my way of life   作:桜舞

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14話『低いもの』

僕は先日あった事を彼女に話した。

それを聞いて、ツェリは納得する。

 

「テ、テスタロッサ夫人は、き、厳しいもんね…。わ、私も、教えてもらったよ…」

「ツェリはどんな評価をお祖母様から貰ったの?」

 

僕とシャナが教えてもらった時は、5段階評価の4辺りだったか。

お嬢様のお子ですのでまぁ妥当でしょう、と言っていたけれど、いつまで母様をお嬢様呼びするんだろうか、お祖母様は。

 

「え、えーと…5、かな…」

 

ツェリの言葉に、ユエとユタカが信じられないものを見るかのような目を向ける。

その表情を見る限り、彼女達の評価は低いものだったのだろう。

 

「ツェリ優秀だねー」

「そ、そんな事ないよ。ただ、体の動かし方とか、わ、分かってただけだから…」

 

少し照れたように、ツェリは僕の方をチラリと見る。

それに対して、ユエとユタカがムッとしていた。

 

なんか、険悪な雰囲気なような?

ユエとユタカとツェリ、仲悪かったっけ?

 

僕は首を傾げる。

そんな僕を、シャナは呆れた目で見ていた。

 

「はいはい、早く行かないと遅刻すると思うんだけど。ユエちゃん、ユタカちゃん、ツェリ、行こう」

「シャナ、僕は?」

 

手を叩いて号令を出す姉に僕は尋ねたが、シャナはため息をついて返してくる。

 

「勝手について来なさい」

「何? なんか冷たくない?」

 

冷たくないと返し、ツェリとユタカの手を引いて歩く姉の後を追うが、ユエは僕の背後に控え、歩いていた。

 

「ユエ、先に行っても良いよ?」

「いえ、私は護衛ですので」

 

ユエは真面目な所が長所だが、それが短所になり得ることもある。

融通が聞かない時があるのだ。

多分、今がそれだろう。

 

「………」

 

シャナ達が充分離れたのを見た僕は歩くのを止め、ユエに振り向く。

彼女はそんな僕を見て、首を傾げた。

 

「どうかなさいましたか、殿下?」

「ごめん。努力したのは知ってるし、それが僕のためなのはわかるんだけど。その…あまり他人行儀にされると違和感しかないっていうか…」

 

頑張ってきたユエに言うのは失礼だとは思うし、怒られても仕方ないと思う。

だけど、本当に違和感が拭いきれなくて、僕は彼女に言ってしまった。

だけどユエは、僕をキョトンと見つめた後、笑い出してしまう。

 

「違和感って…ふふ…そんなに私がこんな、真面目に振る舞ってるの、変かなぁ? ふふふ…アオちゃんの顔、面白いくらい、困った顔になってて…ごめ、ツボに入っ…ふふふ!」

「そんなに笑うことないだろ、ユエ」

 

涙を目に浮かべながら笑う彼女が、少し可愛らしいと思ってしまったのは内緒だ。

言ったら調子に乗るのは目に見えている。

僕の周りの女性陣は、ツェリを除いてそんな人ばかりだから。

 

◆◆◆

 

教室の前でユエとユタカと別れ、僕らは自分たちの教室に入る。

僕らの護衛なのだから、二人も同じクラスの方が良いのではとあの後おばさんに言ってみたが、教育機関の関係上自分の子供の担任とかは出来ないらしい。

誰にでも公平なおばさんだと僕らは知ってはいるけども、周りから見れば自分の子供を甘やかして良い点とか贔屓をする人、みたいな目で見られるという事かと納得した。

 

「そう言えば聞いてなかったけど、昨日どんな夢見たのさ」

 

席につき、僕は隣に座ったシャナに尋ねる。

姉は、うーん、と首を捻り記憶を思い出そうとしていた。

 

「なんか、暗いとこにいるんだけど…あたし、誰かの首を絞めてるの。その時の感情がね、悲しくて悲しくて、どうにかなっちゃいそうな感じだったんだよね。どうしてって、なんでって。それで月明かりが差し込んできて、顔がはっきり見えたんだけど…

誰かわからない女の子だった。自分が何か喋ってたのはわかるんだけど、何を言ってたかわからないし、その子も何か喋ってたんだけど、やっぱりそっちもわかんなくてさ。そのうち、ゴキって感覚が…」

 

その感覚を思い出したのか、シャナの顔が真っ青になってしまう。

僕は姉の手を握り、頭を撫でた。

 

「大丈夫、ただの夢だろう? 随分リアルな夢見たんだね、シャナ。気分悪いなら、保健室行く?」

「ん…大丈夫。そんなにか弱くないよ、あたし」

 

昨日ギャン泣きしてたくせに、と言うと腕を叩かれる。

気が逸れて良かったけど、今のシャナの話はリアル過ぎた。

 

…後で母様に連絡とってみるか。

 

ポケットに入れた携帯に触れる。

午前は普通授業、午後からはギルドに行って身分証代わりになるギルドカードの発行をしてもらう。

 

国民全員が一応義務として、ギルドに所属する事になっていた。

かと言って、ギルドから何か命令が来るわけではない。

うちの国に籍を置いている、というだけのものだ。

本格的にギルドで仕事がしたいという者だけ、そこで働いている。

 

そのうち、カヅキおばさんが教室に入ってきて、ホームルームが始まった。

午前は普通に授業を受けて昼休み、本来ならツェリやエミル君、シャナやユエユタカとお昼を囲むのだが、少し用事があると言ってみんなから離れる。

ユエだけは付いてきたが。

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