼飯だけどグンジョウ何処行ったって、母様が言ってたっけなぁ…」

 

ツルギがおずおずと挙手しながら言い、今思い出したといった風にシンクは手を軽く叩いた。

 

それを早く言えよ。

 

僕は少しため息をついて、みんなを見る。

 

「じゃあ、お昼ご飯食べてから仕切り直ししようか」

 

その場には、賛成しか声が上がらなかった。

 

◆◆◆

 

「グンジョウお兄様、どちらにいらしてたんですか? お母様が探していらっしゃいましたよ?」

 

シンクの転移で屋敷に戻る前、弟の魔法で普段着に着替えてから帰ってくると、玄関先をちょうど通りかかった妹、リーゼに尋ねられる。

僕と同じ青髪でスカイブルー色の瞳を持った妹が、こてんと首を傾げていた。

 

「あぁ…海で遊んでたら、結構深いところまで行っててね。お昼ご飯の時間になってたの、気付かなかったんだよ。一応着替えて戻ってきたけど、母様何の用で僕を探してたの?」

「んー…多分、お昼ご飯の事だと思います。みんなが揃ってる時は、一緒に食べましょうってお母様いつも言ってますから」

 

お祖母様から聞いた事があったが、生前の母様の家族は少し歪だったらしい。

自分を道具か歯車としか思っていない両親、カヅキおばさんが母様の護衛だったからと、噛み付いてくる妹。

使用人の一部も表面上は媚び諂っているが、母様が女だからと本心では侮っていた連中。

自分を凶愛し、殺してきた男。

 

あの場所で母様が本当に信用し、信頼していたのは自分とカヅキおばさんだけだったのではないかと、お祖母様は仰っていた。

 

だからこそ、僕らには精一杯の愛情を母様は注いでくれているのだ。

生前の自分が、家族が、歪んでいたからこそ。

今の自分はそうならないように、と思っているのだろう。

 

時に厳しく接してくる事もあるが、それも僕らが人の道を外れないようにと、教えてくれているだけだ。

母様が僕らを愛してくれているのが分かっているから、僕らも母様に反抗的な態度は取らない。

 

愛情には愛情を返すべきだと、父様からの教えでもある。

 

「そうだね。母様達、もう食堂?」

「はい。アンナちゃんやラゼッタも、もういると思いますよ」

 

リーゼが僕の手を握り、引っ張ってきた。

早く行こうと、妹は言っているのだ。

 

「リーゼ、そんな急がなくても…」

「遅れると、お母様悲しんじゃいますよ? みんな学園に行って、こうやって集まるの、長いお休みの時だけじゃないですか。お母様、結構寂しがり屋さんなんだって、お父様も仰っていたんですよ?」

 

それは知ってるけど。

 

リーゼが生まれる前、僕とシャナが幼等部に入った後、母様はちょっとだけ泣いたらしい。

 

本当は、手元でもう少し育てたかった、と。

 

それでも僕らのためにならないからと、泣いて縋り付く僕らを抱きしめて言い聞かせ、幼等部に送り出したのだ。

 

「リーゼ、それ僕ら以外に話した?」

「いいえ。私、口は堅い方ですから」

 

ニコリと微笑むうちの妹。

聡明なようで何よりだ。

 

これがシャナだったなら方々に言いふらし、教えた父様に母様の雷が落ちているところだっただろう。

 

「あたしがなんだって?」

「僕の心読まないでくれないかな、姉君」

 

僕の横に並んで睨みつけてくる姉に、目を泳がせながらほんの少しだけ文句を言う。

僕の手を引っ張っていたリーゼだったが、シャナの手も取り、ニコニコしていた。

 

「…親子みたい」

「ユタカ言わないで。アオの子供生むの、私だけだから」

「君達さぁ…10歳の子がいるのにその会話なんなの…? ユエ、あとで少し話し合おうか。君の発言聞き捨てならないから」

 

なんで私だけ?!

と驚く彼女だったが、当然だろ。

 

リーゼと親子扱いされたのはまぁ…百歩譲って、あり得なくはないと言っておく。

リーゼが幼い顔をしているのもあるし、僕ももしかしたら周りから見てみれば、老けて見えているのかもしれないから。

 

でも、シャナと夫婦扱いされたのだけは頂けない。

私だけってなんだ、私だけって。

その発言、聞く人によってはシャナにも僕の子供産んでもらうって話になるじゃないか。

 

シャナを換算に入れるんじゃねぇよ、君しかいないんだよ、僕の子を産む女性は。

 

はぁ、と深いため息をついてしまった僕をリーゼが心配そうに見上げてくる。

 

「お兄様、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。リーゼは良い子だね。流石父様と母様の娘だよ」

 

リーゼと手を繋いでいない方で、妹の頭を撫でた。

嬉しそうに、リーゼは笑う。

 

そんなこんなで話しながら歩いていると食堂につき、先頭を歩いていた僕とシャナで扉を開けた。

 

「遅かったな、お前達」

「お待たせしてすみません、カヅキおばさん」

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