my way of life   作:桜舞

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139話『それでも僕は、ユエの隣にいたい』

別に待ってない、とカヅキおばさんはアイスコーヒーを飲んでいた。

使用人はもちろん王家で雇っている人達だが、カヅキおばさんが母様から全幅の信頼を寄せられている事もあり、結構カヅキおばさんのいう事を聞く人達もいるようだった。

 

「グンジョウ、また無茶してない? 大丈夫?」

「してないよ母様。大丈夫、午後からはみんなで探索するから。一ヶ月くらいだっけ、ここにいるの。その期間までには終わらせるようにするから」

 

食卓についていた母様が、僕らを心配そうに見ているのでそう返す。

 

まぁ、メンタルやられまくってますけど、今。

表情は取り繕えるようになったけど、それすらも母様にはバレているんだろうなぁ…。

 

「大丈夫というなら、大丈夫だろう。自分の引き際くらい、グンジョウは分かっているだろうさ」

「男親だからわかるってヤツなの、あなた? むぅ…少しだけ悔しいわ」

 

ぷくーっ、と頬を膨らませる母様、御年35歳。

それすらも可愛いと言って溺愛する父様。

そんな二人を、呆れた目で見ているカヅキおばさん。

 

いつもの光景である。

 

「歳を考えろ、ナツキ」

 

カヅキおばさんが、アイスコーヒーの氷を噛み砕きながら母様に苦言を呈した。

しかしそれに対して、父様が反論する。

 

「いくら歳を取ったとて、シャルは俺の可愛い妻だ。動作も全て愛らしい。制限する必要性も、今はないだろう? 何が問題なんだ」

「いや、問題だらけだろうが。30過ぎが子供っぽい動作をやるって、頭おかしいのかって思われるのがオチだろうよ」

 

父様とカヅキおばさんの言い合いというか、討論というか。

母様についての議論とでも言うのか。

 

長引きそうだったので、僕らは席に着く事にした。

 

「そういえばユーリおじさんは? 来てないの?」

 

食堂の中を見回すが、カヅキおばさんの伴侶であるユーリおじさんの姿が見えない。

いつもなら、一緒に来ているはずなのに。

 

「来てるよ? 何かな、グンジョウ君」

 

僕の背後から音もなく声をかけられ、両肩に手を置かれる。

扉から入ってくる音もなかったので、それだけで僕は身動きが取れなくなった。

 

「いや、カヅキおばさんと一緒にいないから、どうしたのかと…」

「リオンとラゼッタ君がお昼寝してたから、起こしに行ってたんだよ。まだ4歳だからね。で? 本当の所は?」

 

本当も何もその通りにしか思ってませんが?!

ユーリおじさん怖い!!

 

「パパ、アオをいじめるのはやめて」

 

僕の背後にいるユーリおじさんを睨みながら、隣に座ったユエが僕の肩に置かれたおじさんの手を払い除ける。

 

「いじめてるつもりはないんだけどね。全く、親離れが早くないかいユエ? 小さい頃はパパと結婚するって二人とも」

「「言ってないから」」

 

ユエとユタカの声が重なった。

それに対して、シンクがくっくっと笑い始める。

 

「何がおかしいのかな? シンク君」

「いや…親離れされるの、寂しいっすよね、ユーリおじさん。すんません、二人の反応見てたらツボっちゃって」

 

ニコリと笑いながら、ユーリおじさんに言うシンクに僕はただただ驚く。

 

よく言えるな、こいつ。

僕、まだユーリおじさんが背後にいるから怖過ぎて冷や汗止まらないんだけど。

 

「パパ?」

「はいはい、離れるよ。次はシンク君を標的にしようかな?」

 

その言葉に、今度はユタカの顔が険しくなる。

チラリとユーリおじさんを見ると、楽しそうに笑っていた。

 

娘で遊んでるよこの人…。

 

止めてくれるであろうカヅキおばさんは、今父様と討論中でこちらに気付いていないし。

母様は優雅にアイスティー飲んでるし。

 

三人共、お昼ご飯済ませたんですか?

 

「ユーリおじさん、遊ぶのもそこまでにしてもらえませんか? あたし達、まだお昼ご飯食べてないんです。午後から遺跡の調査もあるので、手早く済ませたいのですが」

「おや、これはごめんねシャナちゃん。じゃあ、僕はリオン達のお世話に行こうかな」

 

メイドに手を引かれ、目を擦りながら食堂に来たリオンちゃんと、僕の弟のラゼッタを見つつ、ユーリおじさんは僕らから離れていった。

 

「シャナ、助かった…」

「あれくらい、ちゃんと言いなさい。一応、王太子なんだよグンジョウは?」

 

シャナが呆れた目を向けてくるが、言えてるなら最初から言っている。

 

…ユーリおじさんの大切な娘であるユエを、僕は何回泣かせて怒らせたかわからない。

本来なら、ユエから引き離されてもおかしくないのだ。

僕が哀願した所で、自業自得だとユーリおじさんは言うだろう。

実際その通りなので、懇願しても無駄だろうなと考えてしまう。

それでも僕は、ユエの隣にいたい。

 

僕は俯き、自分の服を掴む。

 

「アオ…。そんな事になったら、私抵抗するから。いくらパパやママでも、私からアオを引き離すなんて、絶対許さない。あと、気にしないでってば。アオの事が大好きなだけなんだから」

「ユエ…人の心読むのやめてよ…」

 

でも嬉しくて、彼女の手を握った。

僕らの様子にシャナは肩を竦めるだけだったが。

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